「さて、みんな悩んでいるね」
パソコンから三人の様子を見ている。リアルでも視認できるけど、職業で決まっている技能と趣味の技能の数値のやり繰りをしている様子は、自分のパソコンかヘルメットのレンズを通さないと分からない。
いきなりレンズとパソコンに電話のマークが表示される。通信が入って来たらしい。
『提督、聞こえるかしら!?』
「聞こえるよー。もうキャラができたの?」
『それはまだだけど、最高のステータスが出来たから自慢しようかと思ったの』
「どれどれ・・・。これは・・・すごいね、全部最大値か」
『でしょ!これで私の探索者に怖いものはないわ!』
「うん。身長180センチで超絶美人、頭脳明晰で高学歴か」
『うんうん、完璧でしょ』
「しかも筋肉隆々で頑丈で」
『うん?』
「足が速いから逃げるのも追いかけるのも一人でできるし」
『ちょ、ちょっと・・・』
「教養が21ってことは年齢が最低でも6足すから27歳以上か。これだけ完璧なら高嶺の花すぎて人が近寄らなそうだね」
『ステータスの振り直しは二回まで大丈夫よね!?ちょっと振り直しするわ!』
「振り直すのはいいけど雪風じゃなくて自分で振るんだよー・・・、切れてる」
忠告を言い切る前に通信が切れた。
「・・・そういうキャラもアリだと思うけど、欠点のあるほうが面白いからね」
「よし、みんな探索者が完成したことだし、お披露目と行こうか」
足柄が戻って来たので全員の目の前に各探索者のデータを表示できる。距離が離れるとデータが届きにくくなるそうだ。
「じゃあ誰から表示する?誰からでもオッケーだよ?」
「んじゃ、鈴谷からお披露目するよ」
「はーい。じゃあちょっと待ってねー」
言いながらパソコンのキーボードとマウスをクリックさせる音がしばらく鳴る。
吉田 鈴谷(よしだ すずや) 探偵 24歳
筋力・13 素早さ・10 外見レベル・13 頑丈さ・10
精神力・12 体格・12 賢さ・13 教養・18
SAN・60 アイデア・65 幸運・60 知識・90
言いくるめ・90 心理学・90 図書館・90 鍵開け・66 拳銃・90
目星・85 パンチ・80 回避・60
「基本的なステータスは普通だけど、賢さがそこそこあって教養が高いからいろんな技能を取れているね。探偵らしく、対人とか調べものに有利な図書館、心理学、言いくるめ、鍵開けか。でもパンチと拳銃の技能を取ったのはどうして?」
「探偵の癖に浮気調査とか猫さがしとかマジありえなくない?危ないことがあったら自分の身は自分で守らないとじゃん」
「なるほどね、調査と戦闘の両方ができるってことか。いい感じに仕上がってるね」
「あざーす!」
「じゃあ、次は・・・」
「あたしは後でもいいぜ、提督」
摩耶が進言する。鈴谷の探索者のステータスをじっくり見ている様子からして、他の人がどんな風に作ったのか気になっているようだ。
「私は最後でいいわ」
「・・・となると、次は青葉だね」
「恐縮です!」
森 青葉(もり あおば) 新聞記者 22歳
筋力・10 素早さ・15 外見レベル・15 頑丈さ・9
精神力・16 体格・10 賢さ・9 教養・15
SAN・80 アイデア・45 幸運・80 知識・75
写真術・90 説得・90 図書館・90 心理学・85 目星・75 聞き耳・65
「ふむふむ、これはかなり発狂しにくいプレイヤーが出来上がったね。SAN値チェックしても減りにくいし、5ポイント以上減ってもアイデアロールに失敗しやすいし。年齢が最低値になっていないのは何か理由があるの?」
「気になるんですかぁ?・・・まあもったいぶるほどの大した理由じゃなくて、社会人一年目にしようかなって」
「なるほど、社会人一年目の新聞記者っていうのも面白いね(上司からイジメとか受けやすそうだなあ)」
「恐縮です!」
東郷 摩耶(とうごう まや) 警官 24歳
筋力・12 素早さ・9 外見レベル・14 頑丈さ・13
精神力・12 体格・11 賢さ・11 教養・18
SAN・60 アイデア・55 幸運・60 知識・90
応急手当・90 言いくるめ・90 回避・90 組み付き・90
マーシャルアーツ・89 精神分析・81 パンチ・80
「基本ステータスについては特にコメントなしとして。技能は戦闘関連のモノをメインに取ったんだね」
「(教養だけじゃダメなのかよ・・・)当ったり前だろ?あたしは摩耶様だぜ?」
「でもそれならキックのほうが良かったんじゃないの?キックはダメージが高い代わりに初期値は低いけど、精神分析をもっと低くしたらこのパンチと同じくらいに出来たと思うけど」
「おう、最初はキックにしようと思ったんだけどよお、説明を読んでたら精神分析ってのも取りたくなったんだ。キックだと精神分析ってのが心許なくなるんだよ」
「?どういうこと?」
「だからさあ、精神分析ってマジでヤバいときになかったらマズイだろ?」
「確かに発狂している人がいると不味いけど」
「説明によると精神分析は自分には使えないみたいですよ」
「自分には使わねえよ、あたしだったらうまく立ち回れるしな。他のやつが発狂って状態になったら誰かが助けてやらねえと危ないだろ。あたしがやったら他の連中も自分のやりたいことに専念できるしな」
提・鈴・青・足((((口は悪いけどめっちゃ良い娘!!))))
醍醐 足柄(だいご あしがら) モデル 25歳
筋力・12 素早さ・18 外見レベル・18 頑丈さ・14 精神力・18
体格・15 賢さ・18 教養・19
SAN・90 アイデア・90 幸運・90 知識・95
変装・90 パンチ・90 キック・90 組み付き・90
マーシャルアーツ・90 回避・90 心理学・90 信用・88
「たぶん僕に言われて振り直したんだろうけど、あんまり雪風に無理言っちゃいけないよ足柄さん」
「な、なんのことかしらねぇ~。ほら、日ごろの行いが良いからダイスの目も良かったのよきっと!」
「・・・それにしてもモデルか、自分で職業を作るとはね。武闘派のモデルなんて聞いたことないけど」
「外見レベルが最高に高いのよ?きっと男どもが私を放っておかないわ」
「変装は身元がバレたら人が集まるから?」
「ええそうよ、私の魅力でみんなメロメロよ!」
「(メロメロは死語じゃないかな)心理学と信用はどうして?」
「青葉が思うに、プロデューサーやスタッフの人との関係があれこれ・・・取材に行ってもいいですか?」
「うふふ♪別にいいわよ♪」
青(チョロイ)
「これで全員の探索者が出来あがったし、君たちの意識をシナリオの世界に飛ばすよ」
パソコンを操作して、数分かからずに作業が完了する。と、すぐに通信の通知が入った。
「もう何かやるのかな」
通知を開くと、表示された顔は艦娘ではなかった。
通信を入れたのはプログラムとヘルメットを送った友人だった。
『キリ、ヘルメットとプログラムは届いたか?』
犯罪者レベルで目つきは悪いけど、ツンデレで世話焼きなことを知っている提督ことキリは笑顔で受け答えする。
「届いたよー。ソウが送ってくれたのを使ってみてやりやすそうだったからさ、さっそく遊び始めているところなんだ」
『どうだ、けっこう使い勝手はいいだろ』
「かなりね。作ったのは夕張さんと明石さんかな。すごいね、自動でBGMが入ったりとか」
『それは俺が入れたオプションだな』
「へ、そうなの?あ、それとさ、画像を読み込ませてNPCの顔に出来るのもいいよね。ネットで拾った画像を使ったりとかできるし」
『それも俺が作って組み合わせたオプションだな』
「・・・ソウが入れたオプションって他に何かある?」
『ゲーム内での痛みとリアルでの痛みのリンクだな。最大で足の小指をタンスの角にぶつける程度のもんだが』
「もうさ・・・夕張さんと明石さんと一緒に何か開発したらいいんじゃないかな」
『気が向いたらな。今は前に四人でやったシナリオを艦娘の連中とやっているから無理だけど』
「へえ、あのシナリオをやっているんだ。終わったら色々と教えてねー」
『おう。んじゃ、切るぞ』
通信が切られた。画面をしばらく見てからプログラムの自由性を、説明を読みながら確認していく。一通り目を通して思わずため息が漏れた。
「・・・頑張ったらソウ一人でも作れたんじゃないかな」
とくにないです。