十羽
ある部屋に三人の人影が存在していた
一人は威厳のある老人、一人は青年の後に控え、一人は今、老人から出された書類に捺印を押していた
「―――と言う訳でよろしいですね?轡木学園長」
「はい、確かに受け入れました。ようこそIS学園へ雑賀社長」
「ふっ…私もこの学園で学問を学ぶ一人になりました、堅苦しいのは無しにしましょう」
「ふふふ、わかりました。ようこそ雑賀君」
そう今この場でsss社長こと雑賀秋奈の転入に関わる手続きをしていたのだ
その話も一段落し俺と学園長は腹に何かを抱えながらもしっかりと握手を交わし、扉を閉め俺の転入手続きの随伴に一緒に来ていたノエルさんと学園長室を後にした
そして、駐車場に向けて歩き始めたが……
「やっぱり納得いかないですぅ〜!」
……ノエルさんが愚痴り始めた
「……ノエルさん、そう言う事は、せめて学園を出てから言おうよ?」
「嵌めておいてあの請求ですよ!?やっぱり納得いかない〜!」
「確かに狸ジジィではあったよ、やり難い」
俺が入学するにあたって色々と問題点が浮かんできたのだ
日本政府から
『IS学園に入学しなかったら、頑張ってsssを潰すよ?』と出来るモノならやってみろ!って感じな脅しを言われたので、IS学園に入学しようとしたら、
『テメェの入学を認めて欲しかったら金とISよこせ!』って理不尽な脅しを喰らったんだわ
こちとら一般生徒で入学しようとしているのにうちがデカイからって足元を見られた訳だ
別に二つ共、無視しても良かったが、一種の不安要素は社内全体を揺るがすと言われるから、二つ共受け入れて交渉した
そのやり取りに時間が、かかってしまい入学から転入になってしまったんだが……
結局、『贋作者(フェイカー)』三機をIS学園に贈呈する事で終わった
「コッチの条件を呑んでくれたからトントンだよ。」
「……そうですけどぅ」
そう、俺がIS学園に入学する条件として日本政府(委員会も)と学園にある条件を呑ませた
・俺の事は学園転入から一週間後の発表にする事
・在学中でも仕事が出来る環境
・それに辺り、部活動の自由参加
の三つだ
最初の一つ以外は、sssの総合責任者が三年も企業に関わる事が出来ないのは、sssに不利益を産む、と言う理由で呑ませた
んで、最初の一つは……
「でも、これでセシリアちゃんのビックリした顔が見れますね?」
「あぁ、楽しみだ」
セシリアへのサプライズだ
事前にセシリアと同じクラスにさせる様に前以て言ってあったんで、自己紹介の時にあんぐりとするセシリアの顔を見るのが楽しみでしかたない!
今後の学生生活を楽しみにしながらも、校舎を出てアリーナの前を通った時、地に響くような歓声があがった
「……なに、これ」
その大歓声の全てが女性からってのも驚きだ
「え〜と、一年生がクラス代表を決める為にアリーナの使用許可を申請したって書いてありますね」
ノエルさんがIS学園極秘ファイルを見ながら教えてくれた
極秘ファイル?
情報収集力でsssに並ぶ企業はないですよ?
「誰と誰が戦ってるかわかる?」
「えぇ〜と……織斑一夏君と……セシリアちゃんですね」
ふ〜ん
世界初男性操縦者
VS
イギリス代表候補生
………か。
………うん
「ちょっと覗いて見ようか?」
「ちょっと秋奈くん!この後の、予定が!」
「キャンセルで!」
「もう!仕方がないですね〜」
ノエルさんは、ニッコリと笑みを浮かべながら次の取引先にキャンセルの電話を入れていた
言葉と表情が全く違うぞ?
自分だって見たかった癖に……
俺達は幼なじみの勇姿を拝む為にアリーナへと足を進めたのだった
IS ~八咫烏の導き~
第十一羽 転入
Side 三人称
開始29分――
モニターでは、赤を超えて白い、爆発が白式を包んでいた
「一夏っ………!」
モニターを見つめていた少女は、思わず声をあげ…
「――――ふん」
黒のスーツを着た、女性は鼻を鳴らし、どこかその顔には安堵の色が見える
「機体に救われたな、馬鹿者め」
「そうですね・・・タイミング良すぎだろ」
「狙ってますよね〜?」
「「「!!!」」」
社長と秘書は、女性の意見に賛成しながら、残りの三人に驚きの目で見られるのであった
out 三人称
少しの沈黙の後、話を切り出したのは一人の女性だった
「あの〜?ここは、関係者以外立入禁止ですけど……?」
うわ〜、胸デカ!
……いやいや違くて、少しは警戒しようよ?
いきなり部外者が現れたんだから
「……ッ!……山田先生、彼は関係者です。」
「えっ!?どういう意味ですか?」
「ごく一部には、知られていますが、彼が二番目にISを動かせる男です。」
「えっ!ええぇぇぇぇ!」
いや、そんなに驚かれても……事前に連絡は入れといた筈だけど
「で、でも!その人はsssの重役でIS学園には入学出来ない筈では?しかも、こんな子供がsssの重役を!?」
「どうせ政府が脅したのだろう……そうだろ、雑賀社長、そしてヴァーミリオン?」
「脅しと恐喝の二つですけどね?……久しぶりです織斑さん」
「あぁ……」
……あ〜そうか
二人って面識あったよね。モンド・グロッソで
「それで雑賀、今日は手続きだけと聞いていたが?」
うわぁ〜お!
後ろで騒いでるデカパイをシカトして、更に世界的大企業の社長を呼び捨てにする!
そんな貴女に痺れ、憧れる〜!
……はい、すみません
そんなキツイ目で見ないでください
「そのつもりでしたが、幼なじみが戦っている事を知ったので、拝見にと…」
「オルコットか……」
「はい!ってセシリアちゃんが勝ったみたいですね?」
話しをしている最中に、試合は終っていた
「………山田先生、織斑は?」
「あ、はい!………え〜と、エネルギー残量が0になった様です」
うわぁ〜……
貴様のせいで、試合が見れなかったじゃないか!って睨まれた
どう見ても自業自得だろ?
ノエルさんだって腰が引けてるよ……
しかし、う〜ん
モニターを見るに、織斑一夏は、不完全燃焼か…
………うむ
「織斑さん、お願いが―――」
俺が燃焼させてあげます!これがな!
Side 三人称
「よくもまぁ、持ち上げてくれたものだ。それでこの結果か、大馬鹿者」
実の姉に、窘められる哀れな一夏
「武器の特性を考えずに使うからだ」
「………はい」
大見得切って負けた一夏には頷くしかなかった
「次はよく考えて戦え」
「はい…………次?」
千冬の言葉に疑問を感じる一夏
「あぁ、先程自薦した者がいてな、そいつともやってもらう」
「オルコットが勝ったのに何で俺なんだ千冬姉?」
「織斑先生と呼べ……対戦者が言うにはオルコットは、クラス代表を辞退するらしい」
「はぁ!?」
「だから戦えと……よかったな織斑、今度は納得いく戦いをしろよ?」
「……わかったけど、なぁ箒?対戦者ってどんな奴なんだ?」
「あぁ、そいつは 「篠ノ之」 は、はい」
「それは言うな。奴の入学条件で一週間は秘密らしい……まぁ明日にはわかるがな」
「秘密ってなんかあるのか?」
「そうだな……奴はお前と同じ男だっとだけ言っておこう」
「えッ!これって―――」
「いいから行け」
千冬がモニターを指差した瞬間、大歓声が聞こえ―
「………烏?」
真っ黒なISがピットから出て来たのだ
「奴が待ってるぞ?」
「あぁ、行ってくる」
白式を展開する一夏。
「……一夏!」
「ん、どうした箒?」
「今度こそ勝ってこい!」
「おう!」
そして、一夏は飛び立っていった
out 三人称
Side セシリア
着替えが終ったら、Aピットに来るように言われたので来たのですが……
「……なんで一夏さんはアリーナにむかっているのですか?」
先程私と戦っていた、白い騎士はアリーナへと、また羽ばたいていたのだ
「……オルコット、クラス代表を辞退するだろ?だから、織斑が自薦した奴と戦いに行っただけだ」
「ッ!……私は辞退するとは言ってませんでしてよ?」
確かに私はクラス代表を役なうつもりはなく私自身の価値観を高める為に世界初とされる男性と戦いたくて立候補しましたが・・・誰にも辞退するとは言っておりませんわ
「なに、お前の事をよく知る奴がオルコットは絶対辞退すると断言してな」
私の事をよく知っている人?
私は気になり、モニターを確認すると、白い騎士と黒い烏の様なISが対峙していた
でも、あの形はまるで秋奈さんが教えてくれた……
「……八咫烏?」
「そうですよ。セシリアちゃん♪」
「えッ!」
聞き慣れた声が聞こえ、振り返ると愛しき人の秘書を勤める人が隣で微笑んでいた
「ノエルさん!っていうことは!」
そんなありえませんわ!
彼はISが使えない筈!
………でも本当に
「秋奈さんですの?」
「はい♪」
私は心の底から歓喜した
out セシリア