ある日の早朝、朝の光に照らされ、まだ教師ではない上白沢慧音は日課で竹林のすぐ近くにある小道を散歩していた。冬が近づき、今日はいつもより強く風が吹いていた。その風に慧音は身を震わせた。
「今日は、また寒くなっているな。家に帰ったらこたつでもだすとするか。」
そんな何気ないことを考えて歩いていると、いつの間にか、いつもより遠くまできてしまっていた。慧音はそのことに気付くと今日茶屋で面接があることを思い出して、時間までに戻り準備する事ができるか少し焦りをおぼえた。
しかし、前いきなりスキマ妖怪から貰った時計を確認するとそこまで焦る時間ではなかった。
「あのスキマ妖怪なにを企んでいるのか。」
そんなことを考えながら貰った時計を見る。手に巻きつけられベルトは革でできており、茶色で本体は銀色の光沢をはなち、非常にシンプルなものだ。スキマ妖怪によれば外の世界で買ってきた物らしい。自分と奴はあまり接触しない、つまり何か裏があって渡してきたと慧音は推測していた。
時計から目をはなし周りをみた。慧音はこんなことを考えている間にまた時間がたっていることに気づき家に帰ろうとしたとき、それに気付いた。
竹林の近くにたつ小さな小屋だった。いつもの慧音ならばこんな物気にせずに放っておくが、その小屋だけは違い何かあるのかもしれないという好奇心が慧音をさそった。
慧音は道から少し外れその小屋に近づいてみた。できてから何年もたっていると思われ、蔦が巻き付き蜘蛛の巣まではっており、とても綺麗といえるものではなかった。慧音はまわりに生えた草をどけながら小屋に近づき小屋の入り口を開けようと引き戸に手をかけた。しかし、引き戸は蔦でも絡まっているのか、まったく開かなかった。開かないか、と慧音は思い、道を引き返し帰ることにした。
次の日の朝、慧音はまたその小屋まで散歩にきていた。
いや、どちらかというと小屋を見に来るのほうが目当てだったのかもしれない。慧音はこの小屋が気になって仕方がなかった。あの好奇心は今もまだ続いていた。もしかしたら、昨日面接で妖怪だからという理由でおとされたので、その気分転換のためだったかもしれないが、小屋を見たときに心が躍っていたのは、間違いなかった。
道を外れまた、引き戸に手をかける。そして昨日よりも力をかけ、おもいっきり体重をかけ引き戸を開けようとした。しかし、引き戸は簡単に開き、そのまま慧音は尻餅をついた。
「いたた・・・あれっ普通に開いた?」
慧音は不思議に思った。昨日は開かなかったはずの扉が簡単に開いてしまったのだ。慧音は立ち上がり服についた土をはらい、開いた扉の先をのぞいた。中は籠や鍬が置いてあり、いろりが真ん中にあるだけといったシンプルな構造だった。慧音は靴をぬぎ中に入っていった。入り口あたりに置いてあった籠を見ると中には、魚がはいっていた。
「誰か住んでいる?」
魚なら長期間放置すれば腐ってしまう。しかし、籠の中に入っていた魚は腐ってなどいなかった。しかも、もし誰か住んでいるならば昨日は鍵を閉めていて開かず、今日は閉めていなかったので簡単に開いたということで説明がついてしまうのだ。慧音は考えた。もしこんな人里から離れたところに住んでいるならば、妖怪のすみかかもしれない。慧音は振り返り急いで小屋から出ようとした。
「はやく帰って相談しなけれ」ドンッ
慧音は振り返るときに何かにぶつかってしまった。するとそこには、白髪の少女がたっていた。
「おい、お前誰だ?」
これがはじめての出会いである。
自分の書いた文字の羅列をみると悲しくなった(泣き