モンスターイミテーション   作:花火師

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主人公ウザいです。ごめんなさい。
替わりに誠意を見せます。脱ぎます!(スポポーン)


繋がり

「うーみぃいいいいいは広いぃいいいなぁ、大きいぃいいいいなぁああああああああああああ!!」

 

プカプカと浮かぶ流木にしがみつきながらも、俺は大海原を大冒険していた。

これには彼の有名なジョニー・デップにもハリソン・フォードにも引けをとらない大冒険をしていると自負している。

 

「今日の晩御飯はぁ!?なんと、なぁーーまぁーーっざぁぁーーかーーーなああああああああ!!!」

 

今日も刺身は美味しいです。にっこり笑顔でそう呟き夜空を見上げる。

 

いやはや、海というのは本当に生命の宝庫といいますか、生命の母と言われるのも頷けるようん。水面に顔を突っ込めば見えるのは魚の群ればかり。すんばらしい!!

 

お陰でこの大冒険の最中に食事に困ったことはない。

 

水については雨でどうにか凌いでるが、ここ二日雨が降っていない。さぁ!ピンチだぞ!俺!

 

「だはははは!つぅうきぃいい!は昇るぅうしぃいいいひぃいいいいはしぃいいいずぅううううむぅうううう!!」

 

だはははは!!

 

「未知なる世界が俺を待っている!さぁいざ行かん!!」

 

探せぇ!そこに全てを置いてきたってかぁ!なはははは!!

 

「はははは!海賊王に俺はなる!とか言ってみたりしてえ!!」

 

眼のみを海竜のものへ変質させると水面に顔をつけ、笑顔で魚を捕らえる。

海竜の眼は便利なもので、海水の中でも平気で目を開いてられるしぼやけもしない。非常にクリーンに海中を見ることができる。

 

「うっほぉおおおお!とったどおおおおおおお!!」

 

潜り、魚を捉えた俺はまたしても流木に掴まると雄叫びを上げた。

 

人って、どこでも生きていけるもんだね。

やれ車が欲しいやれエレベーターが欲しいやれ携帯だ。うるせえ!!

 

車ぁ?エレベーター?ケータイ?え?何それ。なに語?

 

そんなものに頼らなくてもな。人間てのは生きていけるんだよ!

……人とは、逞しい生き物なんだ。例えこうして海に衣類一式のみで放り出されても生きていけるんだから!!

 

皆も始めようぜ。皆も、海で生きていこうぜ。目指せ、海の男!いや、海の漢!!

さぁ!そして今日も海の幸に感謝して、美味しくいただこう!

 

捕獲した魚を切り刻んで口へ放り込む。

 

「ほぉら、こんな不細工な面した魚であろうと、こんなにも美味しくいただけるんオエエエエエエエエロォォォロロォアげほっっぼええぅあぃおぅああァああ!!ゲロまずぁああああああああああ!!」

 

行き場のない怒りがその魚へ向くことも、仕方がない。嘔吐物へと姿を変えた魚を消し炭にして、胃酸の混じった涎を拭う。

 

何してるんだろう、俺。

 

「なにが人類は逞しいだよふっざけんな……。浮き輪よこせええ!船よこせえええ!携帯よこせええええ!!フカフカのベッドで寝るんだ!!替えの服も肉も野菜も飲み物もよこせええええ!!」

 

海は素晴らしい?ふざけんな!死ね!死ね!死ぬわ!!何も持たず大海原のど真ん中に置き去りにされたら死ぬわ!!ボケ!!何がジョニー・デップにもハリソン・フォードに負けないだよ負けてんだよ!というかこれ冒険とは言わねえよただの遭難だよチクショーーー!!遭難だよ!そうなんだよ!!だああああもうくっそつまんねええええ!!

 

もう魚も食いたくない。食いたくない。ここ三週間、魚しか食べてない。もうだめだ。死んでしまう。死んでしまうよ。

いくら現実逃避してもくっそ不味い魚かもしくは尻に噛みつこうとする鮫のお陰で引き戻される。

 

「なんでこんなことに……」

 

 

元を辿ると、原因はあの黒い竜にある。

 

俺は竜との激闘のあとなぜかまた再び黒い竜に遭遇し、戦いになった。恐らく追いかけてきたものと思われる。

当然、俺に勝てる相手ではなかった。

 

三日後の再戦となったその頃には、ようやくこの世界がVRでもなんでもない、紛れもない現実だと理解できていた。流石にそこまで来て勘違いですませるほど脳内お花畑ではない。

 

なんにせよ、死んだら終わりだと感じていたから逃げに徹したのだが、あの竜さんは悪質なストーカーよろしく俺を追い回し、数日間ずっと逃げ続けた。

 

結果だ。空中戦に持ち込まれながらも必死に戦いに戦った。そして俺が作ってしまった一瞬の隙をつかれ、空中ドライブ五日間の刑にあった。俺を殺す気満々ですねわかります。

 

まぁ、逃走や連れ去られたり遭難の日にちをきちんと数えてる俺も俺だが……。 

 

これを誰かに話せば、数えてられるだけ案外余裕あるんじゃね?とか思われるかも知れない。だけどね、そんなわけないから。すんごい必死だったから。必ず死ぬとかいて必死だったから。

 

ただ、逃げている間やドライブの間、お日様を目ざるをえない状況にあった。つまり、隠れられる屋内は全て消し飛ばされた、ということだったりする。

 

ようやく見つけた街を泣く泣く遠ざけて通ったのは苦い思い出だ。

……しかし、何かの期間だったのか、通った殆どの街はお祭り騒ぎで非常に楽しげだった。街中を遠巻きに見ただけだからなんの祭かまでは把握できていないけど。兵士たちが多く見えたくらしいかわからんかった。

 

べ、別に羨ましくなんてないんだからね。

いやぶっちゃけ本当に悔しかったけど!まぁそれはいいや。その話は置いておいて、どうにかして黒い竜の空中ドライブデートから逃げ出したところまではいい。そして更に黒い竜をどうにか撃退しきったところまでは順調だった。両手をあげて喜んだ。

 

 

……大海原の上空でな。

 

 

数日間、寝ることもできずにひたすら変化を繰り返して生死の狭間を行き来するような戦いをしていた疲れのせいか、長時間の変形や模倣を維持することができなくなり、今に至る。

 

まともな食事睡眠をしてないせいか、体力はすり減っていくばかり。

あ、そういえば三大欲求なにひとつとして満たされてねえや。最後の欲求に至っては一度だって満足したことねえわ。涙ちょちょぎれそう。

 

 

「くっそ。何もかもあの竜のせいだ。なんなの?なんでそんなに俺を付け狙うの?どんだけ俺のこと好きなの?」

 

はぁー。あんなのがウヨウヨいる世界とかマジ勘弁してくれ。

ようするに俺はその辺の部隊長より下ということになるのか?その辺の部隊長なんて見たことないけど。

でもあんな竜が闊歩する中で国を作れるような人外さんたちばっかとか、なにそれ怖い。

 

とりあえず、あの黒い竜に勝てるようにならねえとお話にならないっつーことだよな。

 

……先は遠いなー。

 

竜以外にもモンスターはいるのかもしれないけど、だが男ならドラゴンキラーってのは憧れるし、とりあえず当面の目標として掲げよう。

 

目指すは黒い竜の討伐!

 

 

……じゃねえだろ。違う違う。今の目標は大陸を見つけることだ。竜なんてどうでもいい。とりあえず上陸して、それから肉料理をらたらふく食べるんだ!そして更にフルーツジュース飲んでフカフカのベッドで爆睡するんだ!

 

目指せ一日睡眠八時間!

 

 

などとぼやいていられたのも束の間だった。どうやら俺はフラグを立てすぎたらしい。空の向こうに、黒く禍々しい雰囲気の何かがこちらへ降下してきているではありませんか。

 

「ぁぁ……」

 

またかよ、と泣き出しそうになりながらも呻く。

 

「はぁ」

 

漏れるのは、ため息ばかりである。

明らかにこちらへと咆哮が放たれる。ここまで届く圧力で前髪が逆立つ。

 

「あーあー、何も見えない聞こえなーい。咆哮のせいで出来た津波なんて知らなーい。流木が砕けたのも知らなーい。俺は何も知らなーい」

 

両耳を塞ぎながら水面をプカプカと浮き続ける。津波に巻き込まれても浮き続ける。

そう、だって黒い竜なんてどこにもいないのだから!!

 

 

「いやー、今日も空が青いなー」

 

雲ひとつない晴れ渡った空!心も晴れ晴れとするようじゃありませんか。

……あ、いま夜だったわ。

 

 

「こんなときは──『MODE:ラギアクルス』あっぶねーな!!……じゃなくて、呑気にお昼寝でもしたいなぁー」

 

──ォォォオオオオオオオオオオ──

 

「やかましいんだぉぉ!!ボケえええええええええええええええ!!」

 

だああああもう!!なんなの!?どんだけ俺を追い詰めれば気がすむの?俺のライフはとっくにゼロよ!

 

「なんなんだてめえ!?どんだけ俺を追いかけてくんだよ!どんだけ俺にストーカーするんだよ!どんだけ俺を大好きだよ!!アイラブユーフォエバーってか!?死ね!!」

 

 

と、啖呵をきったはいいが、でもまぁ、勝てないのよねぇ。

けど、勝てる勝てないではなく、絶対にやらなければならないことがひとつある。

 

「とりあえずよォ……」

 

雷撃を海面に打ち付けることで空中へ飛び上がった俺は、竜へと飛びかかった。

 

 

「俺を陸地に連れてけこのクソトカゲェエエェエエエエエエエエエエエエエエッ!!」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

遭難から数日後。

 

「あああああああああい!きゃぁあぁぁああああああああんんん!!ふぅぅううらああああああいぃ!!」

 

黒い竜のトンでも右フックで吹き飛ばされた俺は、重力など無視しているかのように猛スピードで空を平行移動していた。

 

畜生。あのかったい腕に切り傷をひとつ付けてやったが殴り返されちまった。キリンで硬化しなかったら確実に胴体吹っ飛んでたよあれ。だって後ろの山が四つ消失してたもの。

次遭遇したら絶対ぶっ飛ばす。

 

「つーか、どんだけ吹き飛ぶんだよ!!あいつはどこのバーソロミューだよ!!二年後にシャボンティでってか?」

 

あいたくねえ。

 

やり返したいといえばやり返したいが、実際もう会いたくない。あいつとやりあってたらいつの間にか本当に死んでそうだ。

ラスボスは俺じゃない勇者的な誰かに任せようそうしよう。この世界のどこかにすまないさんが居ることを信じて!あとは頼んだすまないさん!

 

……しかし、こんだけ距離があれば邪魔者なしで人間のいる場所へと行けるだろう。やったぜ。

と言っても、いつまたあいつが追いかけてくるかわかったもんじゃないから長居はできないが。

 

食えるもん食って、一晩ゆっくりするくらいなら構わんだろ。というかそうさせてくれないといい加減激おこプンプン丸でカムチャッカファイアすんぞこら。

 

……いつまでも飛んでるこの状況じゃ特にすることないし、俺の能力について少し整理してみるか。

思えばここ最近、まともに考え事をする時間もなかった。……いや、時間はあった。ただ考え事を出来るだけの余裕なんて全くなかった。(いやまぁ今も絶賛生身でフライト中なわけで余裕なんて微塵もないんだけども、でもね!以下略)。

 

もうすでにこれがどんな能力か、だなんて迷う余地もないほどに明白だが。あえて言うなれば俺の能力は、『模倣』であるようだ。

模倣、なんて呼んではいるものの、なぜか模倣できるのはどこかのゲーム……。某モンスターハンターのモンスター達だけ。なぜかそんな限定的な力だけが模倣できるらしい。逆に言うとそれら以外の模倣はできない。これが神様特典というやつなのだろうか。

 

モンスターなら何でもありかなーと、期待を込めて「ハンニバルぅうぅう!」なんて神殺しの名(ゴッドイーター)を叫んでもみたけど炎剣も作れなければ動きが素早くなることもなかった。戦いの最中に叫んだその効果といえば、竜に鼻で笑われるような静寂の空間が生まれたことくらいだ。

 

俺の力は……静寂を作る!

 

じゃなくて、とにもかくにも。俺の力はなぜかあのモンスター達の模倣だけ。

そしてその範囲にはかなりの幅があり、そのモンスターの技、属性、肉質、部位の変換などの模倣ができる。ちなみに怒りに反応もするようで、例えば俺が雷を纏っている最中に怒り心頭になると、雷が更に威力を増し身体能力も向上する。

中々に強力だが、消耗が激しくて長時間もたないのが弱点といったところ。その辺も本家に近しい。

 

たまに傷とでも言うのか、制御が難しくて能力を使うとき、体の一部が勝手にそのモンスターに変質してしまうことがある。

あれは痛くて辛い。なにより、そのモンスターに変質していると他の属性への切り替えが遅くなる。

まだそこまでの失敗はしてないが、恐らく切り替えの相性が悪ければ最悪、自分に大ダメージを与えることになるだろう。

 

その辺もどうにかするために、練習する時間とかも欲しいんだけど……まぁ、ご想像の通り、俺にはストーカーがいるもんで。

 

……あーあ。持てる男は辛いね。

 

おっと、ようやく大地に降りれそう……。

 

あれ?空を平行移動できるような速度で地面に落ちたらやばくね?

 

 

まずいまずいまずい!変身しなきゃ……っつってももう遅いですよねえええええええ。

 

 

声をあげることもできずに俺は地面に落ちると、高速で大地を削りながら木々を薙ぎ倒していく。

本当に声も出せない。いや、もしかしたら出てるけど音に掻き消されてるだけかもしれない。正しく認識できないような状況なう。

 

減速していくのをなんとなく感じながらも、グルグルと回り回る視界に湖なのか川かわからないが、とりあえず水場が見えた。そして次の瞬間には水というより、コンクリートにでも叩きつけられたかのような大きな衝撃に見舞われる。

 

……おおぅ。水って……高速であたるとかってぇ。

 

数十秒後、視界は水に覆われてようやく勢いが止まった。プカプカと体が水面に浮上し、先程まで滞在していた空を見上げる。

 

「はぁ、首がもげるかと思った」

 

森の中、どうやら湖のようだ。中々の広さの湖だったお陰で大きく速度を落とせたらしい。ちょうど湖の端で止まったようで助かった。危うくまた地面にスライスされ

るところだ。

 

 

「おおお!?」

 

俺じゃない、近くで大きめな水音がした。そこを向くとほっそりとした体つきの裸ん坊が背を向けているではありませんか。

 

こここ、これは!?神様がくれたご褒美ですかあ!?ラッキースケベですかあ!?

 

線の細い体つきに色白の肌。黒い髪のその本人はゆっくりとこちらを向いた。

 

 

「……」

 

「……」

 

「……ぞう、さん」

 

「……ぞうさん?」

 

「……」

 

「……」

 

「もしかしなくても男ですか?」

 

「……そうだけど」

 

ちくしょおおおおおおおお!!確認を取るまでもなかったああああ!!

やっぱ神様死ねええええええええええ!!

 

はぁ。そんな落ちだろうと思ったよ。ですよね、今さらそんなことあるわけないよね、頑張ったご褒美とか思ってたけどそんなものありませんよね。わかってた、わかってたよ。

 

「なんで泣いてるのかわからないけど……。まさかこんな森に人が来るなんてね」

 

「俺にかまわないで、俺にかまわないで。かまわないで」

 

なにやら困惑してるようだけど、残念ながらそんなことは俺にはどうでもいいんだ。一瞬でも期待した俺が馬鹿だった。

 

「はは、貝になりたい」

 

「……同意するよ」

 

なんだそれ、哀れみのつもりか?やめてくれよ余計虚しくなる。

星の数ほど女がいるとか言ったのは誰だよ殴り飛ばしてやる。結局星には手が届かねえんだよ知ってたよ!

 

はぁ、落ち込んでても仕方ないか。

 

「なぁ、この辺に街ってあるか?」

 

「僕も旅の途中でね。それに、街には近づかないようにしてるから、あまり縁もないよ」

 

なるほど、対人恐怖症いわゆるコミュニケーション障害か。仲良くなれそうだ。

 

などと一人で昔の自分と重ねて思想していると、いつの間にやら着替えを終えて湖の縁に立っていた。

なんという早着替え。

 

「それじゃ、僕は行くよ」

 

「おい、ちょっと待てよ!」

 

背中を向けて歩き出す色白を追いかけるべく、全身ずぶ濡れのまま湖から出ると駆け出した。

 

「待てって」

 

「僕には近づかないほうが君のためだ」

 

色白は足を止めて、困ったように顔をしかめた。

おうおうそこまで邪険にせんでもええやないの。

 

「食い物、分けて欲しいんだよ。頼む!」

 

困るよ、頼む、困るよ、頼む、困るよ、頼む、困るよ、頼む、困るよ、頼む、困るよ、頼む!と何度もその応答を繰り返した結果、ようやく頷いてくれた。ふふふ、粘り勝ちよ。

 

 

 

「にしても、お前。やっぱいいやつだな」

 

肉の干物にかじりつきながら、俺は色白を褒め称える。

焚き火をしながら二人で火を囲み笑みを溢した。

 

あぁ、俺がこんなにも安らかな時間を送れたのはいつぶりだろう。こんなワケわからない世界に落とされてから初めてかもしれない。つーか、初めてだ。

 

「別に……。僕はそんなんじゃない」

 

「そんなことねーって。しつこい頼み方で押しきった俺が言うのも可笑しいけど、お前はいいやつだ間違いない」

 

「……」

 

無愛想なやつだ。だけどまぁ、人と接する機会を避けてきたんなら仕方ないか。

 

「俺は刀児だ。よろしくな」

 

手を差し出すが握手は拒否されてしまった。

うん、まぁ徐々に馴れてけばいいさ。

 

「……僕は、ゼレフ」

 

「そか、ゼレフか。俺はトージでかまわんよ。仲のいいやつはみんなそう呼ぶ」

 

「……そうか」

 

肉に視線を戻すと、俺はかぶりついて飲み下していく。

ほんとにもう、美味い。こんなに美味いものを食べたのは久しぶりな気がする。最近は恐ろしいほどにまずいものしか食ってなかったから……。あぁ、なんか泣けてきた。もう、こいつ親友確定だ。

 

「それじゃあね、トージ。僕は君の近くにいるべきじゃない」

 

立ち上がったゼレフは、森へと体を向ける。

 

「あ、おい」

 

「食べ物もわけたし、これで僕は消えるよ」

 

「あぁ、旅の途中だっけ。そっか、目的があるなら無理に引き留めるわけにもいかないもんな」

 

「……そう、だね」

 

その背中に、なにか寂しいものを感じることができる。なんとなく、俺でも読み取ることはできた。

 

ねぇー、ていうかー、LINEやってるぅ?とか言って絡んでみてもいいんだが、残念ながらこの世界にそんなものはないだろう。この鬱蒼とした森の中に電波が通っているとは到底思えない。

 

「そっか、元気でな。またどっかで会うこともあるかもしれないし、そんときは俺が何か美味いもん食わせてやるよ」

 

「……その機会は訪れないことを願うよ」

 

「たははー、辛口だなゼレフ君よー。このケチケチトージさんが言ってるんだお言葉に甘えたまえ」

 

「……」

 

振り返ったゼレフは、優しい笑みで手を上げた。

俺もそれに合わせ、手を上げて笑顔で送る。

 

「元気でな!」

 

「君も」

 

 

きょうのけっかほうこく!

 

 

いせかいにきて、はじめておともだちができました!

 

 

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