「さてと、シナリオはどうしようかな」
新しいシナリオにしようかとも考えるけど、ちょっとめんどくさい。ルルブに載っているものをやってもいいけど、どうせならオリジナルがやりたい。
「うん、ソウもやってるみたいだし、こっちもあれをやろっかな」
今、四人がいるのはとある喫茶店だ。カウンターに並んで座っていて飲み物を飲んでいる。
「ここんとこ退屈すぎじゃん?」
近所の探偵事務所で働いている鈴谷が隣にいる三人に言った。
「スクープもありませんしねえ」
新聞記者の青葉はカメラのレンズを磨きながら同意を示す。
「私のところを取材してもいいのよ?」
モデルの足柄は青葉に向かって提案した。
「何も起こらないに越したことはねえだろ。青葉んとこはそういうのじゃねえし、足柄は事務所を通さなくてもいいのか?」
スーツを着て出来るキャリーウーマンになっている摩耶がそれぞれに返答をする。
店の中には四人の他にもお客さんがいてそこそこ賑わっている。
摩[今って何月なんだ?]
K[え?うーん、決めてなかったなあ。誰か希望の季節はある?]
青[はい、青葉は夏くらいが良いです]
足[あら、どうして?]
青[いろいろと美味しい写真が撮れそうですし、夏くらいが仕事に慣れ始めるくらいの季節じゃないですか]
鈴[じゃあみんなも後輩が出来てる時期かー]
K[んー、とりあえずこんな感じで行こうかな]
外の日差しから逃げ出したみたいに数はたくさんいるが、暑さのせいで騒ぐ気力はないようだ。
「こんだけ暑けりゃスクープを用意するほどの気力もねえんだろ」
「それじゃあ困るんですよー。足柄さんのネタだけじゃ飛ばされちゃいますし」
「え?!全部ボツになってたの?!」
「そりゃそうじゃん、青葉ってばLINEで愚痴ってたよ。『ただのグラビアだけだったら載せられないってボツになってます』って」
「嘘!?」
「あー、あたしのとこにも来てたなーそれ。話題作りにゴリ押しでぶち込むなよな、婚活とかあたしらまだ早いだろ」
「べ、別に婚活なんて意識してないわよ!」
「でも聞きましたよ?うちの編集長がイケメン特集の雑誌を何冊か頼まれたって」
「え、嘘!?」
「青葉が聞いたってのは引っ掛けだったとしても今の『え、嘘』で確定じゃん?」
「そ、それはそうと鈴谷の仕事はどうなっているの?確か探偵よね?」
「あー」
鈴[ねえ提督、鈴谷ってば探偵事務所で働いてるじゃん?上司のことなんか教えてくんない?]
K[TRPGをやってるときはキーパーって呼んでね。探偵事務所の台所事情とかはちょっとあれだけど、上司は二人だけだよ。一人は僕が前に使っていた探索者だから僕のまんまで、もう一人はデータを送るよ]
「・・・犬とか猫さがしばっかかな。社長は全然社長っぽくないし、もう一人の上司はたまにしか事務所に来ないから退屈」
「その上司二人はどんな仕事してんの?」
「殺人事件とか解決しちゃいます?」
「イケメンで独り身だったりする?」
矢継ぎ早の質問に記憶の箱をひっくり返して一つずつ答えていく。
「社長のほうは何やってるのかわかんない、たまに出かけて帰って来て、どこに行ったのかって聞いても警察署ってはぐらかすし」
「警察署に来てるならあたしも見たことあるかもしれねえな」
「もう一人もたまにしか顔出さないから人伝(社長から)しか聞いてないけど、IT関係の件を解決してるらしいんだよね。ネットとかよくわかんないけど」
「それで?」
足柄が自身の質問の回答を求める。
「ITのほうは女性でけっこう美人だったよ。社長は、まあまあかな」
「どのみちスクープにはなりませんか・・・」
「そんな殺人事件が起こったらあたしんとこにも伝わるっての」
「やっぱりそんな簡単ではないわよね・・・」
【目星ロール 青葉 目星 75→48 成功】
目星に成功した青葉は足柄のカバンに雑誌がはみ出ていることに気付いた。
青(・・・あー、そのうち編集長に話を聞いてみましょうかね)
K[さて、そろそろ話を進めようか。
君たちは知り合いの人から呼び出されてここに集まっているんだ。詳しいことは彼が登場してからになっているんだ。これから登場させるけど質問はあるかい?・・・ないみたいだね」
四人が話していると喫茶店のドアが開いた。背丈は足柄と同じくらいで顔立ちは整っているほうだ。男前と言って差し支えないだろう。
四人に気付いた男は手を挙げながらやってきた。
「どうも皆さん、お忙しい中集まっていただきありがとうございます」
呼び出した男―大神はそれぞれに言った。
「無理を言ってしまってすみません、出来れば早急にお話したかったもので。久々にお会いしたわけですし、もっと穏やかなものが良かったのですが・・・」
年齢は25歳で、今集まっているメンツの中では足柄と同じく最年長だ。だけど年下の三人にも敬語で話していて真面目な人間だということが分かる。
「やっほー大神さん」
「なんだよ、やらかしたってんなら弁護士を呼びな」
「待ってください!その前にスクープに取り上げさせてください!」
「こんにちは、大神くん」
それぞれが挨拶?をして、一番端に大神が座る。
奥から鈴谷、摩耶、青葉、足柄、大神の順に座っている。
「そんなわけないでしょう、俺は何もしていませんよ」
「じゃあ何で呼んだの?」
「美味しい話ですか?」
「逮捕できねえの?」
「婚活始めたの?」
「・・・みなさんをお呼びしたのは他でもありません。俺の友人を助けてほしいんです」
冷やかしを無視して話を進めようとする。
「友人は最近様子がおかしくて・・・」
「ちょっと待ちな」
強引に話を進めようとする大神を摩耶が止めた。
「あたしたちは話があるって集まったってのに強引すぎやしねえか?」
「すみません、どうも焦ってしまっているようです・・・。あ、お冷お願いします」
ウェイターに水を頼んで一気に飲み干す。
「皆さんもお忙しいことは存じ上げています。しかし、俺にはもうみなさんしか頼れる人がいないんです。どうか話だけでも聞いてください」
K[ここでみんな目星を振って。振らなくても大丈夫だけど、やってくれたらありがたいかな]
【目星ロール 鈴谷 85→33 成功
青葉 75→02 クリティカル!
摩耶 25→78 失敗
足柄 25→65 失敗】
K[失敗した二人は何も気づかなかったよ。鈴谷は大神くんが前よりもやつれてるように見えたかな。クリティカル(大成功)の青葉は・・・目の下にクマが出来ていることにも気付いて、最近は睡眠もあんまりとれていないことも分かった]
「それって大神さんがやつれてるのと関係あるの?」
「・・・やっぱりそう見えますか」
「目の下にクマも出来てるみたいですし、ちゃんと寝ていませんね?」
2人の指摘を受けて大神は黙り込んでしまった。
足[ねえキーパー、大神くんの情報をもらえないかしら。彼の人柄次第で対応も変わるわよ]
摩[それもそうだな。なんかねえのか?]
K[じゃあアイデアで振って、成功したら彼の人柄について思い出せるよ。あ、大神くんはみんなの大学時代の友達で、卒業してからはSNSを介した連絡しか取っていなかったよ。呼び出されたのはそこからね]
【アイデアロール 摩耶 55→48 成功
足柄 90→07 成功】
K[アイデアに成功したから彼の人柄について思い出すことが出来たよ。
大神くんは話し方からも分かる通り、とっても真面目で、堅物すぎて有名だったよ。ちょっと自己犠牲しがちなラノベの主人公みたいな性格で、常識人な立ち振る舞いから先生からの信頼も厚かったよ」
「話くらいは聞いてあげましょう。請け負うかどうかはそれからでも遅くないわ」
足柄の言葉を受けて摩耶もうなずくことで同意を示した。
「とっとと話しな、あんたがふざけたことを言うために呼びだしたってことはねえだろうし」
「・・・ありがとう、ございます」
四人に深々とお辞儀をする。
「俺が大学で心理学を学んでいたことはみなさんも知っていたと思います。カウンセラーの資格を取った俺は大学でスクールカウンセラーになりました。その大学に勤めている友人の様子がここのところおかしくなっているんです」
大神は話し始めた。
彼が言うにはその友人がおかしな宗教にのめり込んでいたという。そんなものに傾倒してはいけないと止めようとしたのだそうだ。しかし、その友人は大神の言うことに耳を傾けなかった。それどころか日を追うごとにおかしなことを口走り始めた。
『あなたも一緒に来なさい。そうすればあなたも愚人という枠組みから抜け出せます。我々は賢人なのです、あなたが選ばれた人間なら分かるはずです』
虚ろな目で語る友人はドラッグでも決めているようだったそうだ。こちらが何を言っても相手は聞く耳を持たず、洗脳しようとする人形のように同じことばかりを繰り返した。
どう考えても正気とは思えない友人に嫌な予感がした大神は、宗教団体について調べようと友人の後を尾行した。その宗教団体に潜入し、何が友人をおかしくしたのか調べるために。
そして、彼はその宗教団体の講演をしている会場に辿り着いた。そこで彼は見てしまった。何百人もの人が無言で舞台を見つめる様子はライブが始まる直前のようだったが、その全員が無表情で私語の一つもない様子は異常だった。
およそ一時間と経たないうちに大神は見てしまった。
「集まった連中がおかしな呪文みたいなものを唱え始めました。すると、舞台に上がっていた人間の身体が崩れていったんです」
「マジックショーだったんですか?」
「いえ、違います。もし映像だったり、布をかぶせて戻したら灰になっていたというのなら分かります。もちろんCGか何かでタネがあるはずだと思ったんです。でも、現れたアレは嫌でも現実だと理解させました」
「・・・アレって、どういうことなの?」
「・・・・・・・」
大神はおかわりした水を一気に飲み干して言った。
「あれはバケモノでした」
「形状は神話にでも出てくるもの以上におぞましい姿でした。現実にいてはいけないあの姿に、俺は逃げ出すことも出来ませんでした。……かろうじて目線だけは動かすことが出来ましたが、すぐに後悔しました。集まっていた連中は恍惚の表情を浮かべていて……、集まった人間とバケモノの二つが異常な空気で支配していました・・・」
大神が言ったことを想像してしまった四人は悪寒が走った。
【SANチェック 0/1】
K[クトゥルフTRPGの醍醐味、SAN値チェックの時間だよー!]
鈴[キーパーが夜の川内みたいでキモい]
【SAN値チェック 鈴谷 60→07 成功
青葉 80→17 成功
摩耶 60→44 成功
足柄 90→72 成功】
メンタルが強い四人は欠片も動揺しなかった。
「そのあと、進行役のような人が出てきてどこの国の言葉か分かりませんが、何かを言っていました。何を言っているのか理解できませんでしたが、その内容が連中を洗脳していることは分かりました」
「俺のほうでも色々と調べてはいるんですが、詳しいことは全く分からないんです。相談というのは他でもない、その友人を助けたいんです。一介のカウンセラーでは友達のカウンセリングくらいしか出来ないんです。教団関連の話になるとまるで会話にならないので友人から何かを聞き出すこともできません」
青[これを引き受けたらシナリオが始まるんですか?]
K[そうだよ。ツンデレして裏でこっそりやってもいいんだよ?]
摩[このメンツでツンデレとか誰得だよ。ま、こんだけ困ってるなら引き受けるっきゃねえな]
K[何か聞きたいことがあるなら聞いたほうがいいよ。あ、僕じゃなくて大神くんにね]
「その教団の名前、講演をしていた場所、あんたの友達の情報、教えてもらおうか」
手帳とペンを取り出した摩耶が大神に言った。
「教団の名前は『浮雲教会』です。講演をしていた場所は俺が働いている大学の近くの教会です。友人はその大学の四回生で、最近は図書館にこもっていて授業にはほとんど参加していません。詳しいことはメールで送らせてもらいます」
「その人とはどんな関係?」
「彼女は大学生で、俺がカウンセラー、真面目な学生だったので目についたらしく、教授が相談して来たんです。何度かカウンセリングしたのですが、あまり成果がなくて・・・」
足柄の問いに答えながら肩を落とす。
「青葉も編集長に話を聞いてみます」
「鈴谷も社長に何か知らないか聞いてみるよ」
「みなさん・・・」
安堵の息を漏らして、四人を見る。
「ありがとうございます、本当にありがとうございます」
深々と、90度以上腰を曲げて礼を言った。
「良いってそんなに頭下げなくてもよ。つーか、男なら簡単に下げんじゃねえ!」
「すみません」
再び頭を下げる大神を見て鈴谷が茶化す。
「大神さんをいじめちゃダメだよ摩耶ちゃん」
「摩耶ちゃん言うな!」
「解決したら記事にしてもいいですか?」
「どうせ大したことにならないから諦めなさい」
四人が話していると突然電話の着信音が鳴る。
「すみません、俺です」
電話を取り出して操作する。どうやらメールが来たようで、すぐに立ち上がる。
「用事が入ってしまいました。俺の方でもなんとか手を尽くしてみますが、みなさんもどうかよろしくお願いします」
そう言って大神は喫茶店を後にした。
K[導入はこんなところかな。ここからは完全にフリーだよ、誰かと一緒に行動してもいいし一人で動き回っても大丈夫。それぞれの情報を常に知っておきたいって人がいたらすぐに伝わるようにするから言ってね]
摩[じゃあよ、あたしは他の奴らの状況も教えてくんねえか?なんか遭ったときにすぐ助太刀できるからよ]
K[あー、それなんだけどね、操作する君たちが他のキャラの状況が分かっても、自分達が操作しているキャラはそれを知ることはできないんだ。つまり、『操作している摩耶』が他の人のピンチを知ることが出来ても『キャラの摩耶』は知ることはできないんだ]
青[つまり、誰かのピンチに駆けつけたかったら理由がないとダメってことですか?]
K[うん。でも他の人が次の行動に困っている時にアドバイスをすることはできるよ。『あの時の自分の発言からこんな行動が出来る』とかね]
鈴[ふうん。とりあえず鈴谷は事務所に戻って上司に話を聞こうかな]
足[仕事場で噂話くらいは聞けるかもしれないわね]
青[青葉はさっきも言った通り会社に行きます。名前は・・・マルクト社にしますね]
摩[あたしは署に行くかな。ああいう怪しい話ならなんかあるだろ]
K[えっと、ちょっと待ってね。えー青葉はマルクト社で、鈴谷は探偵事務所で、足柄さんはモデルの仕事場で、摩耶様は警察署ね。うん、ちゃんと入力したよ。それじゃようやく始めるよ。
[レッツ・クトゥルフ!]
女性の服装ってよく分からないのでこんな服装がこの艦娘に似合うとかのアドバイス欲しいです。