妹紅は外の風が強いので、小屋の中で新しい籠を作っていた。たまに小屋が軋むような音を立てている。妹紅はこの家が壊れないか心配になった。屋根は数カ所つぶれておりおり、引き戸は風が吹くたびにカタカタと音をならしていた。この家も建てなおさなければ、と妹紅は考えた。外を木造の壁の合間から覗くと雪も降り始め吹雪となっていた。すると、ゴンゴンと強めに引き戸がたたかれる音がした。妹紅は何かと思い、籠を作るのを中断し立ち上がり引き戸を開けた。
「すまん、妹紅急いで避難の準備をしてくれ」
妹紅は驚いた。今朝あった女性がいきなり訪ねてきて避難しろと言ってきたからだ。
「上白沢だっけ、いきなりどうしたんだ。」
「ハァ、ハァ今日夜強風になるらしい。こんな小屋では危ないと思ってな。」
慧音は息を切らしながらいった。
妹紅はまた驚いた。いままで不老不死として気味悪がられてきたのに今この女性は自分を助けようとしてくれているのだ。ただ自分のことを知らないから言えるのかもしれないが、それでも嬉しかった。しかし、妹紅は誘いを断ろうと思った。なぜなら、自分は死なないので別に問題なかったからだ。
「上白沢、別に私は大丈夫だ。死んでも問題ないし、だから、ん?」
妹紅は気付くと頭を慧音に両手でつかまれ、そして慧音は体を後ろに反らしていた。しかし、妹紅は全く状況を把握することができなかった。
そして次の瞬間
ゴーン!
妹紅の額に鈍い痛みがはしった。そのまま足元がふらつき額を両手でおさえながら後ろに数歩下がった。妹紅はまだよくなにが起きたのかわからなかった。すると慧音が
「今のは自分の命を軽く見た罰だ。さあ風が強くなる前に帰るぞ。」
この時妹紅は頭突きされたことを理解した。すると慧音は妹紅の額をおさえている左手をとり、引っ張るように走っていった。
妹紅はこの時いきなり家に入ってきた相手に頭突きされそして、無理矢理人里につれて行かれそうになっていて、いつもならとても不快に感じただろうが、このときはとても嬉かった。
慧音達は道を走り抜け、慧音の家の前まできていた。そして鍵を開け妹紅を家の中にいれた。
すると慧音は
「服が濡れているだろうしここに使わなくなった服があるから好きなのを着てくれ」
そう言うとクローゼットから服を取り出し妹紅に何着かわたした。
「私は向こうで着替えてくる。何かあったら呼んでくれ」
そう慧音は伝えると奥のほうに行ってしまった。妹紅は慧音から貰った服を見た。どれも江戸時代の町民のような服で柄が違うだけだった。しかし一つだけ違うものがあった。上下セットになっており、上は白いシャツで下は沢山のおふだが貼られた赤いもんぺだった。それにサスペンダーもついてきており、今の白い小袖に赤い袴という姿にもにており、動きやすそうだった。実際に着てみると動きやすく、なかなかいいものだった。すると慧音がやってきた。どうやら着替えおえたようだ。すると慧音は私のことを見て目を見開いていた。
「上白沢どうかしたか?」
質問をすると我がに返ったのか冷静に答えた。
「いやぁ、それは昔、母が生きていた頃、母が自警団をやっていてな、その時着ていたものだ。まあ、いったきり帰ってこなくなってしまったんだがな。」
妹紅は慧音の顔をみた。目は妹紅の服を見ており、決して泣いてはいないもののどこかさびしく、懐かしいものを見るように見ていた。少ししてから慧音は自分の顔を見られていることに気づいたのか
「すまん、こんな話をしてしまって。」
慧音は申し訳なさそうに言った。
「・・・」
妹紅は何と声をかければいいか分からなかった。
少し沈黙の時間が流れた。すると慧音が、
「もしよかったら風呂が用意できたから先に入るか。」
と明るめの口調で話しかけてきた。
「おう!」
妹紅も空気を変えるために明るめの口調で答えた。慧音はタンスから寝巻きとタオルをだし、妹紅に渡した。妹紅は慧音から風呂場の場所を聞き向かっていった。
妹紅は湯船に浸かった。風呂場は木でできており、とても静かで外の風の音だけがしていた。妹紅は考えた。なぜあの女性はあんなに優しくしてくれるのだろうか。あって一日もたっていないのに助けに来てくれ、家まで上がらせてくれ、そして、自分の為に怒ってくれた。これまで自分の為に怒ってくれた人物がいるだろうか。望まれない子として生まれ、不老不死として気味悪がられ、孤独に生きてきた。あんなに優しい人には出会ったことがなかった。妹紅はいやな予感がした。もし自分の不老不死の事を知らないので優しくしてくれているだけだったら?もし知ってしまい、いままでの人間とかわらず、気味悪がられたら?あの優しさが無くなってしまうのか、と考えた。
妹紅は湯船から勢いよく立ち上がった。
そして決心した。
この能力を隠し通そう、と
妹紅さんがいつもの服になりました!
前話でかいていた白い小袖と赤い袴は、妹紅さんが貴族だったらしいので十二単の一番下の服のつもりでかきました。