料理好きな妖刀使い   作:ibura

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アスタリスク(ここ)に来たのも久しぶりだな」

 

クローディアに会った後、そのままクローディアとともに母国、日本に帰ってきた真鞘はそのままアスタリスクにまでやってきていた。

 

水上学園都市"六花"――通称、アスタリスク。

北関東のクレーター湖に浮かぶ正六角形型のメガフロートに築かれた学園都市で、日本の領土に位置しているが治外法権領域になっている。統合企業財体によって六つの学園が設置されており、在籍する学生の大半を星脈世代が占める。アスタリスクでは年に一度、星武祭(フェスタ)という力を持つ学生同士の大規模な武闘大会が開かれる。統合企業財体が主催している星武祭は注目度が非常に高く、世界中にライブ放送され、世界最大の興行規模を誇っている。

 

 

 

 

 

移動中にクローディアから聞かされた話によると、真鞘は綾斗と同じ特別特待生という形での編入となるようだ。手続きはほとんどをクローディアが済ませていたため、必要最低限の書類のサインだけを済ませれば真鞘は編入が完了されるという。なんとも手が早い話ではあるが、それに関して真鞘は何も言わなかった。

 

「要望ねぇ」

 

その後、クローディアは真鞘に学園に対して要望があるかどうかを聞いてきた。何でも、ほとんど無理矢理に編入させるつもりであったため、真鞘個人としての要望を少しは聞くつもりであったとのことだった。無理矢理編入させるという腹黒さは相変わらずであるが、要望を聞いてくれるということには、真鞘は少し驚いた。といっても、要望と言われてもすぐに思い付くこともなく、数分間考えていた真鞘だった。

 

そうして思いついた唯一の要望がーー

 

 

「自由に調理場と食材を使わせてくれ……って、そんなことでいいんですか?」

 

 

という何とも拍子抜けなものであった。

 

「あぁ、それで頼む。できれば学食とかにある本格的なところがいいな」

「え、えぇ…それは構いませんけど……本当にそんなことで良いんですか?」

「あぁ大丈夫だ」

 

 

真鞘は料理が趣味である。1人で世界各地を旅をしている頃には、野宿をすることもありその日の食事を自力で何とかすることも多かった。イギリスといった国では料理が口に合わずに、自分で作ったりもしたことがあった。そうこうしているうちに料理を作ること自体が、真鞘の趣味となり、さらにはその腕も上達してレパートリーも増えていった。

 

 

「まぁ真鞘がそれでいいと仰るのならこちらとしては助かります」

「それ以外に思い付くことがないからなぁ、武器は間に合ってるしな」

 

真鞘はそう言って手に持っている鞘に収まった一振りの刀を見た。

 

「最近のその子の様子はどうなんですか?」

「最近は大人しいな。たまに運動させてやってるし、ずっと寝てるよ」

「それはよかった。しかし、刀をそのまま持ち運ぶのは少し問題がありますね」

「あぁ、後で刀袋に入れておくさ」

「それなら大丈夫です。それと、申し訳ないのですが、私これから会議が数件入っているのでそちらに行かなければいけないんです」

「生徒会長は大変だなぁ」

「自分で決めたことですから仕方ありません。それで、真鞘のこの後なんですが……」

 

そう言ってクローディアは周りを見渡した。

 

「あ、来ました」

「ん?」

 

クローディアが見ている先から歩いてきた人は真鞘にとって見覚えのある顔だった。

 

「急に呼び出すよなぁ……って真鞘じゃん」

「何やってんだよ……アル」

 

 

アルフ・エンフィールドーー

クローディアの実の双子の弟がそこに立っていた。

 

「何をやっているかって聞かれたら生徒会長様に呼び出されただけで、これから何をさせられるかっていうのは知らされてないんだよね」

「そういう意味じゃなくて、何でここにいるんだよ。いつアスタリスクに来たんだ?」

「あれ?言ってなかったっけ?僕4月にここに入学したんだよ」

「初耳だぞ、俺は」

 

半目で睨む真鞘にアルフは苦笑いで誤魔化した。クローディアは2人のそんなやり取りを微笑みながら見ていた。

 

「そ、それで…なんで僕は呼び出されたの?」

「それはですね……真鞘は今着いたばかりなんですが、私がこの後予定が入ってしまっていて……。真鞘1人を待たせるのも気が引けましたので呼び出しました。夕方には戻って来れると思いますので、それまでにアルに学園内を案内でもしてもらおうかと思いまして」

「なるほどね……まぁ了解しましたよ。どうせ拒否権はないんだろうし」

 

アルフの返答を聞いた真鞘はそれだけで理解した。

 

――あぁ、扱き使われてるんだな……

 

「ではよろしくお願いしますね。終わったらこちらから連絡させてもらいますので編入の最終手続きはその後にお願いします」

 

そう言ってクローディアは歩いて行った。

 

「アル……お前も大変だな」

「もう慣れたよ。わざわざ僕を生徒会の副会長にまでして、堂々と雑用を押し付けれるようにしたからね」

「何というか…ドンマイ」

「それはこっちの台詞だよ。今ここにいるってことは無理矢理ディア姉に連れてこられたんだろ?」

「まぁ俺が頷いてなかったら実力行使だったろうな……」

「「お互い苦労してるな(ね)……」」

 

2人揃って溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クローディアと別れた後、アルフは姉に言われた通りに真鞘に学園内を案内した。真鞘も特にやることもないので、アルフについて周り時間を潰すことにした。学園内の案内と言っても、各施設を詳しく説明しながら回っていたらそれなりの時間が過ぎていた。全て案内し終わった頃には、時間はすでに夕方になっており、クローディアからの連絡がくるのもすぐだろうということで中庭のベンチで待つことにした。

 

「にしても、久びりだなぁアル」

「ほんとだよね、去年ヨーロッパで別れて以来かな」

 

真鞘とアルフは共に行動している時期があった。エンフィールド一家とはその頃からの付き合いとなっている。真鞘が死神騎士であると知る学生は、各学園の生徒会長を除くとアスタリスクにはほとんどいない。アルは希少な存在の1人である。

 

「アルはなんでアスタリスクに来たんだ?」

「まぁ特に理由はないんだけどね。強いて言えば、この世界で僕が楽しめそうなのがあとはここぐらいだったってことかな」

「俺も同じような感じなんだよな。でも何でわざわざ星導館に来たんだ?ここに来れば嫌でも姉に面倒事押し付けられるって分かってただろ?」

「僕だってはじめは他のところに行こうとしたよ……ディア姉に捕まらなかったら」

「………」

 

そこまでして弟に面倒事押し付けたかったのか、あの腹黒女は…

 

「まぁ僕は満足に遊べ(戦え)たらそれでいいんだけどね」

「お前って昔から見かけによらず戦闘狂だよな」

「ははは、よく言われるよ。でもそれだけじゃないんだよね。こいつの面倒も見ないといけないし」

 

アルフはそう言って煌式武装(ルークス)を取り出した。

 

「これ使った感想を定期的にあの人(・・・)に報告しないとまた怒られるからね」

「それに関しては俺も同じだな。ほんと、あの狂った兎(・・・・)は何とかなんねぇかな」

 

自分たちの煌式武装を作ったうさ耳を付けた頭があれな天才発明家を思い出し、2人はため息を吐いた。

 

「あ、ディア姉から連絡だ。こっちに来てくれるってさ」

「了解、まぁ行き違いになっても面倒だし素直に待つことにしておこう」

「そうだね」

 

 

 

 

数分後にクローディアが合流し、移動することになった。

 

「このまま生徒会室に行って、手続きを完了させてしまってもいいのですけども、時間も時間ですので先に食事にしますか?」

「確かに腹は減ってきたな、そうするか」

「異議なーし」

「では学食に向かいましょうか。ついでに真鞘は調理場も見ておきますか?」

「あぁそうだな、ちょっと覗いておくかな」

「何なら実際に作ってもらってもいいですよ?」

 

クローディアの言葉に最も反応したのはアルフだった。

 

「真鞘の料理が食べられるの!?」

「お前……そんな反応されたら作るしかなくなるじゃねぇか」

「いや、だって真鞘の料理なんか久しぶりだし、真鞘と別行動しだした最初の頃は何食べても不味かったし」

「はぁ分かった、作るよ。その変わり材料何あるか知らないから、メニューはテキトーだぞ」

「真鞘の料理なら、テキトーでも何でも全部三ツ星だよ!!」

「アルがそこまで言うのでしたら私も食べてみたくなってきましたね」

「別にいいよ。2人分が3人分になったところでさほど変わらないし。ていうかお前、それ見越して調理場の話しだしただろ」

「それは考え過ぎです」

「どうだかな」

 

こうして3人は星導館学園の学食へと向かった。

移動中アルフは異様にテンションが高く、他の2人は軽く引いていたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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