ハルケギニアの[使い魔]光の戦士 作:シャイニングピッグEX
さあがんばるぞう!
「なんかやけに気合い入ってんな・・。」
『本編、始まるよ~!』
次の日の朝、零はオアシスに沈んだ神殿を見に来ていた。
「この巨人像・・・書物に書かれていた巨人とそっくりだ・・。」
祀られた巨人像のその姿は、書物に描かれていた「青き海の巨人、アグル」と呼ばれる巨人ととても酷似していた。
零はその巨人をもっと近くで見ようとさらに深く潜った。
「・・?この神殿、何かがおかしいな・・。」
零は神殿を見ている内にある違和感を覚えた。
どれだけ長く放置されているのかは皆目見当が付かないが、その割には苔が一切生えておらず、新しく作られたばかりではないかと疑う程の保存状態であった。
「一体、どう言う事だ・・?」
零はとりあえず一旦引き返し、水面へ上がり、陸地に上がろうとした。
「そんなの約束が違うわ!」
すると、上からルクシャナとアリー達の会話が聞こえてきた。
「彼らは私が預かる約束で・・!」
零は水面から体を見つからない様に出し、様子を見た。
「仕方ないだろ、命令なんだ。」
「さあこい!」
一人のエルフがテファを押さえつけたのを見て、零はたまらず飛び出した。
「早くしろ!」
「何してやがる!」
零はエルフの腕をテファから振り払った。
「お前達の処遇を評議会で改めて検討する事になった。黙って来て貰うぞ。」
「・・・!」
零はアリーを黙って睨み付けた。
零達二人は竜に乗らされ、とある会場に連れられて来た。
「連れて来ました。」
零達の前にはヴィダーシャルと彼の他に数人のエルフが立っていた。
「ヴィダーシャル、もしテファに何かしたら・・!」
「黙っていろ。」
「・・?」
「助かりたければ、何を言われようと堪える事だ。」
「・・!」
「この娘か。我らエルフの血を引きながら悪魔の力を得るとは・・何と恐ろしい!」
そう言って一人のエルフはテファを睨みつけながら言った。
「うっ・・!」
零は飛びかかろうとしたが、ルクシャナに抑えられた。
「エスマーイル教には注意して。評議会のおじいちゃん達の中でも、抜きん出て万人嫌いだから。」
零は黙って頷いた。
そして、評議会はエスマーイル教のスピーチで始まった。
「悪魔の力を手にせし者と、その使い魔。肆の肆が揃いし時、精霊の大地は滅びに瀕す。六千年への言い伝えを知らぬ物はいまい。今万人共は、着々と悪魔の力の使い手を集めている。今度こそ、我々エルフを滅ぼすつもりなのだ!」
「違う! 人間はそんな事・・!」
零が抗議しようとしたが、エスマーイル教はそれを遮ってスピーチを続けた。
「六千年前の悪夢が繰り返される前に、我々の出来る事はただ一つ!この悪魔共を殺して、肆の肆が揃うのを防ぐ!」
それを聞いた一部のエルフが口々に殺せと叫び始めた。
しかし、一人のエルフが口を開いた。
「それでは、万人のする事と変わらないではないか!」
「監禁しておくだけでも肆の肆が揃うのは回避出来るだろ!」
「その通りだ!我々エルフは、高潔な種族として・・!」
エスマーイル教はテファの前に歩み寄り、反論を言っていた者の方を指さした。
「よく見ろ!万人の姿形ならまだ見過ごそう。だが、よりによって我々と同じ見た目の者が、悪魔の力を持っているのだぞ!」
そう言ってエスマーイル教は縛られたテファの手を掴んで掲げて見せた。
「この汚れた娘君!」
そう言ってエスマーイル教はテファをどこかへ連れ去ろうとした。
「テファを離せ!」
零は自力で縄を破り、リュウセイを部分展開させてリュウセイ・エクスカリバーを取りだし、エスマーイル教に斬りかかった
しかし、アリーがエルフの兵士達の剣を超能力で浮かび上がらせ、零達の周りに固めた。
「ぐっ・・!」
「見たか!これが万人の卑劣なやり方だ!まだ殺す必要が無いと言えるか!」
それを見たエルフ達全員が殺せと口々に叫んだ。
「・・!」
「クソったれ共が・・!」
零とテファは地下牢に閉じ込められた。
「大丈夫か、テファ?」
「私の方は大丈夫。守ってくれてありがとう。それに・・。」
テファは大粒の涙を流し始めた。
「テファ・・。」
「ごめんなさい・・!ごめんなさい・・!」
「テファは何も悪くない!謝る必要なんて・・!」
「でも、私がハーフエルフだから、あの人達は・・!」
そう言って、テファは涙を拭い、口を開いた。
「零さん、私を置いて逃げて。」
「・・・え?」
「零さん一人でなら、きっと逃げられる・・。」
「・・・。」
「だから・・!」
零は無言でテファの手を強く握った。
「え?」
「・・良いか、テファ。死ぬ気で生きる事と死んで良いと思う事は全く違うんだ。だから、明日を生きる為に一緒に逃げよう。例え明日が無くても、俺が側にいる。」
「零さん・・!私・・貴方が好き!」
「・・!?」
突然の告白に零は戸惑いを隠せなかった。
「今まで、頼れる使い魔がいるルイズさんが羨ましいだけかと思ってたの。でも、そうじゃない・・!」
そう言いながらテファは零の手を強く握り返した。
「零さんといると、ずっとドキドキしてるの・・。これ、好きって事よね?」
「あ、ああ・・。」
「いけない事なのかもしれない。でも一度だけ、一度だけで良いから・・!」
「・・・。」
そう言ってテファは零の唇と自分の唇を重ねた。
すると、最初に呼び出された時の様に胸にルーンが刻まれ、零は気を失ってしまった。
数時間後に目覚めた零は、テファから真実を聞いた。
「そうか・・だからあの時急にゲートが現れたのか・・。」
零は以前ジャックを捕まえた時の事を思い出した。
アーク・ゼロで飛んでいた時、急にゲートが現れ、零はその中を無意識に通って行ったと覚えている。
「うん。多分その時零さんがゲートをくぐって来た、そんな気がしたの。でも、零さんはルイズさんの使い魔だからそんな事ある訳無いって。」
「二人の使い魔になるなんて聞いた事ないけど・・。」
零の胸に刻まれているそのルーンが現実であると言う事を物語っていた。
「これを見たら信じるしかない、か。」
「落ち込んでいるかと思ったが、杞憂だった様だな。」
零は体を起こし、声のした方を見た。
そこには、扉を開けて入ってくるルクシャナ、ヴィダーシャル、アリーとルクシャナに抱えられているカリバーンがいた。
「カリバーン?ってか、今度は一体何の用だ?」
「あら、お言葉ね。逃がしに来てあげたってのに。」
「はあ?」
「言っておくが、僕はヴィダーシャル教とルクシャナの護衛だ。二人がどうしてもやると言うから・・!」
「来い。」
ヴィダーシャルは用件を言い、先に言ってしまった。
「・・・。」
「エルフも人間も、よく分からん生き物だなぁ・・。」
零はそんな事をぼやきながらヴィダーシャルに着いて行った。
一同は松明等の灯りになる物を持って地下水道を通っていた。
「この地下水道は、叔父様が若い頃に設計したの。全ての通路が、叔父様の頭に入ってる訳。」
「・・・罠とか無いだろうな?」
「もう、疑り深いわねぇ。」
「拐った張本人をどう信じろって言うんだよ。」
「言ったでしょ?私が加わったのは研究の為。殺す為なんかじゃない。でも叔父様が反対してた理由がよーく分かったわ。きっとこうなる事を見越していたのね。」
「反対?」
「お前達を目の当たりにすれば、同胞の多くが憎しみを抑えられなくなるだろうと思っていた。それほどに、我々と万人の争いの歴史は長い。せめて我が姪のオアシスに隔離しておければと思ったが、結局エスマーイル達に押し切られてしまったのだ。」
「・・お前はどうしてジョセフの味方をしていたんだ?」
「・・恐怖故だ。」
「それはまた一体どういう事だ?」
「悪魔の力が蘇ったと聞いて、女王様の為ジョセフに近付いた。何としても知りたかったのだ・・悪魔の力の正体を。」
「それでタバサ達をあんなに酷い目に会わせた、ってか。」
「奴の条件だった。協力と引き換えに服従しろと。」
「・・・。」
「だがそれで私は知った。本当に恐ろしいのは力そのものではない。力を持つ者の心なのだと。」
零はこれまで戦って来た闇の巨人達やダークルギエル、エタルガー、そしてそれを率いていたルシフェル達の事を思い浮かべた。
「ネフテスでは平和的に使われる石が、ジョセフの手によって殺戮の道具になった様にな・・。」
「・・・。」
「私、約束します。虚無の力をよろしい事に、人を傷付ける為に使ったりしません!」
「ああ!ルイズだってそんな事は絶対にしない!俺が保証する!」
それを聞いてヴィダーシャルは微笑んだ。
「信じよう。」
そして、ヴィダーシャルは前方の大きな門の前に駆け寄った。
「この扉を出れば、町外れだ。竜で砂漠を越え、帰るが良い。」
ヴィダーシャルはそう言って魔法で扉を開けようとした。
「どうしたの?」
「読まれたか・・。」
零は拳や脚で扉を叩いたり蹴ったりして開けようとしたが、扉はビクともしなかった。
「精霊の力で封じられている。拳ごときでは開かん。」
「そうか・・ん?」
すると、遠くから足音が聞こえ、多くの兵士達が零達を囲んだ。
「マッターフ!?貴方までいるの!?」
ルクシャナがその中にマッターフがいるのを見つけた。
「いや良いところに来てくれた。例によってルクシャナのわがままに付き合わされていたところだ。さっさと万人共を牢に戻してくれよ~。」
しかし、マッターフは何も言わず、超能力で剣をアリーの方に飛ばした。
「危ない!」
零はその剣を自分の体で受けた。
「零さん!」
「使い魔!」
零は思わずその場にしゃがみこみ、そこにルクシャナとテファが駆け寄った。
「何をするのマッターフ!」
「悪魔と悪魔の力に加担する者共の全員の息の根を止めろとの命令だ。」
そう言ってマッターフは七本の剣を飛ばした。
「やらせはしません!」
すると、零のスマホから飛び出したゼットンがゼットンシャッターを張り、剣を落とした。
「ゼットン、突破していくけど、殺したら駄目だ。」
ゼットンは立ち上がった零の方を見て頷いた。
「傷はもう良いのか?」
「これぐらいは何て事ないさ。駆け抜けるぞ!」
零とゼットンはカンフー映画の様に構えを取った。
「ホワタァ!」
「アタァッ!」
零は兵士達の剣を蹴りあげ、兵士達を素早く殴り倒して気絶させた。
ゼットンはテレポートを使い、兵士達の剣を全て取り上げ、裏拳や蹴りで兵士達を倒していった。
「よし、行くぞ!」
零の合図で一同は来た道を引き返して行った。
しかし、すぐに立ち上がったマッターフが眠りの霧を零達に放った。
「うおおヤバい!」
「任せて!」
次はベムスターが出現し、霧を全て腹の口で吸い込んだ。
「ナイス!ベムスター!」
「宇宙大怪獣は伊達じゃないわ・・・。」
すると、前からも兵士達が来た。
「全部返してあげる!」
ベムスターは先程吸った眠りの霧を兵士達に浴びせた。
それを浴びた兵士達は眠ってしまった。
「こっちだ。」
零達は別の道へ入って行った。
そして、別の出口を見つけた。
すると、先程とは違う兵士達が追いかけて来た。
「ゼットンシャッター!」
「壁となれ!」
ゼットンとヴィダーシャルは、石で壁を作り、その前にゼットンシャッターを飛ばした。
「よし!」
「後は私に掴まって!」
一同はゼットンに掴まった。
「フルパワーテレポート!」
次の瞬間、零達は別の場所へ瞬間移動した。
移動した先は、オストランド号のルイズの元であった。
「わっ!びっくりした!」
「何!?・・って零!?零なの!?」
どうやらシエスタもいた様で、シエスタは驚いて飛び上がっていた。
「ああ。ところでどうして?」
「あんた達が捕まったから助けに来たのよ。でも、今はエルフに見つかっちゃって・・。」」
「そう言う事だったか。待っていろ。話を付けてくる。」
そう言ってヴィダーシャルは甲板に出て、艦隊を仕切っていたエルフと話をつけ、見逃してもらえた。
「で、どうやって零達はここに来たのよ。」
キュルケが零に聞いた。
「私の全力のテレポートでここまで来ました。まさかオストランド号に出るとは思いませんでしたが・・。」
「凄いじゃない!えっと・・。」
「ゼットンです。」
「ゼットンちゃん!やるじゃない!」
「まあ、二人の絆あっての物でしょうけど。」
それを聞いて、零とルイズは微笑み合った。
今回はここまでです!
さあ次回へ!