手紙&召喚
寒空の夜、青年が黒い上着のフードと自身のところどころ長さの整っていない長髪をゆらしながら月に照らされ、影を作りながら歩いていく。ただその影は異様で歪な形をしている。もはや人の形は消え失せ時折うごめく。その姿形は異常で影なのにどす黒く少年の足元を中心に歪んだ円状に形作っている。
「くそ、あの人外剣士が………髪を変な感じに斬りやがって………なにが『その女々しい髪を男らしくしてやる』だよ。いい迷惑だよ。育ての親を少しは敬え………だけど、暇だな………アイツからもらった本にも指示は書いてないし………う~ん、今日本にいる魔術師の友人って誰がいたっけ?」
『………。………。………』
「うげっ、世界でもトップクラスの人外たちじゃん………本当にそいつらだけ?僕の教え子とかは?」
『………』
「間違いない、か。はぁ………なんであの人たちと友人なんだろ?あの人たちは相手が面倒なんだよなぁ………」
『…………………』
「僕がその人外筆頭だからって………僕は君らの力があってやっとあの域だよ。あの人たち単独な上、素であれじゃん。僕という個の存在一人だとあの人たちの足元にも及ばないよ」
『………』
「それでも僕が人外なのは事実だから仕方ない、って………はぁ、わかったよ………じゃあ、何か召喚して契約してみようかな………」
青年は自身の影に………正しくは影の中に
「でもな~僕好みの変り種はなかなか見つからないし………利便性か純粋な戦力、マスコットもなぁ………今は間に合ってるし………また今度にしようかなぁ~?」
雪が降るなか時々立ち止まり何かを考えまた歩き出す。
「ねぇ、君らの友人か知人に僕が好きそうなのはいないの?」
『…………………………』
「………ごめん。みんなぼっちの集まりだったね」
『………』
「いいよいいよ。君らのときのように自分で探し当てるから」
『……………………………』
「………余計な慰めと励ましをありがとう。でも、警告と注意ってなんのこtへぷっ!!」
青年が自分の影の中のモノたちと話しながら歩いていると、急に風が吹き青年の顔に何かが貼り付く。
「………痛い。急になに?警告と注意ってこれのこと?」
少年は自身の影に問いかける。
『………』
「………そう。ありがとう………でも今度はもう少し早く教えてほしいかな………」
『………………』
「うん、わかってくれてありがとう。で、結局これはなに?」
青年はさっき顔に飛んできたもの………一枚の封書を手に取り目をやる。
「………封書?手紙?一体どこから………?」
『………』
「え?………あ、本当だ。宛名が僕宛だ………でも、送り主の名前は書いてない………」
封書には『
『………!………!!』
「へぇ、君らにもわからないんだ。面白いね、これ………」
『………!!』
「危ないから封を切るな………って?」
『………』
「………ねぇ」
『………?』
「……………カリギュラ効果って………知ってる?」
『………ッ!?』
「というわけで、切りまーす!」
『………ッ!!?』
青年………蒼奇は影の注意を聞かず封を切り中の紙の文章を読む。
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
その才能を試すことを望むならば、
己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、
我らの〝箱庭〟に来られたし。』
「………なにこれ?まさか………っ!?」
手紙を読んだとたん、
蒼奇の視界は一瞬で変わり、
日没の暗さは日中の明るさへ、
黒い空は青い空へ、
そして、
地上から上空4000mへと変わった。
『「………!?」』
眼下に広がる光景は決して彼らのいた世界では目にすることはできないものだった。
世界の果て、
巨大な天幕の都市、
明らかに蒼奇たちのいた世界とは別の世界………異世界だった………。
次話は明日投稿予定。