東方紫苑録   作:霞音

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一章にあたる『来訪郷』は、今回で終了です。
それに伴い、連日投稿も本日で一旦終了。二章が出来上がり次第、また連日投稿させていただきます。
前書きで失礼いたしました。





来訪郷6 『親子の始まり』

 それは何時の記憶だったろうか。

 まだ幻想郷に来る前、たしか幼稚園に上がりたての頃。

 既に異形の存在を認知できるようになっていた紫苑は、まだ彼らの本性を知らずにいた。

 

『ねえ、あなた名前なんていうの?』

 

 家の近くにある路地裏。ゴミなどが投げ捨てられたその一角にいたのは、一人の少女だった。幼き日の紫苑である。

 そんな紫苑の問いに返ってくるのは、言葉にならない鳴き声だ。その声の主は、路地裏の奥に身を潜めるように縮こまっていた。野球ボールほどの大きさの、黒い目のついた球体。毛を生やしたソレは、妖の類だった。

 人間が理解できる言葉を発する妖怪は稀である。それを知るのはもう少し後のことなのだが、この頃の紫苑はそれも知らずに問いかけた。

 

 周りから見ればおかしな子供だっただろう。

 何もいない空間に、一人話しかけている頭の可笑しい子。周囲の認識は概ねそのような感じだった。この頃には、親から暴力は無いながらも冷遇され始めている。だから話し相手を探すように、この頃の紫苑は異形へと話しかけていた。

 

『一緒にあそぼう』

 

 言葉など通じないのに、それでも呼びかけるその姿は滑稽であった。今の紫苑本人が見ても、それは間抜け以外の何物でもない。異形に話しかけるなど愚の骨頂、距離を置き関わらないように生きる。それが正しい選択だ。

 

 そうして二日後。

 

『ねえ、一緒にあそぼう』

 

 懲りることなく、紫苑はその日も同じ異形へと声をかける。

 ソレはそこから動くことがないので、そこに行けば必ず会うことが出来た。今にして思えば、何かを待っていたのかもしれない。それでも変わらずそこにいてくれるその存在に、紫苑は毎日会いに来ていた。

 

『ほら、鬼ごっこしよう』

 

 そうして、遊ぼうと右手で触れた。

 毛玉のようなその異形。触れることくらいならば問題ないはずのソレは、意味も分からないことに紫苑の右手を貫いていた。

 

『……えっ?』

 

 突然のことに、頭が働かない。

 紫苑の視界に映る自分の手が紅い。穴が開いている。

 

 紅が垂れる。

 紅が零れる。

 紅が止まらない――イタイ、イタイイタイ。

 

 呆然とソレを見れば、毛玉はその毛を重ね合わせ、棘の形状へと変化させていた。先端に光る紅い液体が、犯人が誰であるかを物語っている。

 

『……あ、あぁ』

 

 友人だと思っていた。誰も相手にしてくれない自分でも、彼らなら受け入れてくれると思っていた。

 

『痛い……ねえ痛いよ。なんでこんなことするの?』

 

 再び棘が突き刺さる。空いている方の手、二の腕、わき腹を掠めるように。その度に血が出たし、その度に声を上げた。そしてその度に、少女の中で何かが壊れていく。

 

『友達でしょ? 私たち、友達だよね?』

 

 友達なら、なぜ痛い。なぜ自分は血を流している。

 何でアレは、私を殺そうとしてくるのか。

 

 そこまで考えて、行きついたのは一つの結論。

 

 ――逢坂朱音に、味方なんていなかった。

 

『あはははは、そっか、そうだったんだ』

 

 このとき、少女は決定的に壊れてしまった。

 この世界に自分の居場所など存在しない。誰もが自分を嫌い、蔑み、淘汰しようとする。死ぬべき存在、望まれぬ存在。なら、この生に意味などあるのだろうか。

 

 気付けば全身穴だらけ。幸い致命傷は無いが、痛みで満足に立つことも出来ない。壁にもたれこむように背を預け、視線をソレへと向ける。

 

『……じゃあね』

 

 その言葉は誰に向けたものだったのか。少なくとも、少女の目にもうソレは映っていなかった。そうして少女の瞳から色が消え、その場へと倒れこむ。

 

 気が付けば、病院にいた。怪我の原因は不明、その事実が家族はもちろん、病院側にも言い知れぬ不信感をもたらす。そして何より、それ以降少女の瞳から光が消えた。

 

 生きていることは耐えられない。こんな地獄はもう嫌だ。

 痛みを感じることなく死ねるなら、どうぞ頼むから殺してくれ。

 

 こうして、少女は生きることへの渇望を失った。

 そしてそれ以降、何時もの場所からあの異形の姿を見なくなる。ただ少女には、そんなことどうでもよかった。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 放り出されるように、紫苑の体は地面へと打ち付けられた。思わずうめき声をあげるが、蹲ることなくすぐさま起き上がる。

 あの場所からどれだけ離れたのだろう。まあ林の中であることは間違いないが、元来た方角は分からない。何よりランプを落としたことによって、視界が酷く制限されていた。

 手探りで近くの木を掴みながら起き上がり、紫苑は言葉を漏らす。

 

「早く、あの人の所に帰らないと……」

 

 それでも帰らなければならない。八雲紫苑が帰るべき場所はあの人の所だ。

 だから痛む体に鞭をうち、強引に体を起こす。重たい一歩を踏み出した時、後ろからソレは聞こえてきた。

 

「……どこに行くつもりだ? おれはお前を帰すつもりはない」

 

 振り向けば、そこにいたのは異形だった。

 恐らくは妖怪の類だろう。犬とも熊とも判別がつかないその巨躯に、大きな顎。その赤い瞳が紫苑へと向けられている。

 その視線に一瞬怯むも、負けじと紫苑は口を開いた。

 

「私は帰る。帰らないといけないの」

 

 紫苑の言葉を聞き、嘲るように異形は笑った。

 

「なぜ帰る、異形に愛されし人の子(アマーター)。あの妖怪の所へ帰ろうと、お前はあの頃と変わらず愛されない。なのに、なぜ帰る」

「私の記憶を……」

 

 思い出される過去の記憶。赤坂朱音という存在が死んだ日の出来事。

 恐らくは見られたのか。そしてそれが紫苑の傷だと知って、異形は言葉を発している。あの異形は高度な知性を有しているのだろう。外では満足に見られなかった、知性を持つ異形。それが今、紫苑の記憶に無断で踏み込んでいた。

 

「また、暴力を受けるかもしれない。蔑まれるかもしれない。それでもお前は帰るというのか。あの妖怪の元へ」

 

 そのことを、不安に思っていた時期もあった。この恵まれた環境が、元の地獄と同様に変化する可能性に怯えていた。

 それでも、紫苑の返答は変わらない。

 

「帰るよ。何を言われようと、私は帰る」

 

 彼女が必要としてくれるのなら、自分を娘と呼んでくれるのなら。例え愛されていなくてもあそこに帰る。

 それが紫苑の思い。必要とされるだけで、自分は生きる資格を与えられる。だから帰るのだと、異形の言葉を否定する。

 それでも異形は、紫苑へと言葉を投げかける。

 

「おれがお前を食ってやれば、もう苦しむこともない。痛みを感じることなく、殺してやれる」

 

 それは何と甘美な響きだろう。正しくそれは、初めに紫苑が八雲紫に乞うたことと同じものだった。

 

「あの人に出会う前にそれを聞いていれば、もしかしたら殺されてたかもしれない」

 

 八雲紫と出会う前、外の世界で眼前の異形と出会っていたのなら、その言葉の真偽を確かめることなく命を捧げていただろう。だが、すでに遅い。

 

「私はあの人の、八雲紫の娘だ。私が帰るべき場所は、何時だってあの人の所で、決してお前なんかの所じゃない」

 

 もう少女は、逢坂朱音ではない。紫苑は母と慕う妖怪から大事な名前を受け取った。だから眼前の異形の誘いに応じるわけにはいかない。何より紫苑はまだ、

 

「私はまだ、死ねない」

 

 少女はこの世界に来て、ようやく生への渇望を取り戻したのだ。

 

 そんな紫苑の言葉を聞き、異形はくつくつと笑い出す。

 もう何を言っても、この存在は戻ると言って聞かぬだろう。それだけ強く、あの賢者に調教されてしまっている。我らが愛する人の子を、あのような腑抜けに渡してたまるか。

 

「そうか、残念だ。残念だよ異形に愛されし人の子(アマーター)。でも、お前を逃がすわけにはいかない。さっきから疼いて仕方ないんだ、お前を見てから止まらないこの疼き、なあ、お前を食べれば治るのか?」

 

 異形の雰囲気が変わる。先ほどと同じだ、空間が震える。

 逃げれば殺される。速度では完全に紫苑が劣っているし、力など以ての外だ。逃げることも、倒すことも出来ない。

 紫苑に出来ることと言えば、気を強く持ち屈しない事だけ。眼前の存在の気分一つで、紫苑の命は散るだろう。

 

「それでも、まだ死にたくない」

 

 こうして得た生への執着。死にたくないのだと、少女は必死に抗う。

 少女は初めて得たソレの命じるまま、夜空へ向けて声を上げた。

 自分が一番信頼する、今一番会いたい存在の名前を、紫苑はここで口にする。

 

「――お母さんッ!!」

 

 同時、異形が弾けるように躍り出た。

 大きな顎が少女を飲み込もうとした瞬間、耳元で聞こえたのはあの人の声。

 

「紫苑」

 

 それと同時に、異形が吹き飛ぶ。

 目と鼻の先にあった口は遥か彼方。木を十数本巻き込みながら、その巨体が宙を舞う。

 

「紫苑、だいじょう――」

 

 紫苑の隣に舞い降りた女性。その声を聴いた瞬間、紫苑は彼女の胸の中へと飛び込んでいた。

 

「お母さん」

 

 八雲紫は、危機一髪間に合ったことに安堵する。

 腕に抱く娘に怪我は見受けられず、その事実にまた安堵。その存在を確かめるように、強く抱きしめ返した。

 

「ごめんなさい、遅くなったわ」

 

 その言葉に答えるように、紫苑は腕の中で小さく頷いた。

 そうして脇に開くスキマを閉じ、名残惜しいながらも紫苑を自分の後ろへと避難させる。

 見れば、眼前から凄まじい速度で先ほどの異形が突っ込んできていた。

 

「少し待っていなさい、すぐ終わらせるから」

「――ァァァァアアッ!」

「煩いわよ」

 

 短く呟き、眼前に迫った異形の首根っこをひっ捕まえる。

 あれだけの速度で迫る物体の一部を的確に掴み取るなど、常人の業ではない。だが紫は大妖怪、これくらいのこと出来て当り前だった。

 

「ググゥッ……」

 

 喉を掴まれ、異形はくぐもったように声を発した。

 そんな異形に氷のような視線を向け、八雲紫はその存在を見下ろす。その目は、まるで道端の石ころを見ているかのように感情を映してはいない。

 聞いた者の心を恐怖で染め上げる声音で、紫は言葉を紡いだ。

 

「さしずめ、ここの主と言ったところかしら。知能もあるようだし、それなりに年は経ているようね」

 

 腕の中で暴れる存在を、ただ腕の力だけで黙らせる。

 力技と言えばそれまでだが、その腕力は驚愕に値するものだ。何せ、大の大人を超えるほどの重量を片手で持ち上げているのだから。

 大人しくなった異形へ、紫は続けて言葉を投げる。

 

「本来なら、力を持ち知能を有する妖怪を殺すようなことはしたくない。幻想郷のためにもね。でも、貴方は別よ。仕方ないわよね、何せ貴方は私の大切なものに手を出したのだから」

 

 だから、殺されても文句はないだろう。

 そう言って、紫は握る手に力を籠める。異形の首から不快な音が漏れた。

 その姿に、紫苑は在りし日の毛玉の姿を幻視する。気付けば、紫苑は紫の腕へとしがみついていた。

 

「――何のつもり?」

 

 その声は低く冷たい。今まで聞いたことのない母の声に、紫苑は僅かに怯む。それでも負けることなく、紫苑は母の顔を見つめ返した。

 

「お願いです、殺さないであげてください」

 

 その言葉に、紫は瞳を細める。

 

「正気なの紫苑。コイツは貴女を殺そうとしたのよ。私の娘を殺そうとしたコイツを、私は許すわけにはいかないわ」

「――それでも!」

 

 なぜ止めたのか、それは紫苑自身も理解できていない。ただ、気が付けば体が勝手に動いていたのだ。それでも、止めたいと思った。口から出る言葉も、半ば無意識のものだ。

 

「それでも私は、お母さんが人を――妖怪を殺す姿は見たくありません」

「……」

 

 紫は紫苑を、そして異形へと視線を向けて、やがて大きく息を吐いた。

 彼女が纏っていた妖怪としての威圧感が掻き消える。そうして、紫は腕に持つ異形をその場へと叩き付けた。

 

「……分かったわ。貴女がそこまで言うのなら、見逃してあげる」

「ガハッゴホッ……八雲、お前はいったい何を」

「貴女も私と同じく、この子に魅入ってしまったということでしょう。それも、殺したくなるほど強烈に」

 

 そう言って、紫は紫苑を懐へと招き入れる。

 

「でもね、今回限りよ。次はないわ。今度、私の大事な娘に手を出せば、命はないと思いなさい」

 

 その言葉には、有無を言わせぬ強制力があった。

 だが異形は、そんな彼女の言葉を聞いて笑みを浮かべる。

 

「お前も人の親というわけか、八雲」

「余計なお世話よ、下級妖怪。それ以上喋るなら、その口を縫い合わせるわ」

 

 もうここには用はないと、紫は紫苑を促すようにスキマを開く。

 その中へ入る直前、チラリと異形を振り返れば、ソレは面白そうに笑っていた。

 

「お前、八雲に愛されてるようだな。もう二度と、戻るんじゃないぞ」

 

 その言葉に、紫苑は小さく頷いた。

 だが一つ訂正すべきことがある。首を摩っているその異形へ、紫苑は短く言葉を返した。

 

「お前じゃない。八雲紫苑、それが私の名前」

 

 そうして、完全にスキマの中へと姿を消す親子。

 それを見届け、林の主はただ小さく笑った。

 

「紫苑、良い名前だ」

 

 願わくば、我らが愛する人の子が、二度と死を望むことがないように。

 

 火照った体を冷ますように、、冷たい風が吹き抜けた。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 スキマから出れば、そこは見知らぬ平原だった。何にも遮られることのなく夜風が吹き抜ける。見上げればそこには、雲に遮られることなく輝く月の姿があった。

 てっきり家の前に出るだろうと考えていた紫苑は、どうしたのかと視線を脇に立つ紫へと向ける。そんな紫は、娘の視線を受け止めながら口を開いた。

 

「ねえ紫苑。私はね、この世界が大好きなの」

 

 月を見上げ、それすら愛おしいというように。

 先ほどの話の続きを、紫はいまこの場で口にしようとしていた。

 

「だから私はこの世界を作り出したし、今も変わらず管理し続けている。そんな私の娘になるということはね、紫苑」

 

 その続きを言ってしまえば、隠していることは本当に亡くなってしまう。全て打ち明けると決めたのだ。それに、先ほどの件で確信した。

 

異形に愛されし人の子(アマーター)である貴女は、ただでさえ命の危険が常人よりも高い。その上で私の跡を継げば、何時か本当に死んでしまうかもしれないの」

 

 紫苑自身、身を持って体験した死の危険。あの時に紫が間に合わなければ、紫苑は今もこの場にいない。

 異形に愛されし人の子は、そこに存在するだけで異形を呼び寄せてしまう。それは命の危険を呼び寄せているのと同意だ。さらに紫の娘となれば、その危険性は跳ね上がってしまう。

 今回は間に合った。だが次は分からない。

 

「でもね、私はそれでも貴女が私を選んでくてることを望んでいるの。さっき、貴女があの妖怪と話しているのを見て、貴女が管理する幻想郷を見てみたくなった。きっと、今に負けないくらい素晴らしい世界になるわ」

 

 紫は確信しているから、その言葉に含むことなんて何もない。

 命を狙ってきた存在を許し、それでいて和解してみせる。そんな芸当を見せられ、紫は未来を幻視してしまったのだ。娘が望むこの世界の在り方を、紫は見たくなった。

 

 そして、最後に口にするのは母としての言葉。

 

「あと一つ訂正。信じてもらえるかは分からないけど、これだけは言っておかないといけないわ。私は貴女を、娘として愛している。それに気づいたのも、つい最近だけどね」

 

 それこそ、ここ一週間くらいで自覚した感情だ。

 先ほどの会話で、紫苑は愛されていないと口にした。それは間違いも良い所だ。紫も藍も、紫苑のことは娘・家族の違いはあっても愛している。それだけは、紫苑に知っていてもらいたかった。そして出来る事なら、これからはもっと分かりやすい形で、愛を知らないであろう少女へと与えてやりたい。母として、愛してやりたいと思っている。

 

 紫は全てを語り終えた。あとは、紫苑の判断次第。

 

「そのうえで、もう一度問うわ。逢坂朱音、貴女は何を望むの?」

 

 それは、紫苑にとって懐かしい名前だ。旧名に未練なんてないが、それで懐かしい昔のことを思い出した。

 

『ごめんなさい、朱音』

 

 記憶の奥底から引っ張りだされたのは、そんな言葉。

 呆然とした表情を浮かべながら、涙ながらに紫苑に呼びかける毛玉の姿。そんな毛玉に、紫苑は命を救われたのだ。意識を失った彼女を自宅まで運んだのは、他ならぬ毛玉である。もっとも紫苑は、そこまで覚えていない。ただ、毛玉の言葉を思い出しただけに過ぎなかった。

 

 だが、今の少女は赤坂朱音ではない。

 

「私は八雲紫苑です。貴女が私を捨てるまで、私が帰るべき場所は貴女の所です」

 

 それが紫苑の答えだった。

命の危険があろうが関係ない。そこに貴女がいるのならと、紫苑は紫の顔を見て言い切った。

 

 そんな娘に、紫は頬を涙で濡らす。

 

「そう……そうなのね。貴女は私を選んでくれるのね」

 

 紫苑は紫を選んでくれた。ならば母として、紫も答えよう。

 今までは自覚がなくて満足に親らしいことが出来なかったが、これからは違う。母親として、娘を望む未来へと導いてやろう。

 

「――貴女が好きよ、紫苑」

「はい、私もです」

 

 こうして、歪な親子はようやく本当の親子となった。

 娘も母も目指す場所は変わらず同じ。月の下、二人が思い描くのは来るべき未来の構図。

 八雲紫苑が歩む幻想郷での物語。東方紫苑禄、これより開幕である。

 

 

 

 




「紫苑様!? どうなされたのですかそのお姿は!」
「いや、えっと……転んじゃって」
「紫様、貴女も貴女です! いったい何をなさっていたのですか! 母親ならばしっかり見ておかないと!」
「いや、えっと……妖怪に襲われちゃって」

「何やってたんですか貴女たちはぁ!!」

「「すいません……」」


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