人外召喚士が異世界から来るそうですよ?   作:猫屋敷の召使い

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雑談&死合

あの後、耀が黒死病に感染していたことが発覚したから、すぐにエリクサーを飲ませた。ただでさえ病のせいで青い顔色が真っ青になったけど。

・・・クソ不味いもんね、エリクサー。・・・爆笑してごめんね?心の中で謝っておくよ、耀。でも無事に治ってよかったよ。今は元気に黒ウサギや十六夜と行動している。

僕は別行動でジャックを捜してる。

そろそろ話を聞いてみたい。気配をたどってはいるけど、なかなか着かない。・・・自由行動範囲外じゃないよね?

しばらく歩いているとジャックのカボチャ頭が見えた。

 

「すいません。そこのジャックさん?」

「ヤホ?」

「ん?誰だ?」

 

僕の声に反応してこっちを向く二人。

 

「初めまして。僕は〝ノーネーム〟の館野蒼奇。君たちと対戦した耀の仲間だよ」

「・・・それで?何の用だよ?敵討ちか?」

「アハハ、まさか。いやね、少しジャックに話があってね」

「ヤホ?私にですか?」

「うん。さっそくだけどさ以前にうるさい魔女っ子に会ったことは?」

「・・・なぜそれを私に?」

 

それを聞いたジャックは僕のことを少し警戒する。

やっぱり迷惑かけちゃってたのかな・・・?

 

「君から気配の残り香を感じたから。でもその返しをしたってことは知ってるんだよね?」

「それを聞いて、どうするつもりですか」

「・・・・・・あー、いや、そのー。・・・あの子は、迷惑をかけなかった?ほら、僕の教え子でもやんちゃな子だったんだ、あの子・・・」

「・・・ヤホ、ヤホホホホホホホホッ!!!そう!そうですか!あなたがミカさんが言っていた先生ですか!!」

「そうそうその子、鏑木ミカです」

 

異世界渡航魔女っ子こと鏑木ミカ。教え子の中でも突拍子のないことをやらかして周りに迷惑をかける人物だ。僕や教え子の多くは巻き込まれて多大な被害を受けている。

それに知らない人に迷惑とかは一番マズイ。

 

「それで迷惑などは・・・?」

「いえいえまさか!あの人にはウィラともども助けてくれた恩人ですよ!」

「・・・・・・ちなみにミカは僕のことをなんと?」

「彼女は『超厳しいけど超強くて優しい私の大好きな先生!』と言っておりましたよ」

「・・・そうですか。厳しいのに優しいってなんだ・・・?・・・ああ、聞きたいことはこれだけです。ごめんね、時間を取らせちゃって」

「いえ、良い時間でしたよ。ミカさんにも改めて礼をお伝えしておいてください」

 

ジャックに聞きたいことを聞いて満足した。

すると、アーシャが僕に話しかけてくる。

 

「お前、強いのか?」

「・・・人外から人外呼ばわりされるくらいにはね」

「・・・なんだそれ?よくわかんねー」

「今はそれでいいんじゃないかな?いずれ、いずれ分かるよ」

 

それを聞いたアーシャは疑問符を浮かべながらも納得したようだった。

 

・・・さて、一週間後か。・・・長く感じるなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

時は流れて、あの交渉からもう六日が経った。

・・・いよいよ明日、決着をつけられる。

・・・考えないようにしよう。気分が高ぶり過ぎて危険なことになる。

 

「・・・・・・はぁ・・・暇だな・・・」

「なら、俺を手伝わないか?」

 

突然僕の後ろから声が聞こえた。

僕が声のした方を向くと十六夜が立っていた。

 

「嫌だ。頑張れ。僕は極力手を出さないって言ったはずだよ」

「・・・ちっ、やっぱ無理か」

「・・・行き詰ったのかい?」

「ああ。もう少しなんだがな・・・」

 

むぅ・・・十六夜で行き詰るかぁ・・・。今回は大目に見ようか、今回だけは。次回からは僕抜きで頑張ってもらおう。

 

「・・・今回は初回だからってことで、仕方なくヒントはあげよう」

「あ?」

 

僕の言葉に十六夜は呆けた声を出す。

 

「白夜叉と時代。この二つについて考えなよ。これでも、出血大サービスもんだからね。・・・十六夜。僕を、失望させないでよ?」

「・・・・・・・・・はっ!そういうことかよ・・・!」

「解決したようだね?それなら、もし次に魔王と戦うときはゲームの謎解きは僕の手助けなしでやってよ?」

「・・・ああ、安心しろよ。俺は、いつかお前に勝ってみせる男だぜ?」

「・・・く、くははっ!いいね!・・・なら今度お試しとして戦ってみるかい?」

「それもいいかもしれないが、俺はそこまでお前を失望させるつもりはねえから遠慮しとくぜ」

 

それだけ言って十六夜は去っていった。

失望ねえ・・・?いまだに僕に勝った人はいないのに僕が何に失望するんだろう?

それでもやっぱり、まだまだかな?・・・でも、これからが楽しみだよ。

三人とも?せいぜい、僕を楽しませてよ?

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

ゲーム再開の当日。

 

「其の一。三体の悪魔及び魔王の協力者の相手は〝サラマンドラ〟とジン=ラッセル率いる〝ノーネーム〟が対処する。

 其の二。それ以外の者は、各所にある一三〇枚のステンドグラスの捜索。

 其の三。発見した者は指揮者に指示を仰ぎ、ステンドグラスの破壊、もしくは保護すること」

「ありがとうございます―――――以上が、参加者側の方針です。魔王とのラストゲーム、気を引き締めて戦いに臨んで下さい」

 

おおと参加者達が雄叫びを上げる。

少しは士気が上がったかな?これで終わった時に死者とかが少なければいいんだけど・・・魔王とのゲームだし期待しない方がいいかな。

それよりも僕は自分のことに集中しよう。【暴食】を呼んで同化。

これだけで鏡夜の奴をどうにかできるかな?いや、どうにかしないといけないのか・・・。もし足りないようなら他にも呼んで同化を繰り返そうか。

 

「・・・もういっそのこと最初から全力で・・・いや、街とステンドグラスに被害が出る可能性が・・・」

 

そのようなことを考えているとゲームが再開する。それと同時に激しい地鳴りが起きた。

何事かと僕を含めた多くの参加者達が辺りの変化に驚愕する。

境界壁は消え、建物は尖塔のアーチが木造の街並みに。黄昏時のようなランプの煌めきはなく、パステルカラーの建築物が並んでいた。

これは、ゲーム盤か・・・?

 

「まさか、ハーメルンの街!?」

 

へぇ、そういうことか。ならステンドグラスだけ気にしてればいいか・・・。

気配は・・・。

 

「・・・見つけた。じゃあ、さっそく行くか―――――

 

 

 

 

―――――あのクズを殺しにっっ!!!」

 

そういってハーメルンの街を駆けていく。

 

 

 

 

~三人称視点~

 

 

 

(これは・・・誘い込まれてる・・・?いや、動いてないから単純に待っているだけか・・・?俺を正面から叩き潰したいのか?)

 

蒼奇はそういうことを考えながら街の中を移動していく。そしてついに鏡夜を見つけた。

 

「よぉ。わざわざ待っててくれたのか?」

「・・・肯定したくはないが、その通りだ。俺はお前と戦うためだけにあいつらに協力していただけだ」

「・・・へぇ?・・・まあ無駄話はそろそろやめにして・・・始めるか」

「・・・・・・」

 

僕は【暴食】の〝アバドン〟とブライトの二体と追加でゴーレムと同化して体の強度を上げる。

それに対して鏡夜は剣を構える。

 

そして、同時に飛び出す。

 

「「死ねっ!!」」

 

本来鍔迫り合うはずのない剣と拳が鍔迫り合う。以前のように蒼奇の身体に傷ができるが〝再生〟で治した。

 

「ちっ!面倒な野郎だな、おい!!」

「こっちのセリフだ!落第生君よぉっ!!」

「・・・っ!黙れっ!!」

 

そこから何度も剣撃と拳撃が交錯する。鏡夜の剣は蒼奇にすべて当たるが、皮膚の硬さに弾かれるか傷が出来ても即座に再生される。対して蒼奇の拳は鏡夜の身体に当たってはいるが、ダメージが入っているようには見えなかった。

 

「硬すぎだろうがっ!!」

「そういうてめぇはどういう体してやがるんだ!?ちったぁ痛がれよっ!!」

 

二人はそういいながらも攻防を続ける。

 

鏡夜が斬りかかり、蒼奇が剣を蹴りで弾く。

そしてそのまま回転してもう一度蹴りを繰り出す。

鏡夜はその蹴りを体を捻って避けると後退しながらナイフを投げて距離をとる。

 

蒼奇から離れた鏡夜は二人の間に業火で壁を作り、そのまま蒼奇の方へと壁を迫らせて来る。突然のことで蒼奇はそれを受けてしまった。

そして、炎の中からナイフが五本飛んできて蒼奇の周りの地面に刺さる。すると地面に刺さったナイフは光り出し、地面から蒼奇を拘束する鎖のような結界を形成した。

 

「・・・っ!?」

「・・・・・・捕まえたぞ・・・」

 

蒼奇は抜け出そうと必死にもがくが抜け出すことはできなかった。鏡夜は蒼奇がしっかり拘束されたのを確認すると持っている剣とは別の剣に持ち替えた。

 

「・・・動けねぇよなぁ?お前用に考え抜いた結界だ。そう簡単に抜けられる訳ねぇよ。それとこの剣には〝不死殺し〟と〝空間切断〟、〝斬撃転移〟が付いてる。いくらお前でも防げないはずだぜ」

「・・・・・・っ・・・!」

 

蒼奇は悔しそうな顔を見せる。鏡夜はその顔を見るとにやりと笑い、ゆっくりと近づいてくる。

 

「こんなにもお前が弱いとは思わなかったぜ?・・・でも、ずっと、ずっとお前を殺せる日を、越えられる日をずっと待っていた。そうしたら俺は最強へとなれる!そして、ついに今!お前を殺し!俺は!最強となる!お前の次は弟子どもだ!このゲームに参加しているあの三人も!此処にはいない数百人の弟子も!全員殺して俺が頂点になる!!」

 

鏡夜は言い終わると蒼奇に不死殺しの剣を振り下ろす。

 

しかし、

 

 

 

 

「・・・やっぱ、雑魚だな」

 

 

 

 

 

蒼奇の声が響くと鏡夜の持つ剣が消滅する。それどころか蒼奇を拘束していた結界すらも消え失せる。

突然のことに鏡夜は驚き、硬直してしまう。

そして、蒼奇は自由になった腕で固まっている鏡夜を掴み、持ち上げる。

 

「ひっ!?」

 

鏡夜は怯えて、引きつった声を上げる。

 

「〝不死殺し〟?今の俺は不死じゃないし、たとえ〝不滅〟を使っていたとしても不死殺しは効かない。なぜかってか?簡単だ。〝不死〟じゃなくて〝不滅〟だからだ。〝不滅〟は〝不死殺し〟すらも凌駕して不老不死であろうとするようなイカれたギフトだ。それと俺がいつ本気だといった?てめぇに俺は召喚獣を二体しか使っていないんだぞ?俺の教え子たちなら戦闘系なら最低でも十体、生産系でも最低でも三体は引っ張り出してくる。その時点でてめぇは俺どころか教え子にすら劣っているんだよ。それに結界?こんな粗末な結界ぐらい本来なら引っかかることもねぇよ。今回はてめぇの奥の手や切り札を出させるために、わざと引っかかってやったけどよぉ。もっと頑張れや。教え子なら余裕で俺を一分は拘束できるぐらいのなら作れるんだよ。それに今回はあの謎の斬撃もわざわざ受けることもなかったしよぉ。油断させるために受けたんだぜ?俺を傷つけられて少しは気分が良かったか?・・・それで、どうだ?てめぇの手も策も、すべてを潰された気分は。本当なら会って速攻で殺してもよかったんだぜ?それをわざわざ猶予を与えやったんだから、感謝しろよ?」

 

鏡夜は怯え切った表情をしているが、最後の抵抗を講じた。

鏡夜の身体が突然、淡い橙色に光りだす。鏡夜はそのことを確認すると突然笑い始める。

 

「ハ、ハハハハハッ!!これでこの街にいる奴らもステンドグラスも終わりだ!!俺の身体は今、核に匹敵する爆弾に変わった!!ここで爆発したらステンドグラスは粉々になってゲームのクリアは―――」

「言ったはずだ。すべて潰した、と。喰らえ、【暴食】」

 

するとルイオスのチョーカーのように光が弱くなり、最後には消えた。

 

「・・・・・・は・・・?」

「冥途の土産に教えてやる。俺が今同化してるのは【暴食】のアバドンのギフト〝暴飲暴食〟と身体特性。そして【植物人間】のブライトの〝再生〟だ。今の現象は〝暴飲暴食〟によるものだ。このギフトはなんでも喰らう。ギフト、概念、事象、物体など。さっきの剣が消えたのもこれだ。そして今回は『お前が爆発する』という事象を喰らった。・・・さて?奥の手はこれで全部か?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

鏡夜は完全に絶望しており、抵抗する気は消え失せていた。

 

「ないみたいだな?・・・じゃあ、そうだな。最後に言い残したいことあるか?元・弟子ってことで特別に許してやるよ」

「・・・・・・俺は・・・・・・たかった・・・」

「・・・あ?」

「俺は、あなたみたいになりたかった・・・」

「・・・・・・は・・・?」

 

蒼奇は突然、鏡夜の自分への二人称の呼び方の変化と突然の告白に驚く。

 

「あなたみたいに、強く、なりたかった・・・そして、みんなに慕われ、みんなを守れるような・・・そんな存在に・・・なりたかった・・・」

「・・・なら、お前は道を間違った。第三次大戦なんてことを目論まなければ、今頃はそんな存在には、なれていたはずだ」

「・・・俺も、するつもりはなかった・・・でも、何かが俺を、僕を、そういう風に、させたんです・・・耳元で何かが囁いて、しなきゃいけないと・・・思ってしまって・・・」

「・・・・・・そうかよ。でも・・・これでさよならだ」

 

 

 

 

 

そういって、蒼奇は鏡夜を、()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

~今日の分身その2!~

 

 

 

「・・・皆さんが出かけてから、もう一週間ですね」

 

「そう、だね。それがどうかしたの?リリちゃん」

 

「・・・お祭りを、楽しんでるんでしょうか?」

 

「・・・そ、そうかもしれないね」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・(き、気まずい・・・。だからといって、魔王とゲームしてるなんていって心配かけたくないし・・・)・・・こ、こんなに長く満喫してるなら、おみやげ、期待してようか」

 

「・・・そうですね」

 

祭典に行った六人を羨むリリを慰める蒼奇であった。

 

 

 

 




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