One slash man   作:蝿声

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 ネロキュンをハゲさせたくなったのでそこだけ書いた。そこに至るまでの道程は……気が向けば書くかもしれません。いや書かない。書けない。
 とりあえずのあらすじ → テメンニグル事件で魔界に片足踏み込んだ双子の魔力を感じ取り、これはやべぇと魔帝がひきこもり継続 → 魔剣教団にネロ・アンジェロの鎧も閻魔刀も流れつかず研究が滞る → 魔帝とアリウスが魔剣教団とコンタクトをとる → 魔帝&覇王&偽神vsダンテ&バージル&ネロが勃発 ← 今ここ


第4話

 広大な闇と散りばめられた小さな光……魔帝によって造られた宇宙空間に、一人の人間……傷だらけで全身から血を滴らせているネロが蹲る様にして倒れていた。青く分厚い鱗のようなもので覆われた右腕にはフォースエッジが握られている。しかし剣が放つ魔力は持ち主に同調しているかのように弱弱しい。

 そんな彼に、巨大な石像の様な悪魔……魔帝ムンドゥスが声をかける。

 

「スパーダの血も、覚醒していなければこの程度か。しかし素材としてみれば上等。お前に秘められし力を引き出し、我の傀儡として使ってやろう。まずは死ね!」

 

 両手と翼を大きく広げ、ムンドゥスの腕が円を描く様に動くと、それに合わせ次々とムンドゥスの前に白い円形の魔法陣が出現し、強大な魔力が集束していった。

 それを前にして、伏していたネロが剣を支えに身を起こす。悪魔の治癒力をもってしても傷は癒えきれておらず、このままではムンドゥスの攻撃を為す術なくくらい、彼奴の宣言通り命の灯を消すこととなるだろう。

 すでに自分にできることは無い。しかし守るべき人のために死ぬわけにはいかない。そんなネロに残された手段は……祈ることであった。2,000年前、多くの人間がそうしたように。そして、応えるのは奇しくも同じ悪魔である。

 

「もしも俺がスパーダの血族だって言うなら……俺にも、守りたい人がいるから……!」

 

 顔を上げたネロの視界には、既に魔帝より放たれた白い魔光が迫ってきていた。それに臆することなく、ネロは白光の先にいる魔帝を睨め付ける。

 

「俺の思いに応えろ! スパーダ!」

 

 ネロの体が白光に包まれる。その姿が完全に消え去ったかと思われた瞬間、白光を貫くような赤い閃光が噴き出した。

 

 

- Give me more power! - Give me more power! - Give me more power! -

 

 

 城塞都市フォルトゥナ上空。雲を眼下に置くほどの高さに魔帝すら比較にならないほど巨大な神の像が浮かんでいた。それはフォルトゥナの中心となっていた魔剣教団が秘密裏に建造していた人造の偽神だ。人々の信仰を集めるべくして造られたそれは、その目的に沿うよう荘厳で神々しい見た目であるが、その実態は悪魔の血肉を寄せ集め固めてできたという唾棄すべきものだ。

 その生まれから有する力は非常に強力で、半端な悪魔ならば一瞬で消滅させるほどだ。その力と巨体、発する神々しさから相対するものを圧倒する存在だ。しかし、偽神の魔力で浮遊する瓦礫に立ち偽神を前に見据える男バージルは、全く気後れすることなく対峙している。いや、対峙していた、と言うべきか。

 偽神は至る所が傷つきひび割れており、体の各部に埋め込まれているコアとなる水晶は全て砕けている。その顔は本来なら能面のようなものであったのだが、今は偽神の中に溶け込んでいる魔剣教団の教皇の顔が浮かび、苦痛と苦悶、憤怒に歪んでいる。対するバージルは一切の傷もなく澄まし顔で、誰が見ても勝敗は決していた。

 

「おのれ、スパーダの血族……! 私はこの力をもって魔帝すらも滅ぼし、神になろうというのに……よりにもよってスパーダの血族が邪魔をするのか!」

「貴様といいかつての奴といい……なぜ悪魔に神の姿を見るのか。理解に苦しむな……」

 

 双方が次なる動きを取ろうとした瞬間、偽神の体に異変が現れた。ひび割れた体の内部から様々な悪魔の顔や腕、体の一部が噴き出し全身を覆いだしたのだ。偽神が身をよじり腕を払い、悪魔を振り払おうとするが侵食は止まらない。

 

「これは……覇王の因子!? 何故神の中に……何をした――アリウス! うあっ……」

 

 その言葉を最後に、教皇の言葉は聞こえなくなった。大小無数の悪魔の体はもはや完全に偽神の全身を覆いつくしていた。今はそれらが無秩序に蠢いているだけだが、いずれ統率されて動き出すだろう。そうなる前に始末しようとバージルが柄に手をかけた時、バージルが首から下げていたアミュレットが輝きながら浮き出した。

 

「これは……」

 

 

 偽神体内。捕らわれたトリッシュのために自ら偽神に取り込まれたダンテは、偽神による牢を容易く破り最深部まで踏み入れていた。そこに教皇の姿はなく、代わりに覇王の力を取り込んだアリウスが居た。

 アリウスは偽神の中という一種の魔界の中で、魔剣教団から得た地獄門に関する知識と持ち前の技術を動員して覇王の封じられた場所に遠隔からアクセスし、その力を引き出すことに成功していた。しかしその力をもってダンテに挑むもあえなく破れ、覇王の力を纏いながらも倒れているアリウスを無傷のダンテが見下ろすという形に終わった。

 そして、そのダンテの胸からアミュレットが浮かび上がり、光を放ちながら消えていこうとした。思わず手を伸ばしたダンテだが、アミュレットを通して伝わってきた青くも熱い意志を感じ取り、伸ばしていた手を下ろす。

 

「がんばれよ、坊や」

 

 消えて行くアミュレットを見送ったダンテがアリウスに視線を戻すと、アリウスが倒れていたはずのところに、先ほどまで影も形もなかった悪魔が居た。アリウスの姿は消え失せており、入れ替わるように現れたその悪魔は炎でできた人の形に角と翼を生やしたような姿をしていた。

 感じられる魔力は先ほどまでアリウスが纏っていたものとよく似ていながらも、段違いな力強さにダンテはその正体に当たりをつける。

 

「覇王と戦うことができるとは、素晴らしい幸運だ」

 

 

 魔帝の放った白い光線を切り裂き現れたのは赤黒い魔力を纏い、魔剣スパーダを持ちてスパーダの姿へと魔人化したネロだった。かつて悪魔に憧れた一人の狂人が変じた時とは比べ物にならないほどの魔力を滾らせながらも、その右手はもともとの青い腕のままだった。そして頭部からは無数の銀糸のような光が飛んでは消えていっていた。

 

「その姿……力は……スパーダ!」

「お仕置きの時間だぜ、魔帝さんよ!」

 

 

- Give me more power! - Give me more power! - Give me more power! -

 

 

「Checkmate!」

 

 ネロの叫びと共に、ネロの魔力によって造られた巨人の拳が無抵抗の魔帝へと叩きつけられる。像のような外皮が剥がれ落ちむき出しの肉と無数の触手からなる姿を晒す。四肢は既に切り捨てられ復元する魔力も残されておらず、その命は風前の灯火と言えた。

 対するネロは魔人化こそ解いているものの傷は完全に塞がっており、闘志も魔力も未だ漲っている姿は疲労とは程遠い。ただし、頭部には先ほどまであったものが影も形もなくなっている。

 

「タフだな」

 

 嘲笑するようなネロの言葉に反応した魔帝のなけなしの力を込められた触手がネロに向かって振るわれる。しかしそれらはネロが切り払うよりも早く赤い魔力を帯びた銃弾と青い魔剣によって相殺された。

 そこにいる二人を予想しつつネロが振り返ればそこには確かに予想した二人がいた……のだが、何故かダンテは唖然とした表情でネロを見つめ、バージルは気まずげに視線をそらしている。

 

「今更登場したと思ったら……何してんだ? あんたら」

「……いや、気にしないでくれ。まずは幕を下ろすとしようぜ」

 

 ネロはまだ、自分の頭部に何が起こったのかを知らない。ちなみにバージルとしては、自分が禿げた時は力のためならばとある程度割り切っていたし、ダンテが禿げた時などはむしろ小気味よいとさえ思っていたのだが、流石に自分の息子……年頃で、彼女と思しきものが居るネロに対しては不憫さを覚えずにはいられなかったようだ。

 

「ふん、別に俺一人に任せてくれても良いんだぜ」

「ああ、最初はそのつもりだったんだが……なあ?」

「……」

 

 歩み寄りネロと並んだダンテはネロの言葉に応えながら、同じく歩いてきたバージルに視線を向ける。ネロは、飄々としたダンテと冷徹なバージルといった印象を二人から感じていたが、今の二人からはその印象とあまりにもかけ離れた熱のようなものを感じ取っていた。その熱の名は怒り。

 

「俺たちの母さんの仇だ。いい年こいてって思うかもしれないが……どうしてもこの手でケリをつけたくてね」

 

 そう言ってダンテとバージルはネロを抜き去り魔帝へと近づく。いつの間にかダンテとバージルの手には、一丁ずつの拳銃が握られていた。

 

「……こんな無粋なものを使うのは、これっきりにしたいものだ」

「ああ、俺もそう願うね」

 

 軽口を叩きあいながら手に持つ銃に魔力を溜めていく二人。忍び寄る死神に対し魔帝は満足に反応することも出来ず、ただ呻き声を上げるだけであった。その姿に酷薄な笑みを浮かべた二人が、肩を合わせて銃口を向け――

 

「ちょっと待てよ」

 

 ――ようとしたとき、二人の間から二つの銃口を持つ拳銃が伸びてきた。

 

「……おい、邪魔するなよ」

「そもそもこいつの相手をしていたのは俺だぞ? ここにきて美味しいところだけ持っていかれてたまるかよ。それに――」

 

 ダンテとバージルはネロの言い分を理解しつつも水を差されたように感じてしまい、思わず渋面を作ってしまう。しかし、続くネロの言葉にはおもわず破顔した。

 

「こいつも混ぜろって煩くてね」

 

 そういってネロが掲げて見せたのは右手に持つ魔剣スパーダだった。それを見たダンテとバージルは、納得して間に入ってきたネロを受け入れた。

 

「そういうことなら、ああ、仕方ない。家族全員でケリをつけるとしようか。なあバージル?」

「……ああ、そうだな。そうするとしよう」

 

 霧散仕掛けていた魔力を再び拳銃に溜めていく二人。間に立つネロは、二つの銃口にそれぞれ異なる魔力を溜める。一つは自分の。もう一つは……スパーダの。都合四つの銃口全てに異なる魔力が込められていく。

 

「合言葉は……分かってるな?」

 

 ダンテの問いにネロとバージルはよく似た笑みを浮かべて応える。そして示し合わせたかのように拳銃を上げ、四つの銃口が十字を作り……そして放たれた。

 

『Jackpot!』

 




なんで俺はdmcキャラをハゲさせようと考えたのか、コレガワカラナイ
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