そしてこれのせいでイカの生態系がわけわからなくなっている…。
ナワバリバトル。
ハイカラシティにおける最もメジャーなスポーツであり、その特徴としては『誰でもできる』し『誰もがやっている』事が挙げられる。
僕等がナワバリバトルを行い始めた日、イコールでこの街に来た日とも言える日は2年前だ。
テーブルに置いたカップからかちゃりと音が鳴る。反省会は既に終わり、他3人は会計を済ませ帰っていった。
現在僕がいるのは、カフェ「ペインター」というシックな雰囲気の店だ。落ち着いて話をするのには適している。
他の3人は帰ったが、僕だけは居残って考察と反省を重ねることにした。
今日は連勝できたとはいえ、調子が少し乱れるだけで連敗することがあるナワバリバトルに勝ち続けるにはやはり努力と考察が必要だ。
基礎を学びなおすことが腕前の上達への近道だとナワバリバトル常勝の方も言っていた。一つ一つ小さなことから見直していこう…。
基本的なルールは『四対四』で『三分』の間に『決められた範囲』を『どれだけ塗れたか』である。
妨害は勿論有り。むしろイカにして妨害するかという事も競技に含まれている。
持ち込めるものは『ブキ1種』『サブウェポン』『スペシャルウェポン』でありこれらをうまく利用して戦況を変えていく。
基本的にインク効率のいいメインウェポンを使い、どうにもならない時にサブウェポン…ボムやシールドを使うといった形だ。スペシャルウェポンは戦局を変える切り札であり、一定量インクで塗らないと使えない。そういった制限を掛けないとゲームとして成り立たないからだ。
武器の種類には、最も一般的で中距離型の『シューター』、近距離特化の代わりに高火力の『ローラー』、チャージを行うことにより瞬間的な超射程、高火力を得た『チャージャー』が主な物となる。その他は今は置いておこう。
基本的なルールや何かはこの位にしておく。
口を付けていたコーヒーが無くなる。ここの物は非常に香りがよい上、クセが少ない為についつい飲みすぎてしまう。体に悪いと思いながら2杯目をこえ3杯目を注文する。
そもそもナワバリバトルの始まりは海面上昇による陸地の奪い合いからだったか。それ以前にも行ってはいたが、明確にその役割を持ったのは数百年前。インクリングの旧敵にてかつての隣人、オクタリアンとの生存領域の奪い合い。奪った領域を自らのものだと主張すると同時に、容易にオクタリアンが立ち入れないようにする為の最も手っ取り早い方法。それがインクを塗り広げていく事だった。
インクリング、オクタリアンのインクは両方とも乾きやすく、消えやすい。しかしそのインクの臭いと成分は微量に残り、そこが縄張りであると主張する。結果、こびり付いたインクの残り香を嫌悪する者はそこから離れていく。乾いてしまったインクは早々に落ちる筈もなく、安定した領域の確保が出来る…らしい。そこら辺は本能というやつである。
そもそもまずオクタリアンなど今の世の中では滅多に見かけない。この前ではもはや存在そのものを疑われていた。その理由は100年前の大ナワバリバトルによってオクタリアンの活動領域が大幅に削がれたからだ。今ではオクタリアンなど探そうとも見つけられない。加えて、かつてに比べインクリングの知能は大幅に発展し、競争の手段に肉体的手段は使わなくなった。結果、ナワバリバトルは形骸化し、今では只のスポーツと化した。
見る間にコーヒーがなくなっていく。
腕前の上達には練習が必要だ。むしろ練習をひたすら繰り返すしかない。体に染み込ませた動きは様々な場面で自分を助けてくれる。では他には?
知識だ。相手の武器の特徴を知っているか否か。ステージのギミックの作動。通りやすいルート。まだまだ覚えきれているとは到底言えない。即座にこれらの知識を思い返せるようになれば、だいぶ勝率は変わるだろう。
3杯目のコーヒーも残り少なくなり、これ以上は問題があると思った僕はこれで終わりにしようと決めた。
ナワバリバトルに勝つ上で必要なもの。しかし結局の所はコンビネーションと命中率、そして立ち回りに依存するだろう。気を付けるべきは試合を行う際メンバーがランダムに組まれる点だ。
故に、初対面の人物の人柄と武器の特徴による立ち回りの理解をする事が大切だ。
独りよがりでは勝利出来ない。広い視野、状況を察する能力、周りに迷惑をかけないようにする事が重要という割と当たり前の結論に至った。しかし当たり前と思っている事こそ普通に出来ない事だ。試合が始まる前に味方のブキとステージでの立ち回りとを意識するよう心掛けることにした。
気が付くとカップの中のコーヒーが無くなっていた。
丁度いい。今日はこのぐらいにしておこう。
本文より後書きの方が長かった場合って規約違反なんですかね。ともあれストック投稿。