ハルケギニアの[使い魔]光の戦士 作:シャイニングピッグEX
翌日の朝、零とルイズは学園に戻ってきた。
勿論と言うべきか、零は走りである。
「いやぁー、やっと戻ってこれた。しかし、いやに静かだな。」
「今は夏期休暇で、帰省したり旅行へ行ったりしてる人が多いのよ。」
「要するに、夏休みって訳か。貴族なんて年中夏休みみたいなもんだと思うけど。」
すると、前方にキュルケとタバサがいるのを見つけた。
「あらルイズ。最近姿を見なかったからとっくに帰省したのかと思った。」
「ちょっと用事があって出掛けてただけよ。あんた達は帰省組?」
そして、キュルケは零の姿を見るや否や抱きついて来た。
「あ~、ダーリン!折角会えたってのにしばらく会えなくなっちゃうの。身勝手な私を許してね?」
そう言いながらキュルケは零の顔を胸に埋めた。
「とっ、取り敢えず離して。」
零はそう言って胸の間から脱出した。
「アタシ、これからタバサの実家に遊びに行くの。」
キュルケはルイズの質問に漸く答えた。
「タバサの?」
そして、タバサが馬車に乗り、それに続いてキュルケも乗り込んだ。
「それじゃダーリン、良い休暇を。」
そして、馬車は行ってしまった。
「・・・はぁ~、毎度毎度死にかけるぜ、ホント。」
部屋に戻り、ルイズは早速零に命令をした。
「あんたは洗濯!あんた達は部屋の掃除!グズグズしてるとご飯抜き!」
そう言ってルイズは零に洗濯物が入った篭を投げた。
そして、怪獣達に掃除道具を渡した。
「「「「「「・・・へーい」」」」」」
そして、零達は自分達の仕事を始めた。
「誰でも彼でも見境無しにデレデレするんだから・・!」
「まあまあ、ルイズさん。」
ゴモラはルイズを宥めた。
「私の事は良いからあんた達は掃除をしなさい!」
「はい~!」
ゴモラは自分の持ち場に戻った。
そして、零は・・・。
「あ~、何か、こっちの方が慣れてるから楽だな~・・・ん?」
外に出た時、聞き覚えのある痴話喧嘩が聞こえて来た。
「そのセリフはもう聞きあきたわ!良いことギーシュ?私は別に貴方の事なんて何とも思ってないの。貴方がどうしてもって言うから付き合ってあげてるのに。」
「ああっ、モンモランシー!と、兎に角落ち着いて僕の話を・・。」
そう言ってモンモランシーはギーシュの元から去った。
すると、モンモランシーは零に気付いた。
「ルイズは帰ったんじゃなかったの?」
「一応いるよ。」
すると、その後をギーシュが追いかけて来た。
「待ってくれ!モンモランシー!」
「ついてこないで!」
「ま、待って!モンモランシー!僕の話を聞いておくれ!モンモランシー!待ってくれモンモランシ~・・・。」
そう言って二人は校舎の中に消えて行った。
「相変わらず仲良しな事で。」
「全く、あの男も女癖を治せんのか?」
「カリバーン。多分アイツは一生治んねえぞ・・・。」
「そのようだな・・。」
すると、零は遠くに石で出来た釜を見つけた。
「お?・・・ちょっとアレ借りさせて貰うか。良いことも思い付いたし。」
零は早速マルトーに許可を貰った。
「どうせ捨てようと思って置いといたんだ。」
「そんじゃ、貰っても良いのか?」
「ああ!遠慮なく持ってってくんなあ!我らの拳!」
そう言ってマルトーは零の肩を組んだ。
「せめてその呼び方どうにかなんねえかな・・・。」
零は苦笑いしながらいった。
そして、零は適当な場所に釜を動かした。
「こんなとこで良いかな。」
「貴族に言えば魔法で運んで貰えただろうに、何故言わなかったのだ?」
「まあ、俺個人の事だしな。それに、これ以上の物はいくらでも持ってるし。」
「しかし、こんな大釜一体何に使うんだ?」
「頭と手は使いよう、ってね。夜まで待ってな。」
「?」
そして、数時間後・・・。
「なるほど、考えたな。」
「だから言ったろ?使いようだって。」
零は釜を風呂代わりにして入っていた。
「しっかし・・・。」
「どうした?」
「いや、ちょっと昔の事を思い出すな~って。」
「昔の事?」
「ああ。小さい頃は妹とよく一緒に入ったもんだよ。何せ、顔が女だったし。」
「仲が良い兄妹だな。」
「まあね。」
そう言って、零は一つため息を吐いて上を仰ぎ見た。
「零さん?」
「ふえ?」
目の前にはシエスタが立っていた。
「あれ、シエスタじゃん。どったの?」
「私は食器を落としてしまって、おまけに服も・・・零さんはそこで何をなさってるんですか?」
「別の世界の風呂。とはいっても、かなり古いやつだけど。」
「お風呂・・ですか?」
「捨てるって言ってたし、有効活用しないとね。」
「へぇ~、素敵ですね。私も入りたいな~。」
「ああ、良いよ~。」
「あ良いんですか?」
「へっ!?」
すると、シエスタは服を脱ぎ始めた。
「ま、まずくないか?これ。」
「誰も来ませんし、真っ暗ですから大丈夫ですよ。」
「う~ん、まあ、そう言うことなら・・・。」
「それに、零さんは変な事する人じゃないって分かってますから。」
「・・ま、いっか。」
そして、シエスタは風呂の中に入った。
「服も乾かせるし、丁度良かったです。」
「喜んで頂けて何よりです・・・。」
零はシエスタに背を向けながら言った。
「・・そんなに照れないで下さい。私まで恥ずかしくなっちゃう・・。あの、こっち向いても良いですよ。暗くてよく見えないし。」
「・・・・。」
零は顔を赤くしながら上目遣いでシエスタの方を見た。
すると、シエスタは一瞬だけ後ろを向いた。
「ど、どうしたの?」
「い、いえ・・ちょっと・・・。」
・・・この時の零の顔は天使よりも愛くるしい顔だったと言う。
そして、少ししてシエスタは振り返った。
「別の世界の風呂って、気持ち良いです。」
「ここのは蒸し風呂だろ?俺はこう言うのが一番安らげるから。」
「そう言えば、他の世界ってどんな所なんですか?」
「他の世界?」
「ええ、聞かせて下さいな。」
「そうだな・・。俺が生まれた世界は、月が一個しかなくて、魔法も無い。だけど、その代わり皆電気でどうにかなる。他には、魔法使いや妖怪、人間が共存してる世界だとか、もっと文明が発達してたり・・・。」
「零さん!月が一つで、魔法使いがいないだなんて、村娘だと思ってからかってるんでしょ!」
「いや、これは全部俺が見て、聞いて、感じてきた事さ。皆、平和に暮らしてて、楽しい毎日を過ごしてるよ。妖怪達と仲良く宴会なんて事もしたことがあるし、俺の世界は戦争をすることもなくなって、平和なんだ。」
「私のひいおじいちゃんの話みたいですね~。」
「ひいおじいちゃん?」
「私が生まれる前に死んじゃったんですけど、自分は遠い異世界の住民だとか、空から落ちてきたとか、そんな事ばかり言ってたそうです。」
「異世界・・・空から・・・か。」
「そろそろ、上がりますね。」
そう言いながらシエスタは立ち上がった。
「う~い。」
「ありがとうございました。とても楽しかったです。お風呂も素敵だったし。」
「それは良かった。」
「あの、でも・・。」
「?」
「一番素敵なのは、貴方かも。」
「ふぇっ!?」
「おやすみなさい!」
そう言って、シエスタは駆け足で戻って行った。
「・・・しかし、異世界の住民、か。」
「・・・それで?一体何を話してたのかなぁ~?」
「吐かなければ・・・。」
「どうしようかなぁ~?」
「!?ゴモラ!?ベムスター!?シルバーブルーメ!?」
「アハハハハ!なんてね。」
「話してた事は全部分かってましたよ。」
「ああそっか、シルバーブルーメが見てたのか・・・。」
「そゆことー!」
「私達はあまりにも零様が遅いから迎えに来たんだよ。」
「ああ、そう言うこと。んじゃ、すぐ着替えるわ。」
零は風呂から上がり、服を着て部屋に戻った。
「今戻ったぞ~。」
中には、既に寝てる怪獣二人と、ベッドに座っているルイズがいた。
「遅かったわね・・。」
「いやぁ~、久しぶりにリフレッシュ出来たもんでね~。ついつい長居しちまった。気持ちよすぎて力抜けそうだったぜ~。」
「そりゃあ気持ち良かったでしょうね・・。」
「?どうした?」
「ご主人様の目を誤魔化せると・・・。」
すると、ルイズに変化が生じた。
「・・・?ルイズ、大丈夫か?顔真っ赤だぞ?」
そう言いながら零は顔を近付けた。
「顔なんてどうでも良いの・・。は、はれ・・・。」
ルイズは少し体を揺らしたかと思うと、気を失うかの様に顔を俯かせた。
「おい、ホントに大丈夫か?」
「零・・・零・・・。」
「何だ?」
「零!」
ルイズは急に零に抱きついた。
「へ?」
「バカバカバカ!零のバカぁ~!どうして私を放っといてあんな子と一緒にいるのよ~!零のバカバカ~!」
「いやマジで何!?何かのドッキリなの!?冗談なの!?」
「冗談なんて酷いわ・・。私がこんなに大好きなのに~!」
そして、ルイズは零に抱きついたまま泣き出した。
「一体これ・・。」
「何がどうなってるの?」
ゴモラとベムスターが首を傾げていると、扉を叩く音が聞こえた。
「あ、はい。」
扉の向こうにいたのは、モンモランシーだった。
「あっ!・・はぁ、やっぱり・・・。」
「やっぱり?」
今回はここでおしまいです。
マルトーさんだったんですね・・・。また治しておきます。