そして、月日は流れ課題の発表会当日―。
各々が調べた内容を、ノートPCを介してプロジェクターに投影、スクリーンにスライドショーとして流されている。
それを、各ペアチームが順番に発表していくという形式だ。
矢代「…これで以上です。」
先生「よし、いいぞー…そんじゃ次、天照・二宮ペア。」
誉めたりとか指摘したりとか、なんか感想無いのかよ!?相変わらず適当だな…こいつ。
先生「ん?どうした、天照?」
天吾「あ、ああ…いえ…それじゃ、発表を始めます。」
天吾が、スタートボタンをクリックする。
有紗「…え、ええっと…私達が調べたのは…」
英吉「有紗ちゃん頑張れー!」
珠稀「有紗ちゃぁぁん!」
先生「お前ら黙れぇぇ!!」
有紗「…それじゃ、気を取り直して…。」
天吾「…あれ?」
すると、今度は天吾が有紗の進行を遮った。
先生「どうした?」
天吾「いや、なんか…用意してたデータと違うみたいで…。」
有紗「え?」
そうこうしている内に、違うデータがスクリーンに映し出され始める。
天吾「…これって…。」
スクリーンに映された光景は、三週間前の図書室での二人のいる風景だった。
英吉「…なんだ?これ…。」
友子「お前ら、これなんのアピールのつもりだ?」
天吾「ち、違う!」
天吾は、映像を必死に止めようとするが、何故か操作不能で止める事が出来ない。
マ、マズイ!!この映像がこのまま流れ続けたら…。
しかし、必死の抵抗も虚しく画面上には、デカデカと有紗のパニックの瞬間が映し出されてしまった。
有紗「…」
有紗はそれを、ただ呆然と見詰める。
天吾「…あ、あり…。」
英吉「…」
珠稀「…有紗…ちゃん?」
友子「マジかよ…。」
先生「…と、止めろ止めろー!」
天吾が、先生の指示に従って停止ボタンを押すと、映像は正常に停止した。
天吾「ウソ!なんで!?」
先生「天照!これは一体どういう事だ!?」
天吾「お、俺にも何がなんだかサッパリ…。」
?「それ、本当かなぁ?」
先生「…どういう事だ、石崎?」
石崎「だって、課題用の映像は各々がパスワードで管理していて、消去したり書き換えたりするのは他人には難しいですよね?それに、映像を止めればいいだけの話なのに、天吾君はそれをしなかった…一体、二宮さんになんの恨みがあって、こんな真似をしたんだか…。」
天吾「ちょ、待てよお前!!映像が流れてる間、操作が利かなくなってたんだよ…俺は、必死に止めようとしてた!!」
石崎「それだって、演技かもしれない…パソコンの影に隠れて見えなかった以上、必死に止めようとしていたかどうか…それを証明するものはないよね?」
天吾「え、演技なんかじゃねえよ!それに、俺は有紗になんの恨みもない!!」
石崎「そんなの君以外分かりようがないだろ…人はくだらない事で恨みを持ち、くだらない理由で殺意すら抱く生き物だ…表面上、好意的に接しているように見えても、腹の底ではどう思ってるかなんて、本人以外誰も知り得ないよ。」
天吾「…お前なに言ってんだよ…そんな事言ったら、俺がやったっていう証明だって、どこにもねえじゃねえか!」
石崎「ああ、だが俺は確率論の話をしているんだ…状況証拠を鑑みるに、天吾君を疑う事はそれほど的外れとは思えないが?」
友子「でも、あの映像天吾も映ってたじゃねえかよ。」
天吾「友子…そうだ、そうだよ!」
石崎「映像を見る限り、あれは固定カメラで録っている筈…それなら、あとは二宮さんの体調さえ把握していれば、映像に映り込んでいる人物にでも撮影は可能だよ。」
天吾「ふざけんな!俺が、有紗の体調なんか知ってる筈ねえだろ!なあ、有紗?」
その時、有紗の脳裏にまたしても過去の記憶がフラッシュバックされる。
『友達だと思ってたのに。』
『裏切り者!』
有紗「…天吾…。」
有紗は、後退りした後逃げ出す様に走り出した。
天吾「有紗!?おい!!」
すると、有紗は躓いて英吉にぶつかりそうになる。
英吉「うお!?あぶね!!」
有紗「キャッ!!」
それを、英吉が咄嗟にかわし有紗は転んでしまう。
有紗「…」
起き上がった有紗は、無言で教室を飛び出していった。
石崎「二宮さんのあの反応…やはり、犯人は君で間違いない様だね。」
天吾「…」
マジかよ…。
俺も有紗も、このままじゃ…。