人外召喚士が異世界から来るそうですよ?   作:猫屋敷の召使い

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すごいあっさり終わります。


犯人&喜劇

 〝アンダーウッド〟見張り台。

 そこに蒼奇と玲那、そして数人の見張りがいた。

 一夜明けて、ゲーム攻略に向けて動き始めたのだ。

 

「ごめんね。またお邪魔しちゃって」

「い、いえ。先日の襲撃であなたの実力は拝見させていただきましたので、心強いばかりです」

「そう?それならいいけど」

 

 見張りについてる人たちとたわいない会話をしながら二人は過ごしていた。すると集合を知らせる鐘が鳴り響く。

 

「・・・あの?」

「ん?どうかした?」

「あ、いえ。集合場所に行かなくてもよろしいのかと思いまして・・・」

 

 見張りの一人がそんなことを尋ねる。

 

「いいのいいの。僕の役割は決まってるし」

「そうですか・・・」

「それより僕らはしっかり警戒してようよ」

 

 そしてゲーム攻略の、レティシアを助けるための作戦が始まる。

 

 

 

 

 

 

 作戦が始まり、見張り台にいる全員が〝アンダーウッド〟上空にある古城へと向かっていった者たちを見上げていた。しかしその姿はもう見えることはなく不安そうな視線を送るだけだった。

 

「・・・大丈夫なんでしょうか?」

「議長と僕の仲間を信じなよ。・・・それよりも、巨人族が来るよ」

「えっ?ですが姿も何も―――――」

「――――――――――――ウオオオオオオオオオオッォォォォォォォォ―――――――――――――!!!」

「なっ!?なぜ!?」

「目に見えるものがすべてじゃないってことだよ。ほら僕は巨人族を押さえておくから、鐘を鳴らして緊急事態を知らせなよ」

「は、はい!」

 

 見張りは鐘を鳴らして〝アンダーウッド〟全域に知らせる。その間に蒼奇は巨人族の中に突っ込み、召喚する。

 

「被害が少なく、他の人の邪魔をしないのは・・・強化寄生体(ブレイン・コントローラー)

 

 先日召喚した強化寄生体を二十体呼び出して、手頃な巨人族に寄生させて攻撃させる。

 

「・・・うん。あとは傍観していればいいかな?でも、玲那。一応飛鳥たちの援護に行ってよ」

「・・・?なん、で?梃子、摺るほど強くない、よ?」

「一応だよ、一応。平気そうなら手を出さないで傍観に徹してほしい」

「・・・わかっ、た」

 

 寄生された巨人の蹂躙っぷりを見てそう言い放つ蒼奇。

 蒼奇が召喚した強化寄生体とは、名前の通り寄生した存在の格を上げたうえで体を乗っ取る召喚獣だ。そのため、今ここを襲撃している巨人族では手も足も出ないぐらいに強くなっているだろう。

 

「さてと早く終わらせてよ、みんな。暇で暇で死んでしまいそうだよ」

「そうか。それなら俺の相手をしてもらおうか?」

 

 蒼奇の背後からそんな声がかけられる。声の方に顔を向けると顔を包帯で覆っている不審な男がいた。

 

「・・・ああ、やっぱり来てたんだ、教え子誘拐の犯人さん?」

「・・・はははははっ!!そうか、やはりバレていたかっ!」

「えっ?なに急に笑ってんの?こわっ」

「・・・・・・・・・・・・」

「や、やだな~。睨まないでよ~。楽しい会話をしようよ。どこの世界の僕かは知らないけどさ」

「・・・!?・・・そこまでバレているのか?」

「気配察知はお手の物だよ。僕なら知ってるでしょ?だからこそ玲那を遠ざけたんだし」

「・・・チッ」

 

 男は舌打ちしながらもより一層強く蒼奇を睨む。

 

「その感じだと、僕を生み出す過程の失敗作、かな?」

「・・・その通りだ」

 

 男は蒼奇の言葉を肯定して自身が『館野蒼奇』であることを認めた。

 今の『館野蒼奇』を生み出すのに最初から成功したなんてことはもちろんなかったのだ。もとからいくつかの分体を並行して生み出していたのだ。そして箱庭に召喚された『館野蒼奇』は唯一成功した個体で今も生き永らえている。

 しかし失敗した個体は本体によって処分されてきた、はずだった。

 

「それで、なんで生きてるの?」

「・・・拾われただけだ」

「なるほどね。魔王連盟に、か・・・じゃあやっぱり僕の敵だ」

「まあ待てよ。勧誘も含めて俺は来てるんだよ。まったくもって不本意だがな」

「勧誘・・・?魔王連盟に?」

「ああ、そうだ」

「冗談でしょ?僕は魔王でもなんでもな―――」

「〝青き魔王〟」

「・・・ッ!?」

 

 蒼奇(偽物)が発した名前に蒼奇(本物)が反応する。

 

「・・・そっちこそ結構調べてんじゃん。でもおかしいな。記憶操作は完璧なはずだけど?」

「こっちにゃそういう類が効かない古株や『館野蒼奇』がいんだよ」

「・・・なるほどね。そうだったっけか。まあ、返答に関してはNOだ」

「・・・だろうな!そんじゃあ遊ぼうぜ!!」

 

 そういった蒼奇(偽物)の影から攫われた教え子たちが出てくる。

 その数は、約五十人。

 

「こいつらは俺がさらに手を加えて強化してる!いくらお前でもこいつらに無傷じゃ―――」

「【しまさん】、〝収納〟」

 

 たったそれだけの蒼奇(本物)の言葉で、教え子全員の姿が掻き消える。

 

「・・・は?」

「そうだね。さすがに僕だけで周りに被害を出さずに対処するのは厳しい。だから召喚獣たちに頑張ってもらうことにするよ」

 

 今頃しまっちゃうおじさんの収納部屋の中では召喚獣たちによる捕縛劇が繰り広げられているだろう。そういった蒼奇(本物)蒼奇(偽物)を正面から見据えて、話しかける。

 

「それで?君の作戦はこの程度で終わりかい?もちろん僕には精神操作の類は効かないよ?」

「・・・クソッ!!」

 

 教え子たちが役に立たないと理解した蒼奇(偽物)は逃走を試みる。しかし、

 

「そんなこと、僕が許すとでも?」

「ガフッ!?」

 

 蒼奇(本物)によって腹を蹴られて地面へと叩き付けられる。

 

「・・・弱い。マジで失敗作かよ、つまんねぇ」

「くそがっ・・・!てめえが異常なだけだろうが・・・!!」

 

 蒼奇(本物)は地面に倒れ伏す蒼奇(偽物)を見下ろす。

 そして、首を掴んで持ち上げる。

 

「ぐっ・・・!?」

「遺言があるなら聞くけど?」

「そうかよ・・・!なら、よく聞け!失敗作は俺の他にもまだいるんだ!そいつらが絶対にお前を!」

「・・・知ってるんだよ、んなこと。まあ、それだけならさっさと死んでくれや」

 

 掴んでいる首からグシャッ!という音が鳴るとともに蒼奇(偽物)、失敗作は絶命した。

 

「・・・生き返らない、か。やっぱ失敗作だね、こいつ」

 

 死体を見ながら、そんなことを呟く蒼奇(本物)

 

「さて、召喚獣たちの方も終わったみたいだし、連絡するか」

 

 そういうと懐から腕輪を取り出し、自身の影をつないでいるミリアとジョンに連絡する。

 

「ミリア、ジョン。聞こえているか?」

『・・・うん』

『・・・・・・』

「ジョン。せめて何か話してくれ。通信がつながっているかどうかわからないからさ」

『・・・聞こえている』

「よし。それじゃあ話すぞ。先ほど誘拐犯を始末した。洗脳を解いたら影の中に入れておくから、そっちで回収してほしい。構わないか?」

『・・・まかせろ』

『・・・・・・・・・』

「ミリア?」

 

 蒼奇はミリアから返事がないことを不思議に思い、聞き返す。

 

『・・・割に合わない』

「・・・埋め合わせするから許して?命令権一回とかぐらいならあげるから」

『・・・なら良し』

「そう。じゃあ頼んだよ二人とも」

 

 蒼奇はそう言って二人との通信を切る。

 そして本体が創りだしていた分体のことを思い返していた。

 

「本体の分体の失敗作は四人、だったかな。だからあと、三人。・・・今回のは僕らの中でも精神干渉に特化した奴だろうな。他のは三人は戦闘系だったはずだから、次の僕には少し期待しようかな。四天王的な感じで強くなっていけばいいな!・・・あっ!つまり今回の僕は『我は四天王の中でも最弱(ry』的なアレだったのか!?いやまあ、たしかに精神干渉特化だからそれもありえ」

 

 蒼奇が一人でそんなことを言っていると、

 

「GYEEEEEEEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaEEEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaa!!!」

「あっ!来た来た来た来た来たぁ!!?あはははははははは!!!さあ!!十六夜たちが来るまでは僕と遊んでもらうぞデカブツ!!」

 

 巨竜の声が響き渡り、蒼奇が歓喜の声を上げる。

 そして、二体の怪物が再び対峙する。

 

 

 

 

―――――と思われた。

 

「でも、始まる前からすでに時間切れか。残念だけど今回の僕の役目はこれで終わりだ。後は頼んだよ三人とも」

 

 蒼奇は巨龍を十六夜たち三人に任せて静観することに決めた。

 そして、巨人族の相手を終えたペストと玲那が蒼奇のもとに来た。

 

「・・・ただい、ま」

「ただいま戻ったわ、マスター」

「お帰り、二人とも」

「・・・・・・・・・」

「どうかしたかい?ペスト」

 

 蒼奇は自身をじっと見ているペストに不思議に思い、尋ねる。

 

「・・・マスターは手を出さないのかしら?」

 

 ペストがそんなことを聞く。

 

「出さないよ。僕の役目は終わったんだ。あとはあの三人に任せるよ。その結果がどうなろうと知ったことじゃないよ」

「・・・そう。冷たいのね」

「せめてスパルタと言ってくれよ」

 

 三人が集い、暢気にそんな会話をしている間にゲームの展開が目まぐるしく進んでいき、三人の視界の先にいる巨竜の姿が光の中に静かに消えていった。

 

「・・・終わりだね」

「そうね」

「う、ん」

「これから後始末で忙しくなるよ。二人もちゃんと手伝ってね?」

「もちろん。わかっているわ」

「・・・・・・・・・」

 

 ペストは当たり前とでもいうように返事をするが、玲那が返事もせずに黙りこくってしまう。

 

「玲那?わかってるよね?」

「・・・・・・・・・・・・う・・・ん」

 

 蒼奇がさらに念を押すと嫌々ながらも返事を返す玲那だった。

 おそらく蒼奇以外に使われるのが嫌だったのだろう。

 

「とりあえず先に行っててよ。僕はやることがあるからさ」

「・・・?ええ。わかったわ」

「・・・了、解」

 

 玲那とペストが蒼奇から離れて〝アンダーウッド〟へと戻っていく。

 一人になった蒼奇は影の中の倉庫とリンクする。

 

「さて、洗脳を解かないとね」

『・・・出来れば、俺たちの治療も頼めないか?』

「やあ、ブルーニトロ君たち。今回の戦闘はいい経験になっただろう?」

『・・・』

 

 影の倉庫で洗脳されていた教え子を相手していたブルーニトロが蒼奇に話しかけてきた。それに蒼奇が問いかけると押し黙ってしまった。

 

「・・・まだ相手は早かったかな?」

『・・・今度からは別の相手にしてくれ』

「了解。とりあえず倉庫の中のエリクサーを使っていいよ」

『すまない』

 

 それを最後にブルーニトロとのリンクは切れた。そして、会話をしながらしていた洗脳解除作業も終わった。

 

「よし。これであの二人とつながっている倉庫に移しておけば完璧だね。今回の騒動はこれにてめでたし、かな?」

 

 蒼奇は最後に体を伸ばして〝アンダーウッド〟へと戻った。

 

 




次も一週間以内ぐらいに・・・。
ただ、レポートがたまっているので少し遅れるかもしれません・・・。
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