負荷&絶望
姿を消した蒼奇は静かなところで体を休めていた。
『グアアアアアアアアアアアやられたあああああ!!!』
・・・訂正。ある程度声が届かないところでガタが来ている体を休めていた。
「彼らは元気だねぇ・・・いや、元気なのが一番なのだけれども・・・。それに比べて、僕はなぁ・・・。つらいなぁ・・・。早く偽物たちを片付けたいのに、体がこんなんじゃなぁ・・・ハァ」
体を休めながらも、自身の無力さを初めて実感する蒼奇。今まで圧倒的な力で制圧してきた本人だが、力が衰え体も以前ほど動かなくなっていくことに自身の境遇を恨んでいた。
「・・・できる限り、体を休めておこうか。ミカたちに指示は出してあるし」
そう呟いて、目を閉じて眠り始める。
眠っていた蒼奇は妙なモノを感じ取り目を覚ます。すると、空から多くの黒い封書が降り注いでいた。
『ギフトゲーム名〝Tain Bo Cuailnge〟
参加者側ゲームマスター〝逆廻 十六夜〟
主催者側ゲームマスター〝 〟
・ゲームテリトリー、煌焔の都を中心とした半径ニkm。
・ゲーム概要
※本ゲームは主催者側から参加者側に行われる略奪型ゲームです。このゲームで行われるあらゆる略奪が以下の条件で行われる限り罪に問われません。
条件その一:ゲームマスターは一対一の決闘で雌雄を決する。
条件その二:ゲームマスターが決闘している間はあらゆる略奪が可(死傷不問)
条件その三:参加者側の男性は決闘が続く限り体力の消費を倍加する(異例有)
条件その四:主催者側ゲームマスターが敗北した場合は条件を反転。
条件その五:参加者側ゲームマスターが敗北した場合は解除不可。
条件その六:ゲームマスターはゲームテリトリーから離脱すると強制敗北。
終了条件:両陣営のゲームマスターの合意があった場合にのみ戦争終結とする。ゲームマスターが死亡した場合、生き残ったゲームマスターの合意で終結。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、〝ウロボロス〟連盟はゲームを開催します。
〝ウロボロス〟印』
「そんなぁ・・・嘘だと言ってよぉ・・・奴さん早すぎるよー・・・こっちは全然休めてないしー・・・」
そんな文句をこぼしながら起き上がって、現れるであろう巨人族を潰しに向かう。そして、
「ウオオオオオオオオオォォォォォォォォォ―――――――!!!」
「うっさいなぁ!」
「ガアアアアァァァァァ―――――!!?」
蒼奇が腕を一振りする。それだけで巨人族が爆散したり、吹き飛ばされたりした。
「・・・まだ、大丈夫そうかな?みんなぁー!巨人族潰しといてー!」
『わっかりましたー』
蒼奇が声をかけると至るところから教え子たちが出てきて、巨人族へと向かっていく。
「召喚獣も大盤振る舞いで呼び出そうかな」
そう決めると多くの召喚獣を呼び出し始めた。
〝巨神〟アース
〝黒太陽の申し子〟J
〝冥王〟ルアラリエ
〝暴食〟アバドン をはじめとした多くの召喚獣が巨人族へ向かっていく。
「さて・・・向こう側にいるかな?」
何かを感じ取ると、蒼奇は転移でその場所へと移動する。
「よお。遅かったな」
「少し眠気を覚ましててね。でも律儀に待っててくれたんだね。ねぇ、本体?いや、転移者くん」
転移した場所にいたのは
「そりゃ当たり前だ。俺の目的はお前だけだしな、
「修正力なんて洒落たもんじゃないよ。僕は君を消すためだけに生み出されただけで正史を知らないんだから。それに君の自業自得でしょ。なにせその正史を壊そうとしてたんだからさ」
「ハハッ!ごもっともだ!・・・まあ、雑談はこんくらいにして、そろそろおっぱじめようぜ」
「そうだね。始めるついでに隠れてるクローンも出したらどうだい?」
「・・・チッ!やっぱバレてるか」
その声に反応して物陰から百を超える蒼奇のクローンがわらわらと出てくる。
「うわっ・・・ゴ○ブリかよ。つか、作りすぎだろう・・・」
「悪いがこいつらはお前の同期と違って完成された奴らだ。くれぐれも甘く見んなよ?」
「そんな暇があるとは思えない、ね!」
しゃべりながらクローンの群れへと飛び込んでいき、攻撃を仕掛けるが数人がかりで受け止められて動けるクローンから手痛い反撃を全身に食らう。
「ひゃぁー・・・。痛いなー。・・・でも、これは、ちょっとまずいかなぁ・・・?しかも、ギフトも今の一瞬で奪われちゃったし・・・」
反撃を受けた上に先ほどの攻防で蒼奇が触れた瞬間に蒼奇が持っていた〝盟友召喚〟や〝同化〟などのギフトがすべて奪われた。
そんな様子を見た
「さぁ、どうする?」
「いやぁ、正直ここまで量産してるとは思ってなかったし。ちょっと勝ち目がないかなぁ、なんて・・・?」
「とでも言うと思った?」
その言葉で世界は一変した。蒼奇のクローンと本体を含む全員は周囲が暗く、寒い空間にいた。遠くの方では大小の何かが無数に輝いており、幻想的だった。しかし、その光景には全員が見覚えのあるものだった。
その空間はまるで・・・いや、宇宙そのものだった。
そこへと飛ばされたクローンと
「・・・テメェ、これは何だ」
「ふふっ。これは僕を造り変えた『世界』が僕のために世界を作って与えてくれたんだ。この世界では何をしてもよかった。たとえ破壊しようが、消滅させようがね。それに君を倒すための協力者を募ってもよかった」
「協力者だぁ・・・?」
蒼奇は攻撃を気にもせずに話を続ける。
「そう!あの世界にはありとあらゆる神群がいた。創作も含めた神話の神群もいたんだ。その神群に協力要請したんだー」
「・・・そのことなら知ってるぞ。だがッ!それは全部の神群に断られて全面戦争になってすべての神を殺した—――――「本当にそう思ってる?」ッ!?」
「あの世界なら『世界』は干渉できるんだよ。それこそ情報ぐらい漏らさないで、誤情報を流すとかならね」
「なら、全柱が—――」
「ところがどっこい!」
「さすがにすべてが協力してくれるわけじゃなかったよ。君を消すために協力してくれるといってくれた神群は二つだけだった」
「ハッ!たったそれだけで勝てると思ってんのか?こっちにゃ神を簡単に殺せる戦力がたんまりいるんだぜ!」
「思ってるよ。君らに勝てるって」
「なにッ・・・!?」
「とまぁ、おしゃべりはここまでにしてネタバレといこうか」
蒼奇は全員に声をかける。
「みなさん。ダイスの準備はいいかい?・・・SANチェックの時間だぜ」
そして協力者の名前を呼んでいく。
「Summon
蒼奇の声に反応して多くの異形が出現していく。
肉のついていない無数の足に支えられた青白く膨らんだ楕円形の何か。
燐光に似た青白い光を放つ灰色の炎。
無数の触肢と口と感覚器官をもつ悍ましい異形。
絶えず形を変える巨大な燃える塊のようなもの。
類人的でタコに似た頭部がつき、顔には触角がかたまって密生しているバケモノ。
それ以外にも多くの見るものすべてに恐怖を植え付けるような異形の存在が現れた。
クローンと
「・・・う、そだろ・・・?」
「嘘じゃないし、まだまだいくよ」
「Summon.
中に三枚の花弁状の炎が見える環状の炎。
黒い体に大きく膨らんでうねっているマントをつけた〝古代のもの〟。
巨大な雲状の塊が泡立ち、ただれている。そして時折、雲の一部が触手や口ねじれた足を形成する生き物。
いくつもの半球体と輝く金属とがプラスチックで連結されている複雑に入り組んだ奇妙な存在。
かぎ爪のついた手のような器官と顔の代わりについている赤い血の色をした長い触手を持ったモンスター。
それ以外にも言葉では形容しがたい絶望的存在が数柱現れていた。
そこまで言った蒼奇は一度区切ったが、すぐに次の名をあげた。
——――――――――
そして、先ほどのグレート・オールド・ワンや外なる神よりも悍ましく、より恐ろしい強大な存在が現れた。
まさに絶望ともいえる存在が・・・。
次も一週間以内の予定。