エドモンさんはダメみたいですね(悟り目
装い新たになった直後から身体から力が溢れ出たのは感じていたが、雪信の号令と同時に踏み込んだ瞬間、身体が先程よりもとても軽く感じた。あっ、どうも今回は私、沖田総美視点でお送りしてます。
え、なんかキャラが違いすぎないかって?まぁ、普段はもうちょっとおとなしい感じですけど今は別です、なんたって目の前に
ですがそれは内面にトドメて表情、挙動には決して出さないようにする、それらを出すということは読まれやすく、不利になりやすくなるということですからね。
戦場の斬り合いにおいて語り合いも、名乗りも不要です。ですがこれだけは…
「全力を持って、斬らせてもらいます」
「ああ、来るがいい、私もそれを望んでいた!」
対して騎士の女性は迎え撃つ構え、ですがそれは悪手だと思わせてあげますよ!無明から頭に叩き込まれた魔法、と言っても私が使えるのは基本中の基本を除けば三つのみ、しかも一つは必殺と言える物で無闇に使うわけにも行かず、もう一つはなぜかロックされているので普段使えるのはたった一つ、されどこの一つが私にとっては十分過ぎる魔法です、その名も…
(行きます『縮地』!)
後一歩で共に間合いにと言う所で魔法を発動、同時に騎士から見れば私の姿は掻き消えただろう、しかし彼女は即座に反応、右真横に居た私からの突きを剣で弾く、流石にかなり強化されたとは言えこれで倒れてくれるはずないですよねとちょっと内心舌打ちしながら縮地で離れ、間髪入れずに縮地、今度はすぐ目の前に現れ再度突きを放つ。
「くっ、ふん!」
この突きを騎士は右小手で防ごうとする、先ほどみたいに避けない、つまりこちらのスピードが上がり対処がしづらくなったからの行動でしょうがこの姿になってからの無明の突きはその小手ごと肉を斬る、だが驚く表情はしてもそこは伊達で騎士の姿をしてるわけではないらしく、負傷も気にせず鋭い突きを放ってくる。
「っ!!」
それに対して突きの伸び切った身体を無理矢理逸らす、節々から痛みと完全には避けきれず頬と肩に軽く斬られたが問題ありません、そのまま縮地で再度距離を取り斬られた左肩をチラッと見る、そこまで深くないことを確認してから一呼吸を入れ相手を見据えあのやり取りで分かったことを頭で整理する。
(相手、実戦慣れし過ぎてる…それも私や雪信とは違って模擬じゃない、本当の戦場、しかも斬り合いが重点されてる感じですね)
「先の少女といい、お前といい、この状況下で笑えるとはな」
突然騎士にそう言われ口元に触れてみると確かに笑ってた。まぁこれだけ白熱した戦いなんて高町家の長男さん以来ですし寧ろこの状況だからこそ笑えないと、ねぇ?
「…おかしいですかね?」
「それを聞かれると困るな、私も楽しいと感じてしまってるからな」
ならこの話は終わりでいいですね。口にはしてないがそんな感じに刀を構え直す、その際斬られた左肩から痛みが走るが無視、これくらいなら無明がなんとかしてくれる。
相手もそれを察したのか剣を構え直して、それからまた語りかけてきた、よく喋る人ですね。
「まず謝ろう、少し、いやかなり見くびっていたと」
「…」
「言葉は不要、か。では行くぞ」
カシャンと騎士の剣から音が鳴り何かが排出されたその瞬間、身体が自然とバックステップを踏んでいた刹那
ガキィン!
そんな甲高い音とともにさっきまで私が居た地面が削れた。何事かと騎士の方を見るとそれはすぐにわかった、剣が変わっていた、いや持ち替えたとかではなくて剣そのものが変形していたと言った方が合ってますね。形状的に所謂蛇腹剣、剣の癖に鞭みたいに間合いを伸ばす何とも厄介な武器です、その分扱いが難しいはずなのですが
「ほう、避けるとはな」
本心から感心したような口調で言いながら武器を再度構える。まぁ見ての通りそれを扱えてる以上これは強敵ですね、って話ですよ、ですがこちらには縮地がありますからぶっちゃけ間合いなんて関係ないんですけど
動きをよく見て、二撃目を振るう瞬間に踏み込み間合いを詰める。その際剣が頬をまた掠めるが無視、相手が腕を振るう、剣が機動を変え私に襲いかかるが縮地で前…いや
(右!)
嫌な予感が過り右に縮地を使わず跳ぶ、見ると縮地で飛ぼうとした場所に囲む様に展開された剣が見えた。もう縮地に慣れ始めてる、いや私が直線過ぎましたか、新しい力というのにはしゃぎ過ぎましたね、これは反省です。
ですが二度目はありません、慣れ始めたのならまた違うことをすればいい、そうじゃなくとも
(もっと速く動けばいい!)
「!?(まだ速くなるのか!)」
遂に目だけで追えなくなったのか、顔、そして体ごと動かして私の姿を追おうとする、ですがそうなったのならもう追いつけませんよ。それを確認してから脳内で機動を描く、一撃で確実に決めれる軌跡
(一歩、音超え…)
心の中で一節目を唱え、騎士の真横に現れる。当然反応され剣が迫るが落ち着いて回避、また速度を上げその場から離脱、もっと速く!
(二歩、無間…)
まるで私だけが動いてる錯覚に陥る程の速度で動きながら騎士にも注意を払う、なんかこれだけ速くても反応されそうですから、と思ってたら忙しなく私を視界に収めようとしていたのに今は動いてない、これは…ああ、成る程最初と同じように迎え撃とうと、そうですか。
(三歩、絶刀…!!)
無意味です、三節目を唱えると同時に真正面に姿を晒す。それでも警戒していたはずの騎士の目にはまだ影が現れたというレベルにしか視認されてない、だけどそれで十分だと言わんばかりに剣を振られ私は斬られ…
「っ、残像!?」
「無明…」
ですから無意味ですって、私は貴女みたいに正々堂々なんてそこまで考えてないですからね。そう、彼女が斬ったのは残像、自分でも驚いてます残像って出せるんですねってまぁ無明のサポートのお陰ですけど、ですがこれで完全に背後を貰いました。
「参段づっ!?ちっ!」
魔法を付加した必殺の突きを発動直前、視界の隅からこちらへと直進する光を確認、攻撃を無理矢理中断して空中で縮地を使い騎士と距離を離すと同時に光弾が前を横切る。
なんですか、何なんですか?斬り合いの邪魔する輩は誰なんですか?攻撃の辿って視線を移すとそこには仮面を被ったこれまた如何にも怪しい感じの・・・男?なんか違和感感じますね。
「…そっちの手の者ですか?」
「いや、違う」
はぁ、なら第三…じゃなくて第四勢力ってやつですか、まぁ敵なのは確実ですね、敵意と殺意増々で私の事見てますし。
「危ないところだったな」
仮面が騎士にそう声をかける、しかし騎士の方はあからさまに不機嫌な表情と態度で剣をそっちに向ける。そりゃそうでしょうね、折角の死合もとい斬り合いを思いっきり水を差されたんですから、かく言う私もいい感じに怒ってますけど
「ふむ、剣を向けられる覚えはないのだが」
「黙れ、貴様が勝手にしたことだろう」
騎士の声には確かな怒気、しかし仮面の方はそれを理解できてないようで半ば呆れたような声でそう告げていた、これは…別段この方々はあの仮面とは手を組んでるわけでもない、という解釈で良いんですかね?
「…すみません、斬っていいですか?」
「は?あ、え?」
「あ、ごめんなさい間違えました、あれは貴方の味方ではないという解釈で良いんですよね」
いけませんいけません、再確認のつもりがちょっと怒りが言葉に出てしまいました、しかしこの騎士は以外に表情豊かですね、私のあの言葉に間の抜けた顔で私を見てきましたよ。
しかし直ぐに気を取り直したのか真面目な顔になり、いえ随分と曖昧な表情で言葉を考えるようにしてから口を開く。
「我々の味方、ではない。が敵…でもない」
「そうですか、ならやっぱり」
斬ります、そう言いかけた時、私の目の前に爆音と共に鎧と盾をボロボロにしたマシュが転がってきて屋上で私達が見た赤い髪の少女が騎士の隣に着地してきた。
あまりにも急な展開に、私は思わず雪信に現実逃避ついでに無明から流れてきた基本魔法の念話を試してみる、が
《雪信、大変です、マシュがやられて敵が増えました》
《奇遇じゃのう、こっちも増えたぞ、なんじゃあの仮面って!?危な!ええい、なんとか合流する、それまで持ちこたえてくれい!!》
そこで念話が途切れた、ああ、何というかまぁ、今日はとことん激動な一日なんだなぁと内心思いながら無明を構え直し…
(ま、やるだけやりましょうか)
また口元が笑みを浮かべているのを感じていた。
いつになるか分かりませんがこの作品のマシュ主人公の無印編も書けたらなぁって思う。
次回ものんびりですが早めに更新を心がけます・・・