ダンジョンに飯を求めるのは、間違っているだろうか?   作:珍明

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評価、お気に入り、感想まで付いて嬉しいです。
ライオスについては、おおざっぱな設定を付けくわえただけで、あまり深く考えていません。

・17.9.14、ライオスの名字?が判明したので付け足しました。


冒険者

 連日の夜通しで、流石のライオスも疲れた。

 5階層と言えど、魔物は出てくる。こんな場所で睡眠を取るのは初心者でもしない。

 迷宮には階層を行き来する正規ルート、そして冒険者が秘匿する隠しルートが存在する。ファミリアの仲間から教えて貰っている隠しルートで、ライオスは腰を落ち着けた。

 少しだけ仮眠してから今日はお終いだ。いつもより稼ぎは少ないが仕方ない。

 

 ――地響きで意識が覚醒した。

 

 この振動は魔物の足音だ。しかも、ミノタウロスに間違いない。中層の魔物が何故、上層になど考えない。あれだけ耐久力のある魔物なら、調理できるかもしれない。

 高揚感に武者震いが起こり、ライオスは抜刀する体勢で音を追いかけた。

 

 案の定、筋肉隆々のミノタウロスが涎を垂らしながら壁に突っ込んでいく。おそらく、壁に逃げ込もうとしているのだ。強敵に出くわした魔物は本能で壁に帰りたがる。中層から凄腕の冒険者から逃げてきたのだ。

 追手が来る前に、捕獲せねば――。

 手早く腰の鞄から縄を取り出し、ライオスはミノタウロスに投げ放とうとした。

 

 ――金色の髪が、疾走した。

 

 縄より先に、彼女はミノタウロスへと斬り込む。その麗しき姿をライオスは知っている。ロキファミリアの【剣の姫】アイズ・ヴァレンシュタイン。

 鋭くも美しい剣先に斬られ、ミノタウロスは断末魔と共に絶命した。

 

「ああああああああああああ!!!」

「きゃああああああああああ!!!」

 

 折角のミノタウロスを倒されてしまった。そのショックで、ライオスは我を忘れて悲鳴を上げる。もうひとつ、悲鳴が聞こえた気がするが気にしない。

 その悲鳴の主である白髪の少年がアイズを走り抜けた。ライオスも走りたい衝動で、駈け出した。

●○

 ギルドへ続く道には出店が多く建ち並ぶ。そこを行き交う人々も多い。

 人々は奇妙な者を見た。

 血塗れで走る少年とそれに続く青年だ。2人とも、何故か叫んでいた。

 ベルは途中で足を止めていた。しかし、後ろを振り返れば、あの解体男が走ってきたので恐怖で走りだしたのだ。

 ライオスは止まるタイミングを完全に失い、ひたすらベルの後を追った。

 

「エイナさあぁん、アイズ・ヴァレンシュタインさんの事を教えてくださあい!! 変な人が追いかけてきます! 助けてええ、エイナさぁぁん!」

 

 錯乱したベルは色々と叫ぶ。ギルドから偶々出てきていたエイナは、状況に驚きすぎて慄いた。

 

 ベルの血濡れを落とし、ライオスから経緯を聞いた。エイナは呆れて、苦笑しか出ない。重い深呼吸をしてから、営業スマイルでアドバイザーとして注意する。

 

「まずはライオスさん! 体調管理も冒険者の義務ですよ! 体に負担をかけないで下さい! わかりましたね? それにミノタウロスを単身で捕獲とか無茶は本当に止めてください。上層の魔物だけにしてください」

「折角、ミノタウロスが来てくれたのにな……」

 

 本当に残念そうなライオスは、それだけ呟いた。

 

「次にベルくん! なんで5階層まで下りてるの! 君は、まだ半月の冒険者でしかもソロなのよ! 私、前に言ったよね? 冒険者が冒険しちゃ駄目だって!」

「はい……すみません」

 

 ベルの事情に、ライオスが目を見開く。

 

「え? まだ駆け出しじゃないか……、しかも、子供で……駄目だよソロなんて、迷宮は遊び場じゃないんだ。ちゃんと仲間を募集して、準備を整えないといけないよ」

「はい……、でも僕みたいな弱そうなのとパーティ組んでくれる人っていなくて……」

「ライオスさん。今は私が話しています。貴方も人の事、言えません」

 

 親身になるライオスに、ベルは畏まる。エイナはわざとらしく咳きこんだ。

 エイナの注意から、ベルは不意に疑問を感じる。

 

「え? でも貴方も……ライオスさんも上層をソロで活動してますよね?」

「ベルくん、こちらのライオス・トーデンはLV3の冒険者なの。上層ならソロでも十分通用するわ。とても危険だけどね」

 

 語尾を強調し、エイナはライオスを一瞥する。彼は全くモノともしない。

 

「俺が上層にいるのは目的があるからなんだ。これが中々難しくてね」

「目的ですか?」

 

 不思議そうにベルは、ライオスを見つめた。そして閃いた顔をする。

 

「あの、それなら僕とパーティを組んでくれませんか? 貴方の目的の邪魔はしませんから」

 

 ライオス以外、場の空気が凍った。2人は上層でソロ狩りしている。当然の流れと言えば、当然だ。

 

「そうか! 2人ならソロじゃないから怒られないな。勿論、いいとも。俺はライオスだ。エイナが言ったように一応LV3だ。君の見本になれるように努めよう」

「本当ですか! ありがとうございます。僕はベル・クラネルです」

「ちょっと待ったああ!?」

 

 和気藹々と2人の握手をエイナは全力で遮った。

 

「ベルくん、ライオスさんは確かに悪い人じゃないけど、この前、怖がってたよね? 解体を間近で見る羽目になるんだよ!? わかってる!」

「そういえば、ライオスさんのアレって何なんですか?」

 

 心底、心配してくれるエイナを余所に、ベルはライオスに質問する。

 

「調理だ。俺は魔物を食う方法を探している」

 

 ライオスは真剣な態度で魔物を食す願望について、ベルに語る。こんな話をすれば、大概はドン引きして逃げるのがオチだ。

 だから、嘘偽りなく話す事で、ベルの覚悟を試している。一通り、話を聞き、彼の赤い瞳に迷いはない。それどころか、ライオスを英雄視するような輝きを宿していた。

 

「すごいです、ライオスさん! 迷宮攻略中に食料をなくしたせいで、餓死する人も出るとか! 迷宮で魔物を料理出来れば食料問題が大幅に解決します! 迷宮だけじゃなく、この街の名物になりますよ!」

 

 何故に、そんな発想となる。純粋すぎるベルの瞳はエイナに悲しさで心の涙を流させた。

 

「賛成してくれて嬉しい」

 

 ライオスは満足そうに頷き、エイナはツッコむ気力もない。

 微妙にズレた価値観に気づかず、ライオスとベルは固い握手を交わした。

 

 強張った表情のエイナに、ライオスは無理やり帰された。

 本日の稼ぎは、3333ヴァリスと数字も不吉だ。

 

「そういえば、もう夕方になるんだな。帰る前に屋台でツマんで行こう」

 

 空腹を思うと、腹が鳴った。

 

「いらっしゃいませ~、『ジャガ丸くん』はいかがですか?」

 

 ツイテンテールの少女が笑顔を振りまく屋台でライオスは3つ買う。本拠(ホーム)への帰路で平らげた。

 

(あのミノタウロスは惜しかった……。きっと、良い調理が出来たはずなのに)

 

 本拠に着いても、まだ根に持つ。玄関口で団長が凄まじい眼光で無表情に迫ってきた。

 

「貴方がついに冒険者を食おうと襲いかかった等という戯言を耳にしました! よもや真実ではないでしょうね?」

 

 たった数分、大通りを走っただけで尾ひれの付いた噂が出回っていた。しかし、見る人によっては誤解を招く。軽率だったと反省し、ライオスは笑顔を見せる。

 

「ヒトをそこまで愛していないから、大丈夫だよ」

「……ライオス、その一言で信じてしまう私は馬鹿なんでしょうね?」

 

 一度、言葉を切ったアスフィは溜息を吐く。安堵の息と言ってもいい。彼女はライオスを冒険者として高く評価している。ファミリア内でも、彼の人望はそこそこある。魔物への偏愛がなければ、それに見合う評価を受けるはずと確信があるのだ。

 ライオスも自分のせいで、アスフィに気苦労をかけている事はわかっている。

 

 ――でも、やめない。

 

「駆け出しの子とパーティを組む事になった。しばらく、その子に合せて昼間の迷宮に潜るよ」

「あら、珍しい事もあるものですね。良いでしょう、認めます。いいですか? くれぐれも相手に貴方のおかしな感性を伝染させないように」

 

 ライオスは大切な報告をすれば、すんなりとアスフィは承諾した。

 

「俺の話を真面目に聞いてくれる良い子だよ? きっと大物になる」

 

 遠くを見るライオスの笑顔を見て、アスフィは呆れて眉間のシワを解した。

 

●○

 ベルは、一日の自己討伐数を更新する。大量に湧いたコボルトを全て倒しきったのだ。ライオスは彼の様子を見ながら、自分に襲いかかるコボルトだけ倒した。

 ライオスの無駄のない素早い動きに、ベルは改めて彼の実力を思い知る。そして、本日、調理の犠牲となったコボルトを哀れに思った。

 

「この手を見てごらん。人間と獣の特徴が見事に溶け込んでいるだろ? 鋭利な爪は軽いし硬度が良い」

 

 上機嫌なライオスの解説を真面目に聞き入るベルは、もういっそコボルトにトドメを刺してやりたい気持ちでいっぱいだった。そして解説に夢中になり、ライオスはコボルトの命を奪ってしまった。

 

「腕や足を切り取るんじゃ、駄目なんですか?」

「血抜きやらで、処理している間に本体が死んでしまうんだ。そうすると一緒に腕や足も消える。中層以下なら……、ちょっとやそっとじゃ死なないが……、ソロでは行けないからな」

 

 本日、二体目の犠牲者に切り込み、ライオスはベルとそんな会話を交わす。

 

「そうか、腕を食べれたとしても魔物が死んでしまったら、食べた腕もお腹から消えてしまかもしれないんだ……」

 

 ベルの何気ない一言に、ライオスは重大な事実に気づかされる。魔物を生け作りで食しても、絶命の際に霞を食った状態になる可能性だ。

 ショックのあまり、ライオスは顎が外れんばかりに口を開き、ガタガタと震えた。

 

「そうか、そうだったのか……」

 

 失言に気づき、ベルは詫びようとした。

 その隙をついて、コボルトは必死に逃げ出す。驚いたベルは、逃がさないとばかりに絶命させた。ここで、コボルトを逃がしても、いずれ誰かに討たれる。ならば、自分達で討つ。それが魔物への礼儀だ。

 その一体は、牙を落とした。

 

「ドロップアイテムか! ライオスさん、ラッキーですよ」

「牙や爪じゃなく、肉とか耳を落としてくれればいいのに……」

 

 心底、残念そうにライオスは呟いた。

 

●○

 本日の稼ぎは、ドロップアイテムを含めて1万2千ヴァリス。ライオスとベルで、1:3の配分だ。

 

「いいんですか? 本当こんなに貰っちゃっても……」

「俺は全然、倒してない。ほとんど君の活躍だよ」

 

 安心したエイナに見送られ、2人はギルドを出る。

 

「あの良かったら僕と晩御飯、一緒に行きませんか? 今夜、ご飯を食べに行くって約束したお店があるんです」

「お店か……最近そういうところに行ってなかったな。喜んで一緒に行かせて貰うよ」

 

 ライオスの承諾に殊更、ベルは嬉しそうに笑う。

 

「良かった。一度、本拠(ホーム)に帰ってファミリアの神様も連れてきます。ヘスティア様って言って、とっても元気な神様なんです。そういえば、ライオスさんは何処のファミリアに?」

「ヘルメス・ファミリアだよ。君の神様は名前からして女性かな? 俺のところは男でね。放浪癖のある神様なんだ。癖があるけど、俺にとっては良い神様……?」

 

 言葉にしている内に、ライオスはヘルメスへの評価に悩んだ。疑問形で返され、ベルは苦笑するしかなかった。

 

 本拠に帰ったライオスは、アスフィに今日の稼ぎを渡す。夕食は飲食店で済ませると告げ、自室に荷物を置きに行こうとした。

 

「待ちなさい。外食なら、これは持っていきなさい」

 

 稼ぎの入った子袋をアスフィから投げ渡された。

 

「いいのか?」

「いいも何も、私は今まで一度も献上金を望んでいません。貴方が勝手に渡してきたんです。今までの分は厚意に甘えて頂いておきます。これからはパーティメンバーの為に使いなさい」

 

 素気ない彼女に、ライオスは深々と感謝した。

●○

 ヘスティアは来なかった。ベル曰く、アルバイト先の打ち上げに参加するという。これが他の者なら「神がアルバイト?」と疑問するが、ライオスは気にしない。

 だって、自分の神ヘルメスは放浪癖で全然、帰って来ない。アルバイトをする神がいても不思議ではないのだ。

 『豊穣の女主人』は、既に多くの客人で賑わっていた。

 

「ベルさん、来てくれたんですね! あれ? もしかしてライオスさん……。珍しいですね。寧ろ生きていたんですね。良かった! 久しぶりでしょうから、いっぱい食べて下さいね!」

 

 笑顔の良いウエイトレスたるシル・フローヴァに迎えられ、ライオスとベルはカウンターに通された。

 

「おや、ライオスじゃないかい。生きてたのか? とっくにくたばっていると思ったよ」

 

 ミアお母さんと親しまれる女将は、豪快に笑う。

 ライオスは今夜のオススメ料理と酒樽ジョッキを頼んだ。ベルは所持金と照らしながら、料理を注文しようとしたが、勝手にオススメ豪快な料理で持て成された。

 

「うん美味い。ここの味は変わらないなあ」

 

 久しぶりの味を堪能し、ライオスは酒を飲む。全身に心地よい熱と感覚が行き渡る。

 その時、予約のロキ・ファミリア一行が颯爽と現れた。客人の視線が一行に注がれる。ベルもその1人だ。彼が見ているのは、【剣姫】アイズのみ。

 

「ライオスさん、冒険者になってから、どれくらいですか?」

「この街に来てから3年は経つな……」

 

 世間話をしながら、ライオスは2杯目を飲み干す。ちょうど、2人の料理も食べ切った。ベルは必死に詰め込んで、腹がパンパンだ。代金を置いて、席を立とうとした。

 

「トマト野郎だよ! おまえが5階層で始末したミノタウロスのくせえ血を浴びたトマト野郎! あの【ただのライオス】に追いかけられて逃げちまったじゃねえか! いかにも駆け出しのとろくせえガキが、不憫だよなあ! ミノタウロスに追いかけられて、挙句に【ただのライオス】にまで追われてよ! みっともねえ!」

「ベート、君、酔ってるね? ライオスに変なあだ名付けちゃ駄目だよ」

 

 狼人ベート・ローガは店中に聞かせるように、大声で叫んだ。馬鹿笑いをして食卓を乱暴に叩く。同席者は誰も同意しない。煩わしそうに、無視している。

 彼らの団長フィン・ディムナが当たり障りのないようにベートを宥める。それで止まるベートではない。

 

「あのまま、【ただのライオス】に喰われちまったんじゃねえか? もともと魔物を食うなんてキモいんだよ! そのせいでガネーシャからファミリア追放されて、ヘルメスに拾われちまったんだろ? しかも、未だに二つ名も貰えねえんだ。これでアイツも【人食い】なんて呼ばれるんじゃねえか!?」

 

 ライオスに二つ名はない。

 何故なら、ガネーシャが神会(デナトゥス)で妨害したのだ。魔物を食す趣向を冒瀆と呼び、オラリオから追放しようと提案したらしい。なんやかんやで、ヘルメスはライオスを庇った。

 他の神々もガネーシャに対し、「心が狭い」「潔癖過ぎる」「サイコパスぐらい許してやれ」等、散々、小馬鹿に説教されたらしい。

 それ以来、ガネーシャはライオスの名を聞く度、「その名を俺の前で言うな!」とキレる始末だ。

 当の本人は、カウンターで今日の狩りでの出来事を回想していた。コボルトの姿を浮かべ、ドロップアイテムの牙に、まだ不満を抱く。

 しかし、流石に騒がしいベートを視界に入れる。彼の耳がコボルトのそれによく似ている。触りたい衝動で、ライオスはベルの様子にも気付かず、てくてくと近寄った。

 ライオスの登場に場の空気は当然、凍る。

 だが、ベートは気づかず、アイズには雑魚は釣り合わないと力説していた。彼女の視線はベートの上に向く。

 

 皆の注目を集めたライオスは、そっと優しく愛でるようにベートの両耳に触れる。すっかり油断していたベートは一瞬、煩わしそうに顔を顰める。

 

「やあ、ベート。久しぶりだ」

 

 やっとライオスに気づき、ベートは驚愕に目を見開く。ライオスは指先で彼の耳をくねくねと揉み遊ぶ。

 

「今日はコボルトを狩っていたんだ。彼らの毛並みは素晴らしい。……ベートの耳は、コボルトみたいに柔らかくて美味しそうだ(※酔ってます)」

 

 穏やかなライオスの言葉に、ベートは全身の毛を尻尾まで尖らせて硬直した。店内にいた狼人達は急いでフードを被って耳を隠す。食事中なのに勘定を置いて、逃げ出す者までいた。

 店内の困惑と恐怖の空気に気づかず、ライオスはベートの耳を揉む。まるで、食べる為に解しているのではないかと、錯覚してきた。

 命の危機に声も出せないベートは、身ぶり手ぶりで仲間に助けを請うが、見事に皆、そっと無視を決め込んだ。アイズは何故か、席を立って行ってしまう。

 

「あの、ライオスさん。お連れ様が行ってしまいましたよ」

 

 無口で無表情ウエイトレス、リュー・リオンの指先は空席になったカウンターを指す。

 ベルを放っていたと気づき、ライオスはリューに勘定を渡す。ベートの飲みかけ酒樽ジョッキを手に外へ出る。シルが方向を教えてくれた。

 解放されたベートは、貞操の危機を回避した生娘のように縮こまった。

 

●○

 気づいたら、迷宮にいた。

 ライオスは地面で横になり、手には酒樽ジョッキを握り締めていた。

 

「起きましたか? ライオスさん」

 

 傷だらけのベルが傍にいた。そして『豊穣の女主人』を出た後、2人は迷宮に突撃した。夜通し狩り続けた結果、ライオスは酔いが回って倒れたのだ。

 

 ライオスはベルを背負い、換金もせずにヘスティア・ファミリアの本拠へと歩いた。廃墟同然、そんな教会の正面には、『ジャガ丸くん』の屋台で見かけたツインテール少女が立っていた。

 その少女こそ、ヘスティアだと察した。アルバイトをしているという情報と照らし合わせても間違いない。

 

「このケダモノ!! 僕のベルくんに何をしたんだ!?」

 

 自己紹介する間もなく、ヘスティアは甲高い声でライオスを罵倒した。




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ライオス「ダンジョンに飯を求めるのは、間違っているだろうか?」
ベル「間違っていません!」

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