規格外妖精さん   作:バイオレンスチビ

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第2話

〝ううぁああああ!!!!!〟

チュドォーン

「ぐぅ…!」

仲間がまた死んだ。

私はまだ死にたくない。

しかし、このまま劣勢のまま振り切られては不味い。

「ちくしょうめぇ!!!」

ダダダダダダダダダ

黒光りする敵機の機銃をかわし、撃ち返して墜とす。

味方はバラバラもはや乱戦だ。

「…!後ろに着かれた!?」

目の前の敵機にぶつかりそうなほどの距離から機銃を撃ちつつ機体を一気に下げる。

「振り切ったか…。」

海面は白い翼と赤い血が覆い隠していた。

死にたくない…生きて、帰りたい!!

「うおぉおおお!!!!」

白銀の翼を駆って敵に襲いかかる。

「1つ、2つ、3つ…!」

戦線を少しずつ後ろに下げるように

目立つように動き続ける。

―私はここだ…ここにいる!

辛うじて残っていた味方も加わ…〝あ”ぁあぁああ!!!!?〟

グチャッ

私の顔が赤く染まる。

何処か生臭く鉄臭い臭いが私を支配する。

ゴーグルを外して投げ捨てる。こんなものいらない。

全身から滴り落ちる血液が悲惨な現実を教えてくれた。

やけに鮮明に映る敵影。

ついに見付けた敵母艦に安堵しながら急降下をかける。

そのでかい帽子のキタねぇ口に爆弾をプレゼントしてやる!!

迎撃機の攻撃をすり抜けて悲鳴をあげるエンジンと共に私は舞い降りた。

ドドォオオオン!!!!!!

頭が消し飛んだヲ級がやけに生々しい動きで倒れ込み、

ゆっくりと沈んでいく。

積んであった艦載機や弾薬、燃料に引火したんだろう。

私の攻撃の当たりどころがよかっただけだが…。

何故だろう…虚しい。

そして気持ち悪い。

べっとりとくっついた血と仲間が私に語りかける。

〝壊滅したのはあんたのせいだ。〟

―やめろ。

〝仲間が死んだのに涙も流さずに敵に向かってくなんて…。〟

―やめてくれ。

私は死にたくなかったんだ。

怖かったんだ。

〝役立たず〟

…。

〝腰抜け野郎〟

……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…またあの夢か。」

久々に飛んだからであろう。

日は高く上がっていて影に眠る私を嘲笑うかのように

かつての仲間が飛んでいる。

私のような者はいらないんだ。

「まるでお前のようだな…。」

愛機に手をそっと添わせて呟いた。

あの戦いのあと零戦が我が隊に配備された。

私たち96式艦戦はその穴埋めに過ぎず、

96式の妖精は乗り換えるか死んでいくかでどんどんいなくなっていった。

零戦はまるで別次元の乗り物でその後も進化を重ねてどんどん強くなって…私たち96式の存在を消してしまった。

零戦の妖精達とかつての仲間はこういった。

〝役立たずは黙ってろよ。〟ってね。

私は倉庫に投げ込まれて存在を忘れられた。

別にそれでも構わない。

 

 

 

もう何も失う物なんてないんだから。




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