慧音は悩んでいた。台所に立ちメニューを考える。しかし、全然浮かんでこない。長い間一人暮らしだった慧音は料理はあまりせずに簡単にすませていた。だが今回は違い、客がいるのだ。そんな質素なものを出したら失礼だ。慧音は急いで自室にある本棚にかけより何か料理本がないかをさがした。自分は料理本などかったこともなかった。今から買いに行こうとしても外は風が強く買いにいけない。
「おいおい、何かないのか。」
慧音は焦っていた。このままでは、妹紅にいきなり家に上がりこむやら、無理やり家に連れ込むやらしてきたのに、今度は料理までひどい物をだすのは自分のプライドが許せなかった。すると、本棚のはしのところに一冊だけ本が飛び出ていた。引き抜いてタイトルを見ると、「八雲家の料理レシピ」とかわいらしい文字でがかれていた。
・・・あいつ、と慧音は思った。もしかしてあいつはすべて知っているのではないか、そんな疑問がうかんできた。慧音は立ち上がり台所へと向かった。
慧音は本を見ながら料理をしていた。肉を焼くのと同時に味噌汁を並列して作っていた。少し焦げてしまったりしたが、味噌汁を作るのに忙しく気にしている暇などなかった。
妹紅は風呂から上がり髪をふきタオルを脱衣所に置かれていた籠の中に入れ居間へと向かった。すると台所から顔をだし慧音がしゃべりかけてきた。
「妹紅もう少しで飯ができるからそこに座って待っていてくれ。」
そういうと妹紅はちゃぶ台のそばに座った。しばらくすると、慧音が両手に皿を持ってやってきた。手には味噌汁と・・・?
妹紅は右手にもたれた皿に釘づけになった。中には黒い炭のような物体だ。しばらく妹紅は考えた。この黒い物体はいったいなんなんだと。こんな黒い料理はみたことがない。
「私の自信作だぞ。是非食べてくれ」
慧音は得意げに言った。しかし妹紅には何の料理かさえ分からない。目の前に黒い物体と味噌汁を置く。慧音は、
「さあいただこう!」
といった。妹紅は初めに謎の黒い物体を避け味噌汁を飲んだ。
!!
妹紅は思わず噴きそうになった。味が明らかに濃い。味噌を入れすぎているのだろうか。しかし、慧音はそのまま気にせず、謎の黒い物体まで食べている。妹紅は考えた。たまたま今の味噌汁は失敗していて、この黒い謎の物体は何か新しい料理ではないのか。そう自分を誤魔化し謎の黒い物体を口元へと持ってくる。そして、いったん口を開くがやっぱりやめる。しかし、助けてもらっている身なのだ。勇気をだし口を開け一気に口に放り込んだ。すると口の中に苦い味がひろがった。その時、妹紅は後悔した。昔自分を殺すために毒薬を入れられたことがあったが、それよりもやばい味だった。妹紅は喉まで戻ってくる胃酸を我慢した。慧音がその様子に気づいたのかしゃべりかけてきた。
「どうした妹紅気分が悪いのか?」
慧音は何の悪気もなさそうに聞いてきた。こいつの頭の中は何でできているのか、いったいこいつは何を作ったんだ、と妹紅は心の中できれた。
「上白沢、いったい何の料理を作ったんだ?」
胃酸を飲み込み吐き気を我慢しながら聞く。すると慧音が台所に行き「八雲家の料理レシピ」をもってきて妹紅に渡した。妹紅は本を見る。写真には全く別物の料理が乗っている。どうすれば、こうなるのか妹紅は不思議だった。妹紅は本を見ながら謎の黒い物体と味が濃すぎる味噌汁を食べた。これはこの料理だ、これはこの料理だ、と料理本に乗っている写真をみて自分に言い聞かせながら。食べ終わった時には魂がほとんど抜け、横に倒れこんでいた。先に食べ終わっていた慧音が立ち上がり、
「風呂に入ってくる。暇だったら私の部屋に本があるから読んどいてくれ。」
と言った。妹紅は体を起こし慧音の手をつかんだ。
「明日からは私が作る。上白沢は休んどいてくれ。」
「は、はあ・・・」
慧音は完全に戸惑っていた。なぜいきなり妹紅が料理を作るなどと言い出したのか、ということに。
しかし妹紅は確信していた。このままでは死なないが死んでしまうと。
初めは二話のとき新聞ではなく、「八雲家の料理レシピ」を渡そうかと考えていた結果最終的に完全にゴリ押しで物語に入れ込みました。
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