以前は提督が戦う物語でしたが今回は趣向を変えてみました。
肌に合わないかもしれませんが最後まで読んで感想をいただけると嬉しいです。
ー南方海域Aライン
「本当にいるのか、無肢竜型の深海悽艦って」
単独で敵地の偵察に来ているのだがこの辺りをうろついていると報告があった深海悽艦は
姿も見せなければレーダーにも引っ掛からない。
本来ならこの手の任務は駆逐や軽巡の艦娘が4隻編成で引き受けるはずだが
なぜか僕が任命された。しかも一番危険な単独で。
反攻作戦が迫っているから実力未知数なアイツを捨て駒同然で出してみるか。
みたいな感じで出されたに決まっている。
「せめてサブマシンガンとか支給してくれたらいいんだけどねぇ・・・」
偵察任務なので音の大きい銃火器は支給してもらえず、渡されたのは高周波ブレードが二本と
パイルバンカーのみ。
いくら装備が重装甲だからって近接格闘武器だけ渡すのはどうかしてる。
あの大和だって不沈艦とか言われてたけど攻撃を食らいまくったら沈んだのに。
ビーッ、ビーッ。
心の中で愚痴を吐いていると突然アラートが鳴った。
「遂に来やがったか、サ級」
バイザーに投影されている矢印の方を見ると100m先からかなりの速さで何かが接近
していた。
「報告があったやつに違いは無いがここまで大きいとは聞いてないぞ⁉」
目測で全長25mもあるバケモノが海面から姿を現した。
大砲や魚雷発射管等は見当たらないので近接戦闘を主体とした戦法で来るに違いない。
しかし口から砲弾あるいは溶解液が吐き出されたら堪ったものではない。
「一撃で仕留めたいがちょっと難しいな」
刃を突き立てるにしろサ級の体は堅牢で重厚な鱗におおわれているので考えなしに攻撃するの
は避けた方が賢明だろう、そうなると目か口内が有効な弱点か。
ゴァァァァァ‼
攻撃有効範囲内に入るとサ級が雄叫びを上げ、自分を噛み砕こうと食らいつくが
すんでのところで回避する。
「あれに噛まれたら装甲ごと噛みちぎられるな・・・」
初撃で敵を殺れなかったことが悔しかったようでサ級は歯噛みをしている。
二撃目が来る前に高周波ブレードを引き抜き、正面に構える。
「来るならこい、バカデカい海蛇野郎」
軽く挑発したら案の定高速で接近してきた。
肘を引き弓の弦のように腕を引き絞り、刃先で狙いをすます。
サ級の紅く光る目が自分の攻撃範囲に入った瞬間に目へと刃を突き刺し、
そして脚部にある推進装置の出力を最大にし、刀身が突き刺さるところまで一気に突き刺す。
しかし急所のコアまでは到達こそしなかったが、大量の血液が吹き出して装甲を紺に染める。
これ以上この状態でいると反撃を食らいかねないのでブレードを引き抜いて5m程離れる。
「うわ、刃先が折れてる」
もしかして突き刺して骨を砕いたときに折れたのだろうか。
しかしサ級は満身創痍といった感じでぐったりとしている。
「止めをさしてとっとと帰るか」
腰からパイルバンカーを取り、グリップを握ってサ級の頭に叩きつける。
叩きつけた衝撃で炸薬が破裂し、鉄の杭を頭骨を砕く。
衝撃で頭が原型を止めないくらいに破裂してしまったが仕方がない。
「今日ほどサクッといった戦闘はなかったな」
そして誠は皆が待つ母港へと帰投した。
ー呉鎮守府
「おかえり、また派手に浴びてきたね」
装備を解除し、シャワールームを出ると提督が待っていた。
彼女は提督の中でも珍しい女性提督ということもあり、鎮守府内は女性が圧倒的に多い。
「すみません、整備の方も怒ってますよね?」
「もうカンカンに怒ってたよ、何でブレードを折ったんだって」
「そ、そっちですか」
てっきり血をべっとりと浴びて帰って来たからだと思っていたので何となく安心した。
「じゃあ私は戻るね、ちゃんと整備の藍田さんに謝っとくんだよ」
提督は僕にそう言うと執務室へ戻っていった。
「一応工廠に行くか」
どこかブルーな気分で工廠へ足を運ぶ誠だった。
ー工廠
「あのー、藍田さんはいらっしゃいますか?」
ドアを開けて一応確認を取ると奥の方から足音が聞こえた。
「おう夜月、何か用か?」
「あの、ブレードを折ってしまってすみませんでした」
頭を下げて謝るとクスッと笑われた。
「あまり気にするな、もしかしてカンカンに怒ってるとでも思ったか?その顔を見る限り提督
の嘘に乗せられたな。まぁいい、整備は済ませとくから今日は休みな。軍人は体が資本だ」
藍田さんに促されるままに部屋を出て、自室へ戻る。
ー自室
「あーやっぱりな」
目の前には居間でゲームに興じる艦娘が3名いた。
「やっと帰ってきたか、心配したぞ?」
近くに寄ってきて話しかけてきたのは初月だ。姉妹が舞鶴へと行ってしまい寂しいと言うので
ここで寝泊まりしている。
「あら、まーくん帰ってたの?」
Tシャツ(僕の)にホットパンツというラフな格好でいるのは愛宕だ。
いつも弟のように接してくれるのはありがたいのだがその格好で部屋にいられると非常に目に
毒なのでせめてジーンズにして欲しい。
「おかえり、夕食は済ませて来たから問題ないぞ」
PCメガネに上下が黒で金色のラインが入ったジャージという何とも言えない格好でゲームをし
ているのは長門だ。いつもは武人のような雰囲気を漂わせているクールなお姉さんという感じ
だがスイッチが切れると単にかわいいもの好きで不器用なお姉ちゃんに変化する。
「もう9時か、カップ麺で我慢しよっと」
戸棚からカップ麺を取り出して蓋を開け、電気ポットでお湯を注ぐ。
ちなみにカップヌードルは1分が僕の中では鉄則だ。そんでもってお湯は線より5ミリ下。
「まーくん、最近カップ麺が続いてるけどたまには自分で作ったら?」
「そうしたいのは山々だけど時間も無いし手早く食べたいからね」
愛宕が心配してくれるは嬉しいのだが戦闘後に食事を作る程の体力は残っていない。
でも体を壊しかねない食生活なのは否定できないのでそろそろ解決策を見いださねば。
そんなことを思いつつもカップ麺の蓋を取り去り、麺をすする。
相変わらずチープな味だが疲れてると不思議なことにとても美味しく感じる。
「ところでさ、数年前のゲームやってても飽きないの?」
三人は先ほどから携帯ゲーム機で通信プレイをしている。
そのゲームは自分が中学生の頃に流行ったゲームで自分も例外ではなく、勉強そっちのけでやっていた。
「初月、誠を真似て大剣を使うのはいいがもう少し慣れてからG級で使え」
「長門さんだって真似てるくせに」
「私はこの武器が一番しっくり来たから使っているんだ」
初月と長門の微笑ましい会話を眺めながら食事を終え、自分も参加する事にする。
「まーくんもやるの?」
「蒼レウスくらいなら付き合うぞ」
「僕も一緒にいいかな?」
その後、日付が変わるまでゲームに付き合わされた。
でもそんな日常がどんなに幸せだったかは反攻作戦が開始された頃に思い知らされた。
ー今回の開発ー
レシピ・・・10/251/250/10
結果・・・46cm三連装砲、41cm連装砲
次回
夜月の抜錨