スッキリした!!
g月 k日 晴れ時々曇り
狩り禁止令をだされたので、クラフト能力の熟達もかねてアクセルの街壁工事を請け負うことにした。
工事内容としては、まず地下を侵攻してくるモンスター対策のために一端掘り下げ、地下から所定の高さまでレンガなどを積み上げる、という感じのようだ。
クラフト能力を全力行使で掘削していたところ、現場監督の親方に能力について質問され。
『クラフター』というユニーク職業であり、取得要因等はわからないとかその他当たり障りのない情報を教えたところ。
なんか見事に気に入られて街壁の一部、少し街の外側に張り出した部分を任されてしまった。
まぁ任されてしまったのだから完全にやり遂げるべく『丸石』等の資材を採掘してもいい場所の許可を得、『丸石』を『石』に精錬するための『かまど』を現場近くに並べ、『石』を『石レンガ』にクラフトするための『作業台』を据え付けて。
ちょっと本気でやってみることにした。
現在は基礎工事兼資源採掘として10mほど掘り下げているが、この行程が終わったら隣接させると一体化する『石』で地下10m、地上は既存の街壁の高さの岩壁を構築。
どうしてもブロックを積み上げる関係上凹凸が激しくなる表面を、分解した『石レンガ』と既存のレンガで均していく予定である。
さすがにレンガを積み上げて均していくのは最初からうまくできるとは思えないので、ここは街壁の中身となる岩壁が完成してから親方に指導を請おうと思う。
ただ、やはり大半の土地に所有者がいるというのはやりにくい。
とりあえずブランチマイニングといったことができないうえ、ゲームとは違い落盤の可能性がある以上坑道の補強といったことまで考えなければいけないのも大きな差か。
まぁそれはそれでやりがいがあるし、『かまど』での精錬でもゲームのように経験値が得られるのを確認した以上。
真面目な仕事でギルドからの信頼を獲得し、土地の採掘権を得られるようにならなければ。
めざせ個人での建築請負である。
「なんっじゃありゃぁ……」
「おら新人、手ぇ休めてんじゃねぇぞぉ!」
「はいぃっ!!」
疫病神な駄女神とは離れたところで作業していたカズマは眼前の光景にしばし硬直し、親方の声に手を動かし始めた。
作業をしつつ先ほどの光景へと視線を向けてよく見てみれば、塔が一つすっぽり入りそうな大穴はその壁面がやたらカクカクしていることに気づく。
もしやと穴の周囲を注意深く見てみれば、そこには様々な種類の真四角で大きなブロックが整然と並べられていた。
「あれってもしかしてマイクラのチェストにかまど、作業台か……? となると転生特典の可能性が高いな。 そうそうにお仲間に遭遇できるとかやっぱ俺は運がいいんだよな!」
てか運が良くなったのはまさか駄女神がいないおかげか!? と叫んだカズマは直後、親方の鉄拳によってうずくまるのであった。