ゴシゴシ・・・
ほぁ!?(今
どこぞの王家と騎士団を救出し、ペッコ兄貴にジョーさん呼ばれて死にかけてから数日たった。
二日ほどで森の脱出に成功したおかげか、それほど体力を消費しないでいられた。
地図もなければコンパスもないから、どっちがどの方角だかが分かりゃしない。まぁ、日の動きが俺の知る世界と同じなら話は別になるが。
因みにサバイバル生活で一番の問題となる食料だが、そこらへんにいるケルビっぽいなにかとファンゴっぽい何かを狩ったら生肉が取れた。
相変わらず二回ナイフを突き立てると、音もなく透けて消える現象に目を剥くが、その肉を焼くことでこんがり肉になった。
水分は、回復薬や秘薬などがそのカテゴリに割り当てられているようだ。(基本は液体のもの、川の水でも大丈夫だった)
こういう感じで食料事情は問題ないのだが、これ以上に確保に手間取ったのは睡眠場所だった。
普段狩場には、キャンプと呼ばれる休憩場所が存在する。
一度目を閉じれば、万病どころか弱体解消に機嫌も元通り。何が起きようとここで寝れば完全復活を遂げられるのだ。
しかし、ここには存在しないのかもしれない。
脱出後も、迷わぬように道しるべを置きながら探索するも、結果は振るわず。
あの時は油断していたこともあってどこでもいいだろ?的な感覚でいた。
だがいざ実行してみると、夜のせいで狂暴化している獣たちに翻弄されてしまったのだ。
ファンゴっぽいナニカに轢かれ、ケルビっぽいナニカに踏まれ、巨大化してる蜂っぽいナニカに刺され・・・。
踏んだり蹴ったりとは、まさにあの時のことをさすのだろう。
結局、人ひとり乗っても折れないであろう丈夫そうな木の枝の上で寝た。
落ちない様にバランスを取り、ようやく良い場所を見つけてそのまま。
起きたときの体勢は木に体を預けるような姿勢だったため、翌朝は全身に迸る痛みに耐えながら行動していた。
現在は狩りで入手した骨をもとに簡易のキャンプを作成し、そこを拠点に活動している。
獣を狩り、釣りをしたり、見たことない虫を追いかけ、離れに作った畑で作物を栽培する。
まるで隠居した爺さんのようだが、これでなかなか楽しんでいる俺。
もういっそこのままグータラしててもいいかなぁ・・・なんて考え始めていた時だった。
―――――そうだ、旅をしよう。
どこぞのCMみたいに唐突に思いついた。
今はこんなだが、もともとはRTAプレイヤーだった。誰よりも、何よりも早く、その『世界』を攻略するトッププレイヤー。
俺は間違いなく、その一人だったのだ。
ここが本当に俺の考えた世界なのか、正直確証はない。
いくつかの共通点が存在しているだけの、別世界かもしれない。
俺の知るゲームのように、一度力尽きたら蘇ることが出来るのか、そもそも、ステータスやレベル、金銭問題もなにも分かっちゃいない。
―――だったら、すべて『攻略してしまえばいい』。
死ぬかもしれなければ、死ななければいい。
レベルなんか関係なしに、圧倒的な演算力で殴り殺せばいい。
金がないなら、最初っから金に頼らない生活をすればいい。
分からなければ手に入れてしまえばいい。
こちとら『世界の攻略者』だ。
攻略の邪魔になるなら、それすらも攻略してみせる。
なーんてかっこつけてみたが、実際はこの世界を見て回りたかっただけだ。
1LDKの狭い世界に住んでいたころとは違う、惑星単位の世界に、今俺は存在している。
画面越しでしか感じ取れなかった人々の表情も。
人を虜にしてやまない季節の移り変わりも。
なにより。
人と人とのつながりを、今俺は、この目で見ることが出来る。
それがどうしようもなくうれしいのだ。
現実の俺の環境は、何もかもがバラバラだったからこそ、画面の向こうの世界に余計に憧れた。
共に支え合い、笑いあい、困難を乗り越えていく。
俺は、きっとそんな景色を見てみたかったんだ。
別にパーティーに入りたいわけじゃない。ただ、同じ風景を分かち合いたいだけだ。
それが実現できるかもしれないこの世界を。
攻略して見せる。
俺の願望のために。
俺の『RTAプレイヤーとしての誇り』ために・・・・。
次の日の朝、俺は荷物をまとめて、どこへともなく放浪することにした。
最初は町が定番だろうが、以前見た限りでは中に入るにも金が必要で、加えてナニカ紙のようなものを渡していたことから、通行許可証、もしくは身分証明書のようなものが必要だと考えた。
現状では、その二つを満たせるものは手にない。
せいぜい金になるか分かりもしない動物たちの素材位だ。
よくある二次小説のように運よく商業用の荷車が通るわけもなければ、予想外のモンスターに襲われる初心者たちもいない。
ここいらを縄張りにしている山賊は壊滅させたし、何か危険なモンスターが出るというわけでも無い。
至って平和。現状それに尽きる。
以上のことから、とりあえずここを離れてなんかしようという考えに至った。
フラフラーっと歩いては日が暮れてキャンプして。
朝が来たら綺麗に片づけて、また歩き出す。
見ばえの変わらない単調な行動だが、なぜか、飽きが来ることなかった。
――――――――――
なんか、デカい町――というより都っぽいところについてしまった。
まさかの町すっ飛ばして都である。
グンマ―帝国めざしていたら東京についていた並の驚きだ。
事実、初めて来たときの衝撃は半端ではなかった。
入り口らしき門を取り囲むように人が群がり、何かを叫んでいるのが見えた。
ちらっと見えた限りだと、随分と豪華な馬車がみえたから、お偉いさんでも来たのだろうか?じゃあこれはいわゆる歓迎モードってやつか。
内心ここによるつもりはなかったので、お偉いさんの顔だけ見て退散することにしよう。
せっかくだからと圧倒的野次馬根性を発揮して、一番よく見える最前列まで移動した。
ガチャリと開かれた扉から出てきたのは、初老を迎えたであろう男性だった。
立派な顎鬚を蓄えて、なにやら高価そうな杖を片手に降りてくる。
次は、ふくよかな体の貴婦人で、ほかの野次馬達とは素材が違うであろう上質な服を身に纏い、手を振っている。
「なんとまぁ格差の分かりやすいこって・・・」
そんなにいらないだろってくらいに施された装飾。
襲われてぇのかって思うぐらいに派手な色合い。
確かに上級階級なのはわかるが、これはスパイする必要もなく暗殺できてしまえるだろう。
この時代でよくあったであろう誘拐も、現代以上にやりやすかったことだろう。だってめっちゃ分かりやすいですしおすし。
―――おおこyこy・・・。
あと一人くらいの人影が見えたが、妄想の恐怖からか背中に氷を放り込まれたような感覚。
特に関係ないことで背筋に嫌な感覚を憶えた俺は、すぐさまここを離れることにした。
おれ、怖いの苦手。ぼくはわるいはんたーじゃないよ。ぷるぷる。
怖いがるとき特有の、腰の上あたりに発生した『なんか見られてる感』に対抗するために、さりげな~く太刀に手を添えて、物陰に隠れながら去る。
周囲を警戒しながら出来るだけ影を伝って進む俺は、さぞ怪しく見られているだろう。
「なぁにあの人。なにしてるのかしら?」
「なにしてんだこいつ(直球)」
「ままー!この人なにしてるのー?」
「しっ!見ちゃいけません!」
とか言われたら、ガノトトスを水の中で倒した時くらい凹むぞ。心が。
なんとかばれない様に、すぐ近くにあった森に飛び込んで一安心―――。
「あ”あ”?」
「」
とでも思っていたのか?(伝説並感
騙して悪いがこれも仕事なのでな―――。
目の前に「俺、山賊してます。めっちゃ犯罪好きです」みたいな格好してる奴らがいた。
しかも中でも一番ヤバそうなやつの目の前に飛び込んだ。
やべぇよにやべぇよ・・・。めっちゃモヒカンだよ・・。超でけぇイノシシに乗ってるよ・・。
雰囲気からして世紀末感半端ねぇよ・・・。
しかもさっきから俺見てなんか言ってるよこいつ。
そしてだんだんとにじり寄ってくるモヒカンの手下達(モヒカン
モヒカンの手下のモヒカンだぁ?これもうわかんねぇなぁ・・・。
てかこっちくんな。
頭の中が混乱してる間に囲まれる俺。
「おい、こいつかなりいい顔してないか?」
「確かにそういやそうだな。へへ、捕まえたら奴隷商に高く売りつけてやるか!」
「御頭ぁ!その前においらに味見させてくださいよぉ・・・。げぇへっへっ・・・おっと涎が・・・失礼」
「お前ホモかよ」
(お前ホモかよ)
俺の内心と御頭と呼ばれたモヒカンのセリフが被る。
そして、部下からのお願いを御頭はどうするのか―――!
「いけ」
「―――」
≪やべぇ≫御頭まさかのゴーサインを出す≪俺終わった≫
うっそだろお前!今のはキモい死ねって仲間割れが始まるタイミングダルォ!?
しかも、声には出さないが視線に熱がこもり始めた奴が数人。
ヤバい、何がヤバいって俺の貞操がマジリアルにマッハでヤバい。(語彙力低下中
いやだ・・・せっかくの夢だったイケメン(キャンプ中に確認済み)になったのに男に絡まれるなんて嫌だ・・・。
百合は大好きだけど、よりにもよって薔薇の中心人物になるなんて嫌だ・・・。
DTよりより先にSJを失いたくないよぉ!(意味不明
俺の意思を明確かつ俊敏に受け取った肉体は、後ろからかかってきた男を避けるように左へ跳躍。
体を空中で捻って木の枝にワイヤーを掛けると、そのまま上空へと逃げ去った。
そんな俺を呆然と見ている奴らにひたすら麻痺投げナイフを投下していく。
刺さった瞬間に地面に倒れる姿は、霊障現場みたいですこし恐ろしい。
まあ、対モンスター用だから仕方ないね。
すぐ我に返って反撃してくる奴は、弓で肘を射って行動不能にする。
ホモには触れたくなかったから、縄で体を縛ってひとくくりに。
ただし、手首と足首も抜けられない様にしっかりと結んでね?
山賊たちをミノムシみたいになるまで巻き付けたら、『私は山賊です。裁いてください』と書いたプラカードを、御頭の首にひっさげる。
俺はそのまま山賊たちにくるっと背を向けると、アスリートばりのフォームで走り出した。
そして一言。
「ホモに人権はねぇ」
※あります
その日のキャンプは、特に意味なく背後を、もといお尻あたりを庇いながら過ごした。
ほぁ!?(十二月最後
ほぁぁ!?(一年終わりそう
ほぁぁぁ!?(ショック死