次で過去編は終わります!!
四葉の双璧:過去編5
ニ〇九二年八月十一日。沖縄に来てから一週間が経った。達也と深雪は基地に行ったりしていたが、それ以外の子供達は海で一日中遊んでいた。しかしその日は違った。
ちょうど朝食を食べ終え、貴将と真由美がいちゃいちゃし始めようとした時。不意に、全ての通信機器から緊急警報が流れ出た。
警報の発令元は国防軍。つまり外国の攻撃。そして今の状態で日本に攻撃してくる国。それは、
「きーくん!子供達を任せたわ!弘一さん、深夜、穂波さん。敵は恐らく大亜連合です。十師族である以上参戦は必至です。恩納基地に出向いて、作戦を立てます」
大亜連合。そして真夜が指示を出す。貴将は反論しようと口を開きかけるが、しかし閉じる。自分が任され、そして自分は生きねばならないと知っていたから。しかし達也と深雪は違った。
「お母様、私も行きます。私とお兄様は即戦力になります。付いて行かせて下さい」
貴将が子供達の護衛役で、それはに自分達は必要無い事を知っている深雪が言う。
「深雪が行くのならば、自分も同行します」
達也が当然と言わんばかりの表情で述べる。
「…きーくん、二人が居なくても大丈夫ですか?」
それを聞き、真夜が貴将に問う。それは勿論、達也と深雪を連れて行くが、護衛役は一人で大丈夫か、というものであった。貴将は自分が次期当主になるであろう事を知っている。であれば、次期当主である自分は生き延びねばならない。そして、何よりも。真由美を危ない場所に女の子三人だけで放り出すというのは最も出来ない事であった。
「…大丈夫です。自分達は地下に潜ります。電波は届くと思いますので、外に出ても大丈夫になったらお電話を下さい。では、後ほど。真由美、香澄、泉美。行くぞ」
大人達に礼をし、貴将が三人を抱える様に腕を回す。そして四人は別荘の床を抜けていった。なんの捻りもなく、床を抜けていった。重要なので二回言いました。
『創造』と『再成』を繰り返しながら、貴将達は地下に地下に下がって行く。ある程度の深さに来ると、貴将が『創造』を使い、気づけば(四人でいる分には)結構な大きさの密閉空間が出来ていた。どうやったのか、電気も水も通っている。なぜこんなものが作れるのに、真夜達を入れないのか。それはこれが貴将の作れる限界だから、である。
さて、外では真夜と弘一を先頭とし、真ん中に深雪を入れ、左右に穂波と深夜、殿を達也が務めていた。正直言って、敵なしであった。大抵の敵は、殿である筈の達也が『分解』し、それ以外は弘一の『八重唱』によって、バタバタ倒れていった。それでも弘一と達也が対処しきれなかった人間は、無残にも『流星群』に貫かれていた。
「恩納基地ね…。取り敢えず入りましょう」
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前々から実験を繰り返し、漸く実戦投入出来るレベルになったと思った矢先にこれである。実験をしておいて良かった、と思い、ついでに強度を底上げする為に対物障壁を張る。
「ねえ、貴将くん。貴将くんだから大丈夫だとは思うんだけど…空気ってどうなってるの?」
「…真由美、済まないが、母上の許可がなければ話すことは出来ない。だが、大丈夫だ」
済まなさそうに貴将が顔を伏せ、真由美に謝る。
「そうだ、真由美。周囲の状況を確認してくれないか?」
「ええ。分かったわ」
マルチスコープを使い、周囲の状況を確認すつ真由美。そして言う。
「…まずいわね。思ったより地面が抉られてるわ」
因みに、この時香澄と泉美は部屋の後ろの方で体操座りしていた。
「…仕方がないかな。アレを使うか…」
切り札を切るか貴将が迷う。そして決意し、『織天使達の眼』で得られる情報を増やし、沖縄全土を見渡す様にしようとした時。不意に、ある光景が“視”えた。
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基地の中に入ると、そこには風間、達也と深雪が一昨日会った人物が立っていた。
「恩納基地空軍所属、第一〇一独立魔装大隊隊長、風間です。お怪我はありませんか?」
「ええ。それより、私達は十師族として参戦しますので、作戦を立てます。どこかお部屋を借りても?」
「ええ、構いません。では、案内致します」
風間が先頭に立ち、真夜達を誘導する。その先の会議室のような場所に着くと、真夜は
「…達也さん、すまないとは思うけれども、“アレ”を使ってちょうだい」
彼女が求めたのは、達也の『分解』を使用した、究極の分解魔法。『質量爆裂』である。
「弾丸は私が飛ばすわ。だから、貴方には発動だけをして欲しいの」
その時、突然に。銃声が轟く。鮮血が舞い、倒れるのは、
「姉さん!」
深夜。かなりの数の銃弾が襲ったのだろう、舞っている鮮血は量が多い。
部屋から廊下まで。かなりの範囲が、突然に暗闇に包まれ、そして星が輝く。つまるところ、『夜』が訪れた。
「ま、まさか…極東の魔王…!?」
銃弾が貫通する事は無く、深夜は倒れてゆく。それを見て、普段からは考えられない表情を浮かべながら、達也が手を伸ばす。
(ああ、あんな表情も出来るのね)
など、冷静な思考が頭の片隅で生まれる。だがしかし、そんな事を考えながらも、魔法式は完成する。発動までのタイムラグはほぼなし。
「死ね」
私の、とても冷徹な声は聞こえる。その言葉が、冷徹な思考を持つところに届いた時、タイミング良く魔法が発動する。
銃弾程度の速さで無く、そして、銃弾程度の貫通力でも無い。光が束となり、銃弾を貫く。一本、二本、三本、四本。十本を超えたところで数えるのを止めた。もうそれは原型を留めていない。ただの残骸に、執拗に光を浴びせる。
不意に、私の肩に手が置かれた。
「真夜、達也と深雪が見てるわよ」
驚いた。あれだけの銃弾を食らって立っているとは、と驚き、振り返る。
一言で表そう。衝撃。
「………は?」
我が顔ながら、きっと間抜けな顔をしているのだろう。想像出来る。しかし仕方があるまい。深夜が無傷なのだから。
「『再成』よ、姉さん。達也が私に『再成』を使ってくれたの」
その言葉を言われ、はっと深夜の手を見る。その手を握っていた人間がいた。達也であった。
一方その頃。基地の外は荒れていた。これだけで言うと、天気が悪いのか、と思うだろう。違う。寧ろ天気はいい。しかし晴天の中。
「なぜあんな重い物が空を舞う!?」
先にネタバレありがとう。そう。車、モノレール、船。全て空を飛んでいた。
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「あああああああぁぁぁぁぁあああ!!」
絶叫する俺を、真由美達が呆然と見ている。
「…貴将、くん?」
「巫山戯んじゃねえぞッ!!大亜連合如きがあ!!人の叔母を傷つけんじゃねえええぇぇぇぇええええ!!!!」
お構いなしに、リミッターを外していく。
突然、シェルターが割れた。きっと、俺の力に耐えられ無くなったのだろう。割れた時、自動的に外が見える。そこは、
「なっ!なんで空ーーー!?」
空中でした。真由美の目が、鉄の嵐を見た瞬間に見開かれる。絶叫する俺が入っていた地下シェルター(元)を中心に、様々な物が回っている。これらは全て俺の制御下にある。そして物理障壁の強度を倍加する。
「本国からだよなァ!こういう時は!」
俺達の姿を見た者は居ない。理由は、鉄の嵐(本物)に阻まれているからである。
さて、本国から、と言った。という訳で。
「最初に飛ばすのは…やっぱ兵隊は帰してやんなきゃなァ!あはぁ!」
声だけが聞こえたのだろうが、今は『織天使達の眼』も発動している。なので驚く顔もまる見えである。はいそうです。大亜連合の兵隊さんの予想通りです。
「うわあ!」
兵隊さん達を文字通り本国に飛ばします。本国に帰れて幸せだね。死体で、だけど。
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「なんだこれは…」
頭を抑えながら弘一が言う。先程深夜が撃たれた会議室のモニターで、外の状況を確認したところ、頭痛のタネを見つけたようだ。
「これは…やはり受け継いだか…」
モニターから前の巨大な画面に映像を表示する。モニターを通して映し出されている映像は、鉄の嵐。そして大亜連合方面へと飛ばされる大亜連合軍の人間。全くもって容赦がない。
「…これは…やり過ぎね、きーくん」
映像を見て真夜がいう。そして彼女が取り出したのは携帯電話。通話先は葉山。
「葉山さん、貴将の行動を制限します。施設を用意して下さい」
因みに、達也は深夜と共に基地の屋上にいる。このまま『質量爆裂』を発動するのだろう。
いずれにせよ、貴将も動き出したので、すぐに決着が着く。
『はい、分かりました』
さて、彼にどう話すか。これが問題であった。
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大亜連合本体を叩く、と決めてから数十分が経った。確認出来る全ての兵隊さんを本国に送り届けた(物理)ところで、魔法を発動する。あ、因みに今は地に足をつけている。
「『織天使達の眼』使用。目標確認。『質量変換』発動」
自分がすることを確認するため、言葉に出す。
【変換対象:飛ばした魔法師、及びその周囲の生物】
【変換後:『生命の樹』】
【質量変換、発動】
目立った変化は感じられない。あくまでここからは。
大亜連合本国。ある港。かなり大きな港だった。筈なのに人どころか、建物以外何もない。植物さえも。代わりに、その港町に、ある物が聳え立っていた。
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分解して、再成し、『精霊の眼』で追いやすくした弾丸を、深夜が魔法で飛ばす。狙いは軍艦旗。誇りを以ってして敵を殲滅する。
「『質量爆散』発動」
ボソッと達也が呟く。