モンスターイミテーション   作:花火師

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文章かくのはいいんだけど、後先考えず好きなことばっか書いてると組み立てるの難しいね!(当たり前)
プロットって大事!(やり方知らない)

(今作の主人公だけど楽園の塔では出番まったく)ないです。
(ちなみに原作の主人公も同じく殆ど出番)ないです。


それぞれの思惑

「どういうことだ、ジェラール」

 

『フリードすまない。今話したのはあくまでも予想だ。だが用心に越したことはない。頼めないか?』

 

「お、おいっ。やめてくれ、頭を上げろ」

 

魔水晶(ラクリマ)越しに真剣な顔つきで頭を下げるジェラール。そのらしくもない姿に、慌てて頭を上げさせる。

 

「だが、もしその予想が正しかったとして何故俺なんだ。俺よりもマスターに直接頼むべきだろう」

 

俺の腕を頼ってくれるのは嬉しい。だがもしそれが事実ならば未曾有の大事件だ。俺よりもマスターや聖十、評議院の指示を仰ぐべではないだろうか。

 

『あぁ。だがすまない。評議院やマスターにはあまり関与して欲しくはないんだ。……後々不利になる訳にはいかない』

 

「……なんの話だ?」

 

いや、なんでもない。そう慌てるように小さな呟きを否定した。

しかし、どうしたものか。俺たちは今、雷神衆のクエストを禁止されている。確かにクエストではなく只の旅行だと(めい)()てばいい話だが。ラクサスたちにどう説明したものか。

 

『無茶を承知で頼んでいる。大きな借りを作れると思ってくれ。もしもの事があれば俺は何がなんでもフリードや雷神衆の力になろう』

 

「……はぁ。いいだろう、わかったよ」

 

何度も頭を下げるジェラールに、ついに俺は頷いてしまった。

実際のところ、借りなどなくたってジェラールなら俺たちが困った時には全力で助けてくれるだろう。こんな口約束の借りなど、所詮カタチだけに過ぎない。所謂、大義名分というやつだ。

 

しかし、我ながら意思の弱い。だが仲間にこれだけ頼まれては無下にできない。

これは俺一人の頼まれ事だ。時間もないようだしすぐに出なければな。……後でラクサスたちにどやされるかも知れないが致し方あるまい。

 

『チケットは必要ない。従業員には俺の方から金で頼み込む。積まれれば一人くらい許してくれる筈だ』

 

積まれれば、か。

 

まったく、いったい誰の影響を受ければあの生真面目なジェラールがそんな発想を出来るようになるのか。

……まぁ、ジェラールはいざとなれば手段は選ばない。だが根はどこまでも真っ直ぐな男だ。つまり、ジェラールにそんな手段をとらせるような事態に陥っているということか。

 

「わかった。足がつかないよう、術式で隠蔽しながら向かう」

 

『頼む。着き次第作業に取りかかってくれ』

 

「了解だ。これが終わったらラクサスに説明してもらうからな」

 

『ははっ、わかってるさフリード』

 

「ジェラール?何してんだー?」と、魔水晶が遠くからのナツの声を拾った。

なんでもないさ、とナツの相手をするジェラール。そこで通信は途絶えた。

 

……さて。では準備を始めなくては。

まずは、一度に複数の術式を書くための魔道具を久しぶりに引っ張り出さなくては。それと、高速の作業に伴って風読みの眼鏡も必要だな。聞いた話通りなら、最適な条件は揃っている。あとは俺の技術次第という訳だ。

 

これは、久しぶりに腕がなりそうだ。

 

 

◇◇◇

 

 

「エルザァ!エルザって女はどこだぁ!出てこいやコルァアアア!!」

 

「おい落ち着けよナツ。暴れても魔力の無駄遣いするだけだぞ」

 

「うるせェ!こっちはハッピー拉致されてそれどころじゃねえし!エルザはぶっ飛ばしてえし!あの梟はグレイに横取りされるし、四角の顔だって触り損ねたし、あとついでにルーシーも襲われたんだぞ!」

 

「おい、アタシはついでか」

 

「ジュビアもいます。ねっ、グ・レ・イ・様ぁ~」

 

「お、おう。そうだな」

 

「エルザァ!でてこぉーい!!」

 

「……なんか、一気に密度高くなったわよね、アタシたち」

 

「密度っつーか、濃さに関しては今更じゃねーか?」

 

「まぁそうなんだけどね」

 

むきぃー!さっき共闘したからってグレイ様を横取りできると思わないでよね!この泥棒ネコ!ムッキィー!なんて後ろでハンカチを噛んでいる元エレメントフォー。ジュビアを横目に、これ見よがしな階段を登っていく。

 

闇ギルドの一人。名前は覚えてないけど、ロン毛の男をジュビアと共にどうにか撃破。その後、どうすればいいのか戸惑っていた所にボロボロになったナツとグレイが合流。

ジュビアの擬態でこの塔に乗り込むことは成功したが、その後分断されてしまったジェラールとハッピーを捜索するため、とりあえず上へと目指すことを決めて現在に至る。

 

「ハッピーどこだぁあ!あとエルザァ!でてこぉおーい!!」

 

「なぁ、さっきから気になってたんだが、なんでジェラールの名前は呼ばねーんだ?」

 

「んなもん、ジェラールが出てきたら俺のぶっ飛ばす相手が横取りされるからに決まってるだろ」

 

「なるほどな、それもそうか。確かにそれはつまんねーな」

 

「てめえにもやらねえけどな!」

 

「んだと!」

 

「んだよ!」

 

「私の為に争うグレイ様、ステキ」

 

「あんたのフィルターはどうなってんの」

 

グリグリと互いの額を押し付けて威嚇しあってる馬鹿たちと、惚け続ける青い少女にため息が溢れる。

 

こんな時こそジェラールが居てくれたら、この二人に拳骨をお見舞いして黙らせてくれるのになぁ。

私にこの猛獣たちの手綱を引けというのは流石に無理がある。手綱を握った側が市中引きずり回しの刑に合う姿が目に浮かぶようだわ。

でも、エレメントフォーの一人が(なぜか)協力してくれるのは凄く頼もしいし、ありがたいわ。この馬鹿たちが喧嘩を初めて仲間内で戦力が分断されるのだけは、どうにか収めなければ。

 

うぅ。フェアリーテイルの今後を揺らしかねない事態が私の肩にかかってるだなんて……胃が痛い。

 

「そういえば、ジェラールが説得したあの三人組はどこに行ったんだ?」

 

グレイがナツとの争いを一旦置いて、そう首を傾げた。

 

「ハッピー!ハッピィィイイ!!そこかっ!」

 

飾り物の壺を覗き込んでいるナツを横目に、そういえばとその時の記憶を巡らせた。

確か、ショウ、ミリアーナ、ウォーリーだったかしら。

 

「グレイは梟と戦ってたんでしょう?あの場にいなかったもんね。あの三人ならジェラールが……」

 

……うん。なんか余り思い出したくない。

ジェラールが本物のフェアリーテイルみたいなことをしていたことなんて(本物のフェアリーテイルだけど)思い出したくない。

 

「が?ジェラールがなんだよルーシィ」

 

「ハッピーーーーー!!ここに魚あるぞーーー!!」

 

「いや、あれよ。あの後ここに残るって言う三人をジェラールが説得して船に乗せて避難させてたわ」

 

「ふーん、そっか。ならいいんだけどよ」

 

説得したのだ。

ジェラールが、エルザ・スカーレットという元凶について、過去から現在に至るまでの状況を三人に説明した。

騙されていた旧知の仲間である三人は「目を覚ました」「エルザに復讐するんだ」と、息巻いて塔へ向かっていった。だが当然、ジェラールはそれを許さなかった。

珍しくムキになっていたジェラールが三人を止めようとした。

だがジェラールに向かって攻撃魔法を使い始めるくらいには、彼ら三人の怒りは有り余っていた。

 

だから説得(・・)説得(・・)したのだ。

 

「あれがカグラ式説得術……カグラ恐ろしい」

 

ジェラールが行っていた『カグラ式説得術』という手法に、背中に冷たいものが走った。

垣間見たそれは正しく鬼の所業。実行できるジェラールも恐ろしいが、それを考案したカグラの恐ろしさたるや。

恐ろしい。恐ろしいカグラ。

 

「コノ恋敵ィィイイイ!!!グレイサマヲ誘惑スルナァァア!!!」

 

「いやいや、してない!してないちょっとお!」

 

まるでアンデットのようにドロドロに変形したジュビアが私に襲いかかり、命懸けの鬼ごっこが始まった。

 

「おいルーシィ、なに遊んでんだよ!お前もハッピー探すの手伝えよ!」

 

「アンタに言われたくないわよ!?」

 

壺の中に体を入れて、蓋を頭に載せて顔だけを出しているナツが私へ(いわ)れのない誹謗を飛ばしてきた。

そんな状態でよく文句言えるわねアンタ!どちらかというと遊んでるように見えるのアンタよ!

 

「そうだぞルーシィ、遊ぶな」

 

「なんでグレイまでナツと同じ壺に入ってんのよ!!」

 

「グレイサマ……ナツサンモ……ワタシノ.コイガタキ?」

 

「ハッピーの居場所に心当たりねえのか?」

 

「あの猫女が部屋に置いてきちゃった、とか言ってたけど、部屋どこなのか聞き忘れたんだよ」

 

「使えねえな、このツリ目」

 

「ンダトォ!?」

 

「んだよ!?」

 

「グレイサマ……コイガタキ」

 

もう、誰か助けて。

 

 

◇◇◇

 

 

『楽園の塔は今すぐにでも浄化すべきだ』

 

衛星魔法陣(サテライトスクエア)を起動させろと!?』

 

『ヤジマさん。折り入ってお願いがあるんです』

 

『……いいのかね?スモン君。つぃみの言葉が正すければ、愛した女性もろとも殺めてすまうことになる』

 

R(リバイヴ)システム。つまり楽園の塔の完成が意味するのは死者の復活。とてつもない禁忌だ。これ以上、彼女に罪を重ねてほしくないんです』

 

『こんな時に、快晴とは……皮肉だな』

 

『賛成のものは挙手を』

 

『正気か!周囲一帯、辺りの島々や海域の全てが消し炭になるんだぞ!』

 

『ゼレフの復活は阻止せねばならない』

 

『局所より全世界の安寧を取るべきだ』

 

『意義なし』

 

『意義なし』

 

『意義なし』

 

『意義なし』

 

『意義なし』

 

『意義なし』

 

『意義なし』

 

 

 

「エーテリオン発射は可決された」

 

ウルティアに監視用にと、高価なものを持たせておいて正解だった。

眺めた魔水晶(ラクリマ)の中では、隻眼の男があれやこれやと手を尽くし、この楽園の塔を破壊せんとする姿が映っていた。

 

その男、シモンが水晶の向こうで評議院の連中を相手に弁を振るう姿が余りに滑稽で、つい喉の奥から笑いが込み上げる。

 

「実に馬鹿な男だよ、シモン。愚かで使いやすくて、更に笑えるとまできた。面白い道具だ。お前を外に出しておいて正解だったな」

 

やはりウルティアの見立てに間違いはなかった。

何よりあの女がシモンを操る手管は見ていて実に愉快だった。まさしく、舌を巻くような手腕。

催眠と失われた魔法(ロストマジック)の使い手。

あの体(・・・)でありながら、評議院の一人にまで上り詰めたシモン。

こちら側にやつらほど優秀で扱いやすい駒がいたことに感謝せねばなるまい。

 

衛星魔法陣(サテライトスクエア)から発される超絶時空破壊魔法(エーテリオン)。これがここへ落ちること。その意味を、シモン。そして評議院のやつら、世界に見せつけてやらねば。その上で笑ってやるのだ。「ご苦労」とな。

 

他の魔水晶(ラクリマ)には、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面々が情けない三羽鴉(ザコ)に足止めを食らっている姿が見える。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)。三羽鴉に手間取るようでは、ジェラールの所属するギルドも高が知れたな。低レベルも甚だしい。

 

まぁそれはそれで構わない。少し気に食わないところではあるが、気を荒立てる程でもあるまい。

 

さぁ、準備は整った。

 

 

◇◇◇

 

 

 

ここは、真っ暗だ

 

 

光なんてどこにもなくて、俺にあるのは消えようもないひとつの熱だけ。それだけを便りに前へと這いずる。

 

 

眩しい。だから嫌いだ。

キラキラと目障りに輝いて。誰でも照らして、なんにでも希望を見せて。

チカチカと、鬱陶しい、

 

だから

 

貴様にも前が見えないことの恐ろしさを教えてやろう。

 

手探りの世界がどれだけ真っ黒で血生臭いのかをわからせてやろう。

 

 

俺たちがひた進む世界

 

 

盲目の世界を

 

 

 




許してニャン(一夜ボイス)
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