蒼奇は五人に今回のことを話した。
自分が『館野蒼奇』本人ではなく本体が生み出した分体であること。
今回の件は自身と同じ分体の失敗作が引き起こしたこと。
それらを話し終え、改めて五人に向き直る。
「今回のことは俺の不始末が原因だとわかった。だからお前らはもう手伝わなくていい」
「「「「「・・・」」」」」
「・・・?どうした?」
「あーいや、突然そんなこと言われても・・・」
「・・・理解が」
「・・・出来ん」
ミカとミリアとジョンが連携してそんなことを言う。
「・・・僕たちは師匠の教え子ですか?」
山田が不安そうに聞いてくる。
「それに関しては安心しろ。お前ら五人は全員、俺が手掛けた弟子だ」
「そうですか。まあ、月並みですが師匠は師匠ですしね」
「・・・・・・・・・本当に月並みだな。こういう時ぐらい厨二的に言えないのか?」
「それはもう卒業しました!!」
蒼奇と山田が言い合い、そして笑い合う。
「ちょ、ちょっと待って!?私たちが追い付けて無いんだけど!?」
「「俺は俺ってことだ/師匠は師匠ってことです」」
「だから!それがわかんないって言ってんのー!!」
ウガーッ!!と頭を抱えて振り回すミカ。ミリアとジョンも未だに混乱しているようだった。ただ玲那だけはこの状況を理解できているようで落ち着いていた。
「・・・早く、観戦し、たい」
「ああ、そうだったね。行っててもいいよ?」
「・・・一緒、に見たい」
「ああ、そういう・・・」
「先生!!イチャつかないでもう一回説明してよ!?」
「えー?めんどくさ・・・もういっそ頭にぶち込むか?」
そう考えた蒼奇は三人の頭に情報をぶち込む。
「「「・・・・・・・・・」」」
「どうだ?理解できたか?」
「で、出来たけど・・・頭がぁ~」
「・・・割れそう」
「・・・うむ」
「理解は出来たんだな?なら帰っていいぞ。玲那も収穫祭が終わったら元の世界に帰っていい」
「先生はどうするの?」
「今回は俺の不始末だから、俺一人でどうにかするさ」
「・・・なんか納得いかない」
「なら教え子全員〝箱庭〟に移住してコミュニティでも興すのか?」
「「「「「・・・・・・」」」」」
「あ?どうしt」
「「「「「それだ!!」」」」」
突然五人が黙ったので蒼奇が声をかけると大きな声を揃えて言った。
(これは余計なことを言っちまったか・・・)
その反応に提案してしまった本人は心の中で後悔していた。
「そうだよ!そうすれば先生にいつでも授業してもらえるし!」
「・・・薬も渡せる」
「・・・武具もだ」
「・・・いつでも、会える」
「勝負も挑めますしね」
「・・・マジでやる気か、お前ら?」
「提案したのは先生でしょ?」
「まあ、そうだが・・・」
「ということで善は急げってことでみんなを集めてコミュニティを興すよ!四人とも行くよ!」
ミカは玲那も含めた全員で箱庭の世界へと飛び出そうとする。
「・・・待って」
「すこし待ってください」
「・・・時間が欲しい」
しかし、ミリアと山田、ジョンの三人が引き留める。
「えっ?なに?なんかあったっけ?」
「ええ。すこしだけ」
「え~?早く終わらせてよー?」
「というより貴女も参加するんですよ?」
「えっ?どういうこと?」
「それは・・・」
山田は一度言葉を区切って、ミカから蒼奇へと向き直る。
「「「どうでもいいから一発殴らせろ」」」
山田とミリアとジョンが口を揃えて言い放つ。その言葉に蒼奇は驚いた表情をして、すぐに薄らと笑う。ミカも同様に驚き、三人に尋ねる。
「・・・なんで!?どうして!?」
「「「振り回されたから」」」
「いやいやいや!?それだけ!?動機が感情的すぎない!!?」
「まあ、落ち着けよ。それにお前も参加するんだろ?」
「いや!?しま「「「す」」」ちょっと!?そこの三人!私の言葉に被せるな!!」
「加減はしてやる。だから安心して殺されに来い」
「加減するなら殺さないでよ!!」
ギャーギャーワーワー!!と騒ぐミカを無視し、玲那に向き直る。
「玲那。お前はどうする?」
「・・・参加、する」
「嘘ぉっ!?」
「・・・さて、逃げ場はないが、どうする?」
「・・・・・・う~!やればいいんでしょ!やれば!?」
玲那も承諾し、残りはミカだけという状況でようやく彼女も折れた。そして―――
「んじゃ、世界を変えようか。フィールドは荒野だ」
―――蒼奇が戦いの場所を作り出す。
六人の視界に映った場所は草一つ生えていない土地で、空には太陽が顔を覗かせていた。
「・・・此処なら、存分に暴れられる」
その言葉に五人は構えて、すぐに動けるようにする。
それを見た蒼奇は呆れたように笑って、
「殴るって言ったのはそっちだ。先手は譲るさ」
優しい声音で話しかける。
「「「「「・・・・・・ッ!!」」」」」
そして数瞬の間をおいて、蒼奇に各々の攻撃を繰り出す。
山田は自身の生涯最高ともいえるほどの一閃を繰り出す。
ミカは魔力で一点集中のレーザーを打ち放つ。
ミリアは土でゴーレムを作り出したうえ、オリハルコンへと変質させて叩き潰そうとする。
ジョンは自身が造りだした武具を身に纏って突撃する。
玲那は強化を施して死角へと回り蹴りを放つ。
それぞれ自身の全力で。一撃でも、少しでも届いてほしいと、願って。
「・・・ああ、やっぱ、いいな。でも、まだ甘いな」
蒼奇は青鬼一万体と【同化】して攻撃を打ち払う。
山田の剣を足で蹴り上げて、そのまま腹に一撃を入れて吹き飛ばす。
ミカのレーザーを手で打ち払い、消滅させる。
ミリアのゴーレムの手を受け止めて、押し返す。
ジョンの突進をゴーレムを押し返した手で止めて、投げる。
玲那の蹴りを空いてる手で足を掴み、投げる。
「山田。他の四人を意識しすぎて振りが甘かった。躊躇って少し速度を上げ損ねたな。もう何度も集団で俺に挑んでるんだから学習しろ。それにお前に付いていけないほど此処の四人は弱くない。ミカ。魔力の練りは上手くなっているが、密度がまだ甘い。圧縮の練習をしろ。速度もまだ上げられる筈だ。それに手数も増やせ。そのうえ直線ではなく自在に動かせるようにもだ。ミリア。この場合は速度の遅いゴーレムじゃなくて人形系や動物系、昆虫系が正解だ。物量で動きを阻害しろ。ゴーレムのようなデカブツは他の奴らも巻き込む。ジョン。もう少し武具の組み合わせを考えろ。それにお前はどうしても考えが真っ直ぐすぎる。搦め手も視野に入れろ。玲那。死角を取ったことやそのうえ強化も十分だった。しかしもっと他のギフトも組み合わせられたはずだ。そこを考えろ。俺相手に手を抜こう何ざ考えてんじゃねえぞ」
蒼奇は五人に対して、それぞれのミスを言っていく。
「さあ、もう一回来いよ。それとも次はもう少し加減してやろうか?」
「「「「「・・・・・・・・・・・・ッ!!」」」」」
蒼奇のその言葉を皮切りに人外同士の力のぶつかり合いが始まった。
六人は荒野の地形を大きく変えながら激闘を繰り広げていた。
「死ね!くそ師匠!」
「・・・俺の弟子は全員恨みでもあるのか?」
「「戦闘系は全員少なからず持ってると思いますよ/思うよ!!」」
山田とミカが声を揃えて突っ込む。
「むぅ・・・。厳しくし過ぎたか?いやむしろより厳しくして心を折って逆らえなく「「させるか!!」」おっと!」
二人が蒼奇の言葉に反応して同時に攻撃をする。
「そんなことしたら廃人確定だよ!!」
「そうです!ただでさえ心が折られた人を僕らが立ち直らせてるんですから!!」
「・・・・・・じょ、冗談に決まってるだろ・・・?」
「「じゃあ疑問形にするな!!」」
そんなやり取りをしている中でも蒼奇は五人の攻撃を避けて、流して、すべてを防ぎきる。
「あーもう!!少しは当たれ!!このくそ先生!!」
「いや、それは無理。当てたきゃ頑張れ。全員で協力したらワンチャンあるかもしんねぇぞ?」
ミカが魔法を繰り出したり、杖で殴ってくるのをひらひらと避けては親切にも返事をする。
「せいっ!」
「ん?」
そんなことを続けているとミカが離れながら青白い球体のものを蒼奇に向かって投げる。
「なんだこれ?」
蒼奇は特に避けもせずに観察していると、
「弾けろ!タイムボム!」
「はぁ!?タイムボム!?おいジョン!今度はラ〇ェクラの影響を」
そこまで言って蒼奇はタイムボムが弾けた影響で時間の流れが遅くなり、言葉は聞き取れなくなる。
「「「・・・ッ!!」」」
それを好機と見た山田、ミカ、玲那の三人は一斉に攻撃を仕掛ける。最初の攻撃よりも一段と強力な一撃を。
そして、その攻撃はタイムボムの空間内にいる蒼奇へと見事命中してその体を後方へと吹き飛ばして地面へ激突すると盛大に砂煙を上げる。
「・・・やったの?」
「ミカ、その発言はフラグですよ」
「・・・う、ん。絶対にこの、程度じゃ、やられな、い」
「・・・同意」
「うむ・・・」
五人がそんなことを話していると煙の中から声が聞こえてくる。
「・・・そうか。この領域まで育ったんだ・・・」
その言葉を聞いた五人は今まで感じたことのないほどの悪寒が背筋に走った。そして煙の中からの声がさらに言葉を発する。
「なら、次の領域を見せてもいいか。覚悟しろよ?これから見せるのは今までとは比にならない。・・・安心しろよ。死なないように加減はしてやる」
未だ続く言葉に五人は先ほどの悪寒が気のせいではないと確信する。
蒼奇は五人にもわかりやすいように
「青鬼、
次も一週間以内にできるように頑張ります。