人外召喚士が異世界から来るそうですよ?   作:猫屋敷の召使い

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参戦&乱戦

「始まったねえ」

「そうね」

 

 蒼奇とペストは静かに〝金剛の鉄火場〟の本選を見ていた。ゲーム盤内で。そう、参加者としてゲーム盤内で。

 

「それで、一体いつ参加してたのよ?」

「言ったはずだよ。『一人ずつ送っている』ってね」

「・・・参加しているとは言ってなかったはずだけれど?」

「うん。だって言ってないもん」

「それにどうやって本選に残ったのよ?参加者は六人のはずよ?」

「単純明快。僕のとった量が一位の人と全く同じ量だっただけだよ」

 

 そう。そのとき蒼奇は観戦と同時に参戦用の分体も送っており、秘密裏に参加していたのだ。そのうえ同着一位ということで本選にまで出場している。もちろん黒ウサギやリリ、釈天には話さないようにお願いしている。

 

「そう・・・。それとこの後ろのは何に使うのかしら?」

 

 そういってペストは蒼奇の車椅子の後ろについてる物体を見る。

 

「んー?ちょっとね。まあ誰かをからかうため、とだけ言っとく。本来なら本選も分体に任せようと思ってたんだけどいいネタが見つかったから」

「・・・性格悪いわね」

「ありがとう!」

「褒めてない」

 

 そんなことをのんびり話しているが、遠くの方で戦闘音が響いている。十六夜たちと飛鳥たち、それぞれの戦闘だろうと目星をつける蒼奇。

 

「うーん。このゲームってこんなに殺伐とするゲームじゃないんだけどなぁ・・・。見てるこっちとしては楽しいからいいけどね」

 

 そして音が近づいてきて、鍾乳洞がひときわ大きく揺れ動いた。

 

「「「ra・・・Ra、G、EEEEYAAAAaaaa!!!」」」

「おーおー。ド派手にやってるなー。この感じはアルゴールかな?じゃあ少し行ってくるよ」

「ええ。私はここで待ってるわ」

 

 その声を聴くと中心部に向かっていく。そこでは〝金剛鉄〟を悪魔化させたルイオスと十六夜が戦っていた。

 

「おー!ルイルイすごいねえー。以前より使いこなしてるじゃないか」

「乱入して来て早々お前までルイルイ言うな!!!」

 

 その叫びに反応してこちらにも牙と爪が向かってきた。

 

「おっと、藪蛇だったかな!」

 

 そういって蒼奇は車椅子のまま飛んだり跳ねたりして攻撃をかわしていく。

 

「ちょっと待て!?何で車椅子でそんなことができる!?」

「ほっ!よっ!あらよっと!それは傀儡術っていう便利な代物があってね!それを使って操ってるだけだよ!今じゃ元の足より扱いやすいかもね!」

 

 攻撃を避けながら丁寧に説明する。回避しながらも十六夜の横へと行く。

 

「ねえ、これってどういう状況?ルイルイはまだしもグリーまで敵ってのは?」

「グリーは釈天に翼を授けるように言って叶えさせたら逆切れされた!」

「なるほど!あとそこ危ないよ!」

 

 それだけ言って蒼奇は十六夜から離れる。

 

「あ?・・・ッ!グリー、テメェ!」

「GEEEEYAAAAaaaa!!!」

 

 空中に飛び上がっていた十六夜は躱すことができず真正面からグリーの突進を受けて岩盤に叩きつけられる。

 

「グリー!どうしたのその翼!」

『おお、耀か!丁度いいところに来た!この大戯けを矯正するから手を貸してくれ!』

「おっ!耀も参戦するのかな?」

 

 状況が理解できていない耀は疑問符を浮かべながら困ったような表情をする。

 

「何だよ、まだ怒ってんのか。いいじゃねえか、帝釈天から神格付きの翼を貰えたんだから。何の不満があるんだよ」

『誰がそんなことをしてくれと頼んだッ!!!』

「おうおう、盛り上がってまいりました!」

 

 十六夜とグリーが怒鳴りあっている場所より離れてルイオスと収まるまで待つことにした。

 

「春日部耀と館野蒼奇・・・だっけ?お前らも優勝候補から潰しに来たのか?」

「僕は単純に楽しそうなことをしてたから乱入しただけ!」

「わ、私はさっきの宣戦布告を果たしに—――」

『よし、よくわかった!お前とは全力でぶつからねばならんと思っていたところだ!覚悟はいいか十六夜ッ!!!』

「上等だ鷲獅子ッ!!!返り討ちにして焼き鳥にしてやるから覚悟しやがれ!」

 

 共に吠えながらヒートアップし続ける二人。それを見ていた耀は焦った。

 

「ちょ、ちょっと待って!私が先に宣戦布告したのに、何でみんな邪魔するの!?順番ぐらい守ってよ!」

「・・・はあ?」

「ぷっ・・・くくっ・・・」

 

 怪訝な声を上げるルイオスと笑いを堪える蒼奇。

 十六夜はその声でようやく耀に気が付いた。

 

「春日部か。・・・丁度いい。お前には話があった」

「っ、うん」

 

 耀は緊張した面持ちで十六夜の言葉を待つ。すぐそばに笑いを堪えてる蒼奇さえいなければなおよかったのだろうが・・・。

 

「春日部」

「な、何?」

「・・・ッ(プルプル」

 

 十六夜は穏やかな声音で話しかける。

 

「〝ノーネーム〟はお前に任せた。―――俺は少し、コミュニティを離れて旅に出る」

「―――――・・・」

「アッハハハハ!!も、もう無理!我慢できない!!アハハハハ!!!」

 

 耀、観客席、実況席、箱庭の貴族が驚く中、ゲラゲラと腹を抱えて笑う蒼奇。

 

『ほう。それはどういうことだ?』

「ヒー、ヒー・・・。はあ。面白かった。あーグリー。つまり十六夜は耀を推薦するってことだよ」

「そういうこった。大方の話は纏まってるみたいだしな。春日部が受け持つなら願ったり叶ったりだ。ちょっくら見聞を広げてくる」

「いいんじゃないか?お前が成るよりかはよっぽどマシだろうし」

 

 四人はそんな会話を繰り広げる。そこで耀は蒼奇以外の三人がおかしいと気が付いた。

 

「(・・・うん。そろそろからかうタイミングかな。ならセットし始めないと)」

 

 三人の会話を流しながら蒼奇は自身の背中。今回のために車椅子に取り付けた装置のセッティングを始める。

 

「・・・三人とも。私が壇上でスピーチしたとき、何してた?」

「スピーチ?」

『何のことだ?控え室には映像は来てなかったぞ』

「俺は釈天に会っていた。・・・もしかして、何かあったのか?」

「(セッティング完了!あとはタイミングだけだね~♪)」

 

 四人の会話を無視して自身の娯楽のために順調に準備を終わらせた蒼奇。

 

「―――く、ろ、「ナウです!(カチッ」―――えっ?」

『勝負だ、逆廻十六夜ッ!!!もし—――』

 

 耀が開幕の際に宣言したスピーチが洞穴内に大音量で流れ始めた。

 彼女は再び羞恥で顔を赤く染めてこの騒動の犯人を捜す。だが、必然的にすぐに見つかった。なぜなら、当の本人に隠すつもりがなかったからだ。

 

「ドッキリ大成功~♪」

「にゃああああああぁぁぁぁ!!!?」

 

 蒼奇の背中についている装置、スピーカーと手に持っているICプレーヤーを破壊しようと襲い掛かってくる。

 

「無駄無駄無駄無駄ァ!!当たらないねえ、そんな大ぶりな攻撃はァ!!」

「このッ!このッ!!このおッ!!!おとなしくそれを渡せえ!!!」

 

 耀の攻撃は羞恥のためか大振りになっており今の蒼奇でも簡単に躱すことが簡単にできた。

 

「十六夜、パスッ!」

「あっ!?」

「おっと(カチッ」

 

 蒼奇は攻撃の隙を見て十六夜にICプレーヤーを投げ渡すが、彼は受け取った拍子に再生ボタンを押してしまった。

 

『勝負だ、逆廻十六夜ッ!!!もしこのギフトゲームで—――』

「もうやめてええええぇぇぇぇッッッ!!!」

「アッハハハハハハゲホッゲホッゲフッ、ヒーヒー!!!・・・ゴッフゥ!?」

「へぇ?お馬鹿顔ねえ。・・・言ってくれるじゃねえか」

 

 録音されているすべてを聞いた十六夜が不敵に笑った。だが、笑っていた蒼奇は笑いすぎて周りが見えなくなっていたために癇癪を起こした耀の強烈な一撃を腹にもらい悶絶した。

 

「うぐ、おぉぉ・・・腹がぁ・・・!」

「まあそういうことなら受けて立つが」

「それならそろそろ始めてもいいか?時間制限もあるんだし」

『うむ。要するにバトルロワイヤルということでいいのだな?』

「そうだね。みんなで十六夜をフルボッコワイヤルしよう。私もそろそろ彼の顔面を蹴り飛ばしたくなってきた」

「ハッ、上等だ!俺もお前らの言いがかりには流石にイラッと来てたところなんでな!テメエら全員纏めてかかってきやがれ!!!」

「ま、待って。もう少し痛みが引くまで・・・」

「「「『そっちの都合なんか知るか!!』」」」

「チクショウ!!テメエらなんか全員敵だぁッ!!」

 

 蒼奇の痛恨の訴えも即座に却下され全員がぶつかり合う。

 

 

 




以下略!
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