今日も今日とてナワバリバトル   作:TT7

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第3話@イカスタワー及びタチウオパーキングエリア

今日は帰ろうと思っていたけれど気が変わった。

頭の中を先程まで考えていた事が渦巻き混沌とした状態になっている。これを抑えるためには取り敢えず動くべきかなと、そう思った。

 

とりあえずの目的地までは大した距離はない。絶妙に喧しい音量の音楽を垂れ流すスピーカーが存在感を放っているハイカラシティの中央搭、イカスタワーのロビー。ここで一般的にナワバリバトルの登録ができ、ロビーで登録をした後は同じタイミングで申請を出した者と共に現在のステージに近い控え場所まで向かうことになる。

現在のステージは『Bバスパーク』と『タチウオパーキングエリア』のようだ。

因みに移動手段はバスと電車、おまけに超絶割高転送装置がある。バスの方が割安かつ微妙に早い。お金には困っていないので本日は電車で行く。言うほど値段は変わらないし。転送装置は高すぎるので論外。

相変わらず派手に存在を主張しているイカスタワー前駅。蛍光色と原色がふんだんに使われて尚、周りから浮いていないのはハイカラシティらしいと言うかなんというか。電車が来るまで後3分。1階建ての建物にゆっくり足を踏み入れた。

 

 

思ったより財布の中身が無かったりサブウェポンを忘れかけたりしたが、何はともあれ控え場所の建物に到着した。列車から降りてすぐの場所にある、周りから少し浮いた印象を受ける建物に入る。

大きさこそ2回り程周りの建物より大きいが、それ以外は一般的な建物を少し補強したような普通のものであり、窓から見える内装もそこまで凝っているわけでもない。むしろ全体的にシックで落ち着いた印象を受ける。設計者曰く、周りのアゲアゲの建物とのギャップが逆にイカスとのこと。

入って直ぐに伸びる廊下を進むと大部屋に着く。ここで全員が揃うまで待機し、試合の行っていないステージに装置で向かうことになる。丁度今はどちらも試合を行っていないらしい。こういう時はサクサクと進むから気分が良い。立てかけてあった『スプラチャージャー』を手に取り最終チェックを行う。

控え場所には現在自分を含めて5人程いる。次の列車で恐らくメンバーは揃うだろう。室内には緩めの空気が漂っている。

そうこうしている内に最寄りの駅から歩いてくるイカたちが来た。ブキをしまい腰を上げる。そろそろ切り替えよう。

 

基本的に街にある転送装置は料金が異様に高い。その代わりに色々な場所に跳べる上、瞬時に移動出来る。

控えの建物にも転送装置があるが、こちらは無料な代わりにナワバリバトルをする場合にのみ使用していい事になっており、なおかつ転移先はある程度絞られている。

噂に聞くと、大型化して一般に使える程までにコスト削減に成功したらしい。サイズは建物半分程度とはいえ快挙と言っても過言ではない。楽観的で適当なイカ達は皆気にしていないのだが。

 

ブキのトリガーを確認。空打ちしてみるも問題なし。

フデ、シューター、シューター、チャージャー…揃ったメンバーを横目に見ながら転送装置に乗った。

 

ふわり、と訪れる浮遊感。目を閉じ、そして開けるとそこはタチウオパーキングエリアのナワバリバトル区域。視認すると同時に次々とやって来るイカたち。取り敢えず一礼。それに対して、よろしくと言ってくる味方。…変なのが混ざっていない事を祈ろう。

 

少ない土地の有効活用の為の形状、立体構造故か、非常に高い所にスタート地点はある。吹きさらされたこの場所に、乾いた風が吹きつけてきたせいで体が煽られる。今日はインクがよく乾きそうだ。

試合開始の合図を待ちわびるイカ、ステージを確認するイカ、遠目に相手のスタート地点を見てみると、フデを放り投げて遊んで……その後落として慌てているイカもいる。何をやっているのか。ともあれもうすぐ開始時間だ。

味方は先頭から、『スプラローラー』、『スプラシューター』、『もみじシューター』、そして自分だ。

先に端末機器を用いて味方にどう動くのかだけを送っておく。いつもこの方針を取っているのだが、味方が微妙な目でこちらを見てくる。いつもの事だけれども何故だ。口頭で伝えるより便利なのに。

息を吐きインクをブキに充填する。インクタンクがインクの色合いに染まって行くのを見ながらスタートダッシュの用意をする。照準を前に合わせた。引鉄にはまだ指をかけない。準備の合図が出る。風は止まない。

そして開始の合図が出された。それと同時にトリガーに指をかけ、チャージを半分程度まで貯めたところで発射。インクの道を作り上げる。

インクの道を駆け抜けようと先頭のイカが踏み出した瞬間、吹いていた風が急に強くなった。今まさにスタート地点である高台から飛び降りようとしたタイミングでだ。吹き付けた風に大型のローラーが煽られ、体制が崩れる味方。そしてそれに巻き添えを食らう自分たち。

申し訳なさそうに落下していくローラーの彼を見ながら、この試合大丈夫かと心配になりつつ、落ちていく感覚を存分に味わって。

そうして試合は始まった。

 




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