四葉の双璧   作:狂った道化師

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遂に過去編です!!


過去編
過去編第1話


過去編1

 

「ねえ、こうして一緒に寝てると昔の事を思い出さない?」

 

完全に夫婦な会話をしている二人は、夜、この日も一緒のベッドで寝ていた。

 

「…そうだな。あぁ、思い出すよ」

 

貴将は、恋人であり婚約者である真由美に腕枕をしてやりながら、記憶を探る。

 

そう。貴将が初めて七草家に真由美と遊びに来た日。その日も二人は一緒の布団で眠っていた。二人が初めって会った日から、貴将と真由美に婚約の話が来てから一ヶ月後の日だった。最初は貴将と真由美はーーー。

 

十年前。

 

「お父さま、その貴将くんはいい人なの?」

 

昼食が終わってからすぐの時間帯。車の中で父である弘一に問う少女は、七歳になってから少し経った七草真由美。彼女は今、自らの将来を大きく揺るがす選択をする、もしくはするための準備をしようとしていた。

 

「ああ。かっこいい男の子さ。心を開いてくれればだけどね」

 

その答えを聞き、真由美が車の外を見つめる。

 

「でもお父さま、わたしは心を開いてもらえるのでしょうか」

 

「ああ。真由美はいい子だからね。きっと貴将君も心を開いてくれるさ」

 

即答する弘一。その頃真由美達が目的地としているホテルの一室では、十人が見れば十人が振り返る様な容姿を持った少年が、母親と思しき女性に話しかけていた。

 

「お母さま、本当にこれでいいのでしょうか?」

 

そう尋ねる少年の手にはかなり高そうな髪留めがある。

 

「ええ。貴方が選んだのでしょう?なら自信を持って渡しなさい」

 

真夜は、自分の息子に自信を持たせる様に、貴将の頭を撫でながら言う。その言葉に、

 

「はい、分かりました、お母さま」

 

五歳の少年のものとは思えない返事が返ってくる。その返事に満足したのか、真夜が微笑む。

そして十数分後。部屋がノックされ、声ば聞こえる。

 

「真夜、私だ。真由美を連れてきた」

 

その言葉が終わる前から、扉が開かれる。

 

「お久しぶりね、弘一さん」

 

声をかけられたであろう弘一は、真夜に片手を上げ、貴将の元に向かう。

 

「大きくなったな、貴将君。ほら、真由美もは入りなさい」

 

そんな言葉と共に、あまりに人間離れした容姿を持つ貴将に見惚れていた真由美が、思い出した様に部屋に入ってくる。

 

「こんにちは、あなたが七草真由美さんですか?」

 

そんな真由美に、緊張しながらも貴将が近づき、話しかける。

 

「ひゃいっ!…わたしが七草真由美です…」

 

いきなり噛んでしまった真由美を見て、クスリと貴将が笑う。しかしその笑顔も素敵なものだったため、真由美は怒ろうにも怒れなかった。

 

「真由美さんはきんちょうしやすい方なんですね」

 

そんな真由美と貴将を見て、弘一が声をかける。

 

「二人とも、そんな所で立ち話せずに、きちんと座ったらどうだ?」

 

その提案に貴将が頷き、真由美の前に片手を差し出す。それを見て、首を傾げる真由美。その顔が可愛いのか、顔を少し赤くしながら、貴将がいう。

 

「女性をエスコートするのは男性の役目だそうですから」

 

五歳とは思えない。しかし貴将に女性扱いされ、嬉しかった真由美は、

 

「ありがとう」

 

結局貴将の手を取ったのだった。

自分達がいるのに、存在を無視された様な感じになっている真夜と弘一は、顔を見合わせて頷く。

 

「じゃ、まあここは若い二人に任せましょうか?」

 

「真夜も外見は十分若いんだけどなぁ」

 

父親の浮気を疑ってしまう様な発言は無視し、真由美は真夜を見る。目を見開きながら。

 

「では、お母さま。時間になったらしらせてください」

 

貴将が言う。勝手に決定されて少しイラっときた真由美だが、しかし貴将にこちらを振り向かれて、

 

「真由美さんもそれでいいですか?」

 

と言われたら無意識の内に頷いていた。

 

両親が出て行ってから、二人は対面式のソファに座っていた。

 

「えーと、じゃあじこしょうかいからでいいかな?」

 

貴将が確認するかの様に真由美に問う。そして真由美はそれが自分に自己紹介が出来るかの確認かと捉えてしまった。もちろん真由美はムッとした顔を浮かべて言う。

 

「わたしの名前は七草真由美。こないだ七歳になって、お兄ちゃんが二人と妹が二人居ます。次は貴将くん、お願いしてもいい?」

 

はい、と貴将が頷き、自己紹介を始める。

 

「ぼくの名前は四葉貴将、いちおう五歳です。きょうだいはいません」

 

一応、という言葉に少しだけ疑問を感じながらも、真由美は次に移る。

 

「貴将くんはなにか好きなものある?」

 

定番中の定番。だがしかし、貴将の悪い顔の笑顔と共に告げられた答えは定番とは言えなかった。

 

「いたずらです」

 

「へっ?」

 

真由美の間抜けな言葉を無視して、貴将が言葉を続ける。

 

「真由美さん、こんなホテルの部屋よりも、外の景色を見に行きませんか?」

 

貴将は時間までまだまだ間がある事を確認し、真由美に問う。

 

「え、ええ。それはもちろん外の方がいいけど…」

 

「では外に行きましょう」

 

そういい、真由美の手を取る貴将。そしれ彼らはホテルから脱走したのだった。

 

夕方、真由美と貴将は、ショッピングセンターからホテルに帰って来た。もちろん時間には間に合っていて、貴将のある得意技(?)を使って、部屋の中に誰も居ない事は確認してある。

 

「じゃあ、真由美ちゃん。今日外に行った事はひみつにしてね。あと、今日は楽しかった。だからこれ、おれい。」

 

照れながら貴将が真由美に渡したのは、ホテルに真由美が来る前に貴将がプレゼントとして買っておいたものだった。きっとただ渡すのが恥ずかしかったのだろう。お礼ということにして貴将は渡した。そして真由美の反応は、

 

「わあ、きれい…。これ、貴将くんがわたしのために?」

 

いつの間にか敬語で無くなっているのは、外に脱走したときの、真由美に要望である。

 

「うん。よろこんでくれたら、うれしい、な」

 

照れてそっぽを向く貴将を見て、真由美は自分まで顔が赤くなった。

丁度その時、タイミングがいいのか悪いのか、お迎えが来た。

 

「真由美、貴将君。もう時間だよ。おや、それは貴将君に貰ったのかい?」

 

弘一が真由美の顔が赤いのと、真由美がぎゅっと握りしめている髪留めを交互に見る。

 

「あら、きちんと渡せたのね、貴将さん」

 

ニッコリと笑いながら、いつの間にか貴将の背後に移動していた真夜が、貴将の頭を撫でる。

 

「ええ。それでは、帰りますか?お母さま」

 

真由美にまだ照れているのか、貴将はまだ顔を赤くしている。しかし母親に対する言葉遣いは、きちんとしていた。

 

「ええ、そろそろお暇しようかしら。じゃあまた、今度は貴将をそちらの家に遊びに行かせてもいいかしら」

 

真夜はちゃっかり次の予定も組んでいく。

 

「ああ。それでいいよ。だが…貴将君の都合がねえ…まあ日程は追って連絡しよう。じゃあ真由美、貴将君にご挨拶しなさい」

 

父親に言われ、別れの挨拶をする。その手に髪留めを握りしめながら。

 

「お気をつけて、真夜様。じゃあね、貴将くん」

 

それに答えて、部屋を出て行きながら、貴将が挨拶をする。

 

「では、弘一さん、失礼します。バイバイ、真由美ちゃん」




次の投稿から少しづつペースを落としていきます。
すいません書置きが…
その他もろもろのこともあり少しづつ更新遅れると思いますが
何卒よろしくお願いします!_| ̄|○))
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