D.Gray-man 少年元帥の物語   作:亀さん

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教団大騒動

 

アレンは隠し水道を進んできた小型ボートから船着き場のしっかりとした地面に降りるとゆっくりと体を伸ばす。

長い間同じ姿勢のままで固まっていた関節はポキポキと小気味よい音を鳴らし縮こまっていた筋肉が伸びるのを感じる。

「ん~~~っ!!ようやく着いたぁ~~~」

アレンが任務の完了を実感したとこで後ろで船を縛り付けていた白いフードつきの服を着た男が礼儀正しく頭を下げる。

 

「お疲れ様でした」

「トマもお疲れ様。じゃあ僕はイノセンスを届けてきますね」

「お願いします。イノセンスはエクソシストでなければ触れることすらできませんので」

今回の任務で一緒に戦ったトマと挨拶を交わしてアレンが本部内部へと続く階段を上ろうとしたところでふとした地響きに足を止める。

 

「なんだろう・・・・・?」

「どうしたんでしょうね?」

ボートを括り付け終えたトマがアレンの横に来て同じように首を傾げる。

なんとなく騒音は近づいてくるような気がしてアレンはいつでも大丈夫なように左腕を発動する。

 

バッと階段から転がり落ちるように現れた人影にアレンは目を見開く。

「リーバーさんと、リナリー・・・・?」

アレンの目の前には意識を失っているリナリーと化学班1班班長のリーバーが息を切らしてへとへとの状態で床に倒れこむように階段を駆け下りてきていたのだ。

 

「お、おう・・・・アレンか・・・・・・」

「どうしたんですか?なんでリナリーを抱えて・・・・・」

「説明は後だ。奴が・・・・」

リーバーがアレンの手を引いて逃げようとした時、通路の壁を破壊しながら巨大なロボが階段を勢いよく降りてきた。

 

『私コムリンⅡ。エクソシストヲ強クスル!!』

「まさか・・・・・・・」

「悪い。俺たちが室長をちゃんと見張ってれば・・・・・・・」

その巨大なロボは呆然としているアレンと気を失ってリーバーに担がれているリナリーを見つけると何本ものロボットアームを伸ばして掴み取ろうとする。

 

「リーバーさんっ!!リナリーをこっちへ!!」

「頼んだっ!!」

アレンはリナリーを背負うとロボのアームをかいくぐり、六本足の巨大なロボの股下を走り抜けていった。

 

『待テッ!!』

「付き合ってられるかっ!!」

発動した左腕で伸びてきたアームを引きちぎるとそのまま階段を駆け上っていく。

 

 

『私コムリンⅡ。リナリー=リー、アレン=ウォーカーヲムキムキノマッチョニスル!!』

「嫌ですよそんなのっ!!」

アレンは必死に逃げ回りながら上へ上へと黒の教団本部内を逃げ回る。

そしてアレンが回廊を逃げていた時、下から錐体を逆向きにしたような巨大な物体が浮き上がってきた。

「アレンっ、こっちだ!!」

「っ、化学班のみなさん!!リナリーをお願いします」

フェミニストなアレンだがこのままではまずいと思ったのか不本意ながら浮遊エレベーターで救援に来た化学班たちにリナリーを投げ渡すとアレンはコムリンⅡと対峙する。

 

『アレン=ウォーカー。強化改造手術執行シマス!!』

「その前に破壊させてもらいます!!」

いい加減に我慢の限界だったアレンが剛腕を振りかぶりコムリンⅡめがけて振り下ろす。

 

 

「ダメーっ!!」

 

 

プスッとアレンの首にどこからか飛んできた麻酔針が刺さり、まるで重りをつけたようにアレンの体がガクッと崩れかける。

「こ、これは・・・・・・・?」

「室長何やってんすか!?」

「ダメーッ!!あんなので攻撃したらコムリンが粉々になっちゃうよ!!」

「アレンのが大事でしょうがっ!!」

いつの間にかエレベーターに乗っていたコムイを慌てて化学班が縄でグルグル巻きにするが、その間にアレンは徐々にコムリンⅡによって追い詰められていた。

その様子にビン底メガネをかけた化学班の一員が操縦席に座り、エレベーターに付けられている大砲を操作して標準をコムリンⅡに合わせる。

 

「インテリの底力なめんなぁ!!」

「「「「「殺れーーーーッ!!」」」」」

「だめぇええええええええええええええええええっ!!」

 

トリガーが引かれる瞬間、コムイがエレベーターの操縦桿を無茶苦茶に動かして標準を無理やりずらすと砲弾はコムリンⅡをはるかにそれて教団の壁を粉砕する。

 

「何やってんだアンタはっ!!」

「って、アレンがっ!!」

明らかに動きの鈍ったアレンをコムリンⅡはアームで捕まえ、胴体にある改造スペースに引きずり込んだ。

 

「ちょ、どうすんだよあれっ!!」

「アレンが中にいる以上・・・・・・・・」

化学班のメンバーが無暗に動けずアレンの無事を藁にもすがる思いで祈っていると、コムイの顔を模したコムリンⅡの頭部の前にトンッとまるで鳥が止まったかと思うほど軽くいつの間にか起きていたリナリーが着地を決めた。

 

「リ、リナリー!!」

「よしっ、その中にアレンがいるから助けてやってくれっ!!」

「・・・・・・アレン君がこの中にいるの・・・・・?」

化学班のメンバーたちの歓声に反応したリナリーがゆったりと足を振り上げてコムリンⅡを破壊しようとした時、どうやってかコムイがコムリンⅡを這い登ってリナリーの前に立ちふさがった。

 

「ダメだよリナリーッ!!コムリンⅡを破壊しちゃダメー!!」

「まだ言うか室長っ!!」

「兄さん・・・・・」

リナリーは泣き落としにかかるコムイにニッコリと笑うとイノセンスを発動して胴体部を切り開き、包帯でグルグル巻きにされミイラ男一歩手前の状態のアレンを引きずり出した。

助け出されたアレンは化学班に保護されて安全地帯に運ばれていく。

「無事かアレン?」

「ふぁい、ふぁんとか・・・・・・」

「どこにも変なことはされてないな?」

問いかけにアレンが首をコクコクと縦に振ると、リナリーはゴンッとコムリンⅡを蹴り落とす。

 

「え、リナリー・・・・?」

「兄さん、・・・・・・・・・・・・・・・しばらく反省してきて」

「そんなっ!!リナリー、リナリーぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!」

吹き抜けをまっさかさまに落ちていくコムイとコムリンⅡにリナリーは手を振って見送った後、グルグル巻きの状態からようやく顔の部分だけ包帯をはぎ取ってもらったアレンに駆け寄る。

 

「ごめんね?あんな兄さんだけどたぶん悪気はなかったの」

「ええ、大丈夫です・・・・・。ただ後悔しているだけですから・・・・・・・」

ズーンと落ち込んでいるアレンにみんなが苦笑いをしながらリナリーはアレンを連れてヘブラスカの元へ、化学班はコムイの後処理に向かった。

 

「・・・・・・・お疲れさま。アレン=ウォーカー」

「これが今回のイノセンスですよヘブラスカ」

最深部まで降りてきたアレンがイノセンスに寄生され巨大な体躯となったヘブラスカにイノセンスを渡すと、イノセンスは収められていたケースをすり抜けヘブラスカの体内に入っていき、いくつも空いているホールの一つに収まった。

 

「・・・・・また新たな使い手が現れるまで私が保管していよう。ゆっくり休んでくれアレン」

「お休みなさいヘブラスカ」

アレンはその場を後にして、最深部につながっている階段を上るとエレベーターの前でリナリーが待っていた。

 

「大丈夫ですかリナリー?」

アレンが少し震えているリナリーに尋ねると顔をあげて大丈夫、と言ったが見るからに元気ではない。

先ほどもエレベーターで降りていくほどに顔色が悪くなっていったリナリーはエレベーターの前で待っていてもらったのだ。

おそらくその原因もアレンはなんとなく理解しているが口にはせずにリナリーの震えが止まるまでその横に立っていた。

「うん・・・・・・・、ごめんね。どうしてもあそこに行くのは・・・・・・」

「大丈夫ですよ。さぁ、ご飯食べに行きましょ。僕お腹へってフラフラなんですよ」

「そうね・・・・・。じゃあはやく行きましょ」

リナリーの手を取ってアレンはエレベーターに乗り込む。

 

 

そしてそのまま食堂に行き、また大騒動に発展するのは数日後のことだった。

 

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