今日も貪食   作:4256巻き

2 / 13
一応転生の要素があることをお忘れなく



2話 食費は恐ろしく?

二人の人間と一体の竜が居た

 

人間であるルイズは動かず

コルベールは竜を警戒しているが・・・・

 

先程、肌を揺らすほどに吼えた竜は

裂けた腹の牙は蠢くがその巨体は一切動かない

 

身動ぎ一つ起こさない姿は牙の蠢きがなければ

いささか威圧感を発しすぎる造形物のようだ

 

ピクッ

 

竜の体が少し揺れて、のけぞった体がゆっくりと戻され

 

ズン

 

上げていた腕のような両足が地面に着いて

元の地面を這う体勢へと戻った

 

そして異形の巨体に比べて小さく可愛げのある顔が

ただじっとルイズを見つめる

 

見つめられるルイズは怖い上に逃げ出したい思いでいっぱいだ

 

しかしここで自分が逃げれば契約の機会にまで逃げられてしまう故に

今だ逃げず、持ち前の負けん気と竜の可愛げのある顔だけを見て

ひたすら恐怖と危機感に耐え、機を狙っていた

 

「(顔だけ見れば怖くない!、顔だけ見れば怖くない!)」

 

もうどうにでもなれと言うような感情も

ルイズの心を後押ししている

 

そうしていると竜の前足の1本が動く

 

腕のような足が少し縦長でオレンジ色の塊を持ち

自身の体に擦り付け、文字のようなものが光りを発して浮かぶ

 

ルイズとコルベールは文字のようなものを書いた竜に驚き

注目するが二人はこの文字の形と意味を知らない・・・・筈だった

 

知らない筈であるのにこの二人は文字に込められた意味を

魂に直接声が伝わるかのようにするりと理解できる

 

そして、伝わった文字の意味に二人は更なる困惑が襲った

 

文字の意味はこうだった

『平常心のままとは珍しい』

 

「・・・・え?」

 

「まさか、言葉が?」

 

竜はオレンジ色の塊を使い体に文字を書き、答える

 

『理解できる』

 

竜の書いた言葉に二人は驚きながらも思う

 

言葉が通じるならば交渉の余地があると

 

『ここはどこだろう』

 

「トリステインの魔法学院と言う場所です」

 

コルベールはお互いに状況を理解するのが良いだろうと

竜の疑問に素早く答える

 

『トリステイン?』

 

竜はその言葉を聴き沈黙するが少し時間を置いて

コルベールに質問をする

 

『ヴィンハイム、ソウル、この言葉に聞き覚えは?』

 

「・・・・いえ、私には聞き覚えのないものです」

 

『そうか』

 

コルベールがそう答えると竜は空に浮かぶ太陽を見ているが

どこか遠く、別の場所を見ているようにも見えた

 

少しすると視線をコルベールに戻し聞く

 

『なぜここへ呼んだ?』

 

本題の説明要求に刺激しないようコルベールは

説明をこの竜へ話す為、深呼吸して心を落ち着かせる

 

すぅ・・・・ふぅー

 

どうかこの竜の性格が理性的でありますように、と

そう願って話し出す

 

「まず、ここはトリステインの魔法学院の近くで

私は魔法学院の教師コルベールです」

 

・・・・

 

竜からの質問はなく大人しく話しを聞いているようだった

続けて話してもいいだろうとコルベールは話しを続ける

 

「そして使い魔を召喚し、契約を行い使役する行事にて

生徒であるミス・ヴァリエールが行い、あなたが呼ばれました」

 

『召喚するものは選べるか?』

 

「いえ、召喚されるまでどんなものが呼ばれるかは

人によって違いがあり誰にもわかりません」

 

『そして己(おのれ)が呼ばれたか』

 

「はい・・・・もし、よろしければミス・ヴァリエールと

契約を結んではいただけはしないでしょうか・・・・」

 

・・・・・・

 

竜からの返事はすぐにはなく、沈黙して考えているようだ

 

コルベールとルイズは緊張した面持ちで

どのような返答がくるかと静かに待つ

 

『いいだろう、条件付きでなら契約しよう』

 

帰ってきた返答に心と体は少し軽くなる

 

「じょ、条件ってなに!?」

 

「ミス!?」

 

竜の言にルイズは見た目はともかくこの強大な竜を

使い魔にする機会を逃すものかと急かした様子でルイズが聞き

 

コルベールはこの会話中

動かなかったルイズが突如動いた事に驚き

この聞き方に竜の機嫌をそこねないかと恐れるが

 

『条件は二つ』

 

全く気にせず言葉を書き伝えているようで

コルベールは胸に響く心臓の鼓動が軽くなりほっとした

 

『一つ、ある程度は言う事を聞き動くが

全てを聞き入れ動く訳ではない』

 

ルイズは言う事を聞いてくれるならと頷き

コルベールは見た目の割りにまともな条件に安心する

 

『二つ、己の行う食事に責任を持つこと』

 

「しょく、じ?」

 

「責任・・・・ですか」

 

ルイズとコルベールが竜の全体を見る

 

体の幾つかは少し細くも見えるが

それでも断然大きく長い体、そしてそれに加え・・・・

 

二人は竜の裂けた口の様な部分をみる

 

その裂け目は大きく牙も大きい

この大きさからして人や獣では足りないように見え

まるでそれ以上の巨大な生物を喰らう為のもの

 

人や獣の大きさ以上のものとなると・・・・・・

 

ここから二人はを考える事を中断した

 

その考えが合っていたとしたら竜は更に恐ろしいものであり

そんな大きなものを喰らうとするならば日々の食費すらも恐ろしい

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

この世界での使い魔とは主人と一生を共に生きる

魔法を扱うメイジのパートナーである

 

故に使い魔と契約をしたとなれば暮らしを共にし

この竜の条件を受け入れるとなれば竜の毎日の食費が掛かり

その費用を生きている限り一生払い続ける訳であり・・・・

 

「毎日、一生・・・・・・」

 

「ミ、ミス?」

 

ルイズはこの竜が空を飛び、火を吐く生物を食すと想定して

それと同等の量を用意し続けて費用はどれ程かと計算したところ

 

「・・・・・・・・ひぃ」

 

とさ

 

計算できた瞬間に恐ろしき食費に小さな悲鳴が上がり

足が振るえ、力が入らず地面に座り込む

 

「・・・・・・なる、ほど」

 

コルベールはこの条件と竜の大きな体と口にルイズと

同じ考えに至り、個人の手に負えるものではないと理解した

 

そうしている内に竜の書いた次の言葉が伝わる

 

『一日に食す量は最低でも子牛一頭分の美味いものが欲しい』

 

「・・・・・・え?」

 

それは今のルイズには救いに等しい言葉だった

 

「その量の食事で足りるのですか?」

 

『足りなければ野性のものを食す』

 

契約すれば食費で破綻するような条件が

破格の契約条件に変わり、ルイズは

 

「受け入れるわ!その条件をっ!!」

 

声高々に受け入れると宣言した




もし中身の自重がなしの貪食ドラゴンならば食費で死ねただろう・・・・
と書いてたら長くなった

話しの進行は遅いが好きなように書けて満足
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。