人外召喚士が異世界から来るそうですよ?   作:猫屋敷の召使い

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正史&終幕

 春日部耀、ルイオス、グリーの三人は始めは共闘していたがすぐに崩れて現在は乱戦状態に陥っている。原因は自分勝手に暴れていること。そして、蒼奇だ。

 

「あれはコッチ。これはソッチ。んー、アッチかな?」

 

 蒼奇は魔術で攻撃を逸らして違う相手にぶつけるというクズみたいなことをしてそれぞれをいがみ合うように仕向けていた。しかも、それをバレないように仕組むのだから、なおさら質が悪い。

 

「ふんふふ~ん♪静観してるだけでいいってのは楽だねぇ。そう思わないかい?耀、グリー」

「『・・・ッ!?』」

「僕に不意打ちは通用しないよ。それに僕にかまけてたらメインディッシュの時にくたびれちゃうよ?」

 

 蒼奇は二人を見ることもなく魔術だけで牽制し続ける。そして、

 

「うん。というわけで僕は降りるね」

「『・・・はっ?』」

「もう十分楽しんだしね。んじゃ、ばいばーい♪頑張ってねー」

 

 そうして蒼奇の姿は消え失せた。残された二人は呆然と立ち尽くす。

 

「・・・十分楽しんだって・・・もしかして、蒼奇は私をからかいに来ただけ、とか?」

『さ、さてな・・・。しかし、アイツならばそれもあり得る、やもしれん・・・』

「・・・ごめん、グリー。八つ当たりする」

『なんという理不尽!?』

「文句は蒼奇に直接言って。私は悪くない。私の機嫌を悪くした蒼奇が悪い」

『なんという暴論!?』

 

 その後、グリーは耀のサンドバックにされた。

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・。あー楽しかったー」

「・・・降りるって言っておきながら見える位置に留まるのね」

「そりゃあね。最後の最後に手をかけた教え子の大一番だからね。見ない理由はないよ」

 

 蒼奇はぎりぎり中心部の戦闘が見える位置に現れた。

 

「そういえば、ペストはどうするの?」

「・・・?どういう意味かしら?」

「僕が死んだあとっていう意味。僕が死んだら契約が破棄されるか消滅かの二択のはずだけど。ヴェーザーとラッテンは〝ノーネーム〟にも契約をされるようにしといたけど」

「私はマスターについていくわ」

「即答かい。・・・まあ好きにしなよ」

 

 

 

 

 

 そのまま蒼奇はゲームが終わるまで静かに見守っていた。まあ、何ともあっけない終わり方ではあったが、蒼奇は二人の成長を見ることができて満足そうな表情を浮かべていた。

 

「つ、次は私が勝つんだから・・・!じぇ、絶対に次は私が勝つんだから・・・!!!」

 

 耀がガチ泣きしながら十六夜に宣言した後、

 

「それと蒼奇ィ!!今回の恨みは絶対忘れない!!いつか仕返ししてやる!!!」

 

 と、怨嗟の詰まった声で言われた。

 まあ蒼奇自身は楽しみでもあったが、そんな機会が訪れるとは全く思わないが。

 そして、現在。

 

「・・・全然釣れないものだねぇ・・・」

「ああ、そうだな。存外、修正力なお前のせいかもな」

「それはないねぇ。まず魚の気配が全然しないし」

 

 十六夜とともに川の岸で釣りをしていた。

 

「そうかよ。・・・で?世間話をしに来たわけじゃねえんだろ?」

「んー、まあ、そうだね。ちょっと残念に思ってね。結局僕のゲームには挑戦してくれず仕舞いだったからね。今からでもやる気ない?」

「ねえよ」

「それは残念。それなら仕方ないから諦めるとしよう」

 

 口では残念とはいっているが表情には微塵も残念だと思っているようには見えなかった。

 

「受けるならお前が生き延びられたらだ」

「・・・それって挑戦する気ないじゃん」

「ばっかお前。長生きしろよっていう俺なりの皮肉だろうが」

「へーへーそりゃどうも」

 

 しかし、そんな会話をしてる間にも蒼奇の体は限界が来て、崩れていく。

 

「まあここに来たのは、看取ってくれる人がいないと寂しいからだね~」

「・・・そうかよ」

「あ、車椅子は僕が死んだら消えるようにしてるから気にしないでいいよ?」

「そこは別に気にしちゃいねえよ」

「そっか」

 

 蒼奇の体にはもう手足は完全になく、残された胴と頭にもひびや穴が空き始めていた。

 

「あっ!やっべ、服に何もしてなかったや・・・。あっとー・・・これでよし!まあなんか残ったら回収しといてよ」

「いや、わかったからさっさと死ねよ」

「そう?それならいいけど」

 

 その言葉を聞くと蒼奇は優しく笑って、一言。

 

「ありがとう。君らの活躍は楽しませてもらったし、これからも楽しみにしているよ」

 

 そういって、服と車椅子とともに完全に崩れ去った。

 

「・・・どういたしましてだ、このクソ野郎」

 

 十六夜のそんな言葉は誰の耳に届くわけでもなく消え失せた。

 

「・・・で。この川は釣れるんですか、十六夜さん」

 

 十六夜が動きを止めて意外そうに振り向くと、見知った顔が二つもあった。

 

「黒ウサギとグリーとは、意外な捜索班だな」

『何を言う。妥当なところだろう?黒ウサギ殿の耳と私の翼があれば、どのような土地であっても探索し放題だ』

「YES!〝ノーネーム〟探索犯の結成なのですよ!・・・あの、ところでそこの車椅子は、蒼奇さんのですか?」

「あ・・・?」

 

 十六夜が川の岸の方を再び見ると、先ほど崩れ去ったはずの車椅子が復元されていた。

 そして、

 

『ごっめーん!これ借りもんだったわー!どこにかはわかんないけど返しといてよ!あとギフトカードも返しといて!( `・∀・´)ノヨロシク』

「・・・ったく、最後の最後で締まらねえ奴だな」

「・・・十六夜さん・・・その、蒼奇さんは、死んでしまったのですか?」

「さあな。俺が知るかよ」

 

 そういいながら車椅子をギフトカードにしまい、仄かに暗い色をしたギフトカードを回収した。

 

「んじゃあ、行こうぜ。あの野郎が見つけたら文句の一つも言ってやりたいしな」

「・・・はい!」

 

 そうして三人はその場から離れていった。

 

 

 

 




同じ!
『問題児』編はあと一話だけあるよ!
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