.hack//G.U. 繋がれし異世界 作:.hack//好き
「ハセヲさーん!」
「ん?おう、アトリじゃねえか久しぶりだな」
ハセヲがいつも通りThe Worldで遊んでいると丸い帽子を被り金髪のショート『アトリ』が話しかけて来た。
「はい!本当にお久しぶりです!お元気でしたか?」
「ああ。アトリも元気そうだな?」
「はい!無病息災で元気いっぱいです!」
太陽のように輝く笑顔を見せるアトリ。ハセヲはそれを見て苦笑する。
「そうか。じゃあな」
「―――待ってください。お話があるんです!」
ハセヲは逃げ出した。しかし、回り込まれてしまった。
「んだよ・・・。言っとくが俺は『月の樹』には入らねえぞ?」
うんざりした様子でそういうハセヲ。
『月の樹』とは、アトリが入っている大型ギルドで、The Worldでは1位、2位を争うトップギルドなのだ。
一昔に解散まで追い込まれた時期もあったがアトリなどの熱心なギルドメンバーが必死になって呼びかけ、再びトップまで躍り出た。
そんなギルドにハセヲは色々と関わっていたりするのだが、その話はひとまず置いておくとしよう。
「今回は違いますよ!欅様がハセヲさんとお話がしたいらしくて呼びに来たんです!」
「欅が?」
2人の話に出た人物『
だが、その裏ではハセヲを今のチート装備に改造する程の腕前を持つスーパーハッカーでもあった。
そんなスーパーハッカー欅に呼ばれたとなると嫌な予感しかしないハセヲ
「・・・分かった。会いに行くよ」
「本当ですか!ありがとうございます!」
ハセヲの了承に感激するアトリ。溜息を吐きながらハセヲは呟いた。
「まあ、いつか呼ばれんだろうなとは思ってたんだよ」
「え?」
「いや、なんでもない。行こうぜ」
「あ!待ってください、ハセヲさーん!」
ナザリック地下大墳墓。
その無限にあると思えるほどの部屋の数々。その一室に階層守護者達+セバスが集まっていた。
「では、これより第一回『ハセヲを
アルベドがそう言うと1拍置いて再び話し出す。
「議題の通り、最近ナザリック地下大墳墓に行き来している
「ウチは反対でありんす!なんで下等生物の人間を栄光あるギルド『アインズ・ウール・ゴウン』に迎えなければ行けないんでありんすか!」
いち早く反対の意思を述べるシャルティア。ただでさえカルマ値がマイナスで人間を嫌っているメンバーが多いギルド。
そこに人間であるハセヲを迎えるなど、奴隷ならともかく仲間としてなど以ての外であった。
「気持ちはわかるわ。でも、私達
「そうですねえ。アインズ様が殺されそうになった所を止めてくれたり、元の世界に戻ったらギルド解散しようと言ったアインズ様を止めてくれたり等、あの
眼鏡を押さえながら溜息を吐くデミウルゴス。やはり異形種と人間種の溝はかなり深いようだ。
「シャルティアとデミウルゴスは反対のようね。それじゃあ、セバスはどう思う?」
「はい。僭越ながらお応えさせて頂きますが、私はハセヲ様を迎え入れるのは賛成でございます。あの方は先日、独断で動き、ハセヲ様を襲ったナーベラル・ガンマを何も見返しを望まず許していただきました。あの御方でしたら、この
どうやらセバスからしたらハセヲの
「コキュートス。貴方はどう思う?」
「賛成ダ。種族ガ人間ダロウト、ハセヲニハ強イ信念ガアル。
「なるほど。では、マーレ。貴方はどう思う?」
「ぼ、僕は、ハセヲさんを仲間として迎え入れてもいいと思います。とてもお優しい人でしたし・・・」
ハセヲに頭を優しく叩かれた事を思い出したのか少し嬉しそうな表情をするマーレ。
「アウラは良いとして私の意見だけど―――」
「ちょ、アルベド!?なんで私には聞かないのさ!」
しれっと進めるアルベドにアウラがストップをかける。
「なんでって、貴女は賛成でしょ?」
「いや、だから、その決めつけはなんなの!?」
「皆気付いているわよ、アウラ。あの
「なっ!?」
アルベドの言葉にまるで時間を止められたかのように動きが止まるアウラ。
そんなアウラを余所に他の階層守護者達が畳みかける。
「アウラ。貴女自身は気付いていないようですね。
「嘘!?」
「本当ダ。正直、今マデ見タ事ノナイヨウナ笑顔ダッタゾ」
「ええっ!?」
「うん。それに最近はハセヲさんの事を良く話すようになったよね。この前は木の実上げたら喜んでくれるかなとか言ってたし」
「マーレ!?」
「何をそんなに慌てているでありんすえ?ア・ウ・ラ」
アウラが、デミウルゴス、コキュートス、マーレと自分が気づいていない自分の行動の暴露に動揺して顔を真っ赤にしていると、ニヤニヤと笑いながらシャルティアが前に立った。
「もしかして、アウラ。あの人間が好きでありんすか?」
「な、なななななななな何言ってんの!この男胸!!私がハセヲを好きになる訳ないでしょうが!」
「図星でありんすか。全くいつの間に
「こ、このヤツメウナギ!!」
凄い剣幕でシャルティアに詰め寄るアウラ。そんないつもとは逆の光景に他の守護者達は少し驚いている。
そんな時、アルベドにメッセージが送られる。相手はアインズだった。
「はい。はい。かしこまりました。すぐに向かいます・・・。皆!アインズ様が守護者全員をお呼びになっているわ!すぐに向かうわよ!」
そのアルベドの言葉に守護者達は顔色を変えて行動を開始する。
ちなみに、アウラは悔しそうな顔をしてシャルティアを睨み、シャルティアは勝ち誇った顔で移動をしていた。
「アインズ様。お待たせ致しました」
玉座の間にて各階層守護者、セバス、プレアデス達が集結した。
「ご苦労。すまないが、お前達に聞きたい事があって呼び出した」
「すまないなどとんでもない。いついかなる時でも私達はアインズ様の命をお聞きいたします!」
「う、うむ。実はハセヲの事なのだが、お前達が正直な所どう思っているのかを知りたい」
「あの人間の事をですか?」
「そうだ。皆も知っていると思うが先日、ナーベラル・ガンマが独断でハセヲを襲撃した。被害はないから大丈夫とハセヲは言っていたが、このような事態が二度と起こらぬよう正直なお前達の気持ちを知り、対策を考えようと思ったのだ」
アインズはハセヲを怒らせるようなことは絶対に避けたい。ただでさえ、お世話(愚痴を聞いてくれる事も含め)になっているのだ。
恩を仇で返すのも、世話になりっぱなしもアインズは良しとしなかった。
「では、まずセバスから聞こう。お前にとってハセヲはどのような人間だ?」
「はい。人間でありながら強大な力を持ち、我々、異形種である者達にも平等に接する心が出来た御方であります」
「うむ。プレアデスは代表してナーベラル・ガンマ。お前が応えよ」
「はっ。あのに―――ハセヲ、様は個人ではなく、全体の安否を優先する寛大な心の持ち主です」
「ナーベラル・ガンマ。正直に話すのだぞ?」
アインズの言葉に少し動揺するがナーベラルはすぐに答える。
「・・・そしてハセヲ様は人間という下等生物でありながらアインズ様や守護者様達に対し、口も態度も悪く気に入りません」
「そうか・・・。では、守護者からはアルベド。お前が代表として答えよ」
「はい。あの人間、ハセヲはギルドの危機を救ってくれた恩人と呼べます。ですが、それでも下等生物は下等生物でございます。我々と同じ目線に立たせるのはやはり宜しくないと思います。先ほども守護者達で集まり似たような議題で話をしましたが、コキュートス、アウラ、マーレ。シャルティア、デミウルゴス、そして私と意見が分かれています」
正直な意見を聞き、アインズはほぼ予想通りの内容に心の中で溜息を吐く。
やはりNPCの人間嫌いは、カルマ値で大きく左右している。
しかし、中立のコキュートスはともかく、中立~悪のアウラやマーレがハセヲを支持するのはハセヲの仁徳なのか。それとも違う何かなのか。
「なるほどな。では、守護者からはコキュートスかアウラ、マーレ。セバスとカルマ値が中立なユリ・アルファをハセヲの対応するという事にするか・・・ん?」
「どうかなさいましたか?」
「いや、ハセヲからメールが届いた。見せたいものがあるらしい。今からここに向かうとの事だ」
「急でありんすねぇ。これだから人間はせっかちで嫌でありんす」
別に人間でなくともせっかちな奴はいると思うアインズだったが、とりあえずハセヲの対応をする事を優先した。
「では、ユリ・アルファ。お前が出迎えてこの玉座の間へ案内するのだ」
「はっ!」
戦闘メイドプレアデスの副リーダー『ユリ・アルファ』は一礼してから行動を開始する。ハセヲを出迎える為、扉を開けた。
「・・・・・・」
「・・・っ!?」
ユリは大きく後ろへ跳んだ。なぜならば扉を開けたその先には見た事のない黒いモンスターがいたのだ。
「な、なんでありんすか?」
「見た事のないモンスターですね・・・」
「ちょ、ちょっと待って!あれってまさか・・・」
シャルティアやデミウルゴスも突如現れた黒いモンスターを見て戦闘態勢に入ろうとするがアウラがそれを止める。
「・・・・・・」
黒いモンスターが一歩。また一歩と歩き出す。その姿は、漆黒のように黒い鎧のような装甲にとげとげしい尻尾が3本。
まるで凶悪な獣に見えるが、見覚えのある白銀の髪に整った顔でアインズ達は誰なのかを理解する。
アウラとマーレはその黒いモンスターの前まで来て話しかける。
「もしかして、ハセヲ?」
「おう。驚かせちまったか?」
「や、やっぱり・・・。は、ハセヲさん。そ、その姿は?」
アウラの問いに普通に答えるハセヲ。白銀の軽装だった姿とは真逆の姿にマーレは質問する。
「アインズにメールで言った見せたいものだ。この姿は『B-stフォーム』」
「『B-stフォーム』?」
「そう。この姿の間は、人間ではなく、魔獣になるそうなんだが、どうだ?」
ハセヲはアウラとマーレの後ろにいるアインズ達に声をかける。
「そ、その前にどうしてその姿になったのか説明してくれると助かるのだが・・・」
「ん?それもそうだな。これは数十分前の事だ」
「月の樹にようこそ!ハセヲさん!」
「おう。久しぶりだな欅」
「はい!ハセヲさんは相変わらずの受難っぷりに安心しました!」
「ほっとけ!」
子供のように元気な笑顔で酷い事を言う欅に思わず怒鳴るハセヲ。
「たくっ、その様子だと俺が何に巻き込まれているかも知ってんだな?」
「はい!ハセヲさんも感づいていると思いますが今回は来てもらったのはその件についてです」
やっぱりかという感じで溜息を吐くハセヲ。欅は笑顔のまま話を続ける。
「八咫さんから聞きましたよ?ナザリックの人達の視線が痛いらしいじゃないですか」
「ああ。アインズが言うにはカルマ値という設定が原因だとか」
「そうです。そのカルマ値で人間が嫌いになり、人間であるハセヲさんを屑虫のように見ている。ハセヲさんとしては仲良くしたいでしょう?そこをなんとかしましょうって訳です!」
「なんとか、出来るのか?」
ハセヲの質問に「もちろん!」と元気よく答える欅
「簡単な話。ハセヲさんのPCデータをちょちょいといじってしまえば問題ありません!」
「・・・・・・」
本当に簡単に言ってくれてるが普通、PCをいじろうなんて考える人なんていない、というより出来ない。だが、スーパーハッカーの欅ならそれは可能であった。
「今の『Xthフォーム』がハセヲさんとスケィスの正の心の融合であるなら、負の心の融合を『B-stフォーム』と名付けましょう」
「『B-stフォーム』・・・」
「この融合が成功すれば人ではない種族の完成です。どのような姿になるかは僕にも分かりませんが試す価値はありますよ?」
「一応聞いておくが危険はないんだな?」
「一昔前のハセヲさんでしたら暴走する危険がありました。でも、今のハセヲさんなら問題ないでしょう。怒りや力に支配されるような人ではなくなりましたから」
昔は力を求め、怒りに支配されていたハセヲ。だが、The Worldで起きた事件で成長を果たした今であれば負の心に支配されることはない。
「分かった。頼む」
「了解です!それにしてもハセヲさんは相変わらずですよね?」
コンソールを出現させ、何かを打ち込みながら欅はそう呟いた。
「何がだよ?」
「だって、会って間もない人、しかも、未来人に自分のPCをいじってまで世話をしてあげるんですからかなりのお人好しです。放っておいたって誰も文句は言いませんよ?」
「まあ、そうかもしれないな。それでも、あいつらと出会った。俺は関わった奴らと関わり抜くと決めたんだ。だから何もしないでいるのは嫌なんだ」
ハセヲの言葉に「そうですか」と変わらず笑顔で言う欅だが、どこか満足そうな笑顔である。
「いやはや、世界を救った英雄は言う事も違いますね?」
「・・・んだよ。俺は英雄なんて大層なもんじゃねえ」
自分の言った言葉をからかわれていると思ったハセヲは少し顔を赤くしながら欅を睨み付ける。それに動じず欅は話し出す。
「またまた!何を言っているんですか。未来人の女性NPCと仲良くしてるじゃないですか?」
「・・・はあ?」
「英雄、色を好むと言いますが未来のゲームでNPCな
「お、おい!あいつは別にそういうんじゃ―――」
「ハセヲさん・・・?」
「ア、アトリ?お前いつからいた?」
「・・・最初から、居ましたよ。ハセヲさんの、死角に」
ハセヲの質問にニコリと笑うアトリ。
そんな笑顔の筈なのにハセヲの体感温度が3度くらい下がった。
それほど、アトリの声が冷たく、目が笑っていなかった。
「私や揺光さん、志乃さんにタビーさん、パイさん、朔ちゃん、ボルドーさん、楓さん、そして、エンデュランスさんに飽き足らず、別の女と仲良くしてるなんて!」
「ちょっと待て!意味が分からないし、何でエンデュランスが出てくる!?あいつは男だろ!」
「そう言えば、
「誤解を招くような事を言うな!お前は黙ってろ!」
「ハセヲさん・・・」
欅に割とガチで怒鳴り黙らせようとするハセヲだがアトリの声にすぐに反応する。
見てみればアトリから黄緑色のオーラを纏っている。
「ちょ!?落ち着け、アトリ!?
「見境なしのハセヲさんは一度刺されないと反省しないと判断しました。覚悟は良いですね?」
「良い訳あるか!!」
ハセヲはすぐに逃走を計る。だが、アトリがそれを許すはずがなかった。
「逃がしませんよ。節操なしいいいいいいいいいい!!」
「ぎゃあああああああああああああっ!?」
「て事があった」
「え?今ので回想終わり!?その後がめっちゃ気になるんだけど!?」
説明を終わりにするハセヲにアインズはロールするのを忘れてしまっている。
「良いんだよ!つか、思い出したくない!」
「ええー・・・」
残念がるアインズ。溜息を吐きながらハセヲは話を続ける。
「そんなこんなで俺は種族的には魔獣となるんだが、どうだ?この姿を見て嫌悪感とかあるか?」
「う、うむ。私は問題ないが他の者達はどうだ?アルベド」
「私も問題ありません、アインズ様。アインズ様や至高なる方々には及びませんが人間の時よりは凛々しく感じます」
「デミウルゴス」
「はい。まさかここまで変わるとは思いませんでした。あの姿であれば文句を言う配下は誰もいないでしょう、もちろん私も問題ありません」
「シャルティア」
「ま、まあまあでありんすかね?人間の時よりはマシになったでありんす」
「コキュートス」
「ハセヲノ心意気ニ深ク感動致シマシタ」
「アウラ」
「・・・・・・」
「アウラ、聞かれてんぞ」
「え?あっ!はい!?問題ないです、アインズ様!」
「マーレ」
「は、はい!僕も問題ありません。人間の時より格好いいと思います」
守護者各々の反応は上々だった。
アルベドやデミウルゴスは魔獣となったハセヲの姿に警戒心が薄れて友好的な雰囲気を出している。
シャルティアは何故か、ちらちらと横目でハセヲを見ては少し頬を赤く染める。
コキュートスは、ハセヲの行動でさらに感動する。
アウラは、ハセヲの姿をぼーっと見ていたがハセヲに言われてすぐに答える。
マーレは、素直な感想をアインズに言う。恐らく姉弟揃って『Xthフォーム』より『B-stフォーム』の姿の方が良いようだ。
「うむ。問題なさそうだ。ハセヲ。我々の為に済まないな」
「気にすんな。俺もどうにかしたいと思ってたし。少し種族変わるぐらい問題ねえ。『Xthフォーム』も『B-stフォーム』も俺である事に変わりがないからな」
「そうか・・・。ありがとう・・・。お前達!この時よりハセヲは我々の仲間だ!良いな!」
「「「はい!アインズ様!」」」
この日初めて、ハセヲは
そして、そんな最高の状態でイベントが開催されるのであった。
次回よりイベントスタート
どうなるか作者も分からない!?