四葉の双璧   作:狂った道化師

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皆さんお久しぶりです(見てる人いないよなぁ、、、)
部活やらテストやらで忙しくって、、、



来訪者編第四話

四葉の双璧 パラサイト編

 

京都のとある駅。

周りの風景に合わせて、木造を装った外見の駅舎にて。

 

一組の美男子と美少女が、周りの好奇の目を気にせずに、驚いた顔で対峙していた。まあ、貴将とリーナである。

 

「キショウ?」

 

沈黙を破ったのは、リーナであった。

それを聞き、それでも尚確信が持てないのか、疑問形で貴将はそれに問い返す。

 

「…リーナ、か?」

 

と。

 

こちらも確信を持っていなかったのだろうけれども、今の返事で確信を持ったのか、しかしけれども作者的には訳の分からない事に。

 

「久しぶりね、キショウ!アメリカに仕事で来た時以来じゃない!」

 

リーナが、貴将に、抱きついた。

 

白昼堂々と、公共の場である駅で。

 

「ハハ、そうだね」

 

(まずい、真由美がキレッッッッ!?)

 

生返事をしながら、貴将はちらっと真由美の方を見る。

理由?そんなものは簡単な事である。つまり、真由美こ機嫌が傾いてない様にと願ったからである。

 

しかし神は願いを聞き入れてはくれなかったようだ。

 

「………」

 

某雪の女王も、深雪も慄く様な威圧感を携えた真由美が、居た。

 

光宣とシルヴィは固まっている。前者は真由美、後者はリーナの貴将に対する態度で。

 

そんな事は物理法則が捻じ曲がらない限り、というかこの世界から想子が消えない限り有り得ない筈なのに、自らの命に危険を感じた貴将は、リーナの肩を掴み、引き剥がしながら、言う。

形式的にはリーナに、本質的には何の気もない事を真由美に知らせる為に。

 

「と、取り敢えず離れろリーナ。俺が死…じゃなくて、俺が彼女というか婚約者持ちなのは知ってるだろ?」

 

だが、その言葉を聞いても、真由美の機嫌は収まらない。

まだまだ回復しない。

鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼の様にとまでは要求しないから、少しぐらい、ほんのちょっとだけでもいいから回復してくれてもいいんじゃない、と思う程に、思ってしまう程に回復していない。

ならば俺が犠牲になって、と貴将が真由美に話しかけようとした瞬間。

 

「初めまして、アンジェリーナさん。七草家長女で、四葉貴将くんの婚約者を通り越して妻の七草家真由美です。よろしくお願いします」

 

真由美が、行動に出た。

 

緊迫する空気。

 

貴将と光宣とシルヴィは固まっている。

 

しかし、真由美が纏う、というか出現させているのが真由美とも取れるのだけれども、凄い威圧感を感じていないのか、リーナは爽やかに、極めて爽やかに返事をした。

 

「初めまして。アンジェリーナ・クドウ・シールズです。キショウとは、…うーん、まあ言うなれば、Best Friend、かな?」

 

その爽やかさに、世界は救われた。

 

そう。

 

真由美の機嫌が直ったのである。

理由は分からないが。

 

一難去ってまた一難。危険とは常日頃に潜んでいるものである。

 

さてところで。

 

先程の真由美の纏う空気に気圧されて動けなかったのは、貴将達だけではなかった。

 

通行人、つまり一般人は見て見ぬふりをしてやり過ごしていた。

という事は。

気圧されていた連中は見て見ぬふりができない、つまり真由美や貴将を見続ける、言い換えると監視し続けなければならない人間である、という事である。

 

貴将達の周りが、殺気に覆われる。

その強さに、一般人が古式魔法の人払いをされた様に消えてしまった。

まあ、貴将達的にも、敵側的にも好都合な事なのではあるのだけれども。

 

『織天使達の眼』を使い、周囲を索敵するも、見当たらない。

 

いつ襲撃があってもいい様にCADを待機モードにして、というか貴将と真由美は元から待機モードなので、光宣とシルヴィ、リーナがしただけなんだけれども、そして全員が即座に魔法を使える様になってから。

 

「出てこい!なんのつもりだ!」

 

貴将が威嚇の意を込めて、叫ぶ。

 

すると、誰も居ない筈の空間から、黒ずくめの人間が十人程現れ、気付けば囲まれていた。

 

「…古式に精神系の認識阻害か…。この程度の人数で挑んで来ていいのか?あんまり四葉をなめない方がいいぞ」

 

臨戦態勢から、一瞬だけ気がぬけて隙が出来たかの様に見せる。ニヤリ、と嗤いながら。

 

次の瞬間。

周りにいた魔法師達が一斉に、その隙を突く様に貴将目掛けて魔法を発動する。

 

貴将の体が抉れ、切られる。

 

血が華の様に散り、内臓が飛び散る。

 

一瞬で、プラットホームは血の海となっていた。

 

無事なのは頭、つまりは頭部だけ。それ以外は飛び散り、文字通りミンチになっていた。

腕が脚が転がっており、内臓や肝臓と思しき臓器が所々に落ちていた。

 

が。

 

恋人がミンチになったにも関わらず。

親友が肉塊になったにも関わらず。

昔からの友人が血の海と化したにも関わらず。

 

真由美もリーナも光宣も動じていなかった。…シルヴィだけがわたわたしていたが。

 

その理由はすぐに、具体的にはその三秒後程に分からせられる事となった。

 

肉片が、仄かに光り、まるで陽炎の様に揺れてから消える。

と同時に、元々貴将がいた場所も陽炎の様に揺れる。

 

「よお。まさかこの程度で俺を殺せたとでも?永遠に寝かせてやるから、寝言は寝て言え、カス共」

 

その場に。

不死鳥の如く。

切っても切っても死なないアジ・ダカーハが如く。

 

陽炎から、貴将が現れる。

 

魔法に抉られ、肉塊と肉片と化した筈の貴将が。

 

と、貴将が何処から取り出したのか、天叢雲剣を、振り下ろす。

 

勿論、敵さんもシルヴィも、戸惑っていた。いた。見てお判りの通り過去形なのである。

つまり現在において、戸惑っているのはシルヴィだけ。

敵さんは、全員揃いも揃って悶えていた。

 

「〜〜〜ッッッッ!?」

 

口をパクパクとさせながら、苦しむ。その様子はさながら水がない場所に出てしまった金魚の様だった。

 

「ご、………………………………」

 

と。

数秒もすると、黒ずくめの人間達は、全員死んでいた。

死体は後々七草か四葉が回収するので置いておいて、その死体について、外傷は無く、しかし自然死でもなさそうであった。つまりは。

 

「…今のは、何という魔法ですか?」

 

そう。魔法である。

 

何も知らない風に見えたシルヴィが、考える事を数秒で放棄し、貴将の問う。…飛んで火に入る夏の虫状態である事に気付かずに。

 

「『不慮の事故』。自分の受けたダメージと痛みを、そっくりそのまま、ダイレクトペインの要領で相手に押し付ける魔法さ。まあ、ダイレクトペインはこれの劣化版なんだけどねえ」

 

「まあ、今の分だと確実に死と同義の状態になるな。…ったく、やりすぎだ」

 

ドヤ顔で説明する貴将と、それに突っ込みをする光宣の会話を聞きながら、シルヴィは青ざめた表情になっていく。

 

(こんなの…勝てるワケがない。でも私の前で使うって事は秘匿技術じゃあなさそうだし…いや、まさか。秘匿技術を見せる事で四葉側に…!?)

 

そこまで考えたところで。

あんまりにもあんまりなタイミングで、貴将がシルヴィに話しかける。…新しい体と頭部のシンクロが若干おかしいのか、ストレッチをしながら。

 

「あ、これ秘匿技術だから。スターズの隊員さんなら言いたい事は分かるよね?」

 

言った。

最高にゲスい事を。

しかしけれども、勝手に見せてきたお前が悪い、などとは言えない。

なので、こちらも情報を渡さなければならない。使用者を確実に選ぶ秘匿技術と引き換えに、貴将達四葉は、USNA最強の部隊の情報を得る事となった。

 

「まあ大丈夫。そこまで酷い事を聞くつもりはないから」

 

貴将のその一言が、シルヴィの不安を更に助長していた事は、想像に難くないだろう。

 

そんな事がありながら、和気藹々と出来ない事をしながらも、一行は和気藹々と九島家に向かったのだった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

九島への道は、特筆すべきものがなかった。強いて言うならば、襲撃者の鑑定を四葉に任せた、という事と、光宣、リーナ、運転手、果てにはシルヴィまでが胸焼けを覚えた事だろうか。

 

さて、駅から九島の車に乗り込み、約二十分後。

ここは九島邸。

ちょっとした高台から京都を見下ろしながら、車から降りる。

 

「うーん、短かったな」

 

「そうね。もうちょっと迂回してもらっても良かったんじゃないかしら」

 

「「「「やっと着いた」」」」

 

同じ様に見下ろす状態でも、感想は両極を示していた。

 

そのまま、何のために作ったのか分からないし、分かりたくない迷路に入って行く。

 

右左右左右左左。

 

光宣を先頭として、どんどん進んでいき、そして一気に開けた場所に出ると。

 

「ようこそお越しくださいました。前当主が奥で待っております」

 

「おひさしぶりです、藤林さん」

 

いつもとは打って変わって、何故か和服の藤林がいた。何故か和服だった。きっと正月スタイルなのだろう。

 

「ホントに久しぶりね。おっと、ここで立ち話もいいと思うんだけど、早く行かな「リーナァァァァアアアア!!」…奥で待ってるって言ったのに」

 

そのまま上がろうと、靴を脱いでいると。

 

大声を上げながら、恥も外聞も捨てて、明らかに走ったら体に悪いだろうと思わせる様なご老体が、百年程前の人間ではあるが、ボルト顔負けのスピードでやって来た。

 

…九島烈だった。

 

実は、実の所は。

九島烈は孫バカである。

それはもう、孫のためなら恥も外聞も捨てれる程に、世間体なんて気にしない程に、目に入れても痛くないと躊躇なく言い切れる程に、孫バカである。

 

そんな孫バカが。

何年も会えていないリーナを前に落ち着いていられるだろうか、いやいられない。

そんな事、火を見るより明らかである。どうなるかなんて、目に見えている。

 

「久しぶりだな!な!」

 

「ああぁぁああ、おひさしぶりですぅ〜、おじいさまぁぁああ」

 

九島がリーナに一度里帰りさせた理由は簡単である。

 

烈のためだ。

 

グラグラと肩を揺すられながら、リーナが必死に返事をする。

勿論、脇で見ていた貴将達は、ひいていた。仕方ないね。

 

「おぉ、貴将か。久しぶりだな。大きくなったか?それとも小さくなったか?それに、急に呼んで、すまないな」

 

と、漸く周りが見れる様になったのか、烈が貴将を見つけ、話しかけてきた。

 

「いえいえ、大丈夫ですよ。あと、少しだけ大きくなりました」

 

高校生は小さくなりません、と突っ込みを入れたいところではあったが、けれども、どれ程に孫バカであっても、閣下。流石に魔法の師匠に敬語を使わないなんてバカな事は出来ないので、真面目に答え、挨拶をする。

 

「それに、リーナも。わざわざアメリカ…USNAからすまないな」

 

それだけで満足したのか、貴将だけに話しかけ、それ以外はほったらかし、烈はまたもリーナに構いだす。

 

はあ、とため息を吐く藤林を見ながら、全員が同情したのだった。

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