人外召喚士が異世界から来るそうですよ?   作:猫屋敷の召使い

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宴会&考察

「そんじゃま、仕切り直しだ。聞きたいことがあるなら何でも聞いてくれ。出資者だからって遠慮なんていらねえ。なんせ一糸纏わぬ宴会だ。無礼講だ無礼講!」

「ああはいはい。そんなのはわかってるよ。とりあえず大聖の義兄弟たちに会ってきたならそれについて聞かせてよ」

 

 蒼奇が率先して釈天に質問をする。二人に話させるよりは自分が言った方が何かと楽だと考えたのだろう。

 

「あーそれな。まあ色々もめたが、〝精霊列車〟について承諾しているから懸念することはなんもねえよ」

「・・・へえ?その結果が迦陵ちゃんに殺されかけたってことか」

 

 グリーが視線で十六夜を諫めたが、釈天は特に気にした様子もなく続ける。

 

「まあな。やっぱ何年経っても変わってねえじゃねえか」

「そこだ。アンタほどの奴がどうして殺されかける?」

「今の俺は青鬼が言った通り、吹けば飛ぶ程度のもんだ。ちょいと無理して眷属を助けたもんだから霊格を使い果たしちまった。おかげでここに来るまで五回も殺されかけた」

「チッ!生き残ったか・・・」

「・・・もしかしてお前の差し金か?」

「そんなわけないじゃん。そこまで根回しするほど僕は暇じゃない」

「おい、それより眷属を助けたって・・・それまさか、」

「しかしそんなことはどうでもいいのだ」

 

 釈天は今回の戦いの加勢した者たち。女王と蛟魔王、鵬魔王、酒呑童子、牛魔王にそれ相応の褒美を与える予定だといった。

 しかも迦陵への報酬が義兄弟の魂を解放することだと言い放ち、その場がざわめいた。

 

「・・・ハッ。そりゃまた随分と太っ腹な処置だな。万が一のことを—――」

「考えてのことだろうね。むしろ今となっては考える必要すらないものだったと思うよ」

「ああ。当時の奴らの目的は斉天大聖を助けることだったからな。その目的も今は果たされた」

「まあ、誰かが暴れるようならこいつらがどうにでもするよ」

 

 箱庭に詳しい二人がそれぞれ説明する。

 そして十六夜と釈天はどんどん話をする。蒼奇はその間の話は興味がなく、お得意の聞き流しをしていた。

 

「―――おい、青鬼。お前はどう思う?」

「えっ?何が?」

「十六夜がなぜアジ=ダカーハを倒せたか、だ」

「・・・それについては後で話そう。もうすぐ夕食の時間だろうし、食後にでも、ね」

「・・・そうか」

「ごめん、誰か!そこの茹ってる子を連れてってあげて!」

 

 蒼奇がルイオスを指さしながら声をあげる。

 

「というわけで続きは後ほどだ。逆廻十六夜。お前もまだ聞きたいことがあるだろう?」

「ん?いいのか?」

「おう。今回は休暇だからな」

「休暇じゃなくても特にすること何ざないだろうに・・・。そら、さっさと上がろう」

「そうですな。この接待娘たちはどうするのです?」

「ばっか、連れてくに決まっ「舎脂」てないです。そんなことする勇気私にはありません、はい」

「冗談だよ。今回は大目に見るさ」

「あぁ・・・?珍しいな。お前がそんなことを言う何ざ・・・」

「同士を助けてくれたお礼ってことにしといてよ。それより十六夜にも褒美はあるんでしょ?彼が一番の立て役者なんだからさ」

「む、そうだったな。そのことを聞くのを忘れていた。他の奴らに与えてお前には与えないというのは不公平というものだ」

「それじゃ、僕は先に上がって待ってるよ。早めに決めてよねー」

「おう」

 

 そういって蒼奇は三人より一足先に湯殿から上がり、他の人らが来るのを待った。

 そして釈天は十六夜の要望を聞き入れグリーに相応しい翼を授けた。

 

「さて、褒美も授けた!あのクソ野郎も待っているだろうしさっさと上がるぞ」

「ちょっと待て」

「ん?どうした。まだ何かあるのか?ものによるが叶えてやらんでもない。今の願いでは到底足りんからな」

「いや、そういう話じゃねえ。ただ、あとで蒼奇のことについても聞かせてほしい。長い間一緒にいたが、あいつは自分のことを全く話さねえ」

「ふむ・・・」

 

 それを聞いた釈天は考え込むようなしぐさを見せるがすぐに返答した。

 

「いいぞ。アイツへの意趣返しとしていくらでも話してやる」

「そうか。悪いな」

「別にいいさ。アイツには色々と仕返ししてえことが山ほどッ!?」

 

 そこまで言った釈天の頭にどこぞの誰かさんと同じように金盥が落ちる。そこには、

 

『話すことについてはこれで許してあげるよ!ていうかこれすら避けられないなんて終わってるよね!m9(^Д^)プギャー』

「・・・今日という今日はマジで許さねえぞあの野郎!!」

 

 怒り心頭となった釈天は即座に風呂からあがって蒼奇のもとへ駆けた。

 その後に聞こえた悲鳴は誰かの仕掛けた罠に嵌まってしまった者の声だった。

 

 

 

 

 

 食後の酒に付き合えと釈天に言われた蒼奇はついていき〝ラプラスの小悪魔〟と御門釈天との小会議を行うことになってしまった。

 

「―――そういうわけだ。逆廻十六夜のいた時代に繋がる門を開く。アイツは既に〝第三永久機関〟の開発者に接触してる可能性がある。すぐに素性を洗ってくれ」

 

 釈天は膝の上で斑梨を食べるラプラスの小悪魔に告げる。蒼奇は畳の上に車椅子で上がるわけにもいかず、車椅子から降りて壁を背もたれにして釈天と向かい合っている。ただ斑梨を見る目はきびしいものだったが。

 そして二人で小難しい話がどんどん進んでいく。

 そんな状況で蒼奇は割り込むように一言告げる。

 

「なあ、僕はこの場に必要か?こんな老い先短い爺にそんな話を持ち出さないでくれよ」

「必要だ。お前は多くの世界を見てきた。だから十六夜のいた世界も見て—――」

「見てないよ」

「なに・・・?」

 

 その返答は釈天が予想していたものとは逆の答えだった。

 

「あの世界はかなり繊細だったんだ。ある転換期まではね。だけどそれまでもそれ以降も僕はあの世界に立ち入ることはしていない」

「・・・なんでだ?お前なら興味本位だけで立ち入りそうだが・・・」

「僕は修正力だよ?修正力は世界や歴史を正す力と同時に変える力も持っているといっても過言じゃないんだ。だからこそ、僕という異常な存在がいるだけで何かしらズレる可能性を考えたんだ。それこそ転換期が消失することすらあり得た」

「・・・わかった。だがお前の意見も聞きたい。だからとりあえずここにいろ」

 

 釈天にそう釘を刺されて仕方なくその場にとどまることにした蒼奇。

 

(ハァ・・・。僕がここにいてもラプ子の考えに及ぶわけないんだけどなぁ・・・)

 

 蒼奇は内心逃げ出せなかったことを心底残念がっていた。もちろんラプ子の考察に間違いなどないし、特に補足することもなかったため、まあ、いつものように聞き流した。

 

「―――キハハハハッ!!!なァるほどなァ!そういう「死ね」うおぉい!?何しやがる!?」

 

 突然現れたクロアに対して蒼奇は魔術で光球を飛ばす。

 

「悪い。手元が狂った。本当なら消し飛ばすはずだったんだけど・・・」

「・・・先にテメェを殺してやろうか?」

「なら僕は自分が死ぬより先にすべての世界から幼女を消し去ろう」

「テメェは鬼かよ!?」

「青()ですけど?」

「クソッ!?そうだった!?

「まあ理不尽だったというのは認めるよ。ごめんね」

「・・・・・・ちっ、そういうことなら今回は許してやる」

「アザーッス。やっぱ、ちょろいっすわー。さすがっすわー」

「コ、コイツッ・・・!」

「クロア!久しいなこの野郎、元気にしていたか!?」

「おっ?キハハハハ!そりゃコッチのセリフだぜ帝釈天!」

 

 そして盛り上がる変態コンビ。それを見てため息を吐く蒼奇。

 

「僕はこれで消えるよ。ラプ子の話に補足するところはなかったしね」

「あっ!おい待―――」

「待たない。もう眠いんでね」

 

 次の句を言わせる前に転移で逃げる蒼奇。

 

「あの野郎、逃げやがったな・・・」

「まあ、少しくらいは勘弁してあげてください。彼の体は限界が近いのですから、休む時間も増えてきているんです」

「・・・そうか。アイツと初めて会った時には殺せないと悟ったうえに寿命何ざで死ぬなんて予想してなかったんだがな・・・」

「まァなァ・・・。両足が消えた今でも死ぬなんて思えねェしなァ・・・。たとえ死んでも化けて出るとさえ思ってるからなァ」

 

 その場が少々しんみりしたとき、一枚の紙がポンッ!と音をたて現れる。

 

「あぁ・・・?」

『えっ?なに?体が弱ってると思った?残念でした!蒼奇さんの体はすこぶる絶好調だぜ!そっから消えたのはただ単に面倒だったからでい!今どんな気持ち?ねえ、どんな気持ち?NDK、NDK?』

「「「・・・」」」

「絶対、アイツに一泡吹かせてやる・・・!!」

「それなら手伝うぜェ・・・!!ここまで腹が立ったのはいつ振りだァ・・・!!」

 

 蒼奇のいたずらにものすごく腹を立てた人物が二名。そして蒼奇が生きているうちに意趣返しを心に決めた瞬間でもあった。




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