灰と幻想のグリムガルーレンジについていけば楽できる 作:魁鬼
「義勇兵になったあとだったら、アタシも多少は相談に乗ってあげないこともないわ。」
そうして、これからどうしようかなーと考えていると、レンジが「おい。」と言ったのでまた俺かな?と思い振り向くとレンジが丸刈りをぶん殴り、丸刈りが尻餅をついていた。
「立て。」
「ーーてめぇ!」
と怒鳴り、反撃しようと立ち上がるがすかさずレンジは蹴り飛ばした。
「どうした、立てよ。」
「何のつもりだ、この野郎。」
「お前、俺を最初に見たとき思っただろう。こいつは俺よりも強いのか弱いのかって。答えを教えてやる。立て。」
「くっそ……!」
丸刈りが飛び起きた瞬間を狙い、丸刈りもそれを避けようとするが、レンジは避けた先に動き、殴り、蹴る。左手で丸刈りの右耳を掴み、丸刈りを引き寄せた。丸刈りは耳の痛みで悲鳴をあげ、目をつむってしまい何も抵抗できないところにレンジの膝蹴りが鳩尾にめり込んだ。しかも、一発で終わらず何発も連続で。丸刈りの抵抗がなくなったところで丸刈りの頭を両手で掴み、頭を思い切り振りかぶって頭突きをお見舞いした。丸刈りは軽い脳震盪が起こったようで膝から崩れ落ちた。
(これは、あれか、レンジなりのスカウトなのか)
「……そあとうな石頭だな。、お前。」
レンジは額を指でさすると血がついていた。
「名前を教えろ。」
丸刈りは辛うじて床に手をつかず、膝を押さえている。丸刈りなりのプライドなのかもしれない。
「……ロンだ、強えな、てめぇ。」
「お前は大分頑丈だ、俺についてこい、ロン。」
「ああ、暫くはついていってやる。」
「それでいい。あとはーー」とレンジは事務所内を見回し、優男に目を止めた。が優男はそれに頷かず両目をすぼめた。
レンジは優男から目をそらし、メガネに目を止めた。
「お前も戦力になりそうだ。俺と一緒に来い。」
メガネは少し驚いたように数回まばたきをした。そしてメガネは眼鏡の位置を右手の中指で直し、首を縦に振った。
「いいよ、僕はアダチ。よろしく、レンジ。」
レンジは唇の片方を釣り上げ応えると、次に眠そうなやつに目を向けるがすぐに目をそらしチビッコに目を向けた。
「そこのチビ。」
「ぁぃっ?」
チビッコの声は身体と同じく小さかった。
レンジは「こい。」と手招きした。チビッコはボーッとしているのか、ふらふらと近づいていって、レンジを見上げた。レンジはチビッコの頭を撫でた
「お前は役に立ちそうだ。ついてこい。」
「……ぁぃ。」と頷いた。
「最後に、カイト。お前もついてこい。」
「ついてこいね〜、俺よりも弱いくせに?」
「あ''?」
「だってレンジ、お前ブリちゃんに全く反応できてなかったじゃん?」
「っち、何が言いたい?」
「殺し合いの場で次なんてものはないよ?って話。リーダーであるレンジが判断をミスした場合パーティのメンバー全員が危機に陥るってことわかってる?」
「そんなことは最初からわかっている。」
「ふーん、わかってないからブリちゃんに喧嘩売ったんじゃないの?あのとき、もしかしたらブリちゃんが本気でキレてレンジを殺していたかもしれないよ?」
「……っち」
「ははは、まあ、説教はお終い。とりあえずレンジについていかせてもらうよ。一応アタッカー志望で。」
「ああ。」
レンジはうつむき、少し考えた素振りを見せ顔を上げた。
「行くぞ。」
レンジが顎をしゃくって事務所の出口を示した。
「待って!」
と派手女が声を上げた。
「あたしも連れてって!」
レンジは短くため息をついた。
「使えないやつはいらない。」
「なんでもするから!」
「あたし、サッサ。お願い。どんなことでも、あたし、やるから。」
「どんなことでも、か。忘れるなよその言葉。」
「うん、忘れない。」
「それと、俺に勝手に触るな。」
「……わかった。
「よし。お前もついてこい。」
「ありがと、レンジ!」
「レンジ、やばいことやらせるつもりならやまとけよ?」
「こいつはどんなことでもやると言った。」
「まあ、そうだけど。パーティの士気に関わるようなことはやめてくれよ?」
「わかっている。」
「あ、そうだ。レンジちょっと待って。」
「早くしろ。」
「なあ、ブリちゃん。一つだけ質問いいか?」
「ダメよ、カイト。あなたまでアタシを失望させるの?」
「いやいや、本当に簡単な質問なんだ。それに俺たち仲間になる予定だろ?仲間は多い方がいいはずた。」
「……聞くだけよ?」
「じゃあ質問だ、俺たちみたいなルーキーは一ヶ月以内に平均何人死んでるんだ?」
「そうね、多いときは全滅。少ないときはゼロ。でも大抵一つのパーティに一人は死んでるわ。」
「ふーん、そうなんだ。ありがと。」
「これで最後よ、あとは義勇兵になってからね。」
「ああ。すまんな、レンジ。もういいぞ。」
サッサがドアを開けて、事務所を出た。