人外召喚士が異世界から来るそうですよ?   作:猫屋敷の召使い

6 / 68
挑発&挑戦

「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の私室で勘弁してくれ」

 

白夜叉に招かれた場所は落ち着いた雰囲気の和室だった。

 

「もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えている〝サウザンドアイズ〟幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」

「はいはい、お世話になっております本当に」

「その外門、って何?」

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者達が住んでいるのです」

 

・・・ッ!?白夜叉で四桁?嘘だろ!?・・・いや、さっきの気配からだと何らかの理由で力を抑えて四桁まで落としているのか?

外門についての説明を受けるが、三桁や二桁、一桁の実力がどれほどなのか気になるな。・・・楽しみが増えたね。

 

「・・・超巨大タマネギ?」

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」

「そうだな。どちらかといえばバームクーヘンだ」

「・・・食べたくなるからやめてよ」

「ふふ、うまいこと例える。その例えなら今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分にあたるな。更に説明するなら、東西南北の四つの区切りの東側にあたり、外門のすぐ外は〝世界の果て〟と向かい合う場所になる。あそこはコミュニティに属してはいないものの、強力なギフトを持ったもの達が棲んでおるぞ―――その水樹の持ち主などな」

 

蛇神のあの実力で強力なのか?・・・実力の基準がよくわからなくなってきた・・・。僕の周りがおかしかっただけか、むなしいね・・・。

 

「して、一体誰が、どのようなゲームで勝ったのだ?」

「いえいえ。この水樹は十六夜さんと蒼奇さんがここに来る前に、蛇神様を叩きのめしてきたのですよ」

「なんと!?クリアではなく直接的に倒したとな!?ではその童達は神格持ちの神童か?」

「蒼奇さんは持っていましたが、十六夜さんは持っていないかと・・・。神格なら一目見ればわかりますし」

「むぅ、一人は神格なしで神格持ちを倒したのか。そして蒼奇だったかの?なぜ神格を持っておるんじゃ?」

「ああ、あの神格は借り物だよ。僕のギフトでそういうことができるとだけ言っておくけど、これ以上は今は言わない」

「今は、か」

「そう、今は」

「「・・・」」

 

僕と白夜叉は鋭くにらみ合う。すると気まずくなったのか、黒ウサギが話を変える。

 

「そ、それで白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」

「む、ああ。知り合いも何も、あれに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがの」

 

・・・ふぅ、助かった。黒ウサギナイス。褒めてつかわそう。

 

「へぇ? じゃあお前はあの蛇より強いのか?」

「ふふん、当然だ。私は東側の〝階級支配者〟だぞ。この東側で並ぶ者がいない、最強の主催者だからの」

「そう・・・ふふ。ではつまり、貴女のゲームをクリア出来れば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」

「無論、そうなるのう」

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」

 

・・・あちゃー、嫌な予感。

 

「抜け目ない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

「え?ちょ、ちょっと御三人様!?蒼奇さんも止めるの手伝ってください!」

「ごめん、無理」

「蒼奇さん!?」

 

ちょっとやそっとじゃその三人は止められないんです・・・。・・・でも、すぐに思い知るとは思うけどね。

 

「蒼奇はやらないのか?」

「言ったはずだよ。僕は小心者だって」

「あら、意外ね」

「・・・うん」

「君らもすぐにわかるよ」

「ふふ、そこの神格疑惑の童以外はギフトゲームに挑むつもりか。しかし、ゲームの前に一つ確認しておくことがある」

 

白夜叉はそういうと着物の裾から〝サウザンドアイズ〟の旗印である向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出し、壮絶な笑みで一言、

 

 

 

「おんしらが望むのは〝挑戦〟か――――――――――もしくは〝決闘〟か?」

 

 

 

すると、刹那、視界が爆発的に変化した。

 

 

脳裏を多くの情景が掠めていく。

 

 

黄金色の穂波が揺れる草原。

 

 

白い地平線を覗く丘。

 

 

森林の湖畔。

 

 

記憶にない場所が流転する。

 

 

現れたのは――――白い雪原に凍る湖畔、そして白夜――――太陽が水平に廻る世界だった。

 

 

「「「―――――――ッ!?」」」

 

 

喧嘩を売った三人。十六夜、飛鳥、耀は息を呑んだ。それに対し僕は気配の違和感を理解した。

白夜と夜叉か・・・なるほどね。天と地、あえて地の格を得ることで落としていたのか。ほんと、よくやるねそんなつまらないことを・・・。

 

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は〝白き夜の魔王〟――――太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への〝挑戦〟か?それとも対等な〝決闘〟か?」

「水平に廻る太陽と・・・そうか、白夜と夜叉。あの水平に廻る太陽やこの土地は、お前を表現してるってことか」

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原、永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私がもつゲーム盤の一つだ」

「これだけ莫大な土地が、ただのゲーム盤・・・!?」

「して、おんしらの返答は?〝挑戦〟であるならば、手慰み程度に遊んでやる。だが〝決闘〟を望むならば、魔王として命と誇りの限り戦おうではないか」

「・・・蒼奇、お前白夜叉の正体わかってただろ?」

「いや?少なくとも強いっていうのがわかってただけで、星霊っていうのはわからなかったよ」

「ハッ・・・参った、やられたよ。降参だ、白夜叉」

「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受けるということかの?」

「ああ。さすがにこれだけのゲーム盤を用意されたらな。今回は黙って試されてやるよ、魔王様」

 

・・・十六夜が妥協したか。ならほかの二人も妥協するはず。

 

「く、くく・・・して、他の童達も同じか?」

「・・・ええ。私も試されてあげていいわ」

「右に同じ」

 

よかった。丸く収まったか。

 

「それで残ったおんしはどうするんじゃ?」

「・・・僕は小心者だって言ったはずだよ。普通に挑戦を選ぶよ」

「ふむ、そうか・・・」

 

え、なに?その思案顔。嫌な予感しかしない。

『・・・!・・・!!』

うわっ!!し、しまさん?警告?ど、どれぐらい?え、人外どもとの遊びレベル?・・・暇つぶしにはなりそう。・・・とか言ってる場合じゃないか・・・ああ、面倒くさい。

 

「も、もう!お互いにもう少し相手を選んでください!! 〝階層支配者〟に喧嘩を売る新人と、新人に売られた喧嘩を買う〝階層支配者〟なんて、冗談にしても寒すぎます!! それに白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」

「何? じゃあ元・魔王様ってことか?」

「はてさて、どうだったかな?」

 

まぁ、魔王が真っ当なコミュニティの支店オーナーなんてやらないよね。

・・・ッ!・・・今の鳴き声は!?

 

「何、今の鳴き声。初めて聞いた」

「ふむ・・・あやつか。おんしらを試すには打って付けかもしれんの」

 

あれは・・・やっぱりグリフォン!?

 

「グリフォン・・・嘘、本物!?」

「フフン、如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。〝力〟〝知恵〟〝勇気〟の全てを備えたギフトゲームを代表する獣だ。そこの童もそんなに身構えなくても平気じゃぞ?」

「え・・・?あ、ああ、元の世界ではグリフォンにはいい思い出がなくて、ついね・・・」

「そ、そうか」

 

ペットにグリフォンを従えてる友人を思い出す。

あのチートグリフォンよりは断然弱いって理解してるんだけど、姿を認識したらつい構えちゃうんだよなぁ・・・。グリフォンは火とか雷とか吐かず、空を駆けてるほうがいいよね、うん。

 

「さて、肝心の試練だがの。おんしらとこのグリフォンで〝力〟〝知恵〟〝勇気〟の何れかを比べ合い、背に跨って湖畔を舞うことが出来ればクリア、ということにしようか」

 

そういうと先ほどのカードを取り出し、そこから一枚の輝く羊皮紙が現れる。

 

 

『ギフトゲーム名〝鷲獅子の手綱〟

 

 プレイヤー一覧

   逆廻十六夜

   久遠飛鳥

   春日部耀

 

 ・クリア条件 グリフォンの背に乗り、湖畔を舞う。

 ・クリア方法 〝力〟〝知恵〟〝勇気〟の何れかでグリフォンに認められる。 

 ・敗北条件 降参、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなかった場合。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

〝サウザンドアイズ〟印』

 

 

・・・ん?

 

 

「・・・僕の名前は?」

「さて、誰がやるかの?」

「ねぇ?ねぇってば?僕の名前は?白夜叉さん?聞いてます?」

「私がやる」

「え、みんなして無視?酷くない?」

「「「「うるさい」」」」

「・・・グスン」

「く、黒ウサギは蒼奇さんの味方ですヨ?」

「・・・ありがとう・・・それを目を見て言えたならもっと良かったんだけど・・・?」

 

ネロは伸ばした触手で頭をなでて慰めてくれる。この場には僕の味方は君だけだよ・・・。

 

しまさんの警告、それとさっきの思案顔に対する嫌な予感はこれか・・・。

・・・向こうでネロと遊んでよ・・・ほら行こうネロ・・・。

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

僕がネロと遊ぶという現実逃避をしている間に耀は見事ゲームをクリアできたらしい。

その報酬としてさっき白夜叉が持っていたようなカードが与えられた。

 

コバルトブルーのカードに逆巻十六夜・ギフトネーム〝正体不明(コード・アンノウン)

ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム〝威光〟

パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム〝生命の目録(ゲノム・ツリー)〟〝ノーフォーマー〟

 

それを見た黒ウサギは驚いたような、興奮したような顔で三人のカードをのぞき込む。

 

「ギフトカード!」

「お中元?」

「お歳暮?」

「お年玉?」

「ネロ、疲れたろ・・・。僕も疲れたんだ・・・なんだかとてもスヤー」

「ち、違います! というかなんで皆さんそんなに息がピッタリなんですか!?このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!そして蒼奇さんは起きてください!!」

 

・・・ふぇ?・・・ああ、寝てた。

 

「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」

「だからなんで適当に聞き流すんですか!あーもうそうです、超素敵なアイテムなんです!」

 

みんながはしゃいでる中、目が覚めた僕は話が落ち着くまで待ってから白夜叉のもとへ歩む。

 

「それで、僕は別の試練を受ければいいの?」

「うむ。理解が早くて助かる。・・・ほれこれじゃ」

 

『ギフトゲーム名〝太陽への一撃〟

 

 プレイヤー一覧

   館野蒼奇

 

・クリア条件 白夜叉へ有効な一撃を与える。

・クリア方法 白夜叉へ神格を解放した状態で一撃を与える。

・敗北条件  プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなかった場合。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

〝サウザンドアイズ〟印』

 

・・・は?白夜叉に有効打を与える?降参は・・・なしか・・・。

 

「し、白夜叉様!?このゲームは少し無茶では!?」

「ふむ・・・嫌なら受けんでもよいぞ?」

「蒼奇さん!このゲーム無茶です!いくら神格を使っても勝てる可能性は限りなく低いデス!」

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、蒼奇よ。このゲーム――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――受けるかの?」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。