今日も貪食   作:4256巻き

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ああ、11月を超えた・・・・

ちょっとした話しのつもりが1話になった上に
時間が掛かってしまった・・・・しかしできたので投稿

相変わらず話しの展開や投稿頻度が遅くて申し訳ない


12話 友によろしく

様々な出来事に遭遇した一日は通り過ぎ

月が浮かぶ頃ルイズは眠り、また夢を見る

 

 

 

水の流れ続ける音、肌に触れる風と硬い地面の感触

 

これらの違和感にふとルイズが目を開き、起き上がると

以前夢の中で見た古めかしい石造りの水路だった

 

「(なんでまたここに・・・・

しかもあの赤いのが歩いてた場所じゃない)」

 

ルイズの居る場所はこの水路を見渡せる高台であり

鎧姿の赤黒いものが堂々と人を殺した場所でもある

 

それ故にあの赤黒いなにかが来るのではないかと

ふと周りを見渡すと・・・・

 

 

ルイズの真横に赤黒いものが座っていた

 

「ッ!?」

 

突然の驚きと恐怖に声は出さなかったものの足がもつれ

倒れてしまい、赤黒いものは音を立てたルイズに顔を向けた

 

「(襲ってくる!―――)」

 

ひらひら

 

しかし赤黒いものは座ったまま

挨拶するかのように軽く片手を振った

 

「・・・・・・ふぇ?」

 

そして赤黒いものはふいとルイズから顔を逸らし

静かに水路を眺める、それがいつも通りと言わんばかりに

 

「(なんか・・・・大人しい?)」

 

以前、迫って来た時の物々しさや機敏さを感じさせない

物静かな変わりようを不思議に思い、様子を見ていると

 

スゥ

 

赤黒いものは片手を少し上げて指を指し

なんだろう、とルイズはその先に目を向けた

 

そこには地下水路の広場に鎮座する貪食ドラゴンと

正面に座り身振り手振りを交えて話す人の姿がある

 

「貪食ドラゴンと・・・・」

 

そして人の姿は色彩を除き装備品、鎧、背丈、地面に座る姿勢

そのどれもがこの近くで座っている赤黒いものと同一であった

 

・・・・・・チラ

 

なんらかの考えに到ったのかルイズは黙ったまま

ちらりと赤黒いものに目を向けた

 

すると赤黒いものは片手を上げ、握りこぶしを作り

親指だけをピンと立てて自分に向けた

 

あれは自分の事だと示すかのように

 

「えっと、あそこに居るあれは自分の事だ

・・・・って言いたいの?」

 

こくり

 

この問いに赤黒いものは頷き

どこからか刀身が布に包まれた真っ直ぐな剣を取り出し

受け取りやすいだろう剣の柄をルイズに向けて差し出す

 

「わ、私に?」

 

いきなり柄を向けて差し出された剣に戸惑いつつも

そう聞くと赤黒いものはまた頷き静かに待つ

 

「なんでそれを渡したいのかわからないけど

・・・・まぁ貰っておくわ、多分夢だし」

 

疑問に思いながらも受け取り、間近でそれを見ると

包まれた布を越して一部が薄ぼんやりと発光していた

 

「・・・・なんで光ってんのよ」

 

ルイズはもち主であろう赤黒いものに問い掛けるが

こちらを見向きもせず、また水路をぼーっと眺めている

 

そしてルイズは見ていたからこそ気づく

赤黒いものの所々が霧に包まれ、霞んで見える事に

 

「霧・・・・霧ってこの前も夢の最後に――」

 

ルイズがふと周りに目を向けると水路全体に霧が漂い

既に白く霞んで見えない場所の方が多くなっている

 

以前、全てが霧に覆われた夢と同じように

 

「もしかして・・・・ここに霧が出て来るのって

もうすぐ夢が終わって起きるから?」

 

このまま時間が経てば自分までもが霧に包まれ

霞んで行くだろうと容易に想像できた

 

「霧に包まれて終わるってことね・・・・

また訳もわからなくてすっきりしないまま」

 

水路の殆どを白く染めた霧は遂にルイズに触れ

その意識は刻々と霧の様に薄く霞んでゆく

 

――けど――

 

「一つくらい、なんなのかわかってから帰るわ!」

 

バサッ!

 

ルイズは剣に包まれた布を勢いよく剥がし取り

その奥にある、光りの意味を知った―――そして

 

 

 

 

「ん・・・・んん~」

 

ルイズは柔らかなベットから体を起こし

こしこしと小動物が顔を洗うかのように瞼を擦る

 

そうして目を開けると

 

部屋の窓から紫色の爬虫類を思わせる巨大な手の平が

ルイズの眼前でピタリと動きを止めていた

 

「・・・・・・・・ど、貪食ドラゴン」

 

ルイズがそう言うと部屋にあるもう一つの窓から

新たに巨大な手が入り込み、光る文字を書いて伝える

 

『なんだ』

 

「私、いま起きてるから」

 

・・・・

 

『そうか』

 

少し間を置いてから貪食ドラゴンはそう答え

巨大な手は窓の外へ戻って行った

 

「あの夢を見てたから早起きできたのかもね・・・・

まぁ凄っっっっごい複雑な気分だけど」

 

そう言いながら体勢を変えベッドから降りようとすると

なにか硬質なものが手に触れた

 

「?、なにこれ」

 

その硬質なものを手に取って見ると

それは布に包まれた真っ直ぐな剣だった

 

「・・・・・・夢ね、もっかい寝るべきだわ」

 

そう言ってルイズはベッドに入ってまた眠り

その拍子に剣は地面に落ちて転がり綺麗に布が剥がれた

 

布と折れた直剣、それぞれ光る文字が書かれている

 

布には『我が友に暮らしを、召喚者に心を』

剣には『一度折れれば二度は折れぬ』と書かれていた

 

きっと親しき者と誰かに向けた言葉なのだろう




次回こそ街に入れない、と
折れた直剣と錆びた直剣

ふと思ったが折れた剣と錆びた剣って
どちらの方が商品価値が高いのだろうか・・・・
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