四葉の双璧   作:狂った道化師

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お久しぶりです!!
特に何も無いです。


来訪者編第三話

四葉の双璧:パラサイト

 

二〇九六年一月一日。九重寺。

この日、達也達は正月という事もあり、八雲に会う事をついでとし、初詣に来ていた。

そこでは八雲が深雪をベタ褒めしていたり、レオに対してそに意外な博識ぶりを発揮したりしていた。

そんな中、来れたら来る、と言っていた貴将が訪れない。

 

「達也、貴将はどうしたんだ?」

 

きっと家の用事なのであろう。

 

と思いながら、いつものメンバーの中で最も貴将と親しそうな達也に好奇心旺盛なレオが質問したのは、まあ必然だったのであろう。

 

が、達也の方はその質問を予測していなかった様で。

ピクッと一瞬だけ眉を動かし、しかし流石なのであろう、いつものポーカーフェイスで彼は答えた。

 

「ああ。あいつは、『仕事』らしいぞ」

 

今現在あの"二人"がしている事を想像し、彼は心の中で呆れ顔をしながら。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

同刻、とある空港。

USNA軍魔法師部隊『スターズ』総隊長アンジー・シリウス、本名アンジェリーナ=クドウ=シールズ、渾名がリーナえある彼女は、USNAの任務とそのおまけである九島本家への訪問の為に日本へ来ていた。

が、その精神状態は余り宜しくはなさそうである。

深雪にも劣らぬ美貌を少しだけ歪めながら、彼女は呟いた。

 

「はぁ、気が滅入るわね…」

 

なんとも消極的な台詞である。

それ程までに九島本家を訪れたくないのであろうか。

 

いや、実はそうではない。

魔法師視点から見れば、飛行機を使って海外へ、などというものは夢のまた夢であるが、一般の人間から見ればそうではない。

そう。正月という事もあって、空港は旅行客でごった返していた。

その所為で彼女は迎えに来ている筈の人間を見つけられていない。

人酔いと、迎えが見つからないイライラで、彼女の精神状態が悪くなっていっているのであった。

それに、心なしかチラチラと行き交う人々に見られている気がする。

 

と、見知らぬ人間の顔しか見えなかった視界に、見知った人間の顔が写り込んだ。

 

「あら、シルヴィ。貴女もこっちに来ていたのですか」

 

リーナを見て、呆れた顔をしている彼女の名前は、USNA軍魔法師部隊『スターズ』の惑星級魔法師である、シルヴィア・マーキュリー・ファースト。

彼女はそのままリーナの方に歩いてきて、話しかけた。

 

「ええ。…というか、なんですかその格好は」

 

「これですか?日本の流行を一世紀程遡って調べてみました。どうですか?似合っていますか?」

 

ふふん、とどや顔をしながら、リーナはその場でくるんと回転する。が、それを見ているシルヴィの目は冷めていた。

 

「…正直に言います、リーナ。それは流行遅れです」

 

ガーン!と顎を開け、まるで漫画の様な驚き方をするリーナ。そんな彼女を諭す様に、シルヴィは話す。

 

「はぁ。リーナ、貴女と同じ様な服を着た人をここに来るまでに見ましたか?」

 

「………。そういえば見てないですね」

 

たっぷり十秒間も使って、リーナは答える。

そんな彼女の天然さを目の当たりにして、一周回って元気になったシルヴィは、若干声の大きさを上げて、リーナに言う。

 

「僭越ながら、私が服をコーディネートさせて貰います!九島家はその後です!」

 

さっきまでの呆れ顔はどこに行ったのやら、彼女は着せ替え人形を見つけた、とばかりに目を輝かせていた。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

同刻、とある京都行きの電車の中。

 

「久しぶりの二人っきりねー!」

 

「そうだな。最近は何かと忙しかったし、家には人が居るし…。ナルヴィの時以来かな」

 

二人は対面式で二人掛けの椅子が二つあり、プライベート重視である程度の防音仕様が施された個室の中に居た。

対面ではなく一つの椅子に二人で座り、真由美は貴将の肩に頭を乗せ、貴将はその頭を撫でるという、徹底したいちゃいちゃっぷりで。

 

余談だが、ある程度のプライベートが保証されていると言っても、個室にはそれぞれ犯罪行為防止の為にカメラを付けてある。

そのカメラを見張っている人間は漏れなくブラックコーヒーを注文しなければいけない状態に追い込まれたそうな。

リア充爆ぜろ(真由美を除く)。

 

「それで、後何時間位で着くのかしら」

 

今貴将達が乗っているこの電車は、貴将と真由美がいちゃいちゃする為に、最早鈍行と呼んでも差し支えないレベルの遅さの観光列車である。

その為、通常ならば一時間とかからず着く京都でさえ、何時間もかかってしまう。

が、しかし時間は有限。勿論この車両も何時かは京都に着く。そのタイムリミットは——。

 

「後二時間位かな」

 

二時間であった。

そして今の貴将の言葉。実は訳すとこうなる。

 

後二時間しかないのか。

 

と。

 

直後、個室の中では今までにないいちゃいちゃが繰り広げられたそうな。

 

…いちゃいちゃ…いちゃいちゃ…二時間いちゃいちゃ…。うぜえ。

 

はたまた余談ではあるが、監視の人間は全員糖尿病になりかけたそうだ。二人には時と場所を考えて欲しい、と切に願わざるを得ない。

 

さて、列車から降りた二人は、恋人繋ぎで迎えの人の場所に歩いて行った。

 

立っているのは九島光宣。貴将並にイケメンな王子様の様な美男子であった。

因みに、光宣と貴将と真由美は結構昔からの友人で、彼は貴将と真由美のいちゃいちゃに多いに悩まされた人間の一人であった。

 

「あっ、お久…し…ぶり、です…。相変わらずお熱いですね…」

 

ハートマークやピンクのオーラを纏いながら近づいてくる二人を見て、軽いトラウマとなった昔を思い出しかけた光宣は、頭からそのトラウマを消し去った。

が、それでも尚、引いていた。

 

「久しぶりですね、光宣君」

 

「よぉ、光宣じゃねえか。今日は外出してるし、体調が良いのか?」

 

「はい。…まあ、貴方方を見ていて胸焼けがしてきましたが…」

 

ボソッと光宣は呟きながら、若干恨めしげに貴将を睨む。が、キョトンとした顔で彼は返す。

 

「…?何だよ、こっち見て」

 

「なん…だと…」

 

完全に予想外。

前々から天然が入っていたが、ここまでとは。

という考えが光宣の頭の中を支配する。

勿論、真由美はそれに気付いている。

 

「光宣君。私はワザとだけど、貴将くんは完璧に天然なのよ」

 

「???」

 

「ハハ…。マジか…」

 

真由美の言葉も理解出来ずに、頭の上にまで?が溢れ出ている貴将であった。

 

「ま、まあ、行こうか。ここのこのまま留まってても、なあ?」

 

取り敢えず、突っ立って立ち話をするのもあれだな。

 

と思ったのか、貴将は光宣を急かす。

が、光宣の答えは貴将の予想を裏切る。

 

「いいや、まだ二人来る予定なんだが…。遅いな」

 

チラッと時計を見て、それから辺りを見回すと。

お目当に人物が向こうから歩いてきていた。

 

「あら、ミノル。こんな場所に…って、キショウ?」

 

というかリーナとシルヴィアだった。

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