IS~八咫烏の導き~   作:誤字脱字

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原作中: 八咫烏と王子と黒兎
はねやすみ3


六月頭、日曜日――。

 

晴れてセシリアが恋人になってから数日後の休日。

 

折角の休日なので、セシリアと一緒に遊びに行こうかっと思ったのだが……

 

「あち〜……」

 

「秋奈君、次で最後だから頑張れ。」

 

…会社は許してくれない。

 

新しい企画の為、SSSの経営方針の下、社長自ら営業回りをしている。

 

くそ、初夏だっていうのに暑いな……。

 

「……次はどこ?」

 

「ハヅキ社に、今回の企画に伴うリスクを説明しに行くんだよ。」

 

「うわ…ハヅキ社かよ。」

 

あそこってSSSの事をよく思っていないから説明が面倒臭いんだよな。

 

はぁ〜…またグダグダと嫌味をネチネチ言われるのかよ………。

 

………。

 

………。

 

………。

 

「あぁー!磯野!戦前の腹拵えだ!昼飯にしよう!」

 

 

「……嫌な事を後回しにしたってやるんだよ?」

 

「わかってる!」

 

俺の我が儘で、社員達を路頭に迷わす事なんてするか!

 

 

 

辺りを見渡し、飲食店をさがす。

 

調度よく、目に入った一つの定食屋。

 

「……磯野、アソコにしよう。」

 

「『五反田食堂』……SSSの社長が定食屋って……」

 

「分かっていないな、磯野。『旨い』は何処から出て来るか分からないんだぞ?」

と言うか、堅苦しい店に入りたくないだけだが…

 

「……わかりました。行きます。」

 

「素直になれ、お前も好きだろ?ああいう感じの。」

 

「………。」

 

俺の威厳やメンツを保つ為に、積極的に自営業の店に入らない様にしているのは、分かってる。

 

……でもたまには、な。

 

「行くぞ。」

 

「はい。」

 

内心楽しみにしている磯野を連れて暖簾をくぐったのだ。

 

 

Side 一夏

 

六月頭、日曜日。

 

俺は久々にIS学園の外―

中学からの友達、五反田弾の家に遊びに行き、昼飯をご馳走になっていた。

 

「でよう一夏。鈴と、え〜と、誰だっけ?ファースト幼なじみ?と再会したって?」

 

「ああ、箒な。」

 

「ホウキ…。誰ですか?」

 

「ん?俺のファースト幼なじみ。」

 

「ちなみにセカンドは鈴な。」

 

「ああ、あの……」

 

なんでたろうか、蘭は鈴の話になるとほんのわずかだけ表情が硬くなる。

 

あ!ついでに言うと蘭ってのは弾の妹な。

 

「そうそう、IS学園でスゲー有名人と友達になったんだよ!」

 

「いや、お前の姉さんもスゲー有名人だと思うが?」

 

「いらっしゃい!何にします?」

 

千冬姉は、身内だし、凄いとは思うが実感が湧かないんだよな。

 

「……女の人ですか?」

 

「いや、男だよ?」

 

「よかった……。」

 

「『業火野菜炒め』と『カボチャ煮定食』で…。」

 

 

「かしこまりました。」

 

よかった?

あぁ、女性有名人だと気を使うからか……

 

蘭は優しいな。

 

「んで誰なんだよ?」

 

「ああ、雑賀秋奈って言う「呼んだか?」 こんな声の………って!秋奈なんでいんだよ!?」

 

後を振り向くと、今話題の秋奈が水を飲んでいた。

 

「飯食い来てるだけだろ?」

 

「じゃなくて、なんでこんな所にいんだよ!」

 

SSSの社長だから、高級料理苑にいる筈だろ!

 

「こんな所で悪かったな!……と言うか一夏、その有名人ってコイツか?」

 

「わるい弾…、あぁ、そうだ。」

 

「ふ〜ん、見た時ないが……」

 

確かに、テレビによく出てる訳ではないが、違う方面で有名人だ。

 

「おい一夏、コイツらは?」

 

「俺の中学からの友達で、五反田弾と妹の蘭だ。」

 

「弾だ、よろしく有名人♪」

 

「雑賀秋奈だ……有名人と言う訳ではないがよろしく頼む。」

 

にこやかに握手を交わす弾と秋奈。

 

こういう所から友情って生まれるのか、っとシミジミ感じた一夏なのであった。

 

 

………って何言ってるんだ俺?

 

弾と手を離し、蘭にも手を伸ばしたが、蘭は応答せず、ただ顔を青くしていた。

 

「……雑賀、秋奈?」

 

「そうだが?」

 

「キャァ――――!!!」

 

「「「!!!」」」

 

「雑賀秋奈ってあの!?」

 

「君が想像してる雑賀秋奈であっているが?」

 

弾と交わした『にこやか』とは、違う『にこやか』を浮かべる秋奈。

 

……コイツ、芸能界でもやっていけるんじゃないか?

 

「蘭は知ってるのか?」

 

「SSSの社長だよ!お兄の馬鹿!す、すみません!お兄が、ご無礼を!」

 

弾を殴る蘭。

 

もう少し優しくしてあげろよ。

 

「いてぇな蘭!ってSSS社長!マジかよ!」

 

「煩いぞ!弾、蘭!」

 

「「ご、ゴメン。」」

 

二人を叱る厳さん。

 

なんかドキュメンタリーを見てるみたいだな。

 

「お待たせしました。『業火野菜炒め』と『カボチャ煮定食』です。」

 

 

厳さんは、そのまま料理を秋奈とお連れの人に渡して厨房へ戻っていった。

 

そう言えば……

 

「なぁ秋奈、その人は誰だ?」

 

 

秋奈の隣でカボチャ煮定食を食べてる黒服の男性が目に入った。

 

「ん?あぁ、執事兼臨時秘書の磯野だ。」

 

秋奈の紹介と共に頭を下げる磯野さん。

 

出来る大人と言う雰囲気が出てるよ……

 

ん?臨時秘書?

 

「なぁ秋奈?臨時秘書ってノエルさんの代わりか?」

 

 

「あぁ、そうだ。」

 

「ノエルさんは、どうしたんだよ?」

 

セシリア戦の後に、千冬姉から紹介してもらっていたんだが……

 

「ノエルさんは、今敵対企業のスパイ活動中。」

 

「「「ブフっ!!!」」」

 

「社長!!!」

 

 

秋奈の唐突な発言に吹き出てしまった。

 

「大丈夫だ、磯野。一夏や弾、蘭は信頼出来る。俺の人を見る目を信じろ。」

 

「しかし!」

 

秋奈が俺達を信頼してくれるのは、嬉しいが……

 

知っていても何も出来ないとわかってるな?

 

証拠に目を合わせないし……

 

俺の目は欺けないぜ!

 

 

………すまん、あまり自信ない。

 

「―――っと言う訳だ、納得しろ?磯野。」

 

「………わかりました。」

 

説得に成功した秋奈は、席を立ち上がりレジへと向かった。

 

………向かった?

 

「っておい!食うの早過ぎだろ!」

 

俺達の方が先に食べていた筈なのに!?

 

「タイムイズマネーだ、一夏。」

 

「何が『時は金なり』だ!

しっかり噛んで食べなくちゃ体に悪いぞ!」

 

出口に向かいながら片手を上げ、秋奈達は出て行った。

 

あっ!しっかり会計はしていたぞ?

 

「……たっく、社長ってそんなに忙しいのかよ、なぁ弾。」

 

同意を求める為に弾に問い掛けるが、五反田兄妹は顔を青くしている。

 

「……SSSに敵対してる所なんて数少ないよ、お兄。」

 

 

「あ、あぁ…大変な事を聞いちまったな。」

 

「それに、日本屈指の大企業の社長さんに臆さず話しかける一夏さんって…」

 

「……流石、鈍感…いや世界初ISを動かした男だな。」

 

ん?なんか馬鹿にされているのか褒められているのか分からないぞ?

 

弾達には、台風が通り過ぎたかのようだったが、食事が終わる頃には、いつもの二人に戻り、弾と俺とでゲーセンに向かったのであった。

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