この素晴らしい過負荷に祝福を!   作:いたまえ

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十一話 帰還そして収穫

「ミソギ!!?それにカズマも!?凄いです。私の魔法に耐えうるなんて!…正直少しショックもありますが。」

 

  安心院さんの教室から出ると、球磨川とカズマはめぐみんの作り出したクレーターのど真ん中に立ちつくしていた。

「おかしいです…爆裂魔法は最強なのです…ブツブツ…。」

  球磨川が見事カズマを救った結果は喜ばしい。それでも、爆裂魔法に耐えられた事実を受け止めきれないめぐみん。

  球磨川らが生き返った時刻は、めぐみんが爆裂魔法を放った数秒後。ジャイアントトードはカズマと球磨川ごと爆散。

  めぐみん、ダクネス、アクア視点だと、爆裂魔法に巻き込まれたはずの2人は、一切ダメージも負わずに平然と煙から現れたように見えた。カズマはカエルに食べられていたので、駆け寄った球磨川が何かをしたと思われる。

 

  防御に秀でたクルセイダーダクネスでさえも、爆裂魔法に巻き込まれては無事が保証出来ない。果敢に飛び込んだ球磨川の勇敢さ、蛮勇さにはかなり驚かされた。

「カズマぁああ!あんまり心配させるんじゃないわよおぉ!!」

  アクアがカズマの手を取って、上下にブンブン振り回す。

  下界に戻ってきたばかりで、戸惑うカズマ。

 

「アクア…。すまなかったな。でもね?お前にも責任あるからね?」

 

  カズマがそもそもとしてジャイアントトードに捕食されたのは、必死でジャイアントトードを惹きつけたカズマを「カズマさん超必死!やばいコレちょーウケるんですけど!プークスクス!」といった具合にあざ笑っていたアクアさんによる。

  昨日カズマさんに囮役をやらされたことを根に持つ女神のつまらない意趣返しで、カズマは死後の死後の世界を彷徨った。

 

「うぐっ!…おほほ。そうだったかしら?カズマさんてば、顔が怖いわよ?」

「………………」

  カズマはアクアと握手した状態の手に渾身の力を加え、拘束しつつ激痛をプレゼント。

「痛、痛いからっ!カズマさんせめて無言はやめて!マジで怒ってるみたいだからやめてちょうだい!あああああっ!!」

「俺が受けた苦痛はこんなもんじゃないぞおおお!!」

 

 じゃれあう2人を尻目に、球磨川とめぐみん、ダクネスも無事を分かち合う。

「ミソギは全く困った奴だ。どのような手段を用いたかはわからないが、爆裂魔法をモロに喰らうなんて危険が過ぎるぞ。」

  ダクネスはご立腹。球磨川の奇行によっぽど驚いたみたいだ。

「ダクネスの言うとおりなのです。我が爆裂魔法は例え味方であっても、魔法の範囲内に入った物体すべてを塵にする威力なんですよ!」

 

  プクッと頬を膨らませためぐみんはあと少しで球磨川を自らの手で殺してしまっていた可能性もある。怒り心頭に発するのも仕方ない。

  だからこそ球磨川が爆裂魔法で一回バッチリ死んだのは内緒にしなければ。

 

『カズマちゃんを救ったら、ジャイアントトードはエサを横取りされたと、逆上して暴れるでしょ?だから、めぐみんちゃんには僕がカズマちゃんを助け出した直後に爆裂ってもらうことが必須だったわけ。でもギリッギリ爆裂魔法を躱すのは成功したから心配いらないぜ。』

 

  球磨川達がジャイアントトードと遭遇した時点では、カズマがどれだけの時間捕らわれていたのかはアクアしか把握していなかった。手遅れになる前に救うとしたら、めぐみん、ダクネスに作戦を伝える時間すら惜しかったのだ。と球磨川は語る。

 

「そうでしたか!爆裂魔法は直撃してなかったと。そうでしょう、そうでしょうとも!!最強で最高な我が爆裂魔法をその身に受けてピンピンしていられる道理はありませんから!」

 

  ふっはっは。めぐみんが肩でワザとらしく笑う。

 

 めぐみんさん安心して下さい。爆裂魔法を喰らった球磨川とカズマはちゃんと木っ端微塵になりましたので。

 

「私はクルセイダー。パーティの壁役くらいにはなれる。次からは私を頼ってくれていいからな。もう無茶はしないでくれ。」

  ダクネスが球磨川の目を真っ直ぐ見た。

『…カッコいいこと言ってるけどさぁ、ダクネスちゃん。爆裂魔法を受けたいだけなんじゃねーの??』

「しょ、しょんなことは…ないぞ?」

『もうお前、ダークネスに改名したら?』

 

 …………

 ……

 数日後。

  グレート・チキン討伐とジャイアントトード討伐の報酬だけでは食べるのも辛くなってき始めた。しかもジャイアントトード討伐に至っては数も中途半端で端数のようなお金しか入らず。

『空腹程度どってことない。僕1人ならいくらでも何とかなる。』

  グギュルルルル。

「み、ミソギ…なんでもしますから、ご飯を…ご飯を食べさせて下さい。」

  球磨川が金欠ならばめぐみんも同じく金欠。

『…僕1人なら、ね。』

  とりあえず何でもいいからクエストをクリアして報酬を得なければ。それにはまず最初にめぐみんの空腹を解消してやる必要がある。球磨川がめぐみんの空腹感をなかったことにしようか逡巡していると。

「む、腹が減っては戦が出来んぞ。めぐみん、ミソギ。一食くらいなら奢ってやるから、食べたらまたクエストで稼ごう。」

  ダクネスだけ別の収入源があるようで、なんと気前よくご飯を奢ってくれた。

『やったぜ!奢りでも僕は遠慮なんかしない。メニューの右端から全部持ってこーい!』

「あ!ズルい、ズルいのです!じゃあ私は左端から全部でお願いします。」

「ああもうっ!この2人は!!本当にもうっ!!」

  頭にコブを作った球磨川とめぐみん。ダクネスの払いで定食をかきこむ。ダクネスが待ち時間でクエスト掲示板を見ながら内容を吟味していると…

 

「緊急クエスト!緊急クエスト!街の中にいる冒険者各員は、至急冒険者ギルドへ集まって下さい!」

 

  ギルド内、また、街の何処にいても聞こえるほど大きな音量で、アナウンスが流れた。

「これは…クエストを選ぶ手間が省けたな。」

  ダクネスがニヤリとし、球磨川とめぐみんを置いてきたテーブルに帰る。

 

『…なに?何の騒ぎ??』

  球磨川は放送中も食事の手を止めることなく、アナウンスが流れてから急に活気が溢れたギルド内を不思議そうに眺め、めぐみんに問いかけた。

「もう収穫の時期ですか。ミソギ!今晩はキャベツ炒めですよ!!」

  今たらふく食べたばかりのめぐみんが、いきなり今晩の献立を言い放つ。

『質問の答えになってなくない?』

 

  この世界で割と楽しみにしてる人が多い、キャベツの収穫時期が今年もやってきた。

 

『キャベツって、あのキャベツ?ロールとか千切りとかにする。』

「そのキャベツです。」

『緊急クエストってどういうこと?みんなで畑にでもいくのかな?』

「何を言ってるんですか。キャベツの収穫ですよ??街中でやるに決まってます。」

 

  めぐみんとの会話は違和感がある。街中でキャベツを収穫すると言ったが、ビニールハウス的なものは見た記憶がなく。

 

「ミソギ、めぐみん。食べ終わったか?」

  掲示板のほうからは、ダクネスが剣の柄に手をかけながら歩いてくる。

 

「みなさーん!突然のお呼びだて、申し訳ありません!お気付きの方もいらっしゃるでしょうが、今年もキャベツの収穫時期がやってきました!!今年は出来がよく、一玉毎に一万エリスの報酬となりまーす!住人の方には既に家に避難してもらってますので、存分に収穫しちゃってくださーい!!」

 

  またもアナウンスが流れ、緊急クエストの概要が述べられた。一玉一万エリス。たかがキャベツを収穫するだけで。

 

『なんだかイマイチわからないけど、要はキャベツを少しでも多く収穫すればいいんでしょ?』

「…だな。私達も、外へ行くとしよう!」

 

 ……………

 ………

『これが、キャベツ?』

 ギルドの外。美しい風景の中には、高速で飛び回るキャベツの姿が。

「ミソギ!伏せてください!!」

 

 ガスッ!

『…ぐはっ!?』

 

  高速で飛来したキャベツが顔面に直撃した球磨川は、キャベツにまで殺されかけた。




原作でのこういうちょっとしたエピソードとかも、出来たら書いていきたいです。間延びしない程度にですが。
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