儂らは今絶賛…
「敵と言ったな、ならば子供でも遠慮なくいかせてもらおう、だが安心しろ殺しはしない、ただ主の為、その魔力は貰うぞ」
「これは絶体絶命ってやつですよね、何か策はありますか雪信」
「さっきも言ったが手詰まりじゃ、儂らに味方してくれる誰かが来ればワンチャンあるかもしれぬが」
滅茶苦茶大ピンチじゃ、奇襲は失敗、儂の火縄銃は通らず、接近戦は先程の通り総美ですら返り討ち、本当に打つ手が無いと言う状況…
おかしいなぁ、今夜は儂らは観戦のだけの筈だったんじゃがなぁ。早々に場所がバレ、それでも後から来た魔力反応が足止めしてる間にどうにかなるかと思ったらまさか両方やられ、しかもその片方である金髪の少女が後ろで伸びており起きないとここを無闇に離れられないと…
(まぁ、是非も無しじゃな)
こうなったのは大半が儂の責任、ならばこの火の粉は払わねばならぬ、何があろうと決して諦めぬ、悪いがかなり諦めが悪い人間じゃからの。
騎士と儂らの距離はまだある、がそんなの踏み込まれたらどうなるか分からん、総美みたいなのが居るくらいじゃからな一瞬で目の前なんてことも決してありえない話ではない。
何かないか、それだけを前の騎士から視線を逸らさないようにしつつ頭をフル回転させる、打つ手は無いそれは確かじゃ、しかし逃げの一手に絞ればまだ何かが出てくるかもしれぬ。
「…雪信、私が合図したら後ろの彼女を抱えて逃げて下さい」
幾数、幾十の考えを巡らせていると突然、刀を構えながら騎士に睨みを効かせていた総美がそう口を開く。しかし何を言い出すのじゃコヤツは、要は自分が足止めするからその間に逃げろってことじゃろ?そんなこと
「出来るわけなかろうよ」
「しかしこのままでは、それに切り合いで足止め目的ならまだ彼女とやりあえます」
「なら儂とお主で当たったほうが勝率は上がる」
「火縄銃はさっき通らなかったじゃないですか」
ぐ、それを出されるとちょっと弱るぞ。だからと言ってコヤツの案は承認できぬ、それは今の状況では悪手じゃ、やれるとは言っているが止まられても良くて数分、先の奇襲の様子から見るに最悪足止めが叶わない可能性すら出ておる。
これは二人でかかっても恐らく変わらない、そう考えたほうが良い、じゃがこれ以上のんびり考えてる時間も無い、騎士と儂らの距離は向こうが歩いて近付いてる為、まだ少々の余裕があるがそれも後数分、行動を起こされたらもう一瞬と言う距離。
「行って下さい、少なくとも殺されはしません。だけど相手が言う魔力に関してはきっと奪われたらマズイものです」
「…」
だからこそ、奪われるのは総美のみにして儂と後ろの少女を逃がす。やはりそれしか…無いのか、儂としてはその案を認めると負けなのじゃが致し方なし、か?
(ん、なんか聞こえる?)
「相談は終わったか?では、参る!」
「くっ、行って下さい!!雪信!」
突撃してくる騎士に迎え撃つ構えを取る総美。じゃが儂はいや、その、誰か来とる、と騎士が迫ってるのに驚くほど呑気なことを口にしようとした時、それは
「だあああああああああ!!」
「!?」
そんな叫び声を上げながら今まさに衝突しそうだった総美と騎士の間に空から割って現れる。無論、騎士の方はそれを敵と断定してか突撃から剣を振るうがそれを流れるように手に持った大きな盾で防ぎ大きく振り払って勢いのまま回転、儂の前まで下がってきた、騎士の方も弾かれた勢いで大きく下がっているのでこれでまた振り出しに戻ったな。
その間に総美も盾持ちの隣まで下がってくる。して何者じゃと言う話になるが、まぁ騎士のような鎧越しでも分かる膨よかなマシュマロ、淡い色の髪、言わずもがな、マシュ・キリエライト。盾を構え、騎士を警戒しながらチラッと儂らを見るその目は明らかに怒ってた、まぁコヤツの警告をぶっちぎってここに居るんじゃから当たり前といえばそうなのだが。
「助かったわい、マシュ」
「…私、少し怒ってますから」
「まぁ、でしょうね。それでも助かったことには変わりありません、私からもお礼を」
儂と総美が揃って頭を下げると少しため息を突いてからフフッと笑った、なんじゃ儂らがここにいることはまるで最初から分かっとったみたいな感じじゃな。
「怒ってるのでは無いのか?」
「ええ、怒ってます。でもそうですね…やっぱりここに来ちゃいますよね」
何かを言い聞かせる様にマシュは呟く、その様子に儂は総美の方を見ると総美も不思議そうに首を傾げる、いやその、それは良いのじゃがっと視線を騎士へと向けると向こうは向こうで、筋骨隆々とした何故か犬耳っぽいのを生やした男と会話して、ん?
「って何か増えとるぞ!?」
「え、あっ、本当だ」
呑気じゃな!?因みにマシュは気付いてたようでえ、今気づいたんですかと言う顔しておる、悪かったな戦場なのにあっちこっち気が行ってて。
さて、状況を確認しよう。現状は戦えるのは恐らくマシュのみ、対して向こうは騎士と筋骨隆々の男。1対2、数的不利じゃな、せめて儂らが戦えれば…
「ノブノブ、ノッブ」
「なんじゃ、今…がっ!?」
「どうしま、ぐっ!?」
今の今まで黙りこくっておったノッブが突然インストール完了、同調開始と呟きその瞬間強烈な頭痛が儂を襲う、隣では総美も頭を抱え痛みに耐える。何が、起きた…!敵の攻撃?いや、それは違う、だったらマシュが慌てるはずじゃ、だと言うのに奴はかなり冷静に儂らを見ておる。
この疑問は頭痛が治まると同時に解消された、思わず口元がニヤける、総美の方も丁度終わったらしく息を整えながら儂の方を見ると小さく笑いながら頷く。先の頭痛はとある情報のインプット、それはこの状況を打破するのに絶対に必要であり同時にこれ以上に厄介事に巻き込まれること必須の情報、じゃが後悔などしておらぬ寧ろ楽しみが増えて大満足じゃ。
「…もう後に退けませんよ?」
「上等です」
「是非もなし!」
マシュからの言葉に儂と総美はそう返すと前に出る、総美は刀を構え目を閉じ、儂は腕を組み仁王立ち、ノッブも頭の上で同じポーズを取っておる、その行動に騎士と男は警戒の色を一気に強める。では始めようかの!
「礼装…」
「展開じゃ!!」
唱えた瞬間、儂には炎が、総美には桜吹雪がそれぞれを囲んだ。しかし炎か、これはあれか信長の最後、比叡山、何かと炎と縁があったがゆえにってやつかのう?なんと思っておると目の前で炎が形取り弾ける、そこには火縄銃『種子島』と一振りの刀『圧切長谷部』それをそれぞれ手に取ると今度は儂を包む様に這ってくるって怖!?熱…くはないがこれ怖いぞ!
炎は儂の身体各種を包むとまた形取り弾け、最後に帽子が目の前に現れたので被ってから確認してみるとノッブの衣装ではないか。じゃがまぁアヤツの衣装は割りと好きじゃから寧ろ好都合じゃ、と言った所で炎の幕が収まり視界があける。
「おや、ノッブの衣装じゃないですか、似合ってますよ」
声の方を見ると総美の姿、じゃがさっきまでの和服ジャケットと言う斬新なスタイルではなくまるでくノ一の様なすっげー丈がミニな着物に袖口がダンダラ模様で白く染め抜いた浅葱色の羽織、新撰組のそれを上から着た姿、儂は日本というよりドイツ軍服っぽいがこやつはキチンと和風じゃな。
「そちも随分と大胆な姿じゃな」
「二人共、少しいいですか…バイタル正常、はい、無事に完了したようですね」
「色々聞きたいがそれは後じゃ、待たせたのう!」
火縄銃を構え、更に複数丁を滞空待機させ騎士と筋骨隆々の男に向け両隣では総美とマシュがそれぞれ獲物を構え戦闘態勢に入る。対して向こうは騎士のほうが剣を構え、男は無手のようじゃな、両手を軽く広げ重心を落としたのが見えた、距離がある故に表情はよく見えぬが騎士の方は笑ってる気がした、アイツ絶対に総美と同じバトルジャンキーじゃもん。
このまま開幕、の前に二人に軽く指示飛ばしておくかの、と思い先ずはマシュに
「マシュ、済まぬがここは儂と総美に任せてくれぬか。お主には後ろでまだ伸びてる少女を頼みたい」
「後ろ?ってフェイトさん!?あ、はい任せて下さい」
今気づいたんかい…、さて総美には
「雪信、あの騎士は私がやります、やらせて下さい、と言うかそれ以外あり得ません」
「アッハイ」
もうやだこのバトルジャンキー、どうやら向こうも似たような話をしてたらしく男の方がため息を突き儂の方を見る、あっうん、事情は察した、あやつも苦労してるんじゃな。
「さて、いざ…開幕じゃ!!」
この言葉と同時にその場の儂含めた全員が即座に行動を起こした、かくして仕切り直しの初陣の火蓋が切って落とされた。
あけましておめでとうございます(震え声
FGO第一部ラストで泣き、アニメで動いたロマニ泣き、その後のぐだぐだオーダーで笑った大晦日でした。
今年もなんとか更新していきたいと思いますゆえ、よろしくお願いします