ハルケギニアの[使い魔]光の戦士 作:シャイニングピッグEX
その翌日、女子生徒が男子生徒との別れを惜しむ光景が広がっていた。
勿論、ギーシュも例外ではない。
「軍は本当にアルビオンに攻め込むつもりなのね。学院の男子生徒を志願させるなんて・・。」
『戦争・・ね。』
『そういえば私達の生まれ故郷の方々はどうしてるんでしょうか・・。』
「私の友達も今も戦ってるのかな・・。』
『姉さんの・・ですか。」
「・・・・戦争・・・。」
『そういえば私達の同胞は戦争が終わってから地球に行ったんだっけ。』
『ウルトラマンやセブンに阻まれてばっかだったけどね。』
『あら、私達は地球人にやられたわよ。』
スマホの中で怪獣達が談笑している傍らで、零は生前見た歴史の事を思い出していた。
「戦争だけはやってはいけない人類最大の失敗だってのに・・・な。」
そう言って零は溜め息を吐いた。
すると、空を見てざわめき始めた。
空の彼方から、一匹の竜がこちらに向かって飛んできていた。
そして、その竜は零達の前で着地し、その上から一人の青年が飛び降りてきた。
その男は、ギーシュに負けず劣らずの雰囲気がしていた。
その男を見て、周りの女子生徒は黄色い歓声をあげた。
そして、その男はルイズの前に歩み寄った。
「僕は、ジュリオ・チュザレ。ロマリアから来た転校生だよ。宜しく。」
そう言ってジュリオは笑って見せた。
『『『『『『か、カッコつけだぁー!』』』』』』
怪獣達はスマホの中で小声で言った。
授業中も彼の人気は凄く、女子生徒は授業を上の空で彼を見つめていた。
なんでも、神官なので戦争には行かないらしいとの事だった。
『はぁー、モテモテですねー。』
『皆彼を見てますね。』
「そんなに良いかね?」
「少なくとも犬よりはね。あんたそんなにモテたいわけ?」
「まさか。ルイズこそ気になってんじゃないの。」
「な、何で私が!」
すると、アニエス達が扉を破って入ってきた。
『アニエスさん?』
「全員校庭に出ろ!」
「な、何ですか君たちは!」
「女王陛下の十志隊だ。我々は諸君の軍事教練行うため、この学院に駐留することになった。授業は中止だ!」
「中止!?」
「校庭に集合しろ!急げ!」
アニエスに言われ、生徒達は立ちあがって校庭へ移動しようとした。
しかし、コルベール先生がそれを止めた。
「授業を続けます。」
「先生、今は戦時だ。呑気に授業をやってる場合でもあるまい。」
アニエスはコルベール先生に向かって反論した。
しかし、コルベール先生も引く気はない。
「戦時だからこそ、戦争の愚かさを学ぶべきなのです。男子は皆、軍に入ってしまいましたが、学院の中にまで戦争を持ち込むのは止めて頂きたい!」
先生の主張は最もだった。
「黙れ!」
しかし、アニエスは剣を抜いてコルベール先生の喉元に近付けて黙らせた。
「私はメイジが嫌いだ。特に炎を使う奴がな。」
「メイジが嫌い?」
『何かあったのかな?』
アニエスは一つ鼻で笑うと剣を鞘に収めた。
「私の任務の邪魔をするな。」
「校庭へ出ろ!」
女子生徒は仕方なく、席を立って外に向かった。
零は呆然として立ち尽くしていた。
「零?」
それを見かねたのか、ルイズが声をかけた。
「ん?お、おう。」
零は我に帰り、零も外へ出た。
他の生徒が訓練をしている間、零は暇なので走って暇を潰す事にした。
「やっぱ、走り慣れてる所は暇なもんだな。」
すると、十志隊の一人が飽きて立ち止まった零に剣を振ってきた。
零は間一髪の所で避けた。
「うわっとお!」
すると、女性は木刀を零に渡すように投げた。
「お前の腕を見せてみろ。」
「・・・All right。」
零は木刀を手に取った。
「話が早くて助かる。」
そう言いながら女性は木刀を奮った。
零は木刀でそれを防いだ。
女性は何度も攻撃を繰り出し、零はそれを防ぎながら体術で逃げ回るようにして訓練を始めた。
そのうち、逃げ回る事を止めて零は剣を奮った。
しかし、防ぐのが精一杯で攻撃はたった一回しか当てれなかった。
それを見ていたルイズが駆け寄ってきた。
「あんた!私の使い魔に何すんのよ!」
「あいてて・・。」
すると、アニエスが三人に近寄って来た。
「ヴァリエール殿。この前彼女の戦いぶりを見たが、私でさえ叶わないような凄まじい腕だったぞ?」
「それは、カリバーンを持っていたからよ。それに零は男!」
「それは失礼した。しかし、カリバーンとは?」
「俺の剣の事だよ。別に無くても行けるけどさ、あれば使い魔としての力も出せるって訳。」
「ふむ、そうであったか。剣士としての力も一応あるわけか。」
「面白そうな話だね。」
すると、ジュリオが近寄って来た。
「零君、一つ僕と勝負してくれないかい?」
「え?」
「その、カリなんとかを使っても良いから。」
「またか・・・。何で勝負する必要があるんだ。」
零はぶっきらぼうに言った。
「ほんの好奇心だよ。」
「・・・聞き覚えしかなくて困る。」
「そうだ、勝った方がルイズにキス出来るって事で、どうかい?」
ジュリオは平然としながらとんでもないことを言い出した。
「ちょっ、そんな事懸けられても困るんだけど!」
「ちょっと!キスだなんて何勝手な事言ってるのよ!貴方神官でしょ!?」
「実はトリステインに来るに当たって、一時的に還俗してるんだ。だから、配当も許されている。恋愛もね。」
そう言ってジュリオはルイズを抱いた。
零はその手をはねのけた。
「あーもー、やりゃ良いんだろ!?お前みたいな中途半端に強さで死線もまともに潜り抜けた事が無くて自信過剰な奴は好きじゃないんだ!」
「ちょっと、よしなさいよ!」
「いや、売られた喧嘩は買うもんだ!」
「あんた何をムキになってるのよ!・・あんたが本気だしたら彼死んじゃうでしょ?」
「あっちの心配かよ。それに、手加減くらいするって。」
それを聞いたルイズは顔を赤くした。
「そうじゃなくて!つまんない事で問題起こしてる場合じゃないでしょ!?どうしてもやるって言うなら木剣でやりなさい!真剣勝負なんてダメ!これは命令よ!」
「一応レジスタンスなんだけどな~。ま、流石に殺す訳には行かないか・・。」
零は頭を掻きながら言った。
「ま、明日の朝やるか。」
零は軽く勝負の約束を取り付けた
「楽しみにしているよ。」
そう言ってジュリオは何処かに行った。
その日の夕刻、零はアニエスに剣術を教えに貰いに行った。
「何だ、こんな所に呼び出して。下らない用事だったら・・。」
「頼む!剣術を教えてくれ!もっと強くなりたいんだ!」
「?お前は充分強いだろう?」
「でも、まだまだなんだ!実際、十志隊の一人にもまともに勝てなかったし・・、ガンダールヴの力に頼りっきりなのも厭なんだよ!」
零はそう言って手の甲のルーンを見せた。
「ガンダールヴ?」
「ああ。これに頼るのはあまりしたくないんだ。」
「ふん。」
「戦争みたいに、危険な事が降りかかるだろうから・・。それに、何よりもルイズを守る為だから。」
「ルイズ?ヴァリエール殿を守る為に剣術を教えろと言うのか?」
「明日の勝負もあるけど・・中途半端で自信過剰な奴は嫌いなんだよ。」
すると、アニエスの表情が緩んだ。
「私も、チャラチャラした奴は嫌いだ。だが零、私の指導を受け切れるかな?」
そう言ってアニエスは零の手から一本の剣を奪った。
「どんなに辛くても良い。全力で来て欲しいんだ!」
そして、早速零とアニエスは特訓を始めた。
零は激しい攻撃を受け止め切れず、零は尻餅をついた。
「立て!休んでる暇は無いぞ!」
零は直ぐ様立ち上がり、零は剣を奮った。
が、しかし、流石隊長と言うべきか、隙が全く無かった。
零は防御だけで手一杯だった。
しかし、それでも零は剣を構えた。
「ふむ、まあ悪くは無いだろう。粗方実践を積んでるからな。」
「そ、そりゃあどうも。」
「だが、型だけでは勝てない!相手の隙を突け!」
そう言いながらアニエスは零に切りかかった。
零は咄嗟に防御した。
そして、二人の特訓は夜まで続いていた。
「隙を、隙を見つけるんだ・・!」
零はボロボロな体に鞭打ち、アニエスに向かって行った。
アニエスも容赦なく切りかかってきた。
零はアニエスの攻撃を避けて背後を狙ったが切り返しが早く、すぐに受け止められた。
「ほらほらどうした!」
「くっそぉぉお!」
零は力任せに押し込んだが、何かの拍子で足がもつれ、アニエスに押し倒された。
「よし、その調子だ。」
「あ、ああ。」
二人は既に肩で息をするほど息が上がっていた。
「本当だったんだ・・。」
すると横から声がし、二人は声の方をみた。
そこには仁王立ちしているルイズがいた。
「え?ル、ルイズ?」
『仕方ありませんね・・。』
『リアライズ、ゼットン!』
ゼットンはひとりでに飛び出し、ゼットンシャッターを張った。
そして、ルイズは零に向かって鞭で叩き始めた。
「こんのバカ犬!エロ犬!スケベ犬ぅー!」
「ぎゃああああ!」
「・・あの時のメガネ、誤動作だったから後の二ついらないでしょ・・。」
ゼットンはそう言ってスマホの中へ戻った。
次の日の朝、零は集合場所に来た。
「あれ、どうしたの?まるで嫉妬に狂ったドラゴンに一晩中どつきまわされたみたいじゃない?」
零の体は既にボロボロだった。
「はは、よく分かってるじゃない。」
そう言った瞬間零はルイズに殴られた。
「勝負はやめにしても良いよ?」
「逃げるつもりなんてないさ。むしろ良いハンデだ。」
零は剣を構えた。
「じゃあ始めようか。ルイズ、キスの準備は良いかい?」
すると、ルイズは顔を赤くした。
「はぁ~・・。」
零は頭を掻きながら溜め息を吐いた瞬間、零は柄尻でジュリオの腹を突いて一瞬だけ動きを封じ、木剣を素早く持ち変えてジュリオの喉元に刃を当てた。
この間僅か0,5秒の事で、周りの女子生徒達は何が起こったのか理解してなかった。
「・・・え?」
流石のジュリオも理解が追い付いていない様だった。
「この程度か・・・。幾度と無く命を落としかけて来た俺とぬくぬくして育ったお前とは天と地以上の差がある。悪い事は言わない。何度俺とやろうと結果は一緒だ・・。」
零はいつもとは違う低い声でジュリオに言った。
その零の目は幾つもの死線を越えてきた鋭い目であった。
「あ、ああ・・。」
ジュリオは零が解放したと同時に力無く座り込んだ。
「ふぅ。」
零は溜め息を吐いた。
すると、ルイズが駆け寄ってきた。
「やったわね!怪我は無い?」
「見ての通りだよ。お前に付けられたもん以外な。」
「何よそれ!」
「まあ、零の勝ちだ。キスさせてやれ。」
ルイズが持っていたカリバーンが喋った。
「えーっ!?」
ルイズはさらに顔を赤らめた。
「勝利のキスだ。堂々とやれ。」
「何いってんのよ!で、でも・・。」
「別に良いよ、そんなもん。」
零は木剣を投げ捨て、学院の中に向かった。
ルイズはそれを追いかけた。
「ちょっと!どういう事よ!私と、キ、キスしたいん、でしょ?だからジュリオに勝ったんでしょ?」
「あんなんに勝ったって何も嬉しくなんかねえさ!」
「だからって、何も皆の前で断る事無いじゃない!あ、あれじゃまるで私がフ、フラれたみたいで・・。」
すると、副官が二人に近付いた。
「暗号名ゼロ。非常呼集だ。来い。」
零達は副官に言われ、零達は呼集場所に来た。
そこにはジュリオもいたが、零は特に気にしなかった。
「すまないね、零君。仲間の力が知りたかったんだ。」
「仲間?」
『『『『『??』』』』』
零と怪獣達は同時に首をかしげた。
「そうです。仲間です。」
奥にいたフードを被った女性が口を開いた。
その声には聞き覚えがあった。
「まさか!」
フードの女性はフードを外した。
その女性は、アンリエッタであった。
「姫様!」
ルイズは咄嗟に敬礼してしゃがんだが、アンリエッタはルイズをすぐに立たせた。
「ルイズ。零さん。先日はありがとうございました。」
「いえ、そんな!使い魔が無礼な事をしてすいませんでした!」
零も無理やり頭を下げられた。
「いいえ。お二人のおかげで、私は救われたのです。・・・きっとあの人も。」
「ウェールズ卿の事なら僕も聞いたけど、結局アルビオンの陰謀だったんでしょう?」
「お前あんだけ負けといて何でここに?」
「だから君達の仲間だって。」
「なんじゃそりゃ。」
「ロマリアの教皇様も、アルビオンの動向に危惧を抱いていらっしゃる。そこで姫様の力になるようにと、僕を派遣したんだ。」
「教皇様も私も、出来れば戦争は避けたいのですが、情勢は深刻です。ルイズ、零さん、零さんの怪獣さん、達ジュリオさん、それにアニエス。あなた達だけが頼りです。」
「はい、姫様!」
「つまり、姫様はここに自分の手勢を集めたという訳ですね?」
「なんなの!?あんた姫様に文句でもあるの?」
「いや、コルベール先生が言ってた事が気にかかってて。」
「ふん、学院に戦争を持ち込むな、か?」
零はアニエスの言葉に頷いた。
「零さん、私とて、学院を戦火に巻き込むつもりはありません。あくまで、平和の為に皆さんの力をお借りしたいのです。協力してくださいますね?」
「・・・・ああ。」
そう言う零の顔は何処か浮かなかった。
すると、ジュリオがルイズに近付いて手を取った。
「改めて宜しく、ルイズ。」
そう言ってジュリオはルイズの手の甲にキスをした。
「結局やるんじゃねーか。」
今回はここまでです。
零のスケベ疑惑は晴らしますぜ。
安心してください、零さん変態じゃありませんよ。
『あれは何か女性を見るたびそうなってたらしいわよ。』
解説ありがとう、ガッツさん。
それじゃ、また次回!
『感想、リクエストも。』
『何時でも待ってるよー!』
『私達の力にもなりますから、どんどん送って下さいね?』
『・・・・ゴモラ、ナイス。』
『ありがとー!』