〝ストレンジャーズ〟の拠点を後にしたミカとミリアとジョンは街に繰り出して、観光しながら目的地の錬成工房街へと向かっていた。
「ふんふふ~ん♪あっ!?あれおいしそう!」
「・・・あまり買いすぎると」
「大丈夫!ちゃんと先生からお小遣いもらってるから!」
「・・・(さすが先生。ミカの扱いが慣れてる)」
ミリアは心の中で蒼奇に賞賛の念を送る。
ミカをコントロールするならば、彼女が目移りしそうなものに対して必要な対価を渡しておけば大抵の場合は上手くいく。今回の場合はそれが多くの店であり、対価の金銭であっただけである。
「・・・それで、目的地は?」
「・・・まだなのか?」
「
「「・・・」」
ミカは頬いっぱいに食べ物を詰めて返答する。それを汚いものでも見るかのようにミリアとジョンが視線を向ける。
「
「「なんでもない」」
「・・・ごくん!いや絶対に何かあるでしょ!?」
「「別に」」
「むうぅぅぅ・・・!あとで絶対に聞きだしてやる!!」
「「どうぞどうぞ。できるものなら」」
「きいいいぃぃぃぃぃぃッッッ!!」
「「猿」」
「違うよ!?」
ミリアとジョンがミカをからかいながら進んでいくと、ようやく目的地である工房街が見えてきた。
「あっ!あそこ!あそこからジャックの気配がする!」
「・・・なら、早く行こう」
「・・・うむ」
「えっ!?ちょっとー!?おいてかないでよー!!私がいないと二人はただの部外者なんだからねー!?」
ミカが目的地だと宣言すると、珍しく興奮が抑えられないジョンとミリアが街の中へと入っていく。それを見たミカが急いで二人を追いかける。
通路を進んでいくローブの少女と厳つい巨漢。その二人を追いかける魔法少女。
ミカが身体能力の高いジョンに強化なしで追いつけないのはわかるが身体能力がゴミクズ「ゴミクズじゃない」・・・低いミリアにさえ追いつけない状況がそこでは起きていた。
「なんで追いつけないの!?」
「「好奇心がなせる業」」
「それパク、ってまだ速度が上がるの!?」
「って、とにかく全員落ち着くのですよおおおおおおお――――――!!!」
二人がミカをおいて進んでいくと、とある建物から大きな声と雷鳴が聞こえてきた。そして、窓が激しく飛び散る。
そのことで二人はしばらく固まり、珍しく茫然とする。
「「・・・」」
「・・・ここ?」
「・・・おそらく」
「・・・じゃあ入ろう」
「・・・うむ」
二人は意を決して建物の中に入っていく。
そして二人の視界に入ってきたのは三人の女性とカボチャ頭の人とぼんぼんそうな男だった。
「「・・・」」
「・・・ヤホッ?」
二人が固まっているとそれに気づいたジャックが二人に話しかける。
「なにかご用でございますか?」
「・・・うん。でも、私たちの用事よりも先に済ませないといけないけど、」
「・・・その本人がまだ着いていない」
「・・・?それは一体、」
「やっと追いついたー!!二人とも早すぎ!!」
「「・・・彼女がその張本人」」
ミリアたちがジャックに説明していると二人の後ろからすごい勢いでドアから入ってくるミカ。
「ヤホッ!?」
「あっ!?ジャック!久しぶりー!」
「ミ、ミカさん!?一体なぜ・・・!?」
「いいじゃんいいじゃん!そんな細かいこと!あっ!ウィラちゃんは元気?」
「は、はい。それはもう・・・。ですが、まだストーカーに悩まされていますが・・・」
「そうなの!?あの変態め・・・!まったくもってしつこいなぁ~!!」
「そうですね。私たちも一度は撃退したのですがね・・・」
「そっか!私の力が必要になったら言ってね!箱庭にはしばらくはいるはずだから!」
「ええ。その時はぜひとも貸していただきます!」
そんな二人のやり取りに茫然とする飛鳥と耀と黒ウサギ。そしてジョンとミリアは工房の中を見回す。そんな中黒ウサギは意を決して会話に割り込む。
「あ、あのジャックさん?そちらの御人は一体だれで御座いましょうか・・・?」
「ああ、こちらの方は先ほどの話にも関連してきますが、私とウィラが〝マクスウェルの魔王〟に襲われているときにたまたま助けていただいたのです。しかも一撃で撃退したのですヨ!」
「い、一撃でですか!?そ、それなら、なぜそんな御人がここに・・・?」
「ジャックとウィラちゃんに会いに!」
「・・・・・・そ、それだけでございますか?」
「うん!あっ!自己紹介が遅れちゃったね!私は鏑木ミカ!〝ストレンジャーズ〟のリーダーだよ!それでこっちの二人が、」
「・・・ミリア=フォーサイス」
「ジョン=ドゥだ。よろしく頼む」
黒ウサギはミカのペースに呑まれてしどろもどろとしており、ミカは依然とそのペースを崩そうとしないがジャックがそこで話に入ってきた。
「〝ストレンジャーズ〟?最近台頭してきたあの〝ストレンジャーズ〟ですか?」
「うん!二か月前に人を集めて作ったんだ!」
「・・・それで、今回の用件は?」
「私はさっき言った通りジャックたちに会いに来ただけ!そっちの二人は、」
「・・・いろいろ、見たい。箱庭に来たばかりでどんな素材があるかわからないから」
「・・・その通りだ。そしてあわよくばそちらと良い関係を築きたいと考えている」
二人は素直に自身の考えを暴露する。臆することもなく。
「・・・ヤホ、ヤホホホホホホホホッッッ!!!そうでございますか!!どうぞどうぞ!好きなだけ見ていってください!!」
「・・・うん。でもその前に」
「・・・ああ」
そういった二人は黒ウサギに近寄って、壊れてしまっている〝
二人に詰め寄られた黒ウサギは押されながらも尋ねる。
「な、なんでございましょうか?」
「・・・これなら」
「・・・ああ」
「これ、すこし貸してもらってもいい?」
「えっ?は、はい。どうぞなのですよ」
黒ウサギから槍の残骸を受け取った二人はそれを持って、自身のギフトを十全に用いて復元を、いや、改良を始める。
「・・・これより錬成を始めます」
その一言で二人は黒い球体で包まれ、外からは見えないようになる。
「い、一体何が?」
「きっと、さっき渡した槍の復元と改良だと思うよ。二人のお眼鏡にかなったみたいだし」
「・・・っ!?あ、あの、あなた方は・・・?」
「じゃあ、改めて。私は〝ストレンジャーズ〟のリーダーで館野蒼奇の教え子の上級・上位二位の鏑木ミカ。あの二人は同じく上級・上位三位のジョン。上級・上位四位のミリアだよ」
ミカが平然と言い放つ。それを聞いた飛鳥と耀と黒ウサギは驚き、固まってしまう。
そんな中、球体の中からミリアとジョンの声が響いてくる。
『・・・復元、完了』
『・・・神格の強化を始める』
『・・・完了。
『・・・不破、貫通力強化、速度強化、完了』
『・・・槍の存在を確定させます』
『・・・確定まで、3、2、1、確定成功』
その言葉を最後に黒い球体が弾けるように消える。そして二人の手の中には半壊する以前の姿を取り戻している〝疑似神格・金剛杵〟がそこにはあった。
「・・・はい。直したよ」
「・・・は、はい。ありがとうございます・・・」
完全に修理されていることに驚きながらも受け取る黒ウサギ。
「で、ですが、こんなことをただでしていただくなんて・・・」
「・・・?ただ、じゃない」
「・・・なにが欲しいのでございましょうか?直していただいて申し訳ございませんが黒ウサギたちにはそれほどの対価は用意でき「金銭はいらない」はい?」
「欲しいのはつながり。貴方達といい関係を築ければ私たちの利益になると思ったから」
「・・・やはり蒼奇さんに似ていますね。わかりました♪黒ウサギたちにできることなら、その時はお手伝いさせていただきますヨ!」
「・・・うん。ありがとう」
ギュっと固く握手するミリアと黒ウサギ。それを遠巻きに見るジョン。そしてこの展開についてこれていない
「・・・なんでミリアさんがリーダーじゃないの?ミカさんよりよっぽどリーダーらしいのに・・・」
「よくぞ聞いて「私と他の三人が押し付けたから」もう~~~!!!言わせてよ!語らせてよ!!この私に熱く!聞くも涙話すも涙な話をさぁ!!」
「それはミカが話す時点で不可能」
きいいいいぃぃぃぃぃぃッッッ!!と奇声を上げるミカ。それを耳を塞ぎ無視するミリア。
ジョンはそんな雰囲気の中、ジャックに近づき話しかける。
「・・・出来れば、そちらとも良好な関係を築きたいと考えている。そちらのリーダーに話を通してもらえないか?」
「ヤホッ?私達もですか?・・・ですがあなた方ならば引く手数多なのでは・・・?」
「力だけを欲する上辺だけの関係などいらん。必要としているのは後ろや隣を任せられる信頼できる仲間だ」
「・・・ヤホホホホッ!!分かりました!ウィラに話してみましょう!」
そんな話を聞いていた飛鳥と耀の二人は黒ウサギに提案する。
「黒ウサギ。あんな下種坊ちゃんより鏑木さんたちのコミュニティと同盟を組んだ方がいいんじゃないかしら?」
「・・・私もその方がいいと思う」
「・・・・・・・・・それもそうでございますね♪」
「その方がいいかもしれませんね」
「おい!?さっきも言ったけど同盟関係だよね僕ら!!?」
その会話を聞いていた三人は『同盟』という言葉を聞いて首を傾げていた。
「あの、同盟って?」
「あっ!?皆さんは箱庭に来たばかりでしたね。同盟というのはですね――――――」
「―――――というものです。わかりましたか?」
「・・・うん。ありがとう」
ミリアは黒ウサギから同盟についての説明を受けて納得していた。それはジョンとミカも同じだった。
「・・・なるほどな」
「うん!よくわかんないけどわかった!」
・・・訂正。ミカは理解しきれていなかったようだ。
その後もたくさんの話をした後黒ウサギたちはゲームの準備のために店を出ていった。出ていく際にミカ達に観戦に来てくださいね!ということを伝えて。ミカ達は店に残ってジャックたちとの話に花を咲かせていた。
ミカ達がジャックの下を訪れている一方、山田と教え子の中でも選りすぐりの実力者数名を引き連れて煌焔の都市を駆け巡っていた。もちろん誰にも見つからないように隠密行動だが。
「総員。不穏な動きをしている人物、または嫌な気配のするものを見つけるようなら即座に排除に動くように。いいね?」
『はい!』
「じゃあ散開!」
山田は他の者に指示を出すと一人突出した速度で駆け巡っていく。
「(先生は今回も仕掛けてくるか何かしてくると言っていた・・・。それが当たっているなら必ずどこかに潜んでいるはず・・・!)」
山田はそんなことを頭の隅で考えながら疾駆する。しかし、いくら探しても姿どころか痕跡すら発見できずじまいであった。・・・ある一時までは。
その騒動が起きる前。蒼奇は拠点で玲那に起こされていた。
「・・・なにを感じたの?」
「・・・いや、な感じ。誰かが傷、つけられてる、そんな感じが、した・・・」
「・・・そっか。動き出すんだ。いや動かざるを得なかったのかな?」
ベッドから上体を起こして伸びをしながら呟く。
「・・・どう、するの?」
「動く、よ。ちょっと辛いけどね。わかってるとは思うけど、みんなには内緒だよ?」
「・・・う、ん」
蒼奇は青い顔で立ち上がるが、その拍子に多少ふらつく。それを玲那がすぐに支えた。
「・・・ありがとう」
「・・・無茶、しない方、が―――」
「いいんだよ、これで。これが正しいんだ。僕としてはね」
蒼奇はそう伝えて無理やり自身の身体を動かして拠点の外、〝煌焔の都〟へと足を向ける。
「さて、ほかの
一先ずテストも終わったので週一更新に戻ります!
それと、『問題児』編が終わった後の『ラストエンブリオ』編って読みたいですかね?
書こうとかは特に考えていないんですけども・・・。
一応それについての活動報告を作ってあるので返信ください!