料理好きな妖刀使い   作:ibura

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「旨かったぁ!!やっぱ真鞘の料理は最高だね!!」

「真鞘の料理がまさかあそこまで美味しいとは……女として負けた気分です」

「大げさだ」

 

真鞘、クローディア、アルフの3人は、星導館学園内において最高級店と言われる学食の『ル・モーリス』に来ていた。そのル・モーリスの厨房を特別に使用させてもらった真鞘だったが、初めは料理長をはじめとしたル・モーリスのスタッフも学生が自分たちの厨房を使うことにあまりいい顔をしなかったが、生徒会長であるクローディアからの頼みということもあり、渋々といった感じで真鞘に使用を許した。

しかし、真鞘が調理を開始するとスタッフたちの様子はみるみるうちに変化していき、真鞘のプロ顔負けの技術に唖然としていた。出来上がった真鞘の料理を食べたシェフたちは涙を浮かべて負けを認め、料理長は感動しながら真鞘に握手を求めた。

 

「料理1つでプロの料理人に負けを認めさせた真鞘は凄いですね」

「これからも使っていいから自分達にも食べさせてくれって言われたよ」

「プライドずたずたですね」

「この料理食べられるならプライドなんか捨ててやる……だってさ。どいつもこいつも大げさなんだよ」

「真鞘の料理はそのレベルなんだよ。試しに商売してみたら?」

「面倒くせぇよ。それで、この後どうするんだ?クローディア」

 

真鞘は店を出る準備をしながらクローディアに聞いた。すでに食事は終え、ついでに食後のコーヒーも飲んでこれ以上学食にとどまる理由はなかった。

 

「このまま生徒会室までお越しいただいて書類にサインをしていただこうと思いましたが、少し量が多いですし時間も遅いので、今ここで渡しておきます。部屋で書いて、明日の朝に持ってきてくだされば大丈夫ですので」

 

クローディアはそういって、書類の入った封筒を真鞘に渡した。

 

「了解、どこに持っていけばいいんだ?」

「生徒会室でお願いします。アルフに案内してもらってください」

「分かったよ。てか俺の部屋ってどこだ?学園の寮だったら誰かと相部屋とかになるのか?」

「あ、それでしたらアルフと同室ということになっています」

「よろしくね」

「あぁ、それなら俺も楽でいいや。こっちこそよろしく頼む」

「分からないことがあれば、アルフに聞いてください。あ、封筒の中の書類は一応全て目を通しておいてください。それではお休みなさい、真鞘」

「おぉ、お休み。また明日な」

 

 

 

真鞘とアルフはクローディアと別れて、自分たちの部屋へと移動した。

 

「おぉ、意外と広いんだな」

「そう?冒頭の十二人(ページ・ワン)の部屋になったらもっと豪華だと思うよ。あ、コーヒーいる?」

「頼むわ」

 

部屋には簡易的なキッチンもあり、簡単な料理なら作れるようになっていた。

アルフにコーヒーを用意してもらっている間に、真鞘は届けられていた荷物の整理に取り掛かった。

 

「とりあえず、渡された書類のサインやっちゃったほうがいいと思うよ。結構あると思うから」

「それもそうか」

 

アルフに言われて真鞘はクローディアから受け取った封筒を開けて、中に入っていた書類を取り出した。

 

「………」

「うわぁ、これは酷いね」

 

取り出した書類はかなりの量があった。

 

「おい、これを明日までっていうのはどうなんだ?」

「大丈夫、サインがいるのははじめの10枚ぐらいだと思うから」

「でもこれ全部一応は目を通しておいたほうがいいんだろ?」

「それは、まぁそうだね」

「…………」

「まぁそればっかりは僕も助けてあげられないからね、頑張って」

「……とっと読んで寝るかな」

 

結局真鞘が寝ることができたのは夜中になってからだった。

 

 

 

 

 

 

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 

 

 

 

 

次の日の朝、真鞘とアルフは生徒会室で待つクローディアに書類を渡すために校舎内の廊下を歩いていた。

 

「そういや綾斗はいつ学園に来るんだ?」

「もう1人の編入生か。彼なら予定通りいけば今日の朝に到着するはずだよ」

「ならそろそろか、授業とかはいつから出るんだ?」

「今日から出るみたいだよ」

「え゛!?手続きとかは?」

「天霧君に関してはディア姉が全部終わらせてるからね」

「俺とは扱いが段違いだな」

「それは仕方ないよ、"死神騎士"っていう名前は有名なんだからね。アスタリスク(ここ)には真鞘のことを知ってる人もいるってことは覚えておいたほうがいいよ」

「そんな奴にはあんまり出会いたくはないけどな」

 

真鞘の裏社会での活躍を知っている人物ということは、少なからず社会のそういった面に関わっているということになる。

 

「まぁ各学園の生徒会長とその側近ぐらいだと思うよ。さて、到着っと」

 

アルフにつられて真鞘が止まると、目の前には『生徒会室』と書かれた部屋があった。アルフがドアをノックして、返答を待たずに入って行った後を追って真鞘も部屋の中に入った。

 

「おはようございます、真鞘、アルフ」

「あぁ、おはよう」

「おはよう、ディア姉」

 

部屋の中ではすでに到着していたクローディアが2人を出迎えた。

 

「よく寝られましたか、真鞘?」

「お前それ本気で言ってるのか?書類読んでたら夜中だったよ、お蔭で寝不足」

「あら、全部読んでくれたんですね。サインの必要な書類以外は今日じゃなくてもよかったんですけど」

「………」

 

クローディアのあんまりな言葉に真鞘は唖然とするしかなく、アルフのほうを見ると目だけで「ドンマイ」と言ってきた。まぁアルフに怒りをぶつけるのも間違っているので真鞘は仕方なく行き場のない怒りを収めた。

 

「そういや、綾斗はまだ来てないのか?」

「そうなんですよ、約束していた時間に正門に向かったのですが姿が見えなくて。もしかしたら早く到着して学園内を見て周ってるのかもしれません。一応探してもらってるのですが」

 

その時、アルフの携帯端末に着信が入った。

 

「どうしたの?………はぁ!?……えっと、場所は?……了解、会長とそっち向かうよ」

 

通話を終了したアルフは2人に向けて言った。

 

「天霧君が見つかったよ」

「それは良かったです」

「いや、良くないよ……」

 

アルフの物言いに、あまり良い状況ではないことは分かった。

 

「なんかあったのか?」

「原因が全く意味不明だけど……今決闘してるらしい、天霧君」

「「………え?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルフに連絡が入った後、すぐさま3人は生徒会室を出て、綾斗が決闘をしているという場所へと向かった。

 

「んでも、何であいつはいきなり決闘なんかしてるんだ……しかも冒頭の十二人(ページ・ワン)と」

 

綾斗と決闘をしているのは、星導館学園の序列5位であるユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトであるということらしい。在名祭祀書(ネームド・カルツ)にも一通り目を通していた真鞘もユリスの名前は見ていた。華焔の魔女(グリューエンローゼ)という2つ名で恐れられる魔女(ストレガ)《魔女》であるらしい。

 

「原因となる場面を見ていた人はいないみたいだけど、どうやら天霧君が何かやって華焔の魔女を怒らしてしまったみたいだね」

「何やったんだよ」

「今決闘を見ている人によると、華焔の魔女は天霧君のことを『変質者』って言ってるみたいだよ」

「……本当に何やったんだ、あいつ」

 

女子から変質者と言われるのだからよほどのことをやらかしたのだろう。

 

「とりあえず早く向かいましょう。ユリスは一度言ったことは曲げませんから、面倒なことになる前に止めましょう」

「どうやって止めるの?」

「生徒会長の名前を使えばどうとでもできます」

「うわぁ、職権乱用だ」

「使えるものは使いませんと」

 

それはもっともではあるが、それをクローディア(腹黒女)が言ってしまうのはどうかと思う。しかし、真鞘もアルフもそれついては何も言わない。誰も余計なことを言って飛び火を受けたくはない。

喋りながらも急いで移動していると、外に人だかりができているのが見えてきた。しかし、その人たちは慌てて退避しているように見えた。

 

「どうやら大技使うみたいだね」

「さすがにそれは周りの被害が出る可能性があるので止めないといけないですね」

「いや、綾斗なら大丈夫だろう」

 

真鞘の言う通り、綾斗はユリスの放った大技の炎を自身の持つ煌式武装(ルークス)で打ち消した。しかし、問題はそこではなかった。

 

「今、明らかに外部からの攻撃があったよな」

「はい、私もユリスを狙った攻撃が見えました」

「また、せこいことをする奴がいるねぇ、……てかあれちょっとやばくない?」

 

ユリスに向けて矢を放った相手を探していた真鞘だったが、アルフに言われて綾斗とユリスのほうに目をやった。そこでは、綾斗がユリスを押し倒していた。さらには2人の反応からするに綾斗の手はユリスの胸に当たってたのだろう。いわゆるラッキースケベである。

 

「僕ラッキースケベを生で見たのは生まれて初めてだよ」

「あいつ意外とあぁいうところがあるんだよな」

 

真鞘とアルフは呑気に会話をしているが、周りのギャラリーの言葉もユリスの怒りに油を注いで爆発寸前であった。どうやら怒りすぎて星辰力(プラーナ)を制御できなくなっているらしい。

 

「クローディア、そろそろ止めないとまずい」

「そうですね」

 

真鞘に言われてクローディアは、手をパンパンと叩きながら2人の仲裁に入った。

 

 

「はいはい、そこまでにしてくださいね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




気が向いたら書いて、書き溜めて、投稿していく感じ

故に亀更新
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