このゲーム―――――――――受けるかの?
・・・それに対する僕の返答はすでに決まっている。
「・・・喜んで受けさせてもらうよ」
「なっ!?」
「ほう」
「「「・・・」」」
黒ウサギは驚き、白夜叉は感心した声を出す。すでに試練をクリアした三人は静観している。
本当なら全力を出せるときにやりたかったけど。まあ、楽しむために程よく手を抜こうか。
「む、無茶です!いくらなんでも」
「これは・・・僕のゲームだよ。受けると自分で決めたんだ。発言を取り消すつもりはないよ」
「ですがっ!」
「おい、黒ウサギ。無駄だ。諦めろ」
「そうだの。こやつが自分で受けると決めたんじゃ」
「そう。諦めてよ」
「う・・・わかりました・・・」
ぎりぎり呆れられたかな。
「では、始めると」
「ごめん。少しだけまってもらってもいいかい?準備がしたい」
「む?良いぞ。それくらいならの」
「ありがとう」
さてと、まずはネロをどうにかしないと。上着も邪魔だし脱ぐか。
「耀、またネロを、それと上着を預かってもらってもいい?」
「うん」
「ありがとう。ネロ、大人しくしてるんだよ」
さて次は、とことん影の中に召喚獣を召喚して片っ端から【同化】する・・・
【召喚】 〝青鬼〟【青鬼】
【同化】 〝神出鬼没〟〝擬態〟〝不滅〟
【召喚】 〝しまっちゃうおじさん〟【しまさん】
【同化】 〝神出鬼没〟〝増殖〟〝隠密〟
【召喚】 〝巨神〟【アース】
【同化】 〝対神格〟〝神格〟〝身体能力〟〝強者の両腕〟
【召喚】 〝
【同化】 〝光合成〟〝再生〟〝植物操作〟
【召喚】 〝黒太陽の申し子〟【J】
【同化】 〝黒太陽真拳〟
最後に〝恩恵強化〟を施してっと。よし、これぐらいで白夜叉にちょっと弱いぐらいかな。
「もういいよ」
「随分と掛かったの?」
「それだけ念入りに準備しないとつまらないからね」
「く、くく、そうか。ではそろそろ始めようかの」
僕と白夜叉は20mほど離れて向かい合う。観戦する四人は遠巻きに僕らの様子を見ている。
「では、このコインが地面に落ちたら開始としよう。良いな?」
「かまわないよ」
僕は始まった際の行動のイメージをする。
地面に着くとほぼ同時に〝隠密〟を使い気配を消し、〝神出鬼没〟で背後に転移して蹴りを叩き込む。失敗したら〝黒太陽真拳〟の【眠らざる五太陽】を使う。
そして、ゆっくりと、コインが、放物線を描き、
地面に落ちた。
ッ!!
「なっ!?」
僕はすぐに白夜叉の背後に転移する。白夜叉は僕が消えたことに驚きの声を上げ、背後にいる僕の方へ向こうとするが、顔の動きに合わせ連続で転移をし、白夜叉の死角に回る。
だが、蹴りが打ち込まれる前に白夜叉を中心に爆炎が広がり、それにより僕の視界がふさがれる。その隙に白夜叉は僕の攻撃範囲外へ逃げようとする。僕は気配を頼りに攻撃を繰り出すが気配が大きく、外してしまう。そして爆炎に紛れながら【眠らざる五太陽】を使用し、屈折による幻影を作りながら、爆炎から転移で離脱する。転移した場所の視界の先には白夜叉がいた。
「いやはや驚いたの」
「いや、なんで躱せるのさ?」
「経験が違うの、経験が」
「・・・ははは!!・・・腹立つな~」
会話の最中に先ほどの爆炎で焼け爛れた身体と服は〝再生〟により完全に
「それはもう通用せんぞ!」
白夜叉自身の体の周囲が陽炎のように揺らめき始める。それに対し召喚獣たちから警告を受ける。それを聞くと瞬時に攻撃を中断し、白夜叉を観察する。そして、一つだけ思い至った予想をぶつけてみる。
「・・・それって、もしかしてコロナかい?」
「答えると思っておるのか?」
「・・・ハンデとしてそれぐらい教えてくれても良いだろう?」
「ふむ・・・まぁいいだろう。その通りだの」
「そう、律儀に答えてくれてありがとう」
会話している最中、僕はひそかに地面に〝擬態〟させていた一人を〝隠密〟によって、白夜叉の足元に近づかせていた。そして会話終わると同時に〝強者の両腕〟を使い足をつかませる。
「なっ!?一体どこから!?」
「ッ!!」
その隙に転移で近づく。
〝強者の両腕〟。このギフトは〝巨神〟の力強さがギフト化したものだ。
その能力は――――――――――――
――――――――――――
その効果は脳筋思考だが絶大で、つかんだものは決して放さず、不変の枷となる。それに今はその腕が地面から生え、つい先程、地面と【同化】させた。それにより、更に強固な枷へと変貌した。
「だが、まだ腕は動かせるぞ!」
ああ、わかっているよ。君の目の前の僕はわざと〝隠密〟を弱めさせた
本体の僕は―――――
――――――――ずっと君の影にいたんだよ。
最初の攻撃の時に白夜叉を攻撃を仕掛けたのは〝増殖〟による分身だ。そして今、目の前にいる僕も分身だ。白夜叉が目の前の僕に注意がいっている隙に本体の僕は影から脚だけを出し、膝蹴りを放ち、当たる直前に神格を解放する。
そして、
その攻撃は、
白夜叉が気づいた時にはもう―――――――――――――――――
――――――――――――――彼女の背中に命中していた。
「ぐっ!!」
白夜叉がうめき声を上げると同時に契約書類が発光し―――――――――――
――――――――――――僕の勝利を告げた。
―――――――――――――――――――
ゲームが終わり白夜叉と共にみんなの下へ戻る。
が、なぜか飛鳥、耀、黒ウサギ。挙句の果てに十六夜までもが僕をありえないとでも言いたげな目で見てくる。
「「「「・・・」」」」
「あ、あの、その目をやめてくれないかい?」
「「「「・・・・・・」」」」
「・・・言いたいことがあるなら言って欲しいんだけど?」
「「「人外」」」
「わかってたよ!コンチクショー!!」
問題児たちが口を揃えてそう言う。
僕で人外なら友人たちはどうなるのかがすごい気になるよ!
そんな雰囲気の中ネロが上着と一緒に僕の腕の中に跳んでくる。
ネロを頭に乗せ上着を着ると白夜叉が話しかけてきた。
「それで蒼奇よ」
「ん?」
「ゲームの報酬のギフトカードじゃ」
そういって白夜叉は柏手を打ち、僕の目の前に仄かに暗い灰色のカードが現れた。
館野蒼奇・ギフトネーム〝盟友召喚〟〝
「それで、他の者たちもさっきのゲームについて疑問に思っておるだろうから、いろいろと聞きたいんじゃが?」
「・・・答えられるものならいいよ」
「うむ、それでかまわぬ。まずは一番疑問に思っておる最後の攻撃じゃ」
「ああ・・・どこから説明すれば?」
「全部に決まっておろうが」
デスヨネー。
「じゃあ先に僕のギフトを一つずつ説明したほうがいいね。まず〝盟友召喚〟だけど、このギフトは僕と契約した人物や魔獣、幻獣なんかを約束や縛りはあるけど召喚できるギフトでね。これによって召喚獣たちを〝影の住人〟で作りだした影の中の世界に召喚して、〝同化〟で召喚獣の所持ギフトを共有して〝恩恵強化〟で全て強化したんだ。神格も〝同化〟によって共有したんだ」
「・・・召喚獣は何体いたんじゃ?」
「今回は五体だよ。僕と契約している戦闘用の召喚獣はそれで全部ってわけじゃないけどね。今回の呼んだ五体なら見せてもいいけど、見てみるかい?」
「見せてくれるというのなら是非頼みたいの」
「・・・一応非戦闘用も目の保養として一部出すけど、戦闘用は癖が強いのばかりだから気を付けてね」
そういって僕は契約している召喚獣を呼び出す。
そうして現れたのは全部で六体。
ブルーベリーみたいな色をした全裸の巨人【青鬼】
濃いピンク色の二足歩行の豹のしまさんこと【しまっちゃうおじさん】
木の蔓が集まり顔のない人型を形成したような見た目の植物人間【ブライト】
玉ねぎの頭にサングラスと髭をはやした白スーツを着た黒太陽真拳の使い手【J】
手のひらサイズの半透明の羽を二対もつ少女の風貌の妖精【リィナ】
土の入った鉢植えに目と口、芽以外の自身の身体の多くを埋めている魔草マンドラゴラ【レイ】
「「「「「っ!?」」」」」
突然現れた召喚獣に対し少しだけ身構えてしまう五人。
「・・・む?この中に神格持ちがいないようじゃが?」
「ん?・・・ああ、彼は大きすぎてね。呼んでも平気かい?」
「ちなみに何なんじゃ?」
「巨神」
「・・・は?きょ、巨神じゃと?」
「そう。巨神のアース」
彼、エベレストを超えるレベルの大きさだからなぁ・・・。小さくはなれるけどそれでもまだ大きいからなぁ・・・影の中にしか呼んであげられないのが申し訳ないなぁ・・・。
「それで、出そうか?」
「い、いや良いぞ。出さなくて」
「そう?それじゃあ、話に戻ろうか。見てもらったほうがわかりやすいかな?」
僕はそういうと召喚獣たちと共有してから、ギフトカードを五人に差し出す。
そこには先ほど記されていたギフトに加え先のゲームで使った召喚獣たちのギフトネームと新たに促成と万年草が示し出されていた。
「「「・・・」」」
「「・・・」」
映し出されたギフトの数を見て固まる飛鳥と耀と黒ウサギの三人。十六夜と白夜叉はなにかを考えているのか黙り込む。
「それで、最後の攻撃だけど白夜叉の影の中から脚を出して蹴ったんだ」
「・・・いつからおった?」
「最初の攻撃の際に潜ませてもらったよ。蹴りを放ったのも、あの爆炎に巻き込まれたのも増殖による分身でそれ以降もずっと潜んでいたよ」
「つまりあれ以降は私は偽者を相手にしておったのか」
「いや、そういうわけでもないよ」
「何じゃと?」
「〝増殖〟というギフトは文字通り増えるんだ。細胞分裂のように自分と全く同じ存在を作り出す。思考から何までね。だからゲームを受けたのも僕だし、白夜叉が途中から相手にしていた僕も僕だよ。ややこしいかもしれないけどね」
そして影の中のエリクサーやら食べ物が無限増殖している原因だとは思う。
「・・・そうかの。次の疑問じゃが、なぜコロナを纏っている私の足をつかめたうえ、攻撃できた?普通なら触れることも出来ず一瞬で焼失するはずだが?」
「〝強者の両腕〟と〝不滅〟のことだね。〝強者の両腕〟は使用中は問答無用で何があろうと対象を拘束するために触れることが可能なんだ。でも拘束以外のことをしようとするとそれもないけど。別の力もあるけどそれは秘密ってことで。〝不滅〟は十秒だけ無敵になれるだけのギフトだよ」
「・・・本当にそれだけかの?」
「え、隠してるのバレた?」
「「「「・・・ほう?/へえ?/ふーん?/ん・・・?」」」」
あ、かまかけられた上、墓穴掘っちゃった。
「「「「さあ、キリキリ吐け」」」」
「ちょ、君らその関節はそっちに曲がらないから!待って!お願いだから待って!話すから待ってよ!黒ウサギも見ない振りしてないで助けて!!あ、それ以上は無理だから!!ぎゃああああぁぁぁぁ!!!」
その尋問という名目の拷問は僕の四肢の関節が四人によって逆方向に曲げられるまで続いた・・・。
――――――――――――――――――――――――――
僕は破壊された四肢を〝再生〟を使って治す。こういう骨折とか内部のは皮膚表面のと違って若干遅いっていうのに・・・。
「「「「さあ、吐け」」」」
「まず君らは僕に謝罪して反省しろ」
「「「「忘れた」」」」
「よし、わかった。喧嘩売ってんだな?喜んで買ってやるよ」
「「「「どうでもいいから早く話せ」」」」
「・・・はぁ、わかったよ。僕が話してないのは〝不滅〟の効力だよ」
「まだ何かあるのかの?」
「無敵時間は十秒で任意発動。これは絶対だよ。でも持ってるだけで常時発動の効果がある」
「ふむ、その効果はなんじゃ?」
「恒久的不死」
「・・・なに?」
「死なず老わず、永久に生き続ける。細胞の一片も残さずに殺されると地面から湧き出て、蘇る。でも、傷を負っても治らないけどね。ここじゃギフトもチップなんでしょ?だから言いたくなかったんだ。元の世界でもよくあったし」
「・・・それはすまんかったの」
「うん、それを謝る前に僕の四肢を折ったことを謝ろうか?」
いっそ、諦めるほうが楽かな・・・?
「それでほかに質問は?」
「うむ。これで最後だの」
「どうぞどうぞ」
「・・・なぜ髪が伸びておる?」
「あ、そんなこと?〝再生〟で一緒に直ったのかな?僕だって好きであんな髪型にしたわけじゃないから、直ってよかったけど」
「なぜあんな髪型になったんじゃ?」
「ん?殺し合いだよ?同時に斬撃を放ったり、時間差で斬撃が出現させたりとかできる、中二病人外剣士とのね。深くは聞かないでほしいな」
「そ、そうか」
よし、やっと終わった~。それじゃあ、召喚獣を帰してっと。
帰し終わると白夜叉が話しかけてきた。
「・・・おんし、まだ力を隠しとるだろう?」
「・・・ん~これ以上は話せないよ。奥の手や切り札の十個や百個や千個は隠しておきたいし」
「・・・少し、多過ぎないかの?」
「それぐらいないと元の世界の人外どもを出し抜けなかった。ただ、それだけ。大半が僕の教え子だけどね。まあ、彼らと戦うのは結構ハラハラして楽しいから好きだけど」
いや、本当。あいつらなに?なんなの?絶対おかしいよ・・・そういう風に育て上げたのは僕だけどさ!でも、あー思い出したら戦いたくなってきた!懐かしの僕vs全員をやりたい!・・・みんなは嫌がるだろうなぁ・・・。
「あと、白夜叉だって全力出してないし、お互い様」
「・・・わかっておったか」
「バレバレ。だから〝挑戦〟にしたんだよ・・・次は全力の上〝決闘〟でお願い。僕は負けず嫌いなんだ」
「くくっ、そうか楽しみにしておこう」
「僕も楽しみだよ」
・・・そういう風に感じるって、僕はやっぱり
次回はしまさんが大活躍します。
次話は明後日に投稿予定。