四葉の双璧   作:狂った道化師

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遂に貴将が一高に入ります!!


編入編
編入編第1話


編入編1

 

横浜での大亜連合による侵略後すぐの第一高校。この日の朝、第一高校では横浜での出来事が記憶に新しいにも関わらず、生徒の間で話題に上っていたのは別の事。それは、四葉の次期当主(正確には候補)が編入して来るというモノだった。

 

その日、真由美は貴将しょうから連絡を受け、朝早くから生徒会室で待っていた。

 

「♪〜。まだかな〜貴将くん」

 

かなり、というか相当上機嫌な真由美が待っていると、その部屋、つまり生徒会室の扉に付いているインターホン(?)が鳴る。

 

『おはよいございます、真由美さん。貴将です。扉を開けてもらっても?』

 

聞こえてきたのは愛する貴将の声。それを聞き、真由美が扉を開けない訳もなく。

 

「待ってたわ!貴将くんっ!」

 

どうやったのか、扉を開けた瞬間抱きつく真由美。

 

「おっと、真由美。全く、こんな事で怪我をしたらどうするんだ?」

 

それを軽々と受け止め、抱きしめる。

 

「大丈夫よ。貴将くんが治してくれるもん」

 

少々幼児後退している様だが、そんな真由美の耳元で貴将が囁く。

 

「俺は一瞬でも傷つく真由美を見たくないんだよ」

 

そういい、真由美の唇を奪う。念のために書いておくが、今ここは生徒会室で、一応人が来るかもしれない状況なのである。そんな場所に、暫くの間水音が響く。

 

「っはあ、はあ、はあ」

 

漸くキスを止め、うっとりとした目で貴将を見つめる真由美。その目を貴将が見え返す。そしてそのまま二回目に入る。

もうそろそろ授業が始まる、という時間になって二人は生徒会室から出てきた。その顔は両方とも、心なしかツヤツヤしている様に見えた。

 

「真由美、俺は昼休みは友達を作るから、放課後。放課後に昇降口で待っていてくれ。一緒に帰ろう」

 

そういい、貴将が真由美の頰のキスをし、いう。

 

「じゃあ、また後で」

 

生徒会室でそれ以上(その辺は皆さまの想像力にお任せします)の事をしたにも関わらず、その程度の事で真由美の顔は真っ赤になる。だがしかし去っていく恋人にはきちんと手を振っていた。

 

ここ一のAでは、その話題について他のクラスより盛り上がっていた。理由は、その編入生は一のAに編入するらしいからである。そんな生徒達の事など無視するかの様に、席に着席しろ、とチャイムが鳴る。

 

「あれ?深雪?お前一のAだったのか?」

 

これが編入生の最初の一言だった。

この一言が深雪に視線を集める。しかし深雪は気に留めない。いや、気に留められなかったというべきか。

 

「貴将、お兄、様…?」

 

それは三年前の沖縄戦から行方をくらましていたはずの従兄を見つめ、衝撃を感じた末に漸く絞り出したものだった。

 

「久しぶりだな。三年前よりずっと綺麗になったな、深雪」

 

クラスがシンと静まり返った。その中で、深雪は貴将をジッと見つめていた。

四葉の人間が編入してくると聞いて、それは嘘だろうと思っていたが、実際は違った。三年前から音信不通だった従兄、貴将だった。

 

「き、貴将お兄様は、三年間も、どこに、いらしてたんですか…?み、深雪は、深雪は、ずっと待っておりました!三年間も!どこに!?どこに行ってたんですか…!?」

 

席から立ち上がり、叫ぶ深雪。その頰には涙が伝っていた。

そんな深雪に、周りからの視線を無視し、貴将は近ずき、そして深雪のすぐ傍で足を止め、頰に片手を添える。

 

「深雪、泣き止みなさい。そんなに泣いてたら綺麗な顔が台無しだろ?」

 

周りで人が見ています。まだ自己紹介さえしていません。

 

「それに、俺も深雪の泣く顔を見たくない」

 

そのまま抱きしめ、自分の胸に深雪を抱き寄せ、耳元で囁く。重要なのでまた言いますが、周りで人が見ています。まだ自己紹介さえしていません。

 

「はい…。…もう、大丈夫です。皆さんに自己紹介をして差し上げて下さい」

 

少しして、胸から顔を離し、微笑み、貴将を教室おうの前の方に押し、深雪は席に着く。

クラスが貴将に注目する。

しかし笑顔のまま、緊張など欠片もしていないと言わんばかりの表情のまま自己紹介を始める。

 

「えー、自分は四葉貴将といいます。今日から皆さんと共に学校生活を送って行くので、どうぞよろしくお願いします」

 

簡単な自己紹介(挨拶)をする貴将。

そして席が担任から告げられる。場所は最後列の端っこ。百年程前であれば喜びに溢れるはずだが、この学校ではスクリーンを通して授業を受けるので意味がない。

そしてそのままHRが終わりを告げる。瞬間、貴将の席には人群がって来た。

 

「四葉君、深雪さんとはどんな関係なの?」

 

「司波さんとはどんな関係なんですか?」

 

など深雪に関する質問が一斉に掛けられる。それらの質問を一言で片付ける。

 

「ああ、深雪は小学生からずっと面倒を見ててね。そんな関係さ」

 

言い訳がましいとしか言いようがない返答をする。もちろん、誰も貴将の言葉を信用していなかった。しかし誰もそれが嘘だとは言えなかった。そんな中で、貴将に敵意を向けるものが多数いた。多くは男子で、その心中は深雪と仲がいい事を好ましく思っていないのだろう。

 

「言い忘れてたが、俺の事は貴将と呼んでくれ。あと、授業がそろそろ始まるけど、準備はいいのかい?」

 

だがそんな思いを持つものも、授業には逆らえなかった。

 

〈昼休み〉

四限目が終わった瞬間、貴将は深雪に食事を共にしようと誘いをかけるつもりだった。が、しかし、貴将に誘いをかけてくる人間の方が早かった。

貴将が人の群れに襲われて、身動きが取れないのを無視して、深雪は雫やほのかと一緒に食堂に行こうとしていた。きっと三年間連絡を寄越さなかった事に対するささやかなやり返しだろう。

 

「ちょっ、みゆっ…。…ああくそッ!邪魔なんだよッ!テメエら全員、揃いも揃って邪魔しやがってッ!!」

 

ついに深雪が教室から消えてしまい、怒鳴り散らす貴将。その声に周りの人間も怯む。

 

「おい、テメエらよくも邪魔しやがったな?」

 

そして怯んだところで、睨みつける。

周りがヒッと一歩引くのを見て、少しだけ睨みを弱める。

 

「…まあいいか。お前らが俺の邪魔をしなければそれでいい。だがもしも」

 

一区切り入れる。

 

「俺の邪魔をすれば、容赦無く叩き潰してやる」

 

およそクラスメイトに向けるべきでない言葉と殺気を放ち、そのまま人を気にせず前に進む。

その様子に圧倒されたのか、彼が前に進むと、人が彼を避ける。

そして人混みから抜け出た瞬間、

 

「あ、さっきの全部嘘だから」

 

と言い、ニヤッと笑ってから、貴将は走り去っていった。

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