四葉の双璧   作:狂った道化師

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ついに横浜編完結です!!
読んでくださった皆さんありがとうございます!!



横浜編最終話

最終話

貴将と修次が残党狩りに出てから数分後、二人の周りには大量の死体が転がっていた。

「うんうん、これで一応全員かな?」

修次が周りを見渡し、気配を探す。

その様子を貴将がキラキラという様な目で修次を見つめる。

「修次さん、流石ですね。自分ももっと剣術の腕を磨かないと」

その言葉を聞き、

(いや、高一で僕と同じ位できてるのでおかしい思うんだけどなあ…そうだ、三年前何があったんだろう…)

などと考え、三年前の事を聞こうと思い、口を開きかける。が、その言葉は貴将の殺気に阻まれる。そんな殺気など出していないかの様に会話を続ける貴将。

「取り敢えず、自分は一回家に戻ります」

「…そうか。気をつけるんだよ」

修次からの言葉を受け、はい!と返事した貴将は疑似瞬間移動で修次の目の前から消えた。彼が向かった筈の方を向き、呟く。

「そんなに殺気立って、君はこれから何をしようとしてるんだい?」

その言葉が届かないと知りながら。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

貴将が先ず向かったのは、真由美のところだった。彼が疑似瞬間移動で自分の前に現れた瞬間、真由美は貴将に走り寄っていった。

「貴将くん!大丈夫だった!?怪我はない!?」

慌てた様子を見て、貴将は微笑みを浮かべながら真由美に話しかける。

「俺は大丈夫だかさ、一先ず落ち着こうか、真由美」

真由美を宥めた貴将は、そのまま風間の方を向き、話しかける。

「風間さん。少し頼みがあるんですが…聞いて頂いてもいいでしょうか」

先の失敗を思い出したのか、少し警戒している風間。

「な、なんだい?残党を処理して貰ったから、こちらも大抵の事を聞けるが…」

「では遠慮なく。この後掃討に移るんですよね?それに同行、いえ参戦させてもらえませんか?」

少し驚きを見せ、風間が答える。

「私は構わないが…掃討は大黒特尉がする事になっているが…」

「達也なら俺が説得しますよ」

間髪入れずに貴将がいう。

「しかし…」

「だから、達也を説得すれば参加させてくれるんですよね?」

風間は、自分がまた失敗した事に気付いた。いや、気付かされた、と言うべきか。気付いた理由は、貴将の殺気が先刻のものと同等までに出されていたからである。

「…分かった。分かったからその殺気を抑えてくれ」

「流石に耐えられなかったか」

限りなく人を馬鹿にした台詞を吐いて、風間のいう通り殺気を抑える。

「…では取り敢えず今から向かおうか」

呆れた様な顔を浮かべ、促す。

「あ、その前に…」

そう言い、貴将が取り出したのは通信端末。四葉の技術を駆使した極秘の会話用のものだ。だがしかし、ディスプレイが付いている。

「…母上?貴将です」

挨拶抜きでは有るが、最低限の名乗りはする。

『顔を見れば分かるわ。それで、何があったのかしら?』

電車の相手は四葉真夜。

「『天照』の使用許可を伺おうと思いまして」

そのままでいい、と先を促され、言葉を紡ぐ貴将。その口から出た単語は、真夜を凍りつかせるには十分だった。

『…無理よ。アレは『質量爆散』と違って、少しも世に出してはいけないものなのよ』

その言葉を無視して、貴将が続ける。

「…母上。『天照』の使用許可を」

少し下を向いて、何か考えていた真夜は、その言葉を聞き、言い返そうと顔をあげる。だが、言葉は出ない。言葉を出せない理由は、画面の向こうの貴将の笑顔にある。それは、その笑顔は、誰がどう見ても作り笑いだった。その笑顔を剥いだ先に何があるか予測が出来てしまうものだった。そして貴将がさらに続ける。

「あいつらは、真由美に手を出しました。その報いは受けて然るべきでしょう?」

疑問の形を取っているが、暗に、そうである、と断定される。それの言葉を聞いて、真夜が折れた。

『…分かりました。許可します』

「ありがとうございます」

四葉家当主であるにも関わらず、真夜は実の息子に恐怖し、そして怯えたのだった。

端末の電源を切り、風間の方を向く。

「で、どこから殺るんですか?風間さん」

口調が、完全に悪人のそれだが、風間は無視する事に決めたらしい。

「対馬だ。ここから先は一般人を巻き込む事は出来ない。だから君には今日だけだが、特尉として働いて貰おう」

風間が車に向かって歩きだす。

「肩書きなんざどうだっていいんだよ。真由美に手ェ出したんだから死んで償って貰おうか」

ニヤァと黒い笑みを浮かべ、風間について行く。

「では、直ちに向かうぞ」

「はいはい、ジョーカン殿。そういう事で真由美、ここではお別れだ。しばらく会えないかもしれないが、次は学校で普通に会おう」

そういい、真由美の頭に手をポン、と乗せ、貴将が車に向かう。

「貴将くん…無茶だけはしないでね」

貴将の方を向き、言う真由美。それに振り向かずに貴将が答える。

「当たり前だろ?俺を誰だと思っている」

自信に溢れた言葉で。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

対馬要塞に貴将が到着すると、その入り口に達也がいた。

「き、貴将…?お前…今までどこに…?」

普段感情を露わにしない達也が驚きの表情を浮かべる。

だがその表情を無視して、貴将が言う。

「よお、達也。どこにいたかは極秘だ。そして、悪いがお前は今回役目ナシだ。『天照』を使用するからな」

驚きの表情を浮かべた達也の目がさらに見開かれる。かなり、というより今までにない表情を浮かべた達也を興味深く観察する貴将に達也が問う。

「『天照』って…叔母上が許したのか?」

その問いに貴将が答える。

「ああ。きちんと目を見て話して、許可を得たさ」

「…そうか」

不思議な間を空けて、達也が答える。そこに、風間が口を挟む。

「大黒特尉。すまないが、今回は貴将君が掃討を担当する」

それに達也が簡潔に答える。

「はい。了解です」

「では…本当にここでいいのか?貴将君」

そう問う風間に貴将は、はい、と答える。場所は基地の備品が使えない、対馬要塞の外だった。

「では、特尉、準備を」

その言葉を合図に、貴将が天叢雲剣を掲げる。

「『天照』、発動してください」

その言葉に合わせるかの様に、貴将が、掲げた剣を地面に突き刺す。

「『天照』、発動」

同時に、『熾天使達の瞳』を使い、一瞬の後、敵艦を認識する。そしてそこを基点とし、『天照』を発動する。莫大な量の想子が貴将を包み込み、魔法式が展開される。

そして、

〈大亜連合の艦隊内〉

この艦隊は、達也達が横浜で乱闘を繰り広げた艦隊のための増援だった。が、しかし艦隊が消滅。その後国からの命令により、別の任務を仰せつかっている。そのため、目標とされる島にはもうすぐで着く予定だった。

「いいか、我らから尊厳奪った日本軍を殲滅するぞ!!」

「「「おおおおおおおおおぉぉおおお!!!!」」」

今、艦隊内の士気は最高潮に達していた。この艦隊は現在、日本の対馬要塞の占領を目的とした作戦を始めていた。

そんな中、作戦の概要を、総司令官と思われる人物が語り出す。

「確認だ!我が艦隊は先ず、日本軍対馬基地を砲撃!その後は魔法部隊が乗り込み、制圧する!その後本国からの増援を」

その時、不意に警報が鳴る。想子波の揺らぎに対する警報。その警報が鳴った。という事は、この艦隊に向かって魔法が発動された、という事である。

「何があ、ッ!あぁ…ああ、あっあっあああぁぁぁああ!!」

何があった、と言いたかったのだろう。しかしそれは自ら発する悲鳴に遮られ、最後まで口に出来ない。なぜならば。

「あづいッ!あづいッ!あづいぃぃぃいいいいいいッッッッ!!!!」

体が燃える様に熱く感じる。それは周りの人間も同じなのだろう、周りの人間も転げ回る。しかし全員体は燃えていない。それなのに。それなのに体が黒くなっていく。最初は指先のちょっとだけ。しかしそれはどんどん広がっていく。総司令官は、手が完全に黒くなってから気付く。

「ああああ!!」

それが、つまり手だったものが崩れていく。艦隊内に断末魔が次々と響きわたる。

十数分後、艦隊内に人が居たという痕跡は匂いと服しか無く。艦隊と黒い炭と布と、タンパク質の焼けた匂いが残っていた。

〈対馬要塞〉

「貴将、あれはなんだ」

何事も無かったかの様に貴将に問う達也。彼らは基地内で、成層圏カメラからの映像で先程までの艦隊の様子を見ていた。その様子は、まさに阿鼻叫喚。対馬要塞のにいた人間は、貴将と達也以外、一人残らず息を呑んだ。中にはトイレに駆け込み、嘔吐した者もいた。だが誰も無様と笑わない。そんな中での達也の質問に貴将が答える。

「戦略級魔法、『天照』。俺が唯一使える精神干渉系魔法だ。

ん?ああ、なぜあんな風になったのか知りたいのか。…。…まあいいだろう。天照の詳細は、精神は干渉し、精神を燃やし尽くす魔法だ。これだけであればコキュートスと同じなんだが…。

まあこの魔法は、精神を燃やし尽くすと同時に、リンクしている身体の方も燃やし尽くしてしまうんだな…。

ああ、忘れてた。天照は基点を変える事が出来てな。精霊の眼を使えばどこからでも発動出来る。効果範囲は俺の精神状態によるが、最大で半径一キロだ」

この言葉により、独立魔装大隊もトイレに駆け込む者を出す。この場にいる、人を殺す事にあまり不快感を感じていない者までも、この魔法の残虐性の顔を蒼ざめていた。そんな様子のスタッフの一人に貴将が声をかける。

「あいつらはすでに炭化して、今頃消し炭になってんだよ。そうだよな」

ケタケタと笑いながら貴将が言う。

「うっ、はい…生体反応は、ありません」

吐きそうになりながら、スタッフが答える。その答えを聞かぬ内に、風間の隣を歩き、部屋を出て行く。

「そーいう事だ。じゃあ俺は編入手続きやらなんやらあるんで、帰らせてもらいますよ」

その言葉を残された部屋は、しばらくの間沈黙に包まれていた。




次回予告
横浜事変が終わり第一高校に編入する貴将、そこで知り合いに出会い、1科生なのに1科生に喧嘩を売られたり…

第二章〜第一高校編入編〜
次回投稿!!
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