人外召喚士が異世界から来るそうですよ?   作:猫屋敷の召使い

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一通り落ち着いたので更新再開します!


水神&残骸

 碧生は自由落下していることに焦る二人を横目でぼんやりと眺める。

 なぜなら、この落下中ずっとペストに謝り、どうにか許してもらおうと努力しているからだ。

 それは焰と彩鳥と自身が川に着水してからも続いた。

 とはいえ、川に落下した二人を放っておけるわけもなく、ギフトを使う。そして水神である八岐大蛇から〝水神〟としての力を借り受けて水流をものともせずに、すぐ二人を掴んで陸へ向と飛び上がる。

 

「っと。大丈夫か、お前ら」

「……そ、の姿、は………?」

「後で説明してやる。だから、今は休んどけ。ここならまだ安全だ」

 

 碧生にそういわれた焰は安心したのかその意識を手放す―――

 

『私の………私のあたm「うっさい」ゴペッ!?』

 

 ―――ことにした。最後に聞こえた鈍く痛そうな音と水面に何かが叩き付けられるような音はきっと気のせいだろう、と焰はそう思った。思うことにした。

 

「あんな、クソ蛇。こちとら疲れてんだよ。だから休ませてほしいってのにお前の大声で二人が起きたらどうすんだ、ん?それがわかったなら静かにしろ。いいな。さもなきゃ蒲焼きにして食っちまうぞ」

『イ、イエスサー』

「よろしい」

「あ、あの………そろそろよろしいでございましょうか?」

「あ、どうぞ。それともう一人の連れがどこかに「わっ!?碧生が半魚人になってる!?………ハッ!?まさかこの蛇の呪いがッ!?」掛けられてねえから。今元に戻るから落ち着けよ、鈴華」

 

 今の碧生は水神としての力を借りているせいで、肌は青白くなりところどころに鱗模様が現れている。そして腕と足にヒレが生え、手足の指の間には水かきができるといった全体的に見る人が見れば半魚人というような姿になっていたのだ。

 そんな状態の彼を見た鈴華は騒ぎ立てるが、碧生が制して大人しくさせる。

 水神の力を借りたままだった彼はギフトを解いて元の姿に戻る。

 

「これで一安心か?」

「おぉー!何今の!?どうやったの!?」

「お前と同じような特異な力だ。詳細は省くが、俺はお前と違って複数個持ってんだよ。とりあえずそこの二人を運ばないといけない。そこな兎と蛇、手伝ってくれるよな?」

「YES!当然でございます!」

『なぜ私がそんn「手 伝 っ て く れ る よ な ?」サー!イエスサー!』

「ありがとなー」

「………明らかに脅したよね?」

「俺は手伝ってくれるかどうか聞いただけじゃないか!脅しただなんて人聞きの悪いこと言わないでくれたまえよ、鈴華君!ハッハッハッハッ!」

「………うわー」

 

 碧生のあからさまなごまかした態度に軽く引く鈴華。

 そしてそんな反応を気にした様子もなく上機嫌な碧生。

 そこに一人の少女が話しかけてくる。

 その少女の頭にはウサ耳が生えており、それを見た碧生は軽く驚くがすぐに表情を元に戻す。

 

「と、ところであの方は十六夜さんのお知り合いということでいいのですよね?」

「「………」」

 

 碧生は思い当たる節がないような顔で鈴華の方を見やる。対して鈴華は驚いたような困ったようななんとも表現し難い表情を作っていた。

 そんな様子に困ったような声で尋ねる黒うさぎ。

 

「あ、あの?」

「え、あ、うん!そうだよ!」

「ということらしい。とりあえずどこに行けばいいかわからないから案内を頼みたい。もしくは蛇に乗せてくれ」

『だからなぜ私が「乗 っ て も い い よ な ?」はい………』

「だそうだ。鈴華、二人を乗せるぞ」

「………うん」

 

 何やら納得のいかなそうな表情で焰と彩鳥のところに歩いていき、二人を白蛇の上に移動させた鈴華。

 そして一行は天を見上げて一路、巨大な大樹の下へと歩き始める。その道中で兎と蛇、黒ウサギと白雪姫に自己紹介を済ませた二人。

 だが、黒ウサギが碧生に質問をした。

 

「あの、どこかで会ったことはありませんでしょうか?」

「………いや、見憶えないな。俺はお前みたいなウサ耳ロリに会ったら一生忘れねえと思うし」

「そうでございますか…。碧生さんはなんとなく私の以前の同士に似ていたので、つい。というかウサ耳ロリって言わないでくださいませ!!」

「なあ、そんなことより火を起こしていいか?服を乾かしたい」

『私の体の上でなんてことをしようとしている!?』

 

 などと一悶着あったが。

 碧生は内心「やっべ、バレたか?」と、ものすごく焦っていたことは本人とペストの二人しか知らなかった。

 

 

 

 

 

 ―――宝永大学附属学園中等部校舎・残骸の上。

 一方、その頃の学校では。

 

「………マジかよ。此処まで他人に振り回されたこと、俺の人生になかったはずだぞ」

「そうか。それはそれでいい経験をしたじゃないか」

 

 瓦礫の上に腰かけて頭を抱える十六夜と大きめの瓦礫の上で寝転がる碧生。

 

「さて、どうするべきか。俺は残されたが、もう一人の方はうまい具合について行けたみたいだし、一先ずはよしとするか?そっちはどうすんだい?」

「いやマジでどうするんだよ、女王。お前の力でどうにかできねえのか、蒼奇?」

「今の俺は館野蒼奇じゃなくて深水碧生だ。………まあ、俺もどうにかしたいが、最近どうにも干渉しづらいんだ。具体的には二年ぐらい前から」

「そうかよ」

「とりあえず、もう一人来るからそいつも交えて話を進めよう」

「あん?誰が来るんだ?」

「会えばわかる」

 

 そのとき、ガラリ、と瓦礫を蹴りながら男の足音が近づいてきた。

 

「おいおい………〝天の牡牛〟が消えたと思ったらお前の仕業か。随分と派手にやったな、逆廻十六夜。誰がこの後処理をやると思ってるんだよお前は?」

「今回の処理はコッチでどうにかするさ。だから協力してくれや」

「………そうかよ。あんま期待すんなよ。稀代の魔術師」

「その名で呼ぶな。その二つ名は俺の黒歴史なんだから」

 

 煙草を咥えながら苦笑いを浮かべる御門釈天。

 来たのを確認すると上体を起こして話しかける。

 ただその人物から呼ばれた名前で心底嫌そうな顔を浮かべる碧生。

 一方、十六夜は予想外の人物が来たからか驚きの声を上げた。

 

「………驚天動地。いや、マジで驚いた。最強の軍神様が来ているなんて聞いてないぞ。今回はそれほどの事態なのか、帝釈天?」

「御門釈天だ。箱庭では冗談で済ませてやったけど、外界じゃもう間違えるな。他の奴らに気づかれるだろうが」

 

 苛立ちを込めた声で制する帝釈天。

 そんな様子を見た碧生が溜息をつきながら宥めるような声で話しかける。

 

「落ち着けよ。今回は俺が隠蔽してるからそこまででもねえよ。とりあえず後処理したいから移動してくれ」

「そうかい。で、肝心の状況だけど。アンタが動いてるなら俺まで外界に来る必要はなかったんじゃないか?」

「そいつらは別件だ。だからあまり出しゃばることはできねぇよ。さっきも言ってたように後処理ぐらいだ」

「そういうわけだ。だが、今回はその後処理が厄介でな。台風の被害より、ウイルスの方が厄介なことになってる」

「へえ?病害、やっぱり酷いのか?」

「それで済めば良かったんだけどな。今回のは植物にも感染する。そのせいで農作物が高騰間違いなしだ」

「地域によっては飢饉が始まって、そうなったら国際的な通貨問題にも発展するかもしれない」

 

 二人の発言に顔をしかめる十六夜。

 

「………洒落になってないぞそれ。大丈夫なのか?」

「一応、俺の方で対策は用意してある。あとはゲームクリアの方だ。こっちは人間だけでやる必要がある」

「うわあ、マジかよ」

「マジだ」

 

 悪条件が重なりすぎて一周回って笑ってしまう十六夜。

 

「怪牛どもを倒すのは俺らの仕事として、それ以外はどうするんだ?農耕の病害なんて専門外だぞ?」

「安心しろ。それなら焰が目途を立ててくれた」

 

 はっ?と素っ頓狂な声を上げる十六夜。そんな彼を見て物珍しそうな目をする碧生。

 

「焰が解決するって………ちょっと待て。お前、アイツに何をやらせてる?」

「それはまだ秘密だ。………それで、お前はどうする?今のままじゃ帰れないだろ?特に当てがないなら俺か碧生の会社に身を寄せとくか?」

「会社?何だよお前ら、会社の経営してんの?」

「こいつらの場合ただの暇つぶしだけどな。対して俺の場合は両親の遺産を引き継いだだけだ。一緒にすんな」

「………ちょっと待て。何で暇つぶしだとわかる。お前にそんなこと話した覚えはないぞ!?」

「………もしかして、まだ気づいてないのか?」

 

 はっ?と今度は釈天が素っ頓狂な声を上げた。

 

「俺こと深水碧生は館野蒼奇の転生体だぞ?」

「……………………………………………………」

「………この野郎、フリーズしやがったな」

「………はっ!?ちょっと待て!何で今まで隠してやがった!?つか、なんで俺らが気付けなかった!?」

「隠していたつもりはない。聞かれなかったから言わなかった。気付けなかったのは俺が念に念を重ねて隠蔽していたからだ。ほら、理に適ってるだろ?」

「理は理でも屁()屈だろうがッ!?それに隠蔽してんなら隠してるだろッ!?」

「………おお、確かに。まあ、その件も含めてゆっくり話そうぜ」

 

 その後も軽く雑談をしてカナリアファミリーホームで話し合いをすることに決まった。

 




登場人物紹介

・深水碧生
 正体は半魚人(嘘)。今回は八岐大蛇から〝水神〟としてのギフトを借り受けた。見た目がマーマンっぽくなる。会社に二人。箱庭に一人。十六夜たちのところに一人の計四人。

・西郷焰
 今回セリフが一個だけの主人公(ごめんなさい)。以降気を失っていた。

・久藤彩鳥
 最初から気を失っていてセリフすらなかった。

・彩里鈴華
 水神状態の碧生を見て半魚人と叫んだ。二人を助けてくれたのは感謝しているが、それ以外の行動は納得できていない。

・白雪姫
 頭に二度衝撃が走った人。背中に一部焦げ跡ができた。

・黒ウサギ(ロリ)
 碧生の正体に気づきかけたが、深くは踏み込めずに気づかなかった人。ツッコミ要員。

・逆廻十六夜
 振り回されるという貴重な経験をした人。碧生の正体が即座に分かった。碧生自身が隠そうとしていなかったのも原因。

・御門釈天
 碧生の正体に気づいていなかった人。衝撃のあまりフリーズした。

とりあえず今日からまた週一更新で再開していきます!
ということで、次は一週間以内です!
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